ここまで波乱続きの様相を呈してきたツール・ド・フランス2014。ヴォージュ山塊、ボジョレーの丘、アルプス山脈を超えた第2週を終え、勝負を決するハードな山岳ステージと個人TTが待ち構える第3週が始まるここで、シマノ、そしてPROを使用する選手の活躍を写真を交えて振り返る。

1級山岳ロタレ峠のつづら折れを行くプロトン1級山岳ロタレ峠のつづら折れを行くプロトン photo:Makoto.AYANO

地元の期待を背に走るピノ フランス人として17年ぶりの表彰台と新人賞を目指す

第2週目に入り、観客を沸かせ輝きを放ったのが、個人総合争いと新人賞の有力候補と目されてきたティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)だ。まず、生まれ故郷の近くを通る第10ステージでは、最大斜度20%の激坂区間を含むゴールの1級山岳ラプランシェ・デ・ベルフィーユで切れ味鋭い走りを見せ2位でゴール。総合でも15位から6位にジャンプアップして見せた。

そこから、超級山岳シャムルースの頂上にゴールが設けられた第13ステージでは5位で、1級山岳ロタレ峠と超級山岳イゾアール峠を越え、標高1855mの1級山岳リゾルにゴールする第14ステージでは4位でフィニッシュするクレバーな走りを披露、第15ステージ終了時点で総合4位とした。

ピノは新人賞争いでも第15ステージまで2位につけており、この時点で首位とのタイム差は16秒。続く第16ステージで果敢な走りを見せて逆転、新人賞1位、総合も3位へと躍り出た。地元フランス勢としてはリシャール・ヴィランク以来17年ぶりとなるパリでの総合表彰台と同時に、新人賞獲得へ目指すピノの走りに注目が集まる。

生まれ故郷に近い1級山岳ラプランシェ・デ・ベルフィーユで切れ味鋭い走りを見せるティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)生まれ故郷に近い1級山岳ラプランシェ・デ・ベルフィーユで切れ味鋭い走りを見せるティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr) photo:Makoto.AYANO
FDJ.frのチームカーに積まれたWH-9000-C35-TUFDJ.frのチームカーに積まれたWH-9000-C35-TU photo:Makoto.AYANO
そんなピノは4種類のリムハイトを揃えるWH-9000ホイールをコースプロフィールによって使い分ける。エアロダイナミクスと加速性を兼ね備える35mmハイトのC35をメインに、第14ステージでは前輪により軽量な24mmハイトのC24を組み合わせた。そして、古くから製品開発に協力するほどシマノとは密接な関係にあるFDJ.frなだけに、コンポーネントはサテライトスイッチを組み込んだ9070系デュラエースDi2。ハンドルやシートポストはPRO製品で固められている。

また、ピノの他にも総合争いでは、6位にティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)、8位にローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)、10位にバウク・モレマ(オランダ、ベルキン)、と、第16ステージ終了時で計4名のシマノサポートライダーがトップ10につけている。

そんな彼らが使うコンポーネントであるデュラエースDi2の特徴の1つに、フロントディレイラー(FD)の位置を自動的に調整してくれるオートトリム機能がある。これはリアの段数に応じて、フロントのディレイラーが最適なポジションに自動で動く機能。チェーンとFDの接触を防ぎ、ライダーのストレスを大幅に低減する。極限の状態で長時間走り続けるプロ選手はもちろんのこと、ホビーレーサーでもその恩恵は十分に感じ取ることができるだろう。

2週目になると観客の賑やかさも増してくる。沿道には女性ファンも多い2週目になると観客の賑やかさも増してくる。沿道には女性ファンも多い photo:Makoto.AYANO友人たちとくつろぐアルテュール・ヴィショ(フランス、FDJ.fr)友人たちとくつろぐアルテュール・ヴィショ(フランス、FDJ.fr) photo:Makoto.AYANO

ヒマワリ畑を行くプロトン。集団先頭付近にはチームスカイがつけているヒマワリ畑を行くプロトン。集団先頭付近にはチームスカイがつけている photo:Tim de Waele
同じくシマノサポートライダーのグレゴリー・ラスト(スイス、トレックファクトリーレーシング)らと共に逃げるサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)同じくシマノサポートライダーのグレゴリー・ラスト(スイス、トレックファクトリーレーシング)らと共に逃げるサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) (c)CorVos
第12ステージの敢闘賞は一日中逃げたサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)の手に第12ステージの敢闘賞は一日中逃げたサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)の手に photo:Makoto.AYANOジ・チェン(中国)を先頭にメイン集団をコントロールするジャイアント・シマノジ・チェン(中国)を先頭にメイン集団をコントロールするジャイアント・シマノ (c)CorVos

