現在人気が沸騰しているアクションカメラ。これまでは高価さゆえにプロスポーツやTV番組の制作など限られたシチュエーションでしか使われていなかったが、ここ2年ほどの間に多くのメーカーが参入したことで低価格化し、一般ユーザーの間にも一気に浸透してきた。その人気ぶりは今や家電量販店でも店頭に並ぶほどであり、サイクリストとしては誰しもが一度は思うであろう「この瞬間を車載カメラで撮影したい!」というニーズを気軽に実現できるようになったのだ。

ガーミン Virb J Eliteガーミン Virb J Elite
今回の「ガーミンをつかいこなす」では番外編として、そんなアクションカム業界にガーミンが投じた新作「Garmin Virb-J(ヴァーブ)」の使い方と、その魅力をインプレッションを交えながら、「基本編」として紹介していこうと思う。

タフボディに包み込まれる高性能

本体上部には1.4インチのフルカラーディスプレイが搭載されている本体上部には1.4インチのフルカラーディスプレイが搭載されている まずはアウトビューから見ていこう。ヴァーブはスタンダードモデルの「VIRB-J」と、GPSやWi-Fi機器、ANT+アクセサリーに対応する上級モデル「VIRB-J Elite」の2種類がラインナップされており、今回使ったのは「VIRB-J Elite」だ。

「ダッシュボード」ではサイクルコンピューターと同じ機能が使える「ダッシュボード」ではサイクルコンピューターと同じ機能が使える 本体のサイズは32x53x111mmで重量177gと、実際に手に取ると結構大きく重たいが、それには理由がある。本体上部には1.4インチのフルカラーディスプレイが搭載されており、撮影した画像や動画のプレビューを確認できる。他社製品ではワイヤレス通信で連携させたスマートフォンなどを使用しなければならなかったが、その手間を省いたことで画角調整などの操作を簡単にしているのだ。

縦長のボディはボタンも含めて全体がゴムのような樹脂素材で覆われており、見るからに対衝撃性が高そうだ。一般的なアクションカムは屋外での使用の場合ハウジングを使う必要があるが、ヴァーブならば「IPX7」、完全水没以外ならば十分に耐えられる防水機能も備えられている。つまりサイクリングでの使用ならば、田んぼや池に落ちない限り雪だろうと雨だろうとほぼ100%のシチュエーションで問題無く使うことができるのだ。ハウジング要らずでこの安心感は、ライバル製品に対して大きなアドバンテージだといって良いだろう。

大きな録画スイッチでブラインドタッチも可能

大きな録画オン/オフスイッチでブラインド操作も非常に簡単大きな録画オン/オフスイッチでブラインド操作も非常に簡単 ユーザーインターフェース、つまり使い勝手もなかなか直感的で良い。ボタンを簡略化した製品だと今自分が何の操作をしたか、または何をしているのかが分からなくなることもあるが、ヴァーブならそんな心配も無く、更にフルカラーの画面が操作をアシストしてくれるので明快だ。Edgeシリーズのようなタッチパネル方式でこそないものの、使い勝手はかなり良好だ。

それでは実際にバイクに取り付けてみよう。ヴァーブはEdge810Jよりも大きいため、ライトやその他アクセサリーを装着している場合には少々ハンドル周りが混み合うので少々工夫が必要かもしれない。プラスチック製のマウントはかなり大きいが、本体をガッチリと固定してくれるのでMTBなどバイクがかなり暴れるシチュエーションでも保持力にはなんら不安を感じることが無かった。

今回のインプレッションでは純正のマウントと、Rec MountからリリースされているEdge・Virb J両対応マウントの2つをテストした。純正品はかなり大きく不格好になってしまうが固定力はピカイチ。対してRec Mount製マウントは比較的スマートに搭載できるものの、Edge 810JとVirb J Eliteの重さを細いクランプで受け止めているため、特にカーボンハンドルに装着する場合は緩み防止のカーボングリスを塗り付けた方がよさそうだ。

Edge 810 JとVirb J EliteをバイクにセットアップしてみたEdge 810 JとVirb J Eliteをバイクにセットアップしてみた Rec Mount製のダブルマウントRec Mount製のダブルマウント


録画は本体左側の大きなスライドスイッチを操作することで行われる。本体が稼働状態のときもちろん、電源をオフにしている時でも録画スイッチを入れればすぐさま録画開始できる。本体を逆さまにして撮影する場合もあるが、録画開始の「カチッ」というモーションが大きいために、手探りでも、路面が荒れていても操作ミスがない。これは操作に関して私が一番気に入っているギミックだ。

スマートフォンとの連携でセッティングも容易

Virb J Eliteにはスマートフォン用の無料アプリも用意されており、これをダウンロードしてWi-Fi接続すれば画面の調整や録画開始、各種設定などがより分かりやすく、行いやすくなる。ヴァーブを逆さまにマウントしたりヘルメットに装着する場合はもちろん、筆者は普通に使う場合でもスマートフォンからの調整を多用した。加えてEdge810・510とも連携してスイッチのON/OFFが設定できるので、ぜひともお気に入りの使い方をマスターして欲しい。

VIRB-J EliteはスマートフォンとWi-Fi接続できることが特徴だVIRB-J EliteはスマートフォンとWi-Fi接続できることが特徴だ 調整はスマートフォンで行うのが吉。アプリのダウンロードはマストだ調整はスマートフォンで行うのが吉。アプリのダウンロードはマストだ

もちろんスマートフォンから録画開始もできるもちろんスマートフォンから録画開始もできる プレビュー機能は画角の調整を非常にラクにしてくれたプレビュー機能は画角の調整を非常にラクにしてくれた


記録した映像はとてもなめらかだ。フルHD(1080p)撮影を使ったが、そのまま27インチiMacのフル画面で再生した場合にも何ら不満は無かった。明るい場面での録画で画質が良好なのはもちろん、日陰や夜間に記録した画像もザラつきが少なく残念な気持ちになることがない。明暗の変化への対応は少し遅めだが、明るい場所では通過する草木の葉一つ一つまで鮮明に記録できていた。

乗鞍エンデューロで撮影したイメージムービー

*カメラに厳しい条件でテストするため、あえて凹凸のあるMTBコースで撮影を行いました。Youtubeへのアップロードの際に画質がかなり低下していることはご了承ください。

それからVIRB-J Eliteならではの機能として、取得中のデータ情報やペアリング中のANT+アクセサリーから取得したデータを表示できる「ダッシュボード」表示がある。これはつまりサイクルコンピューターとしての機能そのもので、例えサイクルコンピューターを持っていなくとも走行ログを見ることができるのだ。ムービー画面の表示を参照して欲しい。なおGPSログをマップ上に軌跡として表示する機能は、動画編集の際に間を飛ばしたため途切れて表示されていることも了承して欲しい。

連続撮影可能時間はフル充電で3時間ほど。決してランタイムが長いとは言えないが、ライドの面白い場面を選んで切り取れば必要にして十分であるはずだ。

編集:シクロワイアード 提供:いいよねっと