2017/05/31(水) - 16:41
今年で発売から4年目と、ロングランを続けるIRCのロード用クリンチャータイヤ「ASPITE」。同社が持つ技術の粋を集め開発されたASPITEは、グリップ性、軽量性、耐パンク性といった各性能を高次元なレベルで達成しており、プロ選手からも評価は高い。本章ではIRCがサポートするキナンサイクリングチームのインプレッションを紹介する。
と、本編に入る前にここでIRCユーザーにとっては嬉しい話題が飛び込んできた。雨に濡れたツアー・オブ・ジャパンの南信州ステージで、ASPITE PRO WETを使ったマルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ)が集団スプリントを制してステージ3勝目を飾ったのだ。
普段NIPPOヴィーニファンティーニはIRCが開発を進めているチューブラータイヤを使っているが、ASPITE PRO WETが誇るウェット性能に信頼を置くカノラは、当日が雨予報と分かるやいなやチームに要望。打診を受けたIRCが急遽タイヤとホイールセットを用意して間に合わせ、それを武器に激しいアップダウンが続く南信州ステージを制した。
これが意味するのは、世界トップクラスのプロからもASPITE PRO WETが高い信頼を得ているということ。同様にIRCからサポートを受けるキナンサイクリングチームもグリップ性能を重視してASPITE PRO WETを使っており、今回は椿大志、山本元喜の両選手、そして石田哲也監督の3名にインプレッションを、そして実戦でのメリットを語ってもらった。
やはり絶対的なメリットはパンクしないこと。普段の練習でもレースでの使用でも、今年に入ってまだ1回もパンクしていないんですよ。選手にとってパンクは命取りですから、ワンデーレースはもちろん、ステージレースで翌日に繋げるためにも重要なポイントなんです。
ツルツルした路面や砂利が浮いている道路など、見た目で滑りそうだな、大丈夫かな、という場所でもしっかりとした挙動を得ることができますね。個人的にはウェットコンディションが大好きなのですが、そんな中でもふらつくこともなく、グリップを失いそうだなという感覚もないので安心できて気に入っています。自分は体重63kgで7気圧ちょうど。そのくらいが一番足にフィットする空気圧だと感じましたね。
自分はこのASPITEをNIPPOヴィーニファンティーニ所属時代から使っているのですが、高性能クリンチャーだけに普段の練習からレースまで、これ1本で全く問題ありません。元々モーターサイクルのタイヤ等も手がける企業だけあって、グリップの良さや転がりの軽さなどに技術力の高さを感じるところですね。
個人的に一番気に入っているのは、耐パンク性能の高さですね。どんなにグリップや転がりが良いタイヤだとしても、レース中にパンクしてしまっては大きなロスとなってしまうので、そういった心配がほとんど無いのは大きな強みではないでしょうか。私自身毎月2〜3000kmほど練習で走り込みますが、その中でのパンクはいつだったっけか?と記憶に無いほどです。激しい未舗装路や石畳を走るクラシックレースのストラーデ・ビアンケでも、他チームでパンクが頻発する中、IRCのタイヤを使ったNIPPOチームはほとんどパンクがなかったと聞いています。
2種類のラインアップがありますが、自分は常にWETを選んで使っています。天候に関係なく、高いグリップ力を発揮してくれる点がその理由ですね。練習では攻めた走りはしませんが、レースとなるとコーナーでどれだけグリップしてくれるかは非常に重要になってきます。また、長時間の走行では途中から天候が変わることもあるので、いつ雨が降るか分からないと言う状況では、WETを履いて濡れる路面にいつでも対応できるようにしておく方が利点は大きいと感じますね。体重65kgでだいたい7.5気圧の空気圧で乗っています。
タイヤの減りに関しても上々で、あれだけグリップが良いのに普通くらいか、やや減りにくいかなと感じるので優秀ですよね。色々な種類のタイヤをシチュエーションに応じて交換していくのはメカニックの手間となるので、このタイヤ1つで済んでしまうのは作業的にも優しいですよね。走るシチュエーションを選ばず、耐パンク性の高い万能タイヤとしてはオススメだと思います。
この耐パンク性能の高さにはびっくりするほどで、数日に渡るツアーレースにおいて1回もパンクがない時もあるほどです。印象的だったのは、フランスのレースで他チームが10本くらいのパンクを重ねるほど路面の激しいステージの際に、キナンでは1本パンクしたかどうかという日がありました。ヨーロッパの選手は走りが上手いので、そこでこれだけパンクの差が出るというのは、完全にタイヤの性能差。レース中の重要なポイントでパンクで遅れることがないというのは、チームとして大きなメリットです。
