前回までの基本的な取り付けなどを経て、Edge800Jを使えるところまできた。今回は、いよいよ外へ出かけてみる。まずは端末をオンにして気ままに走ってみた。

出てくるデータに楽しさを覚える

簡易的なサイコンには付いていないカロリー、心拍、ケイデンスなどが数値化され、一覧出来る。心拍が上がりすぎると警告も出る簡易的なサイコンには付いていないカロリー、心拍、ケイデンスなどが数値化され、一覧出来る。心拍が上がりすぎると警告も出る 今回はまず、勝手知ったる自宅周辺を散歩程度に走りながら、Edge800Jの基本画面表示やナビの挙動を見てみた。

まず、基本画面は自分の場合、タイム・距離・スピード・時刻・カロリー・高度・心拍・目的地距離・ケイデンスという項目に情報画面を分けているが、刻一刻と変わっていくそれぞれの数値を眺めているだけでも面白い。

自分のポテンシャルがいわばリアルタイムで数値化されるわけで、慣れないうちはついつい画面に見入ってしまう。あまり気をとられると危ないので気をつけよう。

とくに今回、Edge800Jで数値化されるもののなかで際立った表示だと思ったのは、「カロリー」、「心拍」、「ケイデンス」の3つだ。どれも距離やスピードだけを測る簡易的なサイコンには付いていない機能で、『自転車に乗るとカロリーってこれだけ消費するんだ』『上り坂で辛いが、やはり心拍も上昇している』『意識して回さないとペダリング効率が落ちていくな』などと、自分の身体のフィーリングがリアルタイムで数字となって視覚化される。これはEdge800Jを導入した大きなメリットであり、愉しみでもある。

キツい上り坂でも心拍数やケイデンスが把握出来れば余裕のあるペース作りが可能だキツい上り坂でも心拍数やケイデンスが把握出来れば余裕のあるペース作りが可能だ グループライドの時はお互いの状態を確認しながら適切なペースを作れるグループライドの時はお互いの状態を確認しながら適切なペースを作れる


ゼンリンの地図データを内蔵 コンビニやトイレも表示してくれる

次にEdge800Jで注目したい点が、詳細な日本地図データだ。これを搭載しているサイクルコンピュータはそうないだろう。メモリーに内蔵されるのは、なんといっても日本全国の住宅地図まで詳細に揃えている“ゼンリン”の日本地図データだ。細かくないわけがない。

小さな公園の公衆トイレまでナビ画面に現れるのはサイクリング中に本当に助かる小さな公園の公衆トイレまでナビ画面に現れるのはサイクリング中に本当に助かる 特筆すべきは、サイクリングやトレーニングの最中に“情報が欲しい”と感じる「コンビニ」、「トイレ」のデータが個別にアイコン化されていることだ。コンビニはチェーン店ごとに異なったアイコン表示になっているし、トイレは小さな公園の公衆トイレまで網羅している。驚くべき情報量だ。

つまり、これはデータとして存在するということでもあって、走行中に探し当てる事もできるし、検索から引き出す事も可能だ。これはたいへん助かる。ゼンリンの日本地図データを内蔵していることは、Edge800Jの大きなメリットと言えるだろう。

(サイクリング中、切実に必要な施設!)公衆トイレを探してみよう

公衆トイレは検索で、「その他」→「その他」から引っ張り出す事も可能だ公衆トイレは検索で、「その他」→「その他」から引っ張り出す事も可能だ
近隣の公衆トイレ一覧が表示される近隣の公衆トイレ一覧が表示される
選択すれば詳細データと目的地にする事も可能選択すれば詳細データと目的地にする事も可能
小さな公園の公衆トイレのデータまで網羅されているのは驚きだ小さな公園の公衆トイレのデータまで網羅されているのは驚きだ



自分の位置を見失わない

実際の走行感だが、屋内から出てしばらくするとさっそくGPS信号をキャッチして自車位置を表示し始める。方向性も大まか正確に指してくれる。すぐに自分が「今、どこにいるのか」を確認することが可能だ。

