新生マトリックス、発進

ライムグリーンジャージでお馴染みのマトリックスパワータグ・コラテックも今年で4年目のシーズンを迎える。三船・橋川のベテラン2人が抜けたが、中村の加入もあり若返りを果たして新体制に。このチームの原動力は日本一熱い監督、安原昌弘氏の想いだった。エース向川尚樹が語る、チームのこと、カントクのこと。

「マトリックス」と聞いて、「映画?」突っ込む人はもうさすがにいないであろう。そう! 自転車レースに出場した経験のお持ちの方はご存じの、フロントフォークに付ける計測用のタグ。そのICタグの会社が「マトリックス」で、商品名が「パワータグ」である。チーム名はここから付けられた。

マトリックスパワータグ・コラテックマトリックスパワータグ・コラテック
チームの拠点は大阪府の南部、奈良県と和歌山県の県境に位置する河内長野にある。
そこは過去に関西の名選手達が集った自転車の聖地。僕の知る限りでも、元アトランタオリンピック代表の安原監督はもちろんのこと、ロードとマウンテンバイク両方でオリンピックの代表となった三浦選手をはじめ、国内の有力選手達もここをトレーニングの場としてきた。

何故なら、チーム事務所から一歩出れば、そこは坂の街。三方は山に囲まれており、5キロ以上はある山岳コースを越えないとロード練習に行けない地形。半強制的な山岳トレーニングを日課にすることができるのだ。

また、車で数分のところにはホームバンクの「関西CSC」がある。ここで集中的に平坦のトレーニングを行うことができる。そしてトレーニングジムまでもがあり、競輪選手もこのジムに通い、種目は違うが練習の事について話したりして、お互いの意欲を高めたりしている。

そんな訳で自転車のトレーニングには打って付けの場所といえる。また、過去の有名選手が練習していた峠には、そのTTタイムが伝説として残されている。もし河内長野に来られた時は、是非このタイムに挑戦してみてほしい。

ギャグの冴え渡る熱いオトコ、安原昌弘監督ギャグの冴え渡る熱いオトコ、安原昌弘監督 そんな河内長野を生活の基盤としてきた安原監督が、このチームに情に満ちた熱い想いを込めている。それは「俺は昔、大阪で強くしてもらった。だからその恩返しとして、若手を育て、地元大阪を盛り上げたい」という想いだ。

また、自転車業界も昔は大阪にたくさんの企業があった。しかし、現在は指で数えることができるほどまで減ったらしい。その2つの方面で盛り上げていきたいというのが、監督の想いなのである。

その情熱は練習中にもビンビン伝わってくる。週3回はチームカーを引っ張り出し、練習をサポートし、バンクではバイクを使いスピード練習。極めつけは老いていく身体に自ら鞭を打って(失礼!)自転車にまたがり、その姿を選手に見せて「これくらいやらなアカンのじゃ〜」と、口では言わないが、無言のゲキを飛ばす。

トレーニングはもともと選手同士の無言のゲキの飛ばし合いでお互いを励まし、切磋琢磨するものだと思う。それを監督自ら熱い「無言のゲキ」を飛ばすのだから、選手もトレーニングに自然と熱が入る。

またロードとトラックの両立を行っているのもマトリックスの特色。ロードでは平坦の選手として、トラックではポイントの選手として長年に渡り走ってきた監督のアイデンティティーが注ぎ込まれている。

だから、チームもロードとトラック両方で活動を行なっている。トラックでは4㎞団体追い抜きに力を入れ、ロードでは集団ゴール勝負にこだわりを持ち、チーム一丸となって列車を作って勝負に挑むのをマトリックスの色としている。そのためのトラック練習でもある。

普段はお笑いキャラの向川尚樹も、レースに臨めば真剣な表情普段はお笑いキャラの向川尚樹も、レースに臨めば真剣な表情 そして4年目の今年、今までチームの柱となっていたベテラン2人、三船雅彦と橋川健が抜け、自分たちがチームを動かす立場となった。実際、自分もその2人に頼っていた部分は大きいし、もしかしたら甘えがあったかもしれない。しかし今年からその2人がいない。

自転車競技において勝つ為にはレース勘というものが非常に大きな比重を占める。例えば集団でゴール勝負になった場合、ゴール数キロ手前から列車を組み、スプリンターを前まで引き上げ、ラスト150メートルから200メートルくらいで発射させる。

どのタイミングで列車を作り、前へと上がって行くのか。そのタイミングが早すぎると最後まで選手の数が足りず「球切れ」になり、スプリンターは最後にひとりで戦うことになる。しかしタイミングが遅いと集団に埋もれてしまい、前へ出ていくことすらできず勝負に参加できない状態になる。

勝つためには風向きや地形、そして他チームの動きを見極めて動く必要がある。それらはやはり経験の豊富さが大きく影響する。去年まではそういった事も無線でベテランの指示を聞き、動いていた。また疑問に思ったことはレース後に質問できたし、アドバイスも聞けた。

緑の列車に注目してください緑の列車に注目してください しかし今度は自分がキャプテンとなり、チームをまとめる立場となった。すでにツール・ド・台湾、チャレンジロードと2レースを新体制で走ったが、走り終わった今、レースを振り返ると、あの時こうすればよかったとか、「結果論」が色々と出てくる。

今のところ本音は、プレッシャーを感じ「当たって砕けろ」的な感じである。ベテランのいるチームと戦うのは戦略的に厳しい面があると思う。しかし、チーム全体が若返り、面と向かって本音で話すことができるチームになりつつある。レースの事や練習のこと、1つ1つの問題をうやむやにせず、コミュニケーションを取ることできっちりとそれらを打破して、レース中に意思疎通ができるチームにしたい。

またレース中、監督の叫びが無線でよく聞こえてくる「お前らイッたれ〜、キャイーンといわしたれ〜」みたいに、安原イズムで「勢いある前向きの精神」も大切にし、若さを武器にチーム一丸となって戦いたいと思う。

ゴール前、緑のマトリックストレインが現れます。今年も応援よろしくお願いします。

プロフィール
向川尚樹 むかいがわなおき
1980年生 28歳
マトリックスチームの発足時からのメンバー。キャプテンとしてチームを牽引し、2009年はエース格としてチームを支える。

マトリックス パワータグ公式サイト
Panaracer RiBMo PT
Panaracer Ribmo PTPanaracer Ribmo PT PT(ProtectionTechnology)シールド構造の採用で、耐パンク性能に優れた最強アーバンタイヤ。MTBやクロスバイクなどに対応する幅広いサイズラインナップがあるが、さらに700×23Cも追加された。
26×2.00/540g
26×1.75/490g
26×1.50/440g
26×1.25/330g
700×35C/490g
700×32C/400g
700×28C/370g
700×25C/330g
700×23C/300g NEW!
注)重量は平均重量のため実際の製品重量とは多少の誤差があります。

税込参考価格:6240円
Panaracerサポート選手の注目リザルト 2009年3月
ルート・アデリ・ド・ヴィトレ2009(UCI 1-1) 65位
清水都貴選手(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)
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グランプリ・ドゥラ・ヴィル・ド・ノジョン・シュール・オワズ(UCI 1-2) 40位
福島晋一選手(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)
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トライアスロン ITUコンチネンタルカップ/タイ・メコン大会 優勝
細田雄一選手(稲毛インターナショナル)
2009 BONITAアイアンマンニュージーランド 8位
(アイアンマン世界選手権ハワイ大会プロカテゴリー出場権獲得)

谷新吾選手
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