世界中の女性サイクリストが、7月7日に一斉に100kmを走るという半バーチャルイベント「 Rapha Women's 100」。フランス・アルプスを走るエタップ・ドゥ・ツールを目指し、日本からアンバサダーとして参加する青木陽子さんが、これからの自身のチャレンジを連載でつづります。

ロンドン郊外を走る青木陽子さん 7月7日のエタップ・ドゥ・ツール目指して走りはじめたロンドン郊外を走る青木陽子さん 7月7日のエタップ・ドゥ・ツール目指して走りはじめた

Raphaウイメンズ 100 7月7日に開かれるバーチャルイベントだRaphaウイメンズ 100 7月7日に開かれるバーチャルイベントだ 7月7日、世界中で女性たちが100km走る!

世界的に人気急上昇中のサイクルスポーツ。とくに英語圏の英米が牽引するアマチュアのロードレースやスポルティーフの人気ぶりは相当なもので、イギリスやフランス、イタリアなどでのイベントは多くが募集開始直後に埋まってしまう状況がこの数年続いている。

世界各国・各都市で、現地のRaphaや女性サイクリスト有志が一緒に走るライドが立ち上がっている世界各国・各都市で、現地のRaphaや女性サイクリスト有志が一緒に走るライドが立ち上がっている わたしも住んでいるイギリス国内のサイクリングイベントにはときどき参加して、「過熱」と言ってもいいくらいの人気ぶりを肌で感じているが、しかーし、気になっていることがひとつあるのだ。それは、参加者の中に女性がとても少ないこと。ある程度ハードなイベントになると10人に1人女性がいればいいほうで、これは日本の状況にも通じるものがあると思う。

サイクルスポーツが本当に普及するためには、こういったイベントに女性の姿が増えることが必要なのは言うまでもない。そこで、チーム・スカイへのキット提供でさらに世界的なブランドに成長したRaphaが、この夏、女性サイクリストのための大きなイベントを立ち上げた。

Rapha ウイメンズ100は、世界同日で7月7日に開かれるRapha ウイメンズ100は、世界同日で7月7日に開かれる 「#womens100」のタグで写真を共有中

『Rapha Women's 100』は、世界中の女性サイクリストに、今年100回を迎えるツール・ド・フランス期間中の7月7日、自転車で100kmを走ろうと呼びかける、半バーチャルなイベントである。
世界中で同じ日に同じ距離を走り、そのGPSデータをStravaの特設ページで共有したり、インスタグラムやフェイスブックで様子をシェアしたりすることで、女性サイクリストを祝福し、そのプレゼンスを高めるのが狙いだ。

フェイスブック上のイベントページへの登録だけですでに2700人近い人がサインアップしているので、これはなかなか大きなイベントになりそう。また、イベントに向けての繋がり感を高めるため、すでにインスタグラムやツイッターなどで、「#womens100」のタグをつけての写真アップが始まっている。

山岳だったり海だったり街並みだったり、世界のさまざまな景色の中でのライドの様子や、女性たちのサイクリングファッションのセルフ写真が見られ、これはかなり面白い。同じ女性として、これはとってもモチベーションが上がる。

このイベントに参加するのは簡単で、基本的にはフェイスブックやRaphaのイベントページで参加意思を表明すればOK。あとは自らバーチャルな輪の中に飛び込んでいくだけで楽しめる。それでも、リアル面でも誰かと一緒に走れればさらに楽しくなるということで、7月7日各国各都市で、Women's 100のために集まって走るライドが企画されている。

これらのライドはRaphaのイベントページにリストアップされている。日本はいまのところ京都の1つだけだが、関東・関西などで4つくらいに増える予定だ。

エタップ・ドゥ・ツールは1993年に始まったアマチュア向けのワンデーレース・イベント ツール開催期間中に実際にツールの1ステージを走るエタップ・ドゥ・ツールは1993年に始まったアマチュア向けのワンデーレース・イベント ツール開催期間中に実際にツールの1ステージを走る photo by A.S.O.

100人の女性の1人としてエタップ・ドゥ・ツールに参加

このWomen's 100の一環として、Raphaはもうひとつのコンテンツを仕込んでいる。それは、同日にフランスのアルプスで開かれる「エタップ・ドゥ・ツール(以下エタップ)」に、Raphaとして100人の女性ライダーを送り込むというものだ。

エタップは、ツール・ド・フランスと同じA.S.Oが主催するもので、その年のツールで実際に使われるコースを走れることで人気が高く、アマチュア山岳ライドの最高峰のひとつとも言われるワンデーイベントになっている。

しかし、ここでも、年によって違うがおよそ8000人ほどが走る中で、女性はわずか200人程度にとどまっているらしい。ここに100人の女性を送り込めばそのインパクトは大きい。それも100人がまとまってスタートすれば、見た目的にも女性の存在感をアップさせることは期待できそうだ。

