山岳路のアップダウンコースを駆けるジロ・デル・トレンティーノ第3ステージで、初日に続く逃げ切りが決まる。イヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム)が逃げ集団内のスプリントを制し、自身久しぶりの勝利。総合は動かず、ブエがリーダージャージをキープしている。

スタート地点に現れた西薗良太(チャンピシステム・プロサイクリング)スタート地点に現れた西薗良太(チャンピシステム・プロサイクリング) photo:Riccardo.Scanferlaスタート前にリラックスする新城幸也(ユーロップカー)スタート前にリラックスする新城幸也(ユーロップカー) photo:Riccardo.Scanferla


逃げるファビオ・フェリーネ(イタリア、アンドローニ・ベネズエラ)とダリオ・カタルド(イタリア、スカイプロサイクリング)逃げるファビオ・フェリーネ(イタリア、アンドローニ・ベネズエラ)とダリオ・カタルド(イタリア、スカイプロサイクリング) photo:Giro del Trentino4日間に渡る山岳ステージレース、ジロ・デル・トレンティーノ(UCI2.HC)も佳境を迎える。4月18日に開催された第3ステージは、北イタリア・トレント州のベルジーネ・ヴァルスガーナからガルダ湖をかすめ、コンディーノへと至る全176.1kmの中級山岳ステージ。

逃げるイヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム)逃げるイヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム) photo:Riccardo.Scanferlaコースは絶えずカテゴリー3級程度の上りと下りが連続し、ゴール手前20km地点には登坂距離5km、平均勾配5.5%の3級山岳、ダオーネ峠が控える。この日ゴール地点では、初日1aステージに続くエスケープグループによる逃げ切り勝利という展開が待っていた。
チームメイトと共に走る新城幸也(ユーロップカー)チームメイトと共に走る新城幸也(ユーロップカー) photo:Riccardo.Scanferla
スタート後直ぐに逃げを決めたのは、ファビオ・フェリーネ(イタリア、アンドローニ・ベネズエラ)とダリオ・カタルド(イタリア、スカイプロサイクリング)。イタリアンコンビは見る間に集団との差を広げ、20km地点では3分50秒を稼ぎ出した。

逃げるパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)やイヴァン・サンタロミータ(イタリアBMCレーシングチーム)逃げるパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)やイヴァン・サンタロミータ(イタリアBMCレーシングチーム) photo:Riccardo.Scanferla次いで集団からパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)やホセカイエタノ・サルミエント(コロンビア、キャノンデール・プロサイクリング)、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)ステファノ・ロカテッリ(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)らが飛び出して2名を追走し、51km地点の2級山岳を前に合流。

強力な10名によって構成された先頭グループは、快調なペースで山岳をこなしていく。

有力選手を含む逃げグループを追いたいメイン集団だったが、落車の発生や、厳しい山岳コースで集団が分裂したことでペースが思うように上がらない。逃げにメンバーを送り込めなかったユーロップカーやチームネットアップ・エンデューラがメイン集団を牽引する形で距離を消化。集団内はサバイバルレースの様相を呈していった。

そして最後の3級山岳、ダオーネ峠では先頭グループが分裂し、ティラロンゴ、サンタロミータ、スカルポーニ、サルミエントの4名に。やがてサルミエントも遅れ、3名となった状態で頂上をクリア。サルミエント、ロカテッリ、ペレスという追走メンバーを振りきって平坦路をこなし、ゴールが用意されたコンディーノの街へと到達した。

そして迎えたイタリア人3名によるスプリント。先行ティラロンゴが先に仕掛けたものの、スリップに入ったサンタロミータが並びかける。わずかに反応の遅れたスカルポーニは勝負に絡めない。勢いを持続させたサンタロミータが、ティラロンゴから0.5車身先着。ガッツポーズを繰り出した。

3名のスプリントを制したイヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム)3名のスプリントを制したイヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム) photo:Riccardo.Scanferla

9分5秒遅れの56位でゴールした西薗良太(チャンピシステム・プロサイクリング)9分5秒遅れの56位でゴールした西薗良太(チャンピシステム・プロサイクリング) photo:Riccardo.Scanferlaメイン集団はおよそ40名ほどに絞られた状態で、エンリコ・バッタリン(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレCSFイノックス)を先頭にゴール。期待された総合争いはこの日行われず、総合順位にも大きな変動は見られなかった。

3年ぶりの勝利を上げたイヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム)3年ぶりの勝利を上げたイヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム) photo:Giro del Trentino優勝したサンタロミータは、ジャパンカップ出場で日本でもお馴染みの中堅選手。3年前のコッピ・バルタリ総合優勝に続く、嬉しいキャリア2回目の勝利だ。「今朝カデル(エヴァンス)とバルダート(監督)が、自分のレースをするようにと言ってくれた。逃げに入るよう努力したんだ。今日はキャリアの中で犠牲としてきたことに報いる日。前に勝ってからしばらく経っていた分、勝利の味は格別だよ」と語った。

なお序盤に発生した落車で、昨年度大会覇者ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)がリタイア。新城幸也(ユーロップカー)は6分21秒遅れの50位、西薗良太(チャンピシステム・プロサイクリング)は9分5秒遅れの56位でゴールしている。

翌最終日は、登坂距離約11.5kmを誇る超級山岳セガ・ディ・アーラの頂上ゴールへと上り詰める、最終にして最難関ステージが待ち受ける。ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)とヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)らの勝負に、そしてウィギンズに対して3分48秒のリードを持つブエがリーダージャージをキープできるかに注目が集まる。


ジロ・デル・トレンティーノ2013 第3ステージ結果
1位 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム)            4h26′25″
2位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) 
3位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 ステファノ・ロカテッリ(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)    +34″
5位 ホセカイエタノ・サルミエント(コロンビア、キャノンデール・プロサイクリング)
6位 アントニオ・ペレス(スペイン、カハルーラル)
7位 ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)   +1′12″
8位 エンリコ・バッタリン(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)    +1′23″
9位 エマヌエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニ・ベネズエラ)
10位 ミゲルアンヘル・ルビアーノチャベス(コロンビア、アンドローニ・ベネズエラ)
50位 新城幸也(ユーロップカー)                            +6′21″
56位 西薗良太(チャンピシステム・プロサイクリング)                 +9′05″

個人総合成績
1位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)                    13h23′36″
2位 カンスタンティン・シフトソフ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)           +3′19″
3位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)                +3′48″
4位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)                    +3′57″
5位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)               +4′06″
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)                       +4′19″
7位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)                 +4′20″
8位 ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)     +4′27″
9位 ピエール・ローラン(フランス、ユーロップカー)                      +4′49″
10位 プリミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)                +4′52″

山岳賞
ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)

新人賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)

チーム総合成績
アスタナ


text:So.Isobe
photo:Riccardo.Scanferla,Giro del Trentino