5月12日から19日までの8日間、アメリカ・カリフォルニア州で北米最大のステージレース ツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)が開幕。初日ステージはリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)が制し、リーダージャージを獲得した。

アルカンシエルを着るフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)アルカンシエルを着るフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) Tour Of California/Brian Hodesスタートサインに現れたペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)スタートサインに現れたペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング) Tour Of California/Brian Hodes


スタートラインに着いた選手たちスタートラインに着いた選手たち photo:Tour Of California/Jim Safford

ツアー・オブ・カリフォルニア2013コースマップツアー・オブ・カリフォルニア2013コースマップ (c)Tour Of California"ゴールデンステイト" カリフォルニア州を舞台にする「AMERICA'S GREATEST RACE」

今年で開催8回目と新興の大会ながら、北米最大の開催規模を誇るツアー・オブ・カリフォルニア。毎年ジロ・デ・イタリアと同時期の5月半ばに開催され、北米系チーム/選手を中心にツール・ド・フランスを見据える強豪選手が多く集う大会だ。

カリフォルニア州の内陸部を走るメイン集団カリフォルニア州の内陸部を走るメイン集団 photo:Tour Of California/Jim Safford2013年度大会の総走行距離は750マイル(1200km)。日本よりも広大な土地面積を誇る温暖なカリフォルニア州を舞台とし、南部のエスコンディードで開催される第1ステージを皮切りに、計8日間を掛けて州北部の西海岸に面するサンフランシスコへと到達する。全8ステージのうち頂上ゴールは3つ設けられるという本格ステージレースだ。

ツアー・オブ・カリフォルニアから一ヶ月の期間を置いて開幕するツール・ド・フランス。それを見据えてタイトルを狙うオールラウンダーや強豪選手が多く集結。例年通り、北米最大のレースに相応しいメンバーが顔を揃えた。

逃げるカーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)ら4名逃げるカーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)ら4名 photo:Tour Of California/Jim Safford今年度大会の参加選手は、レディオシャック・レオパードやガーミン・シャープ、オメガファーマ・クイックステップ、BMCレーシングチーム、オリカ・グリーンエッジ、キャノンデール・プロサイクリング、サクソ・ティンコフ、ヴァカンソレイユ・DCMという8つのプロツアーチームと、北米系のプロコンチネンタル3チームと5つのコンチネンタルチームという16チームから計127名。

昨年の優勝者であるロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)は欠場するものの、調子の如何が注目されるアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)や、トーマス・デヘント(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)らは総合優勝の筆頭だ。

テキサスロングホーンが沿道に登場テキサスロングホーンが沿道に登場 Tour Of California/Brian Hodesまたアルカンシエルを着るフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)、ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)など世界最高峰のアタッカー達もカリフォルニアに集結。日本からは別府史之(オリカ・グリーンエッジ)がスタートラインに着いた。

ネットアップ・エンデューラが3級山岳でペースを上げるネットアップ・エンデューラが3級山岳でペースを上げる photo:Tour Of California/Jim Safford南部のエスコンディードを発着する165.2kmで争われた開幕ステージは、序盤と終盤以外は内陸の山岳を駆け抜けるコースプロフィール。中盤に控える標高1600mの1級山岳・パロマー峠をクリアすると、終盤には3級のコール・グレード峠が用意されるアタッカーや「上れるスプリンター」に向くコースだ。しかしコースプロフィールとは裏腹に、レースは初日からスピーディーな展開を迎えた。

序盤にアタックを成功させて逃げたのは、カーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)やマーシュ・クーパー(カナダ、オプタムp/b)ら4名。ユナイテッドヘルスケアがコントロールする集団はこれを容認し、最大タイム差を11分30秒までに拡大させる。