 シマノのデュラエースDi2 & ホイールとPROを使うオリカ・グリーンエッジのルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)ら シマノのデュラエースDi2 & ホイールとPROを使うオリカ・グリーンエッジのルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)ら photo:Makoto.AYANO
総合勢が活躍する一方、スプリント勢も積極的なレース展開を繰り広げている。その急先鋒が最初の4ステージで3勝をマークしたマルセル・キッテル(ドイツ)擁するジャイアント・シマノだ。特に「エスケープ・キラー」として一躍名を挙げた中国初のツール出場選手であるジ・チェンの働きはプロトンの中でも一目置かれるところ。残るチャンスは少ないが、キッテルの2年連続シャンゼリゼゴール制覇に向けてチームの士気は俄然高まっている。

その他、オリカ・グリーンエッジのサイモン・クラーク(オーストラリア)が第12ステージで逃げ集団に乗り、約170kmに渡ってロングエスケープを敢行したことも忘れてはならない。逃げ巧者として知られるクラークは最後の5kmまで粘り、最後は集団に吸収されたものの敢闘賞を獲得した。

登場から2年が経過し、レーシングコンポーネントとしてトッププロから抜群の信頼を得ている9000系デュラエース。そのラインナップの中でも特徴的なダイレクトマウントブレーキが、昨年に増して更に普及してきた。高い制動力とコンパクトなデザインによる優れたエアロダイナミクスを兼ね備えるこのシステムは、より注目が高まっている。

ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)のバイクのフロントフォークにはダイレクトマウントブレーキを装着されているティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)のバイクのフロントフォークにはダイレクトマウントブレーキを装着されている photo:Makoto.AYANOフロント用ダイレクトマウントブレーキをリア用とする新たなアッセンブリーのバイクが増えそうだフロント用ダイレクトマウントブレーキをリア用とする新たなアッセンブリーのバイクが増えそうだ photo:Makoto.AYANO

9070系Di2コンポーネントとWH-9000-C35-TUが装着されたティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)のバイク9070系Di2コンポーネントとWH-9000-C35-TUが装着されたティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)のバイク photo:Makoto.AYANO
オリカ・グリーンエッジのバイクにアッセンブルされたPROのステムオリカ・グリーンエッジのバイクにアッセンブルされたPROのステム photo:Makoto.AYANOクランクFC-9000とフロントディレーラーFD-9070の組み合わせてよって駆動ロスを極限まで低下させているクランクFC-9000とフロントディレーラーFD-9070の組み合わせてよって駆動ロスを極限まで低下させている photo:Makoto.AYANO

サポートチームに限ると、トレックファクトリーレーシングとFDJ.frのバイクサプライヤーは、昨年は1モデルずつだったダイレクトマウントブレーキ採用バイクを、今年は2モデルずつとしている。その他、シマノ以外のコンポーネントを使用するチームでもダイレクトマウントブレーキ対応バイクの投入が着実に増加しており、今後のフレームの進化には目が離せない。

そして、ダイレクトマウントブレーキで新たな装着方法が流行の兆しを見せている。その最初の例となったのがトレックファクトリーレーシングの新型バイクで、シートステーにフロント用ダイレクトマウントブレーキを取り付けている。恐らく、一般的なキャリパーブレーキに対して制動力を高めつつ、BB下に取り付けるダイレクトマウントブレーキに対して空力性能を維持しつつ整備性を向上させるという狙いがあるのだろう。なお、既に他の2チームのバイクにもこの新方式が採用された。

ツールを走るトッププロ選手の要求に応えるDURA-ACEホイールラインナップ

さて、この章では多彩なバリエーションを揃えるデュラエースホイールに焦点をあてたい。今ツールではジャイアント・シマノ、ベルキン、チームスカイ、オリカ・グリーンエッジ、FDJ.fr、BMCレーシングの計6チームがシマノオフィシャルサポートチームとしてデュラエースホイールを使用している。

9070系Di2コンポーネントとWH-9000-C35-TUが装着されたオリカ・グリーンエッジのバイク9070系Di2コンポーネントとWH-9000-C35-TUが装着されたオリカ・グリーンエッジのバイク photo:Makoto.AYANO
ベルキンはC24、C35、C50と3種類のリムハイトのWH-9000ホイールをチームカーに搭載ベルキンはC24、C35、C50と3種類のリムハイトのWH-9000ホイールをチームカーに搭載 photo:Makoto.AYANOジャイアント・シマノのトラックに積まれた大量のデュラエースホイールジャイアント・シマノのトラックに積まれた大量のデュラエースホイール photo:Makoto.AYANO

