アメリカに居を構える世界最大規模のバイクブランドの一つ、トレック。マウンテンバイクと29erの生みの親にして、現在もユニークな発想で理想的なバイクを追い求めるゲイリー・フィッシャー氏の協力のもと、生み出されたのがSuperfly 100 Elite SLだ。

トレック Superfly 100 Elite SLトレック Superfly 100 Elite SL (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
トレックというと、マドンシリーズやドマーネシリーズに代表されるロードバイク、FXシリーズに代表されるクロスバイクのイメージが強いが、マウンテンバイクの製品開発にも注力しており、世界中の自転車メーカーの中でも屈指のラインナップを誇る。フルサスMTBの黎明期に発表されたエラストマースプリング採用の「8900」、1995年に衝撃的なデザインで自転車業界に大きな衝撃をもたらした「Yバイク」など、過去には画期的なマウンテンバイクを生み出してきた。

そんなトレックと、マウンテンバイクと29erの生みの親であるゲイリー・フィッシャーが手を組んだのは1996年のこと。ゲイリー・フィッシャーが生み出す独創的なアイデアを具現化するために「Gary Fisher Collection」として、現在はトレックのラインナップに組み込まれている。

強度と軽さを兼ね備えたOCLV Moutain Carbonを使用する強度と軽さを兼ね備えたOCLV Moutain Carbonを使用する 上側が1-1/8インチ径、下側が1.5インチ径の上下異型ヘッドチューブ「e2ヘッド」上側が1-1/8インチ径、下側が1.5インチ径の上下異型ヘッドチューブ「e2ヘッド」 G2ジオメトリーに最適化された100mmトラベルのFOX製フロントサスペンションG2ジオメトリーに最適化された100mmトラベルのFOX製フロントサスペンション


アメリカのスラング(俗語)で「カッコイイ」と言う意味を持つSuperfly(スーパーフライ)はトレックのXCバイクラインナップのハイエンドシリーズである。フルサスとリアリジット共に用意され、今回インプレッションを行ったSuperfly 100 Elite SLは3車種が用意されるフルサスモデルのミッドレンジに当たるバイク。

Superflyの最大の特徴は圧倒的な「軽さ」だ。フレームには史上最軽量のDHバイクと銘打って登場したSESSIONシリーズに採用された、高強度を誇るOCLV Moutain Carbonを使用。オフロード走行での跳ね石によるダメージを軽減するようカーボンの積層構造を工夫し、その上クロスカントリーバイクに求められる軽さを得るため、より軽量なカーボンを使用した。

ゲイリーフィッシャーコレクションであることを示すマークゲイリーフィッシャーコレクションであることを示すマーク ハンドルやステムなど多くのパーツにボントレガーのアイテムが採用されるハンドルやステムなど多くのパーツにボントレガーのアイテムが採用される


リアショックもフロントサスペンション同様にFOX製リアショックもフロントサスペンション同様にFOX製 ボリュームのあるヘッドチューブ周りの造形ボリュームのあるヘッドチューブ周りの造形


フレームデザインはロードバイクで培った力学的な解析を元に行われ、必要な部分のみを強化し軽量化。また、大きな負荷がかかるリアスイングアームには金属ではなく、フレームと同様にOCLV Moutain Carbonを使用しているが、これはつまりトレックの高い技術力の証しと言えるだろう。加えてSESSIONにも採用されている、アウターケーブルを固定するタイラップを通すための「マイクロトラス・ルーティング」を取り入れ、細部に渡って軽さを追求している。

Superflyでは軽さと同時にオフロードでの扱いやすさや快適性も追及している。29erと26インチのバイクを比較した際に車輪径の大きさに起因する「操作感のダルさ」が弱点となる。しかし、Superflyではシャープなハンドリングを実現するためにヘッド角とフォークのオフセット量を最適化し、トレール量を適正にするG2ジオメトリーを採用。さらにヘッドチューブは上側が1-1/8インチ径、下側が1.5インチ系の上下異型のヘッドチューブ「e2ヘッド」とした。

