「FAST IS EVERYTHING」。つまり「速く走ることが全て」。OCLVの粋を集め、軽量・空力・剛性・快適性のベストバランスを突き詰めた新型Madoneがツール・ド・フランス開幕直前のタイミングで発表された。Madone史上初めて7シリーズに進化したフラッグシップモデルの概要を速報でお伝えする。

ツール開幕に合わせてデビューする新型Madone

2003年に産声をあげ、進化を続けているMadoneシリーズ。その10年目の節目にあたる2013年モデルとして、一新されたシリーズがデビューする。

プレゼンテーションが行なわれたのは、ベルギー東部、ツール開幕地リエージュに近い丘陵地帯にある博物館。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュのコース脇(今年アンディ・シュレクが軽くアタックした場所)にある歴史的な建物の一角で、世界から集まった報道陣に7シリーズが披露された。

トレック社のジョン・バーク社長が新型Madoneの登場を告げるトレック社のジョン・バーク社長が新型Madoneの登場を告げる photo:Kei Tsuji
プレゼンテーションに姿を現したファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)プレゼンテーションに姿を現したファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) photo:Kei Tsujiプレゼンテーションに出席したフランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)らプレゼンテーションに出席したフランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)ら photo:Kei Tsuji

ツール出場を控えたレディオシャック・ニッサンのフランク・シュレク(ルクセンブルク)、クリストファー・ホーナー(アメリカ)、アンドレアス・クレーデン(ドイツ)、イェンス・フォイクト(ドイツ)もプレゼンテーションにサプライズで出席し、トレック社のジョン・バーク社長の進行でバイクの全貌が明らかにされて行った。

新たなMadoneシリーズを開発するにあたって、開発陣が至上命題に掲げたのが「FAST IS EVERYTHING」。つまり、バイクをゼロから設計し直し、「速く走ること」をひたすら追求した。そこで重要となるのが「軽量」「空力」「剛性」「快適性」の4つのポイント。

トレックはこの4点を高次元で達成するため、数々の先進技術を投入した。トレックが目指したのは、重いエアロバイクや、エアロダイナミクス性能に乏しい軽量バイク、快適性に乏しい高剛性バイクではない。トレックは何一つ妥協すること無く、新型Madoneを開発し、それを製品として完成させた。

歴代のMadoneの数々が並ぶ歴代のMadoneの数々が並ぶ photo:Kei Tsuji歴史博物館に整然と並ぶ新型Madone歴史博物館に整然と並ぶ新型Madone photo:Kei Tsuji

フレーム重量わずか750g システム全体で最軽量を誇る軽量性

トレックのお家芸であるOCLVカーボンは700へと進化。アメリカ国内でしか生産が許可されていない(軍事や宇宙開発にも転用されている)HEXCEL社製のカーボンを含め、15種類のカーボンを使用し、素材の面から一新した。

ドロップアウトからフロントディレイラーのマウント、ボトルマウントの受け口まですべてチューブと一体成形。塗料の重量が僅か5gというU5 Vapar coat(ベイパーコート)技術を採用したフレームは重さ750g。これはもちろんMadone史上、そしてトレック史上最軽量の数値である。

フレーム単体の軽量性では他社のバイクに譲るが、フュースラージ(シートマスト、BBベアリング、フォークを含めたフレームシステム全体重量)の点では世界最軽量となっている。

U5 Vapar coat(ベイパーコート)を採用したフレームは重量わずか750gU5 Vapar coat(ベイパーコート)を採用したフレームは重量わずか750g photo:Kei Tsujiオーソドックスなパーツ構成でも完成車重量は5.8kgオーソドックスなパーツ構成でも完成車重量は5.8kg photo:Kei Tsuji

KVF形状を多用し、25Wのパワー削減に成功したエアロダイナミクス性能

フレームを見た時に、真っ先に目がいくのが美しいシートステーだ。これはリアブレーキをBB下部に移動させたことによるもの。シマノ社と共同開発した新しいマウント規格を採用し、前後ともにインテグレーテッド・ブレーキを搭載する。ボントレガー製のブレーキアーチがフレームにフィットし、当然エアロダイナミクス性能に優れる。

インテグレートブレーキは軽量化にも繋がっている。リアのブレーキブリッジを省略し、元来剛性のあるBB付近にストッピングパワーを委ねることで、シートステーの重量を大幅にダウンさせた。

BB下部に配置されたバッテリーと新規格のインテグレーテッド・ブレーキBB下部に配置されたバッテリーと新規格のインテグレーテッド・ブレーキ photo:Kei TsujiKVF(カムテイル・バーチャル・フォイル)を採用した力強いダウンチューブKVF(カムテイル・バーチャル・フォイル)を採用した力強いダウンチューブ photo:Kei Tsuji
ブレーキブリッジを省いた美しいシートステーが目を引くブレーキブリッジを省いた美しいシートステーが目を引く photo:Kei Tsuji