フランシスコ・マンセボ(スペイン、5アワーエナジー)を下したリエーウェ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)フランシスコ・マンセボ(スペイン、5アワーエナジー)を下したリエーウェ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Tour Of California/Jim Saffordこの日カリフォルニア州の最高気温は39℃を記録。照りつける日差しが選手らを苦しめ、体調不良を抱える別府史之は最終的にゴールラインを切ったものの、タイムアウト扱いとなってしまう。他にも発汗による痙攣を訴える選手が続出する厳しい展開となった。

徐々に迫り来る集団の気配を感じつつ、4名は山岳路を逃げ続ける。1級山岳パロマー峠では逃げるジョーンズが先頭通過して山岳賞を決定付けた。

ステージ上位3名の表彰ステージ上位3名の表彰 Tour Of California/Brian Hodes次なるコール・グレード峠ではメイン集団内に動きが発生。ネットアップ・エンデューラ勢が高速で集団を牽引したことでスプリンターやジルベール、イェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)らが次々と脱落し、集団の人数は50名ほどにまで減少。そのままの体制でゴールまでの距離を減らしていく。

リーダージャージに身を包んだリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)リーダージャージに身を包んだリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) Tour Of California/Brian Hodes途中シュレクやネットアップ・エンデューラ勢がアタックを繰り出したものの、集団の大勢に変化は見られない。キャノンデール・プロサイクリングらが牽く集団は残り5kmで逃げを吸収すると、ここからカウンターでヴェストラがアタック。勢い良く差をつけるヴェストラには5アワーエナジーのエースナンバーをつけるフランシスコ・マンセボ(スペイン)が合流した。

お見合い状態となる集団を尻目に大きなリードを奪ったヴェストラとマンセボ。多人数に有利な平坦コースだが、統率を欠いた集団は2人を追い切れない。10秒弱の差を維持したまま2人はスプリントを開始し、軍配は持ち前のスピードを活かしきったヴェストラに下った。6秒遅れで入った集団の頭はサガン、次いでジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が4位に。

「最後の山で脱落したけれど、努力して集団に復帰することができた」と語るのは、リーダージャージを獲得したヴェストラ。「集団内ではどのチームも統率が執れておらず、最終局面でのアタックが有効かなと思った。序盤の逃げが吸収されかけた時、すぐさまアタックを掛けたんだ。マンセボはとても強くて、(これなら大丈夫だろうと)最後まで構えることができた。それが勝因さ。勝つことができて素晴らしい気分さ。もし脱落しても、再び勝てるチャンスがあるということも証明できたね」と加えた。

翌13日は、大会2日目にしてカテゴリー1級の頂上ゴールが登場。総合上位を狙うオールラウンダーやクライマー達の激しい上り勝負が繰り広げられるだろう。


ツアー・オブ・カリフォルニア2013 第1ステージ結果
1位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) 4h31′33″
2位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、5アワーエナジー)  
3位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)  +6″
4位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ジャスパー・ストュイヴェン(ベルギー、ボントレガー)
6位 ジェイコブ・レイズ(アメリカ、ガーミン・シャープ)
7位 アレックス・キャンデラリオ(アメリカ、オプタムp/b)
8位 ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ジェレミー・ヴェンネル(オーストラリア、ビッセルプロサイクリング)
10位 タナー・プット(アメリカ、ボントレガー) 
DNF 別府史之(オリカ・グリーンエッジ)

個人総合成績
1位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) 4h31′23″
2位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、5アワーエナジー)     +4″
3位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)  +12″
4位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +13″
5位 ジャスパー・ストュイヴェン(ベルギー、ボントレガー) +14″
6位 ジェイコブ・レイズ(アメリカ、ガーミン・シャープ) +16″
7位 アレックス・キャンデラリオ(アメリカ、オプタムp/b)
8位 ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ジェレミー・ヴェンネル(オーストラリア、ビッセルプロサイクリング)
10位 タナー・プット(アメリカ、ボントレガー) 

ポイント賞
リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)

山岳賞
カーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)

新人賞
ジャスパー・ストュイヴェン(ベルギー、ボントレガー)

チーム総合成績
5アワーエナジー


text:So.Isobe
photo:Tour Of California/Jim Safford,Brian Hodes

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