これはクルマのナビでも一緒だが、走っていると案外、「西に向かっているつもりが南にだった」というような方向感覚の狂いは簡単に生じる。そういった時にEdge800Jならいち早く間違いに気づくことができる。

詳細なナビゲーションが得られることで、周りの風景を楽しむ余裕も生まれる詳細なナビゲーションが得られることで、周りの風景を楽しむ余裕も生まれる 特に単独ライドの時は、地図に加えて方角も出るEdge800Jが不安を軽減してくれる特に単独ライドの時は、地図に加えて方角も出るEdge800Jが不安を軽減してくれる

移動中の表示例

地図上にはさまざまな施設アイコンが表示される地図上にはさまざまな施設アイコンが表示される
ものによってはブランド識別まで可能だものによってはブランド識別まで可能だ
気になるアイコンはマーカーを動かして詳細を見る事もできる気になるアイコンはマーカーを動かして詳細を見る事もできる
この時は空腹で、ちょうど前方の吉野家のアイコンが助かった(笑)この時は空腹で、ちょうど前方の吉野家のアイコンが助かった(笑)


高層ビルの谷間に入ると位置を見失うことがある。「マルチパス」という現象だ高層ビルの谷間に入ると位置を見失うことがある。「マルチパス」という現象だ ひとつ注意がいる点は、衛星信号だけで自分の位置を特定する独立型GPSは、高層ビル群など背の高い建物が周りに乱立している都会のど真ん中では「マルチパス」の影響を受けて自分の位置に誤差が生じやすい。この特性はどれにでも共通するもので、Edge800Jも都心部でテストした時には確かに自車位置にやや狂いが生じた。

ただ、自転車はクルマと違いすぐに停車する事ができる。そうして周りの景色とデジタル地図を見比べて、正確な自分の位置認識に修正する事は容易だ。「高層ビル群のあるエリアに居るときはときどき狂う事がある」という認識だけ持っていれば大丈夫だ。

良好な反応のタッチパネル

普通の長指グローブでも操作が可能な、高感度の感圧式タッチパネルを採用普通の長指グローブでも操作が可能な、高感度の感圧式タッチパネルを採用 スクリーンのタッチパネルはフルフィンガーグローブをした状態でも調子よく反応してくれる。これはなかなかのメリットだ。

とくにスマートフォンを操作できる通電処理をした長指グローブなどを使用しなくても、普通の長指グローブでも操作が可能な感圧式を採用しているのだ。実はこれはガーミンならではの高度な技術で、目立たないスペックながら使って便利なスペックだ。とくに冬のライド中にサイクリング用のウィンターグローブで操作できるし、いちいちグローブを外す必要がない。まさにサイクリストにはありがたい機能だ。

地図の視認性が良く、かつコンパクトなベストサイズ

しっかりとしたナビゲーションの視認性を確保しながら、主張しすぎないサイズとルックスで自転車にマッチするしっかりとしたナビゲーションの視認性を確保しながら、主張しすぎないサイズとルックスで自転車にマッチする 丁度よい使い勝手のコンパクトなサイズもEdge800Jの大きな特徴だろう。

ハンドル周りにあっても邪魔にならない大きさで、ルックス的にも「ナビが付いています」と高々に喧伝するような事もない。サイクルコンピュータを一回り大きくしたサイズで、目立たず装着されながら、しっかりナビゲーションをしてくれる画面の大きさを確保している。ライド中の目の高さから画面を見下ろした時に調度良い画面の大きさに設計されているのだ。

画面は大きいほど地図は見やすいのかもしれないが、視界に入りすぎても邪魔になるだろうし、ナビ自体のマウント方法にも不安定感がでてくる。スポーツライドでも安定しているEdge800Jのサイズは、一番バランスが取れているフィット感だと思った。



次のステップでは、この地図データを使った目的地の検索やナビゲーション能力についてスポットを当ててみたいと思う。
text:佐藤春道/シクロワイアード編集部  提供:いいよねっと