7月4日から26日まで、盛夏のフランスを舞台に3週間に渡って開催される第96回ツール・ド・フランス。アルプスの難関山岳やアヌシーの個人TT、超級モンヴァントゥーの頂上ゴールなど、見どころたっぷりの後半ステージ(12〜21ステージ)を紹介します!

7月16日(木)第12ステージ トネール〜ヴィッテル 211.5km

第12ステージ・コースプロフィール第12ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.今大会2番目に長い211.5kmの第12ステージ。登場する山岳ポイントの数は6つ。山岳の数だけ見れば今大会最多タイだが、ほとんどがカテゴリー4級で、最後の難所とされる3級山岳もゴールの40km以上手前だ。序盤から飛び出す選手と、追い上げるスプリンターチームのハイスピードな闘いが見物。逃げ吸収後は、スプリンターチームが集団を率いてゴールまで猛進する。ラスト1kmは上り基調だが、ピュアスプリンターにとって全く問題にならないレベルだ。ゴール地点のヴィッテルは日本でもお馴染みのミネラルウォーターブランドのお膝元。ヴィッテル社は大会スポンサーでもある。


7月17日(金)第13ステージ ヴィッテル〜コルマール 200km

第13ステージ・コースプロフィール第13ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.アルプス突入を前に、ツールはボージュ山脈に立ち寄る。「中級山岳ステージ」に分類された第13ステージはアルプスほどの破壊力は無いが、充分に注意が必要だ。登場する5つの山岳ポイントはいずれも標高1000m前後だが、後半にかけて難易度を増していく。登坂距離8.7km・平均勾配7.6%の1級山岳プラツェルヴァゼル(138.5km地点)がこの日一番の難所で、終盤には2級山岳フィルストプラン峠が登場。平均勾配5.4%のこのフィルストプランを越えると、ゴールまで21kmに渡る下りと平坦路が続く。入り組んだコースが集団のペースを弱めるため、逃げ切りを決める絶好のチャンスだ。


7月18日(土)第14ステージ コルマール〜ブザンソン 199km

第14ステージ・コースプロフィール第14ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.決戦の舞台、アルプスに突入する前の最後の平坦ステージ。翌日から本格的な山岳が始まるため、スプリンターがここでチャンスを逃せば、最終日パリまで出番が回ってこない(第19ステージは残り18km地点で2級山岳が登場するためスプリンター不利)。ちょうどコースの中間地点に2つの3級山岳が設定されているだけで、残りは平坦基調だ。ゴール地点ブザンソンは、スイス国境に近いフランシュ・コンテ地域圏の中心都市。ツール第3回大会(1905年)に初登場したこの街が大会を迎えるのは18回目で、2004年には同地で開催された個人TTでアームストロング(アメリカ)が優勝している。


7月19日(日)第15ステージ ポンタルリエ〜ヴェルビエ 207.5km

第15ステージ・コースプロフィール第15ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.ついにツールはアルプスに達す。第96回ツールには計3つの頂上ゴールが設定されており、2つ目の頂上ゴールがアルプス初日の第15ステージで姿を現す。レースは序盤から隣国スイスに入国し、4つの3級山岳と2級山岳モス峠を経て決戦地に向かう。ツールがスイスに入国するのは2000年以来。最後は標高1468mに位置するスイスアルプス有数のスキーリゾート、1級山岳ヴェルビエを駆け上がってゴールだ。ツール・ド・スイスでお馴染みのこの山岳は、登坂距離8.8kmで平均勾配7.5%。他の超級頂上ゴールと比べると難易度は低いが、この日を境にマイヨジョーヌ争いは加熱していくだろう。


7月20日(月)休息日


7月21日(火)第16ステージ マルティニィ〜ブール・サン・モーリス 160km

第16ステージ・コースプロフィール第16ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.2回目の休息日明けの第16ステージは、今大会の最高地点、超級山岳グラン・サン・ベルナール峠を越える。標高2473mのこの峠は歴代4番目の高さで、ツールに登場するのは43年ぶり(ちなみに歴代最高地点は、昨年ツールで登場した標高2802mのボネット峠)。この登坂距離30kmオーバーの超級山岳を越えると、ツールは6カ国目のイタリアに入国。アオスタ渓谷を抜け、今後は1級山岳プティ・サン・ベルナール峠に挑む。この標高2188mの難関峠を越えると、31kmのダウンヒルを経てゴール。スイス〜イタリア〜フランスの絶景アルプスを駆け抜けるこの難関山岳コースは破壊力抜群だ。


