トレックロードバイクの主力であるマドン(Madone)シリーズの中で、一般ユーザーにとっての主力製品であるのが、マドン5/4/3シリーズだ。2013年モデルでは5シリーズ、そして昨年までのフラッグシップ、6シリーズがトップモデルと同様のテクノロジーを搭載して生まれ変わった。昨年OCLV化を果たして戦闘力を上げた3/4シリーズは今年も継続。ここではモデルチェンジが行われたミドルラインナップに着目してお伝えする。

マドン7シリーズ同様のエアロフォルムはを取り入れ、生まれ変わったマドン6/5シリーズマドン7シリーズ同様のエアロフォルムはを取り入れ、生まれ変わったマドン6/5シリーズ

エアロを纏い生まれ変わった栄光のレーシングバイクMadone6



マドンの6シリーズと言えば、ツール・ド・フランスを始めとするビッグレースで幾多の優勝に輝いた、非常に実績のあるバイクと知られている。2013年ラインナップからは、トップモデルの座こそ新型のマドン7(デビュー時の特集ページはこちら)に譲ったものの、そのマドン7のテクノロジーを受け継いだことでフルモデルチェンジを図り生まれ変わった。

フラッグシップ同様のエアロ化を果たし、生まれ変わったマドン6シリーズフラッグシップ同様のエアロ化を果たし、生まれ変わったマドン6シリーズ

その最たるものは、やはりマドン7で大きく取り上げられた「エアロ化」だ。シマノと共同開発をしたフレーム一体型のブレーキシステム取り入れたことにより、リアブレーキはBB下へと移動。空力的に大きなアドバンテージを得ると同時に、リアブレーキアーチを必要としないことで重量を大幅にそぎ落とすことを可能としている。

フレームの各チューブはスピードコンセプトと同様のカムテール理論に基づいたKVF形状(翼断面形状の後方を切り落としたフォルム)とすることで、エアロと同時に軽量化と剛性の強化をも成し得ているのだ。

2013年トレックハイエンドロードの特徴である、スッキリとしたリア三角2013年トレックハイエンドロードの特徴である、スッキリとしたリア三角 カムテール理論を導入したKVF形状のエアロチューブカムテール理論を導入したKVF形状のエアロチューブ フォークと一体化されたインテグレーテッドブレーキフォークと一体化されたインテグレーテッドブレーキ


昨年までのトップモデルの後継車種だけに、フレームジオメトリーはヘッドチューブの短い「H1」、「H2」両方がラインナップされ、もちろん好みの塗装やパーツアッセンブルを可能とする「プロジェクトワン」にも対応をする。

マドン6に採用されるカーボン素材は、昨年までSSLグレードに採用されていたOCLV700カーボンから(SSL以下はOCLV600)、OCLV600カーボンにグレードを一つ引き下げた。しかし長年トップモデルに採用されていたOCLV600カーボンの戦闘力は言わずと知れたところだろう。生産はもちろんアメリカ本社のみだ。

言うなれば、マドン7シリーズとの違いはカーボン素材のみで、BB周りの剛性を高めるBB90も、快適な乗り心地に貢献するライドチューンドシートマストも、スピード/ケイデンスセンサーをチェーンステーに内蔵可能なデュオトラップセンサーも、すべて受け継がれている。

オーバル断面のフォークコラムやe2ヘッドチューブなど、7シリーズのテクノロジーが生きるオーバル断面のフォークコラムやe2ヘッドチューブなど、7シリーズのテクノロジーが生きる ハンガーシェルいっぱいまで広げられたBBまわりハンガーシェルいっぱいまで広げられたBBまわり


これでいてプライスはフレームセットで390,000円と、昨年に比べて大幅なプライスダウンが施され、手の届きやすい価格に見直された。一般ユーザーにとっては嬉しいポイントの一つと言えるだろう。

6シリーズのバイクに関しては7シリーズ同様、トレックのカスタムオーダープログラムである「Project One」にて購入可能となっている。カラ—、ドライブトレイン、コンポーネント、また細かいサイズまで選択出来るのがプロジェクトワンの魅力だ。6リーズは完成車ベース価格が¥472,000〜となっている。


上位モデル同様の進化を遂げつつ、フレンドリーなプライスを実現したMadone5シリーズ


そして6シリーズと同様に、従来のセカンドトップモデルであったマドン5シリーズもエアロを取り入れて大幅なモデルチェンジが施された。KVF形状のエアロチューブやBB下に配置されたリアブレーキなど、そのルックスは上位モデルであるマドン7/6シリーズと変わらない印象を与える。