加えてサイドカットもほとんど見られず、その構造による強度の高さが実際に機能していると思います。パンクが少ないのでタイヤもただ走行による摩耗に合わせて交換するだけで、メカニックの作業や負担も最小限で済みますし、その点は他チームからも羨ましがられる部分です。例えば雨のツール・ド・熊野などはとにかくパンクすることで有名ですが、他チームがスペアホイールも全て使い切ってしまった時でも被害を最小限に留めた時がありました。
タイヤ幅はチーム共通で24c。レースの時は基本的にはチューブラーホイールですが、保険としてクリンチャーホイールも持ち込んでいて、ASPITEを合わせて実際にレースで使用することもありますね。レース使用でも全く問題のない性能を発揮してくれるタイヤです。
何年もラインアップされているタイヤですが、チームとして特に改善を希望するようなことはしていません。グリップ性や耐パンク性などバランスが非常に良く、その高性能さはこれ以上手を加える必要がないほど満足のいく仕上がりだと思っています。
ASPITE2本とNIPPOヴィーニファンティーニのチームボトルセット発売中
今回紹介したASPITE、ASPITE WETそれぞれ2本と、NIPPOヴィーニファンティーニがレースで使うものと同じオフィシャルチームボトル1本をセットにしたバリューパックが現在発売中。タイヤ2本の価格でボトルが付属するお得パックをこの機会に手に入れてみては?詳しくはこちらをチェック。
次ページでは日本屈指の"走れる店長"として知られる西谷雅史さん(サイクルポイント オーベスト) 、そして強豪ホビーレーサーの落合友樹さん(Rueda Nagoya)から、プロ選手とは違った目線から見たASPITEのインプレッションを紹介する。
ASPITE PRO WETを使ったマルコ・カノラが雨のTOJ南信州で勝利
と、本編に入る前にここでIRCユーザーにとっては嬉しい話題が飛び込んできた。雨に濡れたツアー・オブ・ジャパンの南信州ステージで、ASPITE PRO WETを使ったマルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ)が集団スプリントを制してステージ3勝目を飾ったのだ。
普段NIPPOヴィーニファンティーニはIRCが開発を進めているチューブラータイヤを使っているが、ASPITE PRO WETが誇るウェット性能に信頼を置くカノラは、当日が雨予報と分かるやいなやチームに要望。打診を受けたIRCが急遽タイヤとホイールセットを用意して間に合わせ、それを武器に激しいアップダウンが続く南信州ステージを制した。
これが意味するのは、世界トップクラスのプロからもASPITE PRO WETが高い信頼を得ているということ。同様にIRCからサポートを受けるキナンサイクリングチームもグリップ性能を重視してASPITE PRO WETを使っており、今回は椿大志、山本元喜の両選手、そして石田哲也監督の3名にインプレッションを、そして実戦でのメリットを語ってもらった。
椿大志(キナンサイクリングチーム、2012年全日本選手権U23個人TT優勝)
「どんな路面状況でも高いグリップを発揮する安心感」
自分はアルミクリンチャーホイールの走り心地が好みですので、必然的にレースでもASPITE WETを使用しています。走行感よりもグリップ感を重視したタイヤが好みで、ノーマルなASPITEの走りの軽さも捨てがたいと感じましたが、アジアのレースでは荒れた路面やタフなコンディションが多いので晴れている日でもWETを使用しています。やはり絶対的なメリットはパンクしないこと。普段の練習でもレースでの使用でも、今年に入ってまだ1回もパンクしていないんですよ。選手にとってパンクは命取りですから、ワンデーレースはもちろん、ステージレースで翌日に繋げるためにも重要なポイントなんです。
ツルツルした路面や砂利が浮いている道路など、見た目で滑りそうだな、大丈夫かな、という場所でもしっかりとした挙動を得ることができますね。個人的にはウェットコンディションが大好きなのですが、そんな中でもふらつくこともなく、グリップを失いそうだなという感覚もないので安心できて気に入っています。自分は体重63kgで7気圧ちょうど。そのくらいが一番足にフィットする空気圧だと感じましたね。
山本元喜(キナンサイクリングチーム、2016年ジロ・デ・イタリア完走)
「プロレベルの使用でもパンクやトラブルの少ないタイヤ」
