ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)が3月18日、スペイン・カタルーニャ地方で開幕した。グランツールさながらの豪華なオールラウンダーが集う1週間のステージレースで、ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が好スタートを切った。

第93回ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャがカレーリャで開幕第93回ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャがカレーリャで開幕 photo:www.voltacatalunya.cat1911年に第1回大会が開催されたボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(カタルーニャ一周)は、世界でも有数の長い歴史を持つ1週間のステージレース。その歴史は、ブエルタ・ア・エスパーニャ(1935年〜)よりも古く、ツール・ド・フランス(1903年〜)とジロ・デ・イタリア(1909年〜)に次ぐ伝統を誇る。カテゴリーはもちろんUCIワールドツアーだ。

13名でのゴールスプリントで勝利したジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)13名でのゴールスプリントで勝利したジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:www.voltacatalunya.cat2009年までジロ・デ・イタリアと同時期の5月下旬〜6月上旬に開催され、ツール・ド・フランスへの準備レースとして重宝されてきたが、ツアー・オブ・カリフォルニアが5月に開催時期を移した影響で、2010年、カタルーニャが3月開催に変更されている。

ステージ勝利を飾ったジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)ステージ勝利を飾ったジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:www.voltacatalunya.cat今年もブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)やホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)といった一級オールラウンダーが揃う。昨年は別府史之と土井雪広の2人が出場したが、今年は日本人選手の出場は無し。

独自の文化を持ち、またそれを主張するカタルーニャ地方は、バスク地方同様、スペインからの独立を訴える自治州の一つ。州都はスペイン第二の都市バルセロナ。2012年と同様に、2013年大会はバルセロナの北に位置するカレーリャで開幕した。

地中海に面したリゾート地をスタートし、標高675mの1級山岳を含む内陸の山岳地帯を経てカレーリャにゴールする。

カレーリャを発ってすぐ、メイン集団から飛び出したのは2010年のツアー・オブ・ジャパン総合優勝者クリスティアーノ・サレルノ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)。すぐさまサレルノにはクリスティアン・メイヤー(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)が追いついた。

サレルノが山岳賞を、メイヤーがスプリント賞のポイントを量産しながら、120kmにわたって逃げる。しかしオメガファーマ・クイックステップをはじめとするチームの追撃によってタイム差は縮小。ゴールの18km手前に置かれた3級山岳の登りで2人は遂に吸収された。

3%の勾配が9kmにわたって続くこの3級山岳でスカイプロサイクリングがメイン集団のペースアップを試みる。シーズン序盤から好調のダビ・ロペスガルシア(スペイン)やリゴベルト・ウラン(コロンビア)、そして新加入ダリオ・カタルド(イタリア)がウィギンズのためにハイペースを刻むと、メイン集団は13名に絞られた。

スカイのペースアップは3級山岳通過後も止まらず、後続を寄せ付けないままゴールへ。13名のゴールスプリントで、早めに仕掛けたメールスマンが抜群の加速力を披露した。

「目標の一つだったカタルーニャで勝利したことに、大きな自信を得たよ。最後の下りがテクニカルだと知っていたので、出来るだけ前で走り続けた。最後はゴールまで数百メートルを残してスプリントを開始。何も考えず、誰が周りで走っているかも考えず、全開で踏み続けたんだ」。

現在27歳のメールスマンは、2007年にディスカバリーチャンネルでプロデビュー。以降フランセーズデジューとロット・ベリソルを経て、今シーズンからオメガファーマ・クイックステップで走っている。昨年パリ〜ニースの第4ステージ以来、1年ぶりの勝利を飾ったメールスマンは「これがキャリア8勝目。今年はワールドツアーを中心にシーズンを通して勝ち続けたいと思う。プロトンの中で存在感を示したいと思う」とコメントしている。

ウィギンズやロドリゲス、バルベルデらは先頭集団でゴール。レースは翌日から内陸の山岳地帯へと入っていく。

選手コメントはオメガファーマ・クイックステップ公式サイトより。

ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2013第1ステージ結果
1位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)  3h55'56"
2位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)
5位 ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム)
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)
7位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)
8位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
9位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング)

個人総合成績
1位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)  3h55'46"
2位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)                +04"
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)              +06"
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)          +10"
5位 ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム)
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)
7位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)
8位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
9位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、スカイプロサイクリング)

山岳賞
クリスティアーノ・サレルノ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)

スプリント賞
クリスティアン・メイヤー(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)

チーム総合成績
スカイプロサイクリング

text:Kei Tsuji
photo:www.voltacatalunya.cat

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