ツアー・オブ・カリフォルニアの最終スプリントで、力強いガッツポーズを披露したのはペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)。ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)が総合優勝を達成した。

ゴールデンゲートブリッジを渡る選手たちゴールデンゲートブリッジを渡る選手たち photo:Tour of California/Doug pensinger Getty Images

アタックするトーマス・デヘント(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)アタックするトーマス・デヘント(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Cor.Vosこれまでに7ステージをこなし、いよいよ最終日を迎えたツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)。2日前の個人タイムトライアルと頂上ゴールという2連続難関ステージを経て開催された第8最終ステージは、サンフランシスコ郊外から西海岸沿いに北上し、サンタローザへと至る131.4kmのスプリンター向けのコース。

逃げるトーマス・デヘント(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)ら3名逃げるトーマス・デヘント(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)ら3名 photo:Cor.Vos全体にわたって細かいアップダウンがあるものの重量級スプリンターを脱落させるようなものではなく、最後は20km以上に渡って完全フラットな道が続く。タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)やケン・ハンソン(アメリカ、オプタムp/b)など地元アメリカ勢のスプリントや、ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)の走りに期待が掛かった。

プロトンはパレードラン中にサンフランシスコのランドマークであるゴールデンゲートブリッジを通過。直後にリアルスタートが切られ、最後のチャンスを掴みたい選手が次々とアタックを掛けていく。そしてこの日、トーマス・デヘント(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)とジェイ・マッカートニー(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)、アントニー・ドゥシェーヌ(カナダ、ボントレガー)という3名の逃げが決まった。

チームメイトに守られて走るティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)チームメイトに守られて走るティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) photo:Tour of California/Doug pensinger Getty Imagesタイム差はスタート後16kmで1分、23km地点では2分と徐々にに広がっていくものの、最終スプリントに意気込むスプリンターチームが早めのコントロールを開始したため最大タイム差は4分半で打ち止めに。51.4km地点のスプリントポイントはデヘント、マッカートニー、ドゥシェーヌの順で通過する。

ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)が最終スプリントを制すペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)が最終スプリントを制す photo:Cor.Vosメイン集団はファラーを勝たせたいガーミン・シャープ勢を筆頭に、ポイント賞ジャージ着るサガン擁するキャノンデール・プロサイクリング、オメガファーマ・クイックステップらが集団スプリントに向けてレースを組み立てていく。総合優勝に王手を掛けたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)はチームメイトに守られつつ、集団前方をキープして走った。

先頭を急ぐ3名だが、徐々に勢いを上げるメイン集団を振り切るには至らない。後半にタイム差が1分を割るとマッカートニーとドゥシェーヌが先行し敢闘賞獲得に向けてペダルを踏み続ける。集団は2名を射程距離に捉えると、吸収からのカウンターアタックを嫌い20秒ほどのタイム差を持ってレースは推移した。

豪快にシャンパンを開けるティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)豪快にシャンパンを開けるティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) photo:Cor.Vos残り10km地点で最後まで粘ったドゥシェーヌが吸収されると、チャンピオンシステム・プロサイクリングやネットアップ・エンデューラ、サクソ・ティンコフらも先頭に姿を現してくる。キャノンデール・プロサイクリングとガーミン・シャープが主導権を争う形で残り2kmを通過した。

ポイント賞ジャージを獲得したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)ポイント賞ジャージを獲得したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング) photo:Cor.Vosしかし各チームともアシストを使い果たしたために集団前方は混沌とした状態に。200m以上を残した地点から、一瞬のタイミングを突きサガンが抜けだした。後方からファラーやダニエル・ショルン(オーストリア、ネットアップ・エンデューラ)がサガンを追ったものの、サガンのスプリントは他を圧倒。パワフルなガッツポーズをゴールライン上で披露した。2位はショルン、3位はファラー。それに次ぐメールスマンは今大会3回目の4位となった。

「今日勝てて嬉しいよ。チームメイトに感謝したい。チームは終始レースを良くコントロールしてくれて、それは周回コースに入っても変わらなかった。最後はボドナールがガーミンの選手をパスして先頭に上げてくれた。そこから自分のスプリントを始めたんだ。この調子のままツール・ド・スイスやツール・ド・フランスに臨みたいよ」とサガンは語った。

そして集団内でゴールしたヴァンガーデレンがツアー・オブ・カリフォルニアの総合優勝を達成。「全てがうまくいった。こんな走りができるだろうと分かっていたけれど、それが実現した。一ヶ月半の間に娘が生まれて総合優勝できたなんて、本当にスペシャルなこと。本当に最高だよ」。

随一のチーム力を誇ったBMCレーシングチームがチーム総合成績トップ随一のチーム力を誇ったBMCレーシングチームがチーム総合成績トップ photo:Cor.Vosローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)が新人賞に輝くローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)が新人賞に輝く photo:Cor.Vos


チーム総合成績でも優勝したBMCレーシングチームの力がヴァンガーデレンをサポートしたことは、言うまでもない事実。ブレント・ブックウォルター(アメリカ)は「チーム力は今回のキーワードだった。難関山岳では最強だったんだ」と語った。


ツアー・オブ・カリフォルニア2013第8ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング) 3h04′07″
2位 ダニエル・ショルン(オーストリア、ネットアップ・エンデューラ)
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
4位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ケン・ハンソン(アメリカ、オプタムp/b)
6位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
7位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ジェイコブ・ケノー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
9位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 マシュー・ブラマイヤー(アイルランド、チャンピオンシステム・プロサイクリング)

個人総合成績
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) 29h43'00″
2位 マイケル・ロジャーズ(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) +1′47″
3位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)+3′26″
4位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)+3′32″
5位 キャメロン・メイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)+3′33″
6位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、レディオシャック・レオパード)+3′50″
7位 フランンシスコ・マンセボ(5アワーエナジー)+4′52″
8位 ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)+5′24″
9位 フィリップ・ダイグナン(アイルランド、ユナイテッドヘルスケア)+5′33″
10位 チャド・ハーガ(アメリカ、オプタムp/b)+5′52″

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)

山岳賞
カーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)

新人賞
ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)

チーム総合成績
BMCレーシングチーム


text:So.Isobe
photo:CorVos,Tour of California/Doug pensinger Getty Images
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