自分はこのASPITEをNIPPOヴィーニファンティーニ所属時代から使っているのですが、高性能クリンチャーだけに普段の練習からレースまで、これ1本で全く問題ありません。元々モーターサイクルのタイヤ等も手がける企業だけあって、グリップの良さや転がりの軽さなどに技術力の高さを感じるところですね。
個人的に一番気に入っているのは、耐パンク性能の高さですね。どんなにグリップや転がりが良いタイヤだとしても、レース中にパンクしてしまっては大きなロスとなってしまうので、そういった心配がほとんど無いのは大きな強みではないでしょうか。私自身毎月2〜3000kmほど練習で走り込みますが、その中でのパンクはいつだったっけか?と記憶に無いほどです。激しい未舗装路や石畳を走るクラシックレースのストラーデ・ビアンケでも、他チームでパンクが頻発する中、IRCのタイヤを使ったNIPPOチームはほとんどパンクがなかったと聞いています。
2種類のラインアップがありますが、自分は常にWETを選んで使っています。天候に関係なく、高いグリップ力を発揮してくれる点がその理由ですね。練習では攻めた走りはしませんが、レースとなるとコーナーでどれだけグリップしてくれるかは非常に重要になってきます。また、長時間の走行では途中から天候が変わることもあるので、いつ雨が降るか分からないと言う状況では、WETを履いて濡れる路面にいつでも対応できるようにしておく方が利点は大きいと感じますね。体重65kgでだいたい7.5気圧の空気圧で乗っています。
タイヤの減りに関しても上々で、あれだけグリップが良いのに普通くらいか、やや減りにくいかなと感じるので優秀ですよね。色々な種類のタイヤをシチュエーションに応じて交換していくのはメカニックの手間となるので、このタイヤ1つで済んでしまうのは作業的にも優しいですよね。走るシチュエーションを選ばず、耐パンク性の高い万能タイヤとしてはオススメだと思います。
石田哲也(キナンサイクリングチーム監督)
「グリップ性と耐パンク性に秀でる。バランスが良く完成された性能の高さ」
ASPITEのノーマルタイプとWETタイプを比較して転がり抵抗に大きな差がないということで、キナンチームではよりハイグリップな性能を重視してWETをメインに供給して頂いています。選手からはタイヤに不満の声はなく、十分な性能を感じるところです。グリップの良いタイヤというのはパンクしやすい傾向にありますが、ASPITEにはそれがなく悪い点が見当たらないほどですね。この耐パンク性能の高さにはびっくりするほどで、数日に渡るツアーレースにおいて1回もパンクがない時もあるほどです。印象的だったのは、フランスのレースで他チームが10本くらいのパンクを重ねるほど路面の激しいステージの際に、キナンでは1本パンクしたかどうかという日がありました。ヨーロッパの選手は走りが上手いので、そこでこれだけパンクの差が出るというのは、完全にタイヤの性能差。レース中の重要なポイントでパンクで遅れることがないというのは、チームとして大きなメリットです。
加えてサイドカットもほとんど見られず、その構造による強度の高さが実際に機能していると思います。パンクが少ないのでタイヤもただ走行による摩耗に合わせて交換するだけで、メカニックの作業や負担も最小限で済みますし、その点は他チームからも羨ましがられる部分です。例えば雨のツール・ド・熊野などはとにかくパンクすることで有名ですが、他チームがスペアホイールも全て使い切ってしまった時でも被害を最小限に留めた時がありました。
タイヤ幅はチーム共通で24c。レースの時は基本的にはチューブラーホイールですが、保険としてクリンチャーホイールも持ち込んでいて、ASPITEを合わせて実際にレースで使用することもありますね。レース使用でも全く問題のない性能を発揮してくれるタイヤです。
何年もラインアップされているタイヤですが、チームとして特に改善を希望するようなことはしていません。グリップ性や耐パンク性などバランスが非常に良く、その高性能さはこれ以上手を加える必要がないほど満足のいく仕上がりだと思っています。
ASPITE2本とNIPPOヴィーニファンティーニのチームボトルセット発売中
今回紹介したASPITE、ASPITE WETそれぞれ2本と、NIPPOヴィーニファンティーニがレースで使うものと同じオフィシャルチームボトル1本をセットにしたバリューパックが現在発売中。タイヤ2本の価格でボトルが付属するお得パックをこの機会に手に入れてみては?詳しくはこちらをチェック。
次ページでは日本屈指の"走れる店長"として知られる西谷雅史さん(サイクルポイント オーベスト) 、そして強豪ホビーレーサーの落合友樹さん(Rueda Nagoya)から、プロ選手とは違った目線から見たASPITEのインプレッションを紹介する。
提供:IRC 制作:シクロワイアード編集部 photo:Hideaki TAKAGI