エアロフォルムを導入したバリューモデル、マドン5シリーズエアロフォルムを導入したバリューモデル、マドン5シリーズ

カーボン素材はOCLV500。5シリーズ以下はアジア生産とはなるものの、他ブランドのハイエンドモデルが台湾や中国生産となっている現在では、そこに発生するデメリットはほとんど無いといって良いだろう。また生産拠点をアジアとすることはコストの削減に繋がる重要なファクター。数年前までトップモデルに採用されていたOCLV500カーボンを採用したバイクが、フレームセットで250,000円(税別)というプライスを実現していることは大きく賞賛されるべきだろう。

上位モデルと比較した際の違いとして、ヘッドチューブは標準的な長さのH2フィットのみ用意。プロジェクトワンにも対応しておらず、カーボン素材以外ではこのあたりで6シリーズ以上との差別化が図られている。

革新的なエアロフォルムは5シリーズにも投入された革新的なエアロフォルムは5シリーズにも投入された アジア生産のOCLV500カーボン 性能とコストパフォーマンスを両立アジア生産のOCLV500カーボン 性能とコストパフォーマンスを両立


完成車としてはアルテグラDi2をセットした5.9と、機械式アルテグラの5.2の2車種がラインナップされる。プロジェクトワンが選べないためにカラーバリエーションこそ多くないものの、上級モデルとなる5.9はレディオシャック・ニッサンのチームカラー(チームロゴは無し)とされ、「所有する満足感」も満たしてくれる。5.9、5.2はどちらもボントレガーのRaceホイールをアッセンブルし、カセットを105グレードとすることで効果的なプライスダウンを行なっている。


Madoneシリーズに初登場したアルミモデル"2"



これまで「マドン」の名の付かない「2シリーズ」として販売されてきた入門用アルミロードは、2013年モデルより大きな変貌を遂げ「マドン2シリーズ」として生まれ変わった。

マドンシリーズ初のアルミモデル「2」マドンシリーズ初のアルミモデル「2」

今までマドンと言えば、トレックのカーボンロードバイクを指すものだった。しかし2013年モデルから追加されたマドン2シリーズは、従来のアルミバイク「2シリーズ」を進化させ、マドンの名称を奢ったアルミバイクだ。「マドン」たる所以は、完成車価格10万円台をマークするシリーズの末弟ながら、上級モデルと同様の構造を数多く搭載していところに拠るものだ。

上級モデルにも採用されるe2ヘッドチューブ上級モデルにも採用されるe2ヘッドチューブ トップモデル同様のKVF形状のエアロチューブを採用トップモデル同様のKVF形状のエアロチューブを採用


まず特徴的なのは、アルミ素材ながら7/6/5シリーズと同様のKVF断面のエアロチューブを採用していることだ。他ブランドでもエアロ形状のアルミバイクは存在するが、最新のカムテール理論に基づいたチューブを採用することで、エアロ効果はもちろんのこと重量面でも大きなアドバンテージを得ることができる。

エントリーモデルながら、ペイントの質も非常に高いエントリーモデルながら、ペイントの質も非常に高い そしてビギナーでも安心できるハンドリングを手にするため、ヘッドは上1-1/8"下側1.5インチの「E2ヘッドチューブ」を採用。これは3グレード上の5シリーズにも採用されているテクノロジーだ。さらにフロントフォーク内に搭載されたスピードトラップや、ボトムブラケットをマドン3シリーズと同じBB86.5とすることで、ただ単なるエントリーモデルには無い付加価値が与えられている。

それでいて販売価格は、シマノ・105をメインにボントレガーRaceホイールで組まれたマドン2.3が169,000円(税別)、エントリーレベルのホイールを搭載しコストダウンを図ったマドン2.1で149,000円(税別)という、これからロードバイクを始めたいユーザーにとっても購入しやすい価格とされた。

上級モデルのテクノロジーが多く搭載されたマドン2シリーズは、単なるビギナー用ロードの枠を飛び越えたハイスペックエントリーロードだ。上級モデルへのあこがれを抱くエントリーユーザーにとってベストなチョイスと言ってよいだろう。
提供:トレック・ジャパン レポート:シクロワイアード編集部