リアスイングアームもカーボン製として軽さを追及リアスイングアームもカーボン製として軽さを追及 カーボン時に浮かび上がるトレックのロゴカーボン時に浮かび上がるトレックのロゴ


ライダーのパワーをロスなく駆動力に変換するために、ボトムブラケットは幅を限界まで拡張したシェル幅95mmのBB95を採用。ピボット部には、ブレーキング時にサスペンションシステムの動きが妨げられることを防止する「アクティブブレーキングピボット」を採用し、常にサスペンションを動作させることを可能とした。

フロントとリアのサスペンションは共に3種類の調整オプションを持つFOXのパフォーマンスシリーズを採用。コンポーネントは変速機とブレーキ共にシマノ・デオーレXTがアッセンブルされ、フロントは2段変速、リアは10段変速だ。ハンドルやステムにはボントレガーのRace X Liteシリーズで、ホイールはチューブレスに対応する同Race Liteを装備しフロントは15mm、リアは142x12mmのスルーアスクル仕様だ。

飛び石などの衝撃からフレームを保護するリムーバルカーボンアーマー飛び石などの衝撃からフレームを保護するリムーバルカーボンアーマー 独自工法により重量を最小限に抑えながら剛性を確保したリンク独自工法により重量を最小限に抑えながら剛性を確保したリンク チューブレスに対応するRace Liteホイールチューブレスに対応するRace Liteホイール


ゲイリー・フィッシャー氏が自信を持ってThe New Era(新時代)と表現する「Superfly 100 Elite SL」。この超軽量XCバイクは果たしてどの様な走りを見せてくれるのだろうか。早速インプレッションに移ろう。



ーインプレッション

「トレックらしいバランスの良さ 個々の要素がしっかりと生きている」江下健太郎(じてんしゃPit)

Superflyはサスペンションやカーボンの材質などの個々の要素がしっかりと役目を果たして、完成車の状態でも楽に速く走れるバイクですね。さすがはトレックと思わせてくれる、バランスの良さがありました。フレームの完成度が高く、リンクにヨレやガタが無く動きが非常にカッチリしており、反応が良かったですね。恐らく、142mmのスルーアスクルに加えてチェーンステーをアルミ製とする事によって高い剛性を実現しているのではないでしょうか。

「トレックらしいバランスの良さ 個々の要素がしっかりと生きている」江下健太郎(じてんしゃPit)「トレックらしいバランスの良さ 個々の要素がしっかりと生きている」江下健太郎(じてんしゃPit) 29インチのフルサスバイクとしては十分に軽く、速度が10km/hを切るようなシーンは多くあっても30km/h上回るシーンが少ないMTBの上りでは魅力的なポイントですね。

また、少々大きなギャップに差し掛かっても腰を浮かすことなくクリア出来るため、ロードバイクのようにサドルにどっかりと座って効率の良いポジションのまま上っていけました。荒れた路面でよく上って行ってくれますね。

アッセンブルされているFOXのサスペンションがとても優秀で良く動いてくれる事も、乗り味に良い影響を及ぼしている様に感じました。

比較的フラットで巡航区間が長いコースで真価を発揮するバイクですね。ジャパンシリーズのコースであれば、白馬や一里野、一昨年まで開催されていた瀬名と言ったコースで良く走ってくれるでしょう。29インチの持ち味である慣性力に任せれば、勾配が緩い坂を一気に上っていってくれるでしょう。

下りはスピードが出る直線的なダウンヒルが得意ですね。サドルに腰をおろしてもサスペンションに仕事させれば抜重の動きをする事無く体を休すませながらダウンヒル出来るでしょう。王滝の様な走行時間が長いレースほど29インチのフルサスバイクに乗っているメリットは大きくなると思います。

