最終日を迎えたツアー・オブ・オマーン(UCI2.HC)。アップダウンコースで80名弱に絞られた集団によるスプリントで、フランスチャンピオンのナセル・ブアニ(フランス、FDJ)が勝利した。日本勢最高位は、盛一大(日本ナショナルチーム)の16位。

逃げるアンドレア・ディコラード(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)ら逃げるアンドレア・ディコラード(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)ら photo:A.S.O.オマーン最終日、第6ステージは南方のシンクホールパークを発ち、標高251mのKOMを越え、首都マスカットに向けて北上する144kmの行程。最後はアップダウンを含む7kmの周回コースを3周する。

オマーン内陸の山岳地帯を北上オマーン内陸の山岳地帯を北上 photo:A.S.O.第5ステージを終えた時点で、27秒のリードを得たクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)の総合首位は固い。レースの主導権はスプリンターチームが握った。

チームメイトに守られて走るクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)チームメイトに守られて走るクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O.この日、逃げを試みたのはガティス・スムクリス(ラトビア、カチューシャ)、アンドレア・ディコラード(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)、ウェズリー・クレダー(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)の3名。

マスカットの周回コースを走るプロトンマスカットの周回コースを走るプロトン photo:A.S.O.先頭3名のリードは6分40秒まで広がったが、スカイプロサイクリングに加えてアルゴス・シマノやネットアップ・エンドゥーラが牽引するメイン集団が追撃。3名はゴールまで17kmを残して吸収される。

ゴールスプリントを制したナセル・ブアニ(フランス、FDJ)ゴールスプリントを制したナセル・ブアニ(フランス、FDJ) photo:A.S.O.一つにまとまったメイン集団は、徐々に人数を減らしながら周回コースを行く。最終周回の登りでセレクションがかけられ、80名ほどに絞られた状態でラスト1kmに突入する。

オリカ・グリーンエッジやヴァカンソレイユ・DCM、オメガファーマ・クイックステップが積極的にトレインを組んだが、混戦状態のままゴールへ。テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)の後ろから飛び出したブアニが、マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)を抜きさってゴールした。

フランスチャンピオンの証であるトリコロール(赤白青)ジャージが目立つブアニは、ボクシングの経験をもつ22歳の新鋭スプリンター。「フィニッシュラインを駆け抜けるとき、解放感から叫んでしまった。カタールが始まった時からずっと待ち望んでいた勝利がやってきたんだ。ラスト300mまでライバルの後ろに潜んで、そこから一気に仕掛けた」と語る。

「自分にとって初UCIワールドツアーレースとなるパリ〜ニースやミラノ〜サンレモに向けて、大きな自信になる。パリ〜ニースでもステージ優勝したい」。がっしりとした体つきが特徴だが、登りのステージでも上位に絡んでみせる。新人賞に輝いた新鋭クライマーのケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)とともに、フランスの次世代を担うライダーだ。

そして、総合優勝はフルームの手に。自身初めてステージレース総合優勝に輝いた27歳のフルームは「信じられないほど大成功の1週間だった。ブラドレー・ウィギンズのような選手にサポートされることで、タフな局面も難なく乗り切ることが出来たよ。このオマーンは、まだまだシーズン序盤で、あくまでも準備レースとしての位置づけ。でも、ツール・ド・フランスに100%のコンディションで挑むためのトレーニングの成果を確認出来た」とコメントする。当初の予定通りフルームはスカイプロサイクリングのエースとしてツールに出場する。

この日、盛一大と西谷泰治(日本ナショナルチーム)の2人が先頭集団でゴール。西谷は総合32位でレースを終えた。

選手コメントは各チーム公式サイトより。

ステージ優勝を飾ったナセル・ブアニ(フランス、FDJ)ステージ優勝を飾ったナセル・ブアニ(フランス、FDJ) photo:A.S.O.総合表彰台 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が優勝総合表彰台 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が優勝 photo:A.S.O.



ツアー・オブ・オマーン2013第6ステージ結果
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)                      3h24'20"
2位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
5位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)
6位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
7位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 ヤルク・ブラツ(スロベニア、ネットアップ・エンドゥーラ)
10位 マルコ・コレダン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)

16位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム)
32位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)
84位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム)                     +52"    
90位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)                    +58"
97位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)
98位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)
112位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム)                  +2'10"
133位 木下智裕(日本、日本ナショナルチーム)                  +5'29"
134位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム)                  +6'43"  

個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)           23h28'33"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)            +27"
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)           +39"
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)                 +50"
5位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)         +1'13"
6位 ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)
7位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)               +1'19"
8位 ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)                    +1'34"
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)        +1'44"
10位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)              +1'57"

32位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)                   +6'20"
36位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)                   +8'53"
59位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)                  +17'01"
71位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム)                    +21'12"    
72位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)                   +21'28"
117位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム)                   +33'28"
130位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム)                  +37'31"
136位 木下智裕(日本、日本ナショナルチーム)                  +46'39"
137位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム)                  +55'00"  

ポイント賞
クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)

新人賞
ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)

総合敢闘賞
ボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)

チーム総合成績
BMCレーシングチーム


text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.