さらにTTバイクのスピードコンセプトに先立って採用されたKVF(カムテイル・バーチャル・フォイル)チューブをフレーム各所に採用。フォークからダウンチューブ、シートステー、シートチューブに至るまで、翼断面の後方をスパっと切り落としたような独特の形状をもつ。これにより軽量性を高めるとともに、仮想テール効果で高いエアロダイナミクス性能を実現させた。

風洞実験により、仰角10度(斜め前)から風を受けながら40km/hで走るという現実的なシチュエーションの中で、25Wのパワーをセーブすることができることが実証された。これはつまり、今まで1時間かかっていたルートを、同じパワーで57分56秒で走りきることを示している。

更に高められた剛性こそレーシングバイクたる由縁

フレーム剛性は、従来モデル比で更にアップ。現在マーケットには様々なBB規格が出回っているが、最高レベルの剛性を実験で証明したというBB90を引き続き採用。マーケットの中で最もワイドなBBが鋭い加速を可能にする。

ヘッドチューブは定評のある「E2」で、上がオーバーサイズ1 1/8、下が1 1/2のテーパード形状。BBもヘッドチューブも、後処理を必要としないネットモールディングで成形され、余計なパーツを排除することで軽量化も同時に達成している。即ち、Modoneは正真正銘フルカーボンバイクであり、ここにOCLV700を採用したことで鬼に金棒と言ったところ。

E2ヘッドチューブと、リリースの付いたリアブレーキケーブルE2ヘッドチューブと、リリースの付いたリアブレーキケーブル photo:Kei Tsuji最高レベルの剛性を誇るBB90を採用最高レベルの剛性を誇るBB90を採用 photo:Kei Tsuji

「Madoneらしさ」を残したライドクオリティーと快適性

チェーン落ちを防ぐ3Sチェーンキーパーチェーン落ちを防ぐ3Sチェーンキーパー photo:Kei Tsujiゼロからフレームを設計しながらも、ライドクオリティーはMadoneらしさを残した。フレームのストラクチャーはDomaneと同様、ダウンチューブとチェーンステーがパワー伝導を担い、トップチューブとシートステーがステアリング性を高める。

軽量性と柔軟性に優れたシートマストや、前後から潰しが入った横扁平形状のE2アシンメトリック(非対称)フォークコラムなどの採用により、横剛性を高めるとともに縦方向の柔軟性をアップ。驚くことに、高剛性を謳う他社フレームと同等の剛性をもちながら、その中でもMadoneはずば抜けて高い縦方向の柔軟性をもつ。

Domaneから採用されている3Sチェーンキーパーにより、ほぼ100%チェーン落ちを防ぎ、ストレスをより一層軽減する。インテグレート・ケーブルルーティングや、デジタルスピード/ケイデンスセンサーをチェーンステーに埋め込んだデュオトラップを採用するなど、とにかく抜け目が無い。

Trek Madone 7 シリーズ

Madone 7シリーズMadone 7シリーズ photo:Kei Tsuji

SPEC (Madone 7.9)

カラーTrek Black/Trek Charcoal
フレーム700 Series OCLV Carbon, made in the USA, KVF (Kammtail Virtual Foil) tube shape, E2, BB90, internal cable routing, DuoTrap compatible, Ride Tuned seatmast
フォークMadone KVF full carbon, E2, carbon dropouts
サイズ50, 52, 54, 56, 58, 60, 62, 64cm
フレームフィットH2
ホイールBontrager Aeolus 3 D3
タイヤBontrager R4, 700x23c
コンポーネントShimano Dura-Ace Di2, 11 speed
サドルBontrager Affinity Race X Lite, carbon rails
シートポストBontrager Ride Tuned Carbon seatmast cap, 20mm offset
ハンドルバーBontrager Race XXX Lite Aero, OCLV carbon, VR-CF, 31.8mm
ステムBontrager Race XXX Lite, 31.8mm, 7 degree
ヘッドセットCane Creek AER upper, cartridge bearing lower, sealed, 1-1/8" top, 1.5" bottom
グリップBontrager Gel Cork tape


6月30日開幕のツール・ド・フランスでは、レディオシャック・ニッサンのメンバーが新型Madoneを駆る。シクロワイアードでは、Madoneの続報として、テクノロジーの詳細や開発者インタビュー、そしてインプレッションをお伝えして行く。

提供:トレックジャパン 編集:シクロワイアード / Kei Tsuji