じつはこの100人の中に、日本からはわたしがRaphaの日本におけるアンバサダーとしてエントリーしています。
今年のエタップは例年よりも比較的ラクで完走率は上がるだろうということだけれど、それでも走行130kmで、獲得標高3500m、超級山岳もあり。それなりに自転車には乗ってきていますが、この獲得標高はまだ経験したことがありません。けれど、同じ日に初めて100kmに挑戦している女性たちも世界中にいるのだろうと思って頑張りたいと思います。

そんなわけで、試験前の学生のように、あわててローラーに乗ってみたり、練習法や栄養についての本を読んでみたり、付け焼刃の習得に余念がない今日このごろです。
5月上旬には、イギリスのRaphaの女性スタッフたちと南仏ニースにも合宿特訓に行ってきました。
ここで学んだことについてはこの連載の中でもおすそわけできればと思っています。とくに女性のみなさん、どうぞご注目ください! 7月7日はぜひ一緒に走りましょう!!

青木陽子さん(編集者・ライター)青木陽子さん(編集者・ライター) profile 青木陽子さん(編集者・ライター)

14年前、環境にやさしい交通を考えるためにクロスバイクを購入、都心で片道10kmの自転車通勤に挑戦してみたところ自転車にすっかりハマってしまった。いまやヴィンテージ3台を含む11台の自転車の世話に明け暮れる(本人曰く「乗る時間がない」)という日々を送っている。
空前の自転車ブームに湧いているロンドン郊外に在住、イギリスの自転車政策にもくわしい。ブログ『チャリジェンヌ』や、フェイスブック上のコミュニティ『自転車女子部』などを運営し、女性のための自転車情報や交流の場を提供している。

女性のための自転車コンシェルジュ チャリジェンヌ

フェイスブック 自転車女子部(女性メンバー限定)

「最近はロンドン郊外で短めのブルベに出る程度で、まったく乗り込んでも鍛えてもいなかったので慌てている」という青木陽子さん。バイクは2009年モデルのアンカーRFX8で出場予定。ホイールなどはこれから軽いものを入手する予定とか。

Rapha Women's 100とは?
Rapha Women's 100は、世界同日で今年7月7日に開かれる。基本的にはバーチャルのイベントで、参加者それぞれが自分なりの挑戦になりうる100kmを決め、走り切る。そしてその経験を、ソーシャル・ネットワークを使って共有して楽しもうというコンセプトだ。

StravaなどSNSに走行データをアップする
走ったことの表明は、Garmin EdgeなどのGPSデバイスやスマートフォンを持っている人は、走行データをStrava内のWomen's 100イベントページにアップすることで行う。それらが使えない場合にも参加できる方法も現在準備中だ。また、各国・各都市で、現地のRaphaや女性サイクリスト有志が一緒に走るライドを立ち上げている。そのリストはこちらから(※http://www.rapha.cc/rapha-womens-100-find-a-ride)。日本でも合計4つ程度はイベントが立ち上がる予定。

フェイスブックのイベントページ
イベント参加の表明は、Raphaのサイトのイベントページ、あるいはフェイスブックのイベントページで行える。今回のイベント全体では、すでに2600人を超える人がエントリーをしている。

フェイスブックのRapha ウイメンズ100イベントページ 参加表明はこちらからフェイスブックのRapha ウイメンズ100イベントページ 参加表明はこちらから

インスタグラムで「#womens100」タグをつけて写真を投稿
写真共有サイトのインスタグラムでは、「#womens100」のタグをつけることで、今回のイベントに参加する女性たちの写真の共有がすでに始まっている。同じ女性サイクリストが見ている世界中の景色は面白い。
●ハッシュタグでインスタグラムの写真を検索する>  hashgr.am womens100

ハッシュタグでインスタグラムの写真を検索する hashgr.am  同じ女性サイクリストが見ている世界中の景色は面白いハッシュタグでインスタグラムの写真を検索する hashgr.am  同じ女性サイクリストが見ている世界中の景色は面白い

エタップ・ドゥ・ツール
エタップ・ドゥ・ツールは1993年に始まった、アマチュア向けのワンデーレース・イベント。ツール・ド・フランスを主催するのと同じASOが、ツール開催期間中に実際にツールの1ステージとして使われるコースを選んで開催するので人気がある。毎回超級山岳も含まれる過酷なコースが選ばれるが、それも人気の理由。

今年のエタップ・ドゥ・ツールのコースには、ツール・ド・フランスの勝負が決まる可能性が高い第20ステージで使われる、アネシー〜アネシー・セムノが選ばれた。130kmで獲得標高3500m、最後の11kmは平均斜度が8.3%だ。このコースを完走すべく、青木陽子さんは走りだした。

ツール・ド・フランス2013第20ステージ アヌシー〜アヌシー・セムノが今年のエタップ・ドゥ・ツールのコースツール・ド・フランス2013第20ステージ アヌシー〜アヌシー・セムノが今年のエタップ・ドゥ・ツールのコース


text:Yoko.AOKI