コンポーネントに先駆けて2012シーズンに投入された9000系デュラエースホイールは、SHIMANOロゴのみがリムに貼られたプロトタイプの段階から注目を集めると同時に、プロからも好んでチョイスされてきた。

開発当初は汎用性に優れる「WH-9000-C50-TU」と「WH-9000-C35-TU」の2種類のみだったが、正式発表時にはトレンドのスーパーディープタイプ「WH-9000-C75-TU」が登場。そして、昨年からはシマノ史上最軽量の前後セット重量1,151gを実現した「WH-9000-C24-TU」が追加された。

アルプス山脈などの超級山岳コースではC24、ボジョレーの丘の様のような丘陵地帯や中級山岳ステージでは軽量性とエアロを両立したC35、細かいアップダウンや平坦基調では50mmハイトのC50、更に完全な平坦やタイムトライアルではC75といったように、様々なコースプロフィールに細かく対応できる豊富なバリエーションがデュラエースホイールの特徴だろう。

大柄なライダーが多いBMCレーシングでは50mmハイトのWH-9000-C50-TUが多く使用されている大柄なライダーが多いBMCレーシングでは50mmハイトのWH-9000-C50-TUが多く使用されている photo:Tim de Waele
山岳ステージを走るリッチー・ポルト(チームスカイ)。その足元はWH-9000-C24-TUだ山岳ステージを走るリッチー・ポルト(チームスカイ)。その足元はWH-9000-C24-TUだ photo:Makoto.AYANO山岳では常に上位でゴールしているローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)山岳では常に上位でゴールしているローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン) photo:Makoto.AYANO

メイン集団を引くジャイアント・シマノ。平坦ステージでも選手によってリムハイトが異なるメイン集団を引くジャイアント・シマノ。平坦ステージでも選手によってリムハイトが異なる photo:Makoto.AYANO

ツールを走るDURA-ACEホイール ラインナップ

WH-9000-C24-TU

シマノ WH-9000-C24-TUシマノ WH-9000-C24-TU (c)シマノ
加速性能に長けた24mmハイトのリムを持つ、シマノ史上最軽量ホイール。前後セットで1,151gと非常に軽量であることから難関山岳コースで多く使用されている。その他、アルミ+カーボンラミネートのクリンチャーとチューブレスタイプも用意されており、こちらも超軽量だ。

仕様チューブラー、2:1スポークシステム、
エクストラワイドフランジ
重量1,151g
価格¥275,562(税込み)

WH-9000-C35-TU

WH-9000-C35-TUWH-9000-C35-TU (c)シマノ
35mmというミッドハイトリムによって、空力性能と加速性を両立したのがこのWH-9000-C35。重量は1,362gと軽く、様々なコースに対応する万能モデルだ。ニップルは整備性の高いリム側の外出し。その他、アルミ+カーボンラミネートのクリンチャータイプも用意される。

仕様チューブラー、2:1スポークシステム、
エクストラワイドフランジ
重量1,362g
価格¥308,329(税込み)


WH-9000-C50-TU

WH-9000-C50-TUWH-9000-C50-TU (c)シマノ
WH-9000-C50はスピードの持続性に優れる50mmハイトのリムを装備したことで、平坦コースから細かいアップダウンのあるコースに対応するプロ選手にとってのスタンダードモデル。山岳でも使用される機会が多い。その他、アルミ+カーボンコンポジットのクリンチャータイプもラインナップ。

仕様チューブラー、D2リム、
2:1スポークシステム、エクストラワイドフランジ
重量1,449g
価格¥240,111(税込み)

WH-9000-C75-TU

WH-9000-C75-TUWH-9000-C75-TU (c)シマノ
ハイト75mm、幅24mmという圧倒的なボリュームを誇るスーパーディープリムホイールがこのWH-9000-C75。横風に対して安定したハンドリングを得るD2リムの採用など、平坦やTTで優れた空力効果を発揮しながら1,545gと十分に軽量だ。ラインナップはフルカーボンのチューブラーのみとなる。

仕様チューブラー、D2リム、
2:1スポークシステム、エクストラワイドフランジ
重量1,545g
価格¥271,044(税込み)


今年のツール・ド・フランスも最終週に突入し、いよいよ勝負は佳境を迎える。新人賞を射程圏内に捉えたピノや2年連続シャンゼリゼゴール制覇を狙うキッテルをはじめ、今後もシマノ製品を使用する選手の活躍に注目だ。

提供:シマノ 企画/制作:シクロワイアード