7月22日(水)第17ステージ ブール・サン・モーリス〜ル・グラン・ボルナン 169.5km

第17ステージ・コースプロフィール第17ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.アルプス最後の山岳ステージは、カテゴリー1級と2級の山岳が断続的に計5つ登場する。頂上ゴールではないが、登場する山岳の厳しさは今大会最強。山岳ポイントを量産できるステージだけに、マイヨアポワ狙いの選手は序盤から積極的に動くだろう。レース開始直後からロズラン峠の上りが始まり、セジエー峠、アラシュ峠、ロム峠(ツール初登場)、コロンビエール峠(19回目の登場)が休むまもなく現れる。ラスト40kmに凝縮されたロム峠とコロンビエール峠はいずれも平均勾配が8%後半で、2つ合わせた難易度は超級山岳のそれを軽く上回る。1日の獲得標高差は4000mオーバーだ。


7月23日(木)第18ステージ アヌシー 40.5km 個人タイムトライアル

第18ステージ・コースプロフィール第18ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.アルプスを闘い終えた総合狙いの選手たちが、50年ぶりにツールに登場するアヌシーで奮起する。今大会最後の個人タイムトライアル(個人TT)のコースは、美しい山々に囲まれ、世界屈指の透明度を誇るアヌシー湖の周回。距離は40.5kmで、ツールの最終個人TTとしては1989年にグレッグ・レモン(アメリカ)が最終日パリで逆転優勝した24.5kmに次ぐ短さ。個人TTの合計距離は初日のモナコと合わせても55kmと短めだ。湖に沿うコースは概ね平坦だが、後半にはカテゴリー3級の上りが登場する。重要なタイム差が生じると思われるが、マイヨジョーヌ争いはまだここでは決着しない。


7月24日(金)第19ステージ ブルゴワン・ジャリュ〜オブナ 178km

第19ステージ・コースプロフィール第19ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.前日に最終個人TT、翌日に難関モンヴァントゥーの頂上ゴールを控えた第19ステージは、主催者のカテゴリーでは「平坦ステージ」に分類されている。しかし実際にはゴール16km地点に2級山岳レスクリネ峠が設定されているため、スプリンター向きの平坦コースとは言い難い。逃げを吸収すべきスプリンターチームの力が弱まっていることと、重要ステージを見据えたオールラウンダーが体力温存に励むことが影響して、終盤のステージでは逃げが決まり易い。序盤から多数の選手が攻撃を仕掛けると思われ、2級山岳で生き残った逃げグループによるステージ優勝争いに持ち込まれるだろう。

7月25日(土)第20ステージ モンテリマール〜モンヴァントゥー 167km

第20ステージ・コースプロフィール第20ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.第96回ツールの最大の目玉ステージがついに登場。大会前から話題を集めていた超級山岳モンヴァントゥーの頂上ゴールが、最終日前日に姿を現す。標高1912mのこの禿げ山は、月面を思わせるような荒涼としたその特異な風貌から「死の山」と呼ばれ、登坂距離21.1kmで平均勾配は7.6%。木々に覆われた上りの中腹は急勾配で、頂上が近づくと若干勾配は緩まるものの木々が姿を消し、下界からの強烈な風が選手たちに吹き付ける。シャンゼリゼの24時間前にこの「死の山」で総合優勝者が決まる。また、一般サイクリストが参加するエタップ・デュ・ツールは7月20日に同コースで開催される。


7月26日(日)第21ステージ モントロー・フォー・ヨンヌ〜パリ・シャンゼリゼ 164km

第21ステージ・コースプロフィール第21ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.3週間に渡る3500kmの旅路は、花の街パリに終着する。ツールがパリにゴールする伝統は、1903年の第1回大会から変わっていない(シャンゼリゼゴールは1975年から)。コースは上り皆無の平坦な164km。実質的な総合優勝者を抱えるチームを先頭に、3週間を闘い抜いた選手たちがパリに凱旋する。最後は凱旋門が見下ろすシャンゼリゼ通り、コンコルド広場、テュイルリー庭園を通る特設コースを周回。山岳で生き残ったスプリンターたちが凱旋門に向かってスプリントバトルを繰り広げ、3週間の闘いに幕が降ろされる。表彰式の後、シャンゼリゼ通りをパレード走行するのが通例だ。

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