スプリンター向きと追われたジロ・デ・イタリア第17ステージ。終盤の4級山岳で多くのスプリンターが脱落する中、登りで飛び出したジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)がゴールまで逃げ切った。ヴィスコンティはステージ2勝目。モビスターは今大会ステージ4勝をマークした。

マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)らが平坦コースで逃げるマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)らが平坦コースで逃げる photo:Kei Tsuji広大な平野を作り出したポー川と並行しながら第17ステージは東に進む。レース前半は完全に真っ平ら。時折通過する街中を除いて、直線基調の幹線道路が延々と続く。ゴールの16km手前にポツンと置かれた4級山岳クロサーラがこの日の唯一の難所。専らスプリンター向きの平坦ステージと思われた。

逃げグループとのタイム差を計算しながら進むメイン集団逃げグループとのタイム差を計算しながら進むメイン集団 photo:Kei Tsuji勇敢にも逃げを打ったのはルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)、ヘルト・ドックス(ベルギー、ロット・ベリソル)、ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニジョカトリ)の4名。

コッリベリーチと呼ばれる丘陵に差し掛かるコッリベリーチと呼ばれる丘陵に差し掛かる photo:Riccardo Scanferla協力して先頭交代する4人が稼ぎ出したリードは最大5分。総合成績に影響を及ぼす4名ではないが、アルゴス・シマノやオメガファーマ・クイックステップ、モビスターといったスプリンターチームの集団牽引によって徹底的にタイム差は抑え込まれる。

4級山岳クロサーラで先頭グループから飛び出すミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニジョカトリ)とルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)4級山岳クロサーラで先頭グループから飛び出すミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニジョカトリ)とルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Riccardo Scanferla2つのスプリントポイントでポイントを稼いだベルコフは中間スプリント賞のトップに。やがて4級山岳クロサーラが近づくと、先頭グループからベルコフが真っ先に脱落する。ダーブリッジ、ドックス、ルビアーノが先行して登坂距離5.3kmの登りに突入した。

ルビアーノに合流したジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)ルビアーノに合流したジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) photo:Riccardo Scanferla最大勾配が12%に達するこの登りで先頭はルビアーノ単独に。メイン集団では、スプリンターチームに代わってヴィーニファンティーニがペースを上げる。アレッサンドロ・プローニ(イタリア)に発射される形で、そこからダニーロ・ディルーカ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)がアタックを仕掛けた。

ディルーカのアタックに端を発したペースアップによって、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)を始めとするスプリンターたちは軒並みメイン集団から脱落。ディルーカは単独で先頭ルビアーノに合流する。続いてヴィスコンティがメイン集団から飛び立った。

ヴィスコンティは先行するディルーカとルビアーノに合流し、ルビアーノだけを連れて4級山岳クロサーラの頂上を越える。ヴィチェンツァに向かう下りでヴィスコンティの独走が始まり、40名ほどのメイン集団がルビアーノを飲み込んで行く。ヴィスコンティはメイン集団を25秒引き離して残り8kmの平坦区間に入った。

前日同様、メイン集団ではオールラウンダーたちのアタックが始まる。ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)らが果敢にアタックしたが決まらない。

スプリント力のあるルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)やフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)、フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)らを含んだが、積極的に集団を牽引するチームは現れない。

協調性を欠くメイン集団のペースは上がらず、ヴィスコンティは20秒前後のリードを保ったまま平坦路を快走。結局最後までそのタイム差は縮まらず、ヴィスコンティが逃げ切りを成功させた。

「昨日のイヴレアのステージと、今日のヴィチェンツァのステージを狙っていた」と話すヴィスコンティが、ガリビエステージに続く独走勝利を飾った。

独走でステージ2勝目を飾ったジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)独走でステージ2勝目を飾ったジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) photo:Kei Tsuji
大会2本目のスプマンテを空けるジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)大会2本目のスプマンテを空けるジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) photo:Kei Tsuji「観客の声援に鳥肌を立てながら走り続けた。ラスト200mの最終コーナーを抜けた時、まるで夢のようだった。みんな僕の名前を連呼していた。なんてスペシャルな一日なんだろう」。モビスターにとってはステージ3連勝。今大会ステージ4勝目。後半戦にかけて怒濤の活躍を見せている。

マリアローザ、マリアアッズーラ、マリアロッサ、マリアビアンカともに変動はなく、それぞれニーバリ、ピラッツィ、カヴェンディッシュ、ベタンクールが守っている。ジロは残り4ステージ。翌日は山岳個人タイムトライアルが設定されている。


ジロ・デ・イタリア2013第17ステージ結果
1位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)          5h15'34"
2位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)         +19"
3位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)
4位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 ダニーロ・ホンド(ドイツ、レディオシャック・レオパード)
6位 サルヴァトーレ・プッチォ(イタリア、スカイプロサイクリング)
7位 サーシャ・モードロ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
8位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
9位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
10位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)

個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)            73h11'29"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)         +1'26"
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)          +2'46"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)            +3'53"
5位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)         +4'13"
6位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)        +4'57"
7位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)    +5'15"
8位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)             +5'20"
9位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)              +5'47"
10位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)      +7'24"

ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

山岳賞
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)

新人賞
カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)

チーム総合成績
スカイプロサイクリング

text&photo:Kei Tsuji in Vicenza, Italy

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