一方で29インチのデメリットであるポイントを感じてしまった点も少しながらありました。軽量な29インチのフルサスとはいっても、同価格帯の26インチのリジットバイクと比較した場合には1kgほど重いでしょう。XCの場合には上りでタイムを稼ぎやすい場合が多いのでレースをターゲットにする場合には脚回りを中心に軽量化を追求する必要があるでしょう。また、ホイールベースと車輪径が大きい分、細々として大きく切り返す様な下りコーナーは少し苦手な印象でした。

完成車の状態でも十分な走行性能を持っていますが、サスペンションのセッティングをトラクションとショックの吸収のどちらを重視するか次第で、大きくバイクの乗り味が変わると思いました。私の場合には私でしたらフロントとリア共にサスは固めにしてタイヤに仕事をさせる様なセッティングにするでしょう。

パーツについてですが、標準状態ではクリンチャーが装備されていますが、アッセンブルされているホイールはチューブレス対応なので、チューブレスへ換装することでさらにフレーム性能を引き出すことが出来るでしょう。加えて、シートポストをセットバックがあるタイプに変更することで、ロードバイクのようにサドルの後ろに座れる様なポジションとすればより楽に走ることが出来ると思います。

フレーム細部の造りですが、タイラップ留めで軽量化を追求してい点にトレックらしさを感じました。ピヴォットは簡単に交換出来る様に設計されているなど、メンテナンス性も良いことでしょう。加えてダウンチューブに標準でセットされているロックガードも良いですね。OCLVカーボンの耐久性と合わせて、多少の衝撃力にも問題なく耐えてくれることでしょう。

Superflyは長く乗りたい方、腰痛持ちの方や体力に不安を感じる方におススメですね。体に優しくて楽に速く走ることができ、ハンドリングもニュートラル。初心者からシリアスなレーサーまで誰が乗っても乗りやすと感じるのではないでしょうか。一言でまとめると優等生的なバイクですね。

トレック Superfly 100 Elite SLトレック Superfly 100 Elite SL (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp


トレックSuperfly 100 Elite SL
フレーム:OCLV Mountain Carbon main frame & seat stay, alloy chain stay, 100mm travel
フォーク:Fox Performance Series 32 Float w/CTD (climb-trail-descend) FIT damper, rebound, custom G2 Geometry w/51mm offset, E2 tapered steerer
リアショック:Fox Performance Series Float w/CTD (climb-trail-descend) damper, rebound, 6.5x1.5"
ギア数:2×10
コンポーネント:シマノ Deore XT
ホイール:ボントレガー Race Lite Tubeless Ready Disc, 15mm front hub, 142x12mm rear hub
タイヤ:ボントレガー 29-1 Team Issue, 29x2.20"
ハンドル:ボントレガー Race X Lite Carbon Low Riser, 31.8mm, 5mm rise, 9 degree sweep
ステム:ボントレガー Race X Lite, 31.8mm, 7 degree
シートピラー:ボントレガー Rhythm Elite, 31.6mm, zero offset
サドル:ボントレガー Evoke 3, titanium rails
サイズ:15.5、17.5、19"
カラー:Phantom Carbon/Vis Yellow
価 格:640,000円(税込)




インプレライダーのプロフィール

江下健太郎(じてんしゃPit)江下健太郎(じてんしゃPit) 江下健太郎(じてんしゃPit)

ロード、MTB、シクロクロスとジャンルを問わず活躍する現役ライダー。かつては愛三工業レーシングに所属し、2005年の実業団チームランキング1位に貢献。1999年MTB&シクロクロスU23世界選手権日本代表。ロードでは2002年ツール・ド・台湾日本代表を経験し、また、ツール・ド・ブルギナファソで敢闘賞を獲得。埼玉県日高市の「じてんしゃPit」店主としてレースの現場から得たノウハウを提供している。愛称は「えしけん」。

じてんしゃPit



ウエア協力:bici

text:So.Isobe&Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.AYANO
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