スペイン国内をバルセロナまで南下するツール・ド・フランス第6ステージは、大会初の本格的な雨に見舞われた。雨で落車が多発する中、トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)が上りスプリントを制して優勝。終盤には新城幸也(Bboxブイグテレコム)も落車したが、無事にゴールしている。

雨のカタルーニャ。濡れた海沿いの道を進む雨のカタルーニャ。濡れた海沿いの道を進む photo:Cor Vosツール第6ステージは、多くの北米選手が居を構えるスペインのジローナをスタートし、カタルーニャ州の州都であり、スペイン有数の大都市であるバルセロナにゴールする。181kmのコースには難易度が低いカテゴリー山岳が5つ散りばめられており、最後は1992年にバルセロナ五輪が行なわれた標高96mのモンジュイックの丘を駆け上がってゴールだ。

レースは平均スピード46.8km/hというハイスピードな幕開け。スピードの上がった集団からは、体調が優れない別府史之(スキル・シマノ)が一時脱落する姿も見られたが、無事に集団に復帰してレースを進めた。

逃げるステファヌ・オジェ(フランス、コフィディス)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)、デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)逃げるステファヌ・オジェ(フランス、コフィディス)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)、デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン) photo:Cor Vosスタートから1時間経過後にようやく逃げが決まる。集団から飛び出したのは、2000年ツールのプロローグを制してマイヨジョーヌを着たデーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)、昨年ツールで念願のステージ優勝を飾ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)、そして逃げのスペシャリストステファヌ・オジェ(フランス、コフィディス)。

この脚の揃った3名は、最大3分45秒のリードを稼ぎ出して逃げ続けた。カテゴリー山岳ではオジェが積極的にポイントを稼ぎ、この日だけで11ポイントを稼いで山岳賞ランキングのトップに立った。

メイン集団をコントロールするラボバンク、カチューシャ、ミルラムメイン集団をコントロールするラボバンク、カチューシャ、ミルラム photo:Cor Vosこの日はレース進行とともに天候が崩れ、雨に濡れた路面が多数の落車を誘発。落車のリスクを避けたいアスタナが集団先頭に立つと、この日3つ目のカテゴリー山岳でアメツ・チュルカ(スペイン、エウスカルテル)が飛び出し、単独で先頭3名に追いついた。

しばらくミラー、シャヴァネル、オジェ、チュルカの4人旅が続いたが、メイン集団とのタイム差は残り30kmで早くも1分を切る。ペースの上がらない先頭グループからは、この日最後の4級山岳でミラーが飛び立った。

アメツ・チュルカ(スペイン、エウスカルテル)が合流して先頭は4名アメツ・チュルカ(スペイン、エウスカルテル)が合流して先頭は4名 photo:Cor Vos残り29kmを単独で走ることを選んだミラーは、追走するチュルカらを引き離し、バルセロナに向かって猛進。メイン集団ではスプリント勝負に持ち込みたいサーヴェロやラボバンク、ミルラム、カチューシャがスピードを上げたが、先頭ミラーとのタイム差が思うように縮まらない。

残り15kmでタイム差は1分05秒。残り10kmでタイム差1分。残り5kmでタイム差40秒。コーナーが連続する大都市バルセロナの街中では落車が多発し、新城幸也やトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)、マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア・HTC)、ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)らが次々とクラッシュ。いずれの選手も大きく遅れてゴールした。

ラスト9kmで落車発生。手前は新城幸也(Bboxブイグテレコム)ラスト9kmで落車発生。手前は新城幸也(Bboxブイグテレコム) photo:Cor Vos28kmに渡って独走を続けたミラー。しかしその闘志溢れる走りも、モンジュイックの丘に至る上りで息絶え、フラムルージュ(ラスト1kmアーチ)手前で吸収。ここからは上りスプリント力に長けた選手たちによる激しいバトルが繰り広げられ、オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)との一騎打ちを制したフースホフトが勢いよく両手を挙げてゴール。嬉しい今大会1勝目を飾った。

2005年にマイヨヴェールを獲得しているフースホフトはツールのステージ通算7勝目。5月に同じカタルーニャ地方で行なわれたボルタ・ア・カタルーニャでも、バルセロナステージでスプリント勝利を飾っている。

両手を上げてゴールに飛び込むトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)両手を上げてゴールに飛び込むトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ) photo:Cor Vos新生サーヴェロ・テストチームにツール初優勝を捧げたフースホフトは一気に35ポイントを稼ぎ出したが、マイヨヴェール獲得には1ポイント足らなかった。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)は上りスプリントで苦戦しながらもステージ16位(10ポイント)に入り、ポイント賞ランキング首位の座をキープしている。

総合成績は8位以下が変動したが、ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)とのタイム差0.22秒を保ったファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)がこの日もマイヨジョーヌをキープ。カンチェラーラはスイス人のマイヨジョーヌ着用日数記録を更新中だ。

ツールは翌日からピレネー山脈の奥深くへと分け入っていく。第7ステージは超級山岳アンドラ・アルカリスにゴールする今大会最初の頂上ゴール。パリでのマイヨジョーヌ獲得を狙う猛者たちが、上りで激しいバトルを繰り広げるだろう。

ツール・ド・フランス2009第6ステージ結果
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)4h21'33"
2位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
3位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
4位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)
5位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)
6位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)
7位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)
8位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)
9位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
10位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)
149位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+6'55"
173位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+10'14"

マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)19h29'22"
2位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+00"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+19"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+23"
5位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)+31"
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+38"
7位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+52"
8位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)+1'16"
9位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)+1'22"
10位 マキシム・モンフォール(ベルギー、チームコロンビア・HTC)+1'29"
152位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+13'44"
166位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+17'49"

マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)106pts
2位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)105pts
3位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)66pts
18位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)30pts
37位 別府史之(日本、スキル・シマノ)18pts

マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ステファヌ・オジェ(フランス、コフィディス)14pts
2位 ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、フランセーズデジュー)9pts
3位 デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)8pt

マイヨブラン(新人賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)19h30'14"
2位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+39"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+44"

チーム総合成績
1位 アスタナ 56h54'18"
2位 サクソバンク +2'33"
3位 チームコロンビア・HTC +2'45"

第6ステージ敢闘賞
デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)

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