山岳タイムトライアルの第18ステージは、総合1位のヴィンチェンツォ・ニーバリが今大会初のステージ優勝を果たした。総合2位のエヴァンスは大きくタイムを失った。新人賞はマイカが取り戻し、わずか2秒の熾烈な争いとなっている。

ステージ優勝・総合1位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

攻めの走りを見せるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)攻めの走りを見せるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) (c)CorVos(雨の影響について)タイヤの空気圧をかなり高くしていたので、コーナーでは慎重にならざるを得なかった。コーナーでは滑りそうに感じることもあった。

総合優勝を手繰り寄せたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)総合優勝を手繰り寄せたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) (c)CorVos(レース中に優先したことについて)まず自分の優位性を保つ必要があった(注:現在ニーバリと2位のエヴァンスの差は4分に開いた)。
今日、さらに差を広げたおかげで、チームとしても有利に防戦できるようになった。それから天気の問題は、今大会につきまとうミステリーだ。今日のステージでさえ、スタートでは晴れていたのに、終わるときには雨だった。

エヴァンスは、この数日、集団のなかにうまく隠れていた。だから、彼のコンディションのことは知らなかった。今日は、彼がしっかり走ると思っていた。今日のステージでは彼をペースの基準として走った。だから、最後の数kmで彼が目の前で走っているのを見たときは、少しペースを上げすぎたとさえ思った。

(明日からの山岳ステージについて)今日はジロの総合優勝に向けて、着実な一歩を踏み出せたと思う。明日からは良い天気になることを願いたい。いずれにせよ、事前に考えた山岳ステージでの戦略は少し変更することになった。ともかく、現在の自分は好調だ。明日からのステージでなくとも、このチームとなら、レースをしっかりとコントロールできる。自分の状況は、これまでが示している。今日はそれをもう一度示しただけだ。とてもリラックスしている。

今大会ステージ1勝目を飾ったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)今大会ステージ1勝目を飾ったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji
(イタリア人のジロ総合優勝者について)今年のジロでは、イタリア勢が好調だ。とくにイタリア南部は、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)のステージ優勝もある。自転車競技への情熱が加熱した人々も多い。今日も雨が降っていたにも関わらず、たくさんの観客が沿道にいた。おそらく、今年のジロでイタリアの自転車競技が再生する。それが、ぼくたちが求めていたものだし、ぼくたちが正しい方向に向かっていることだと思う。


大きくタイム差が開いた総合2位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)

マリアローザとのタイム差が開いてしまったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)マリアローザとのタイム差が開いてしまったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) (c)CorVos1〜2分のタイムを失ったのは、挑戦しなかったからではない。このジロには高い志をもって挑んだけど、多くを期待したわけではなかった。本当の目的は、ベストを尽くすことだった。そして現在のところ、いくつかのミスはあるものの、大きなミスはない。そういう意味では、ベストを尽くすという点で、しっかりやれていると思う。

でも、勝利が欲しいかといわれたら、もちろん勝利を狙いたい。たぶん、そう望むことが、自分の能力以上の力を引き出せるのだと思う。総合優勝は難しくなった。でも、このジロに出場した目的は、ツール・ド・フランスへの調整だ。だから現段階で総合2位は悪くない。


レース前に意気込み(?)を吐露するポイント賞のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

今日のジロ・デ・イタリアのステージは、2つの言葉で構成されている。スプリンターなら誰もが恐れるもの、「坂」と「タイムトライアル」だ。

新人賞・ステージ5位・総合6位のラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)

マリアビアンカを奪還したラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)マリアビアンカを奪還したラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ) (c)CorVos結果には満足している。上りではベストを尽くしたが、雨のゴールとなってしまい、脚が少し疲れている。でも、大丈夫だ。

今日、新人賞ジャージを獲得できた。キープしたいと思うが、明日からのステージはどうなるかわからない。明日の長い登坂での調子が想像できないし、天気もあまり良くない。たぶん、明日は入れ替わる可能性が高いと思う。

マイカでステージ優勝を狙いたいサクソ・ティンコフのダン・フロスト監督

ラファル(・マイカ)には驚かされている。彼の見事な活躍で、新人賞ジャージを取り戻せたし、総合成績も2つ順位を上げた。ジロの前は、わたしは彼は総合10〜15位で終わるだろうと思っていた。だから、彼が総合6位内の選手に入れて、とてもうれしい。それから、このチームには強力なアシスタントのエフゲニー・ペトロフがいて、彼は今日ステージ11位の好成績だった。

このチームのジロでの主な目的はいまだ変わらず、ステージ優勝だ。明日からの2つのステージでは、ラファルがチームの中で優勝に最も近い選手だ。彼が総合上位の選手たちに混じって走っていると、他の総合優勝候補たちが彼を脅威とみなすかもしれない。だけど、ラファルが充分に速く走れるのであれば、アタックを許可するかどうかといったことは、もう問題ではない。


スカイプロサイクリングのマルクス・ユーンクイスト監督

マルクス・ユーンクイスト監督はリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)に期待を寄せるマルクス・ユーンクイスト監督はリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)に期待を寄せる (c)Team Sky今日のリゴ(ウラン)は本当にしっかり乗れていた。良いペースで走れて、良い結果(ステージ6位)も出せた。総合2位に10秒差に迫った。

次の2つの山岳ステージの結果次第になるが、本当に良い発憤材料を得られた。明日からは、天候の状態に関わらず、過酷な日々になることはわかっている。

ジロはもう終わろうとしている。だけど、そんなことは関係なく、われわれは目標に向かうだけだ。



※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI

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