神は、趣味で自転車を楽しんでいる愛好者であれ、日本のトップ選手であれ、実に様々な喜怒哀楽の人生を演出する。それは幾多のチャンピオンの称号とオリンピック代表という輝かしい実績を持つ鈴木真理選手にとっても同じこと。ひとつの落車から始まった試練と苦悩の日々が続く中で彼が得た幸せとは。そして今の心境とは。

骨折、絶望的なシーズンからの選択

今季より宇都宮ブリッツェンで走る鈴木真理今季より宇都宮ブリッツェンで走る鈴木真理 photo:Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
2012年8月6日、神奈川で合宿初日を迎えていた。雨のなかトレーニングを開始した。下りカーブで前方の選手が転倒して、私も避けようとしたが落車。大した事故ではなかったが、大腿骨小転子を粉砕骨折してしまう。

全治3カ月と言われたが、実際には歩けるようになるまでが3カ月だった。2012年のシーズンは絶望的。それどころか2013年シーズンを選手として迎えられるかどうかも微妙な状況となった…。

以前の状態に戻れるかすらわからない。この先どうなるかは、誰にもわからない状況。私のなかでは選手を続けたいと言う気持ちが強かったが、現実的に考えると、引退という選択をしなければならないと覚悟した。

これまで全日本ロードチャンピオンやJツアー/Jサイクルツアー(現Jプロツアー)総合3連覇など、数々のタイトルを手にしてきた鈴木真理これまで全日本ロードチャンピオンやJツアー/Jサイクルツアー(現Jプロツアー)総合3連覇など、数々のタイトルを手にしてきた鈴木真理 photo:Hideaki.TAKAGI2012年、新チームのキャノンデール・スペースゼロポイントに加入し、一時Jプロツアーリーダーとなるなど活躍を見せた鈴木真理だが、骨折により厳しい選択を迫られる2012年、新チームのキャノンデール・スペースゼロポイントに加入し、一時Jプロツアーリーダーとなるなど活躍を見せた鈴木真理だが、骨折により厳しい選択を迫られる photo:HIdeaki.TAKAGI

その後、苦しみながらもなんとかリハビリを開始できるまで回復したが、今度は脚に血栓ができてしまい、主治医の先生に「一生薬を飲まなければいけなくなるかもしれない」と告げられる。

病室で過ごす日々。復帰への道のり。どうするか悩んだあげく、新たなチームを探すことになった。


病院のロビーから電話をする。電話先は栗村監督だった。
心境を話し、状況を聞いてもらったことで悩んでいた私の心は明るくなった。
この時点では宇都宮ブリッツェンに加入できるかはまだわからなかったが、栗村監督の前向きな対応に何故か気持ちが明るくなった。

チームミヤタ時代の経験、メイドジャパンの凄さを知る

チームミヤタ時代、共に戦った栗村監督の元で再び走り出した鈴木真理チームミヤタ時代、共に戦った栗村監督の元で再び走り出した鈴木真理 photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS実は以前にも同じような心境で栗村監督に電話をしたことがある。

2005年の秋。ブリヂストンアンカーでヨーロッパをまわっていた年、怪我が重なり成績を出せず、2006年のチームを探す事になった。

この時はある程度走れていたので、「何とかお願いします!」と強気で相談したことを覚えている。
しかし、今回はそもそもまともに走れるようになるかすらわからない状況だったので、とても強気にはなれなかった。

2006年シーズンはそのまま話がまとまり、チームミヤタへの加入が決まる。実は、この時初めてパナレーサーのタイヤと出会い、“メイドインジャパン”の凄さを知ることになった。

海外メーカーのタイヤは、不満があっても改良の要望など出すことはできなかったが、国産メーカーは道路事情に合わせて意見を伝えるとすぐに改良品を送ってくれる。

その結果、みるみるタイヤの性能が上がっていった。温かいミヤタの社員の方々、そしてパナレーサーの宮路さんとの出会い。結局、2007年に名門チームミヤタは解散となったが、自転車の楽しさを改めて知る事ができた貴重な2年間だった。

再スタート

そして、2012年の秋。正式に宇都宮ブリッツェンへの移籍が決定した。落車後、宇都宮ブリッツェン以外には相談していなかったので、もし加入が決まらなければそのまま引退することになっていたはずだ。

2013年1月、宇都宮市内にあるチームの寮へ入り、沢山の方から激励の言葉をいただき、昨年まではライバルチームであった宇都宮ブリッツェンのメンバーとして新たなシーズンがはじまった。
ほんの半年前までは敵として走っていたのに、ブリッツェンのサポーターの皆さんは本当に温かく私を迎え入れてくれた。

2013年1月、レース復帰とその後の勝利を見据え、宇都宮ブリッツェンの一員としてチームキャンプに参加2013年1月、レース復帰とその後の勝利を見据え、宇都宮ブリッツェンの一員としてチームキャンプに参加 photo:Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS怪我からの復帰レースとなった5月の2days race in 木祖村を走る鈴木真理(TEAM BLITZEN)怪我からの復帰レースとなった5月の2days race in 木祖村を走る鈴木真理(TEAM BLITZEN) (c)Chiho.Iwasa

10ヶ月のブランクにも関わらず、2days race in 木祖村ステージ1bのスプリントを制した10ヶ月のブランクにも関わらず、2days race in 木祖村ステージ1bのスプリントを制した (c)Chiho.Iwasa
怪我をして、全てはイチからの再スタート。新たな鈴木真理を、ファンの皆さんに再生してもらっている気分です。現在、レースでもある程度は走れるようになってきました。
しかし、自分のなかではここまでに納得できる走りはできていません。目標であるジャパンカップまでに、納得いく走りがしたい。それが今の願いです。

ジャパンカップに向けて、一つ一つのレースでトップクラスの感覚を取り戻していきたいと思います。全ては恩返しのために。

シマノ鈴鹿にて、笑顔でファンのハイタッチに応じる鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)シマノ鈴鹿にて、笑顔でファンのハイタッチに応じる鈴木真理(宇都宮ブリッツェン) (c)Makoto.Ayano

プロフィール
鈴木 真理 すずき しんり
1974年12月25日生(38歳)神奈川県出身
10代の頃から国内トップレベルのレースで活躍し“天才レーサー”と呼ばれる。ブリヂストン、シマノレーシング、チームミヤタと、国内名門実業団チーム全てに所属。

アジアチャンピオン2回、全日本チャンピオン1回、Jプロツアーチャンピオン3回、その他、海外、国内問わず多くレースで優勝を経験する。2004年にはアテネオリンピックの日本代表となる。

若い頃は“やんちゃ”な選手だったが、年を重ねるごとに堅実さも増していき、現在は若手の育成にも定評のある日本を代表するベテラン選手となっている。

Panaracer「RACE C(classic)EVO2」tubular

ヨーロッパの荒れた路面に対応する「RACE A Evo2 」チューブラーのミックスパターンバージョン。

パナレーサー RACE C EVO2チューブラーパナレーサー RACE C EVO2チューブラー (c)パナレーサーヨーロッパのレースで使用されるコースには、その歴史の積み重ねによって表面が削れ、砂が浮き、荒れている路面も多々存在する。「RACE C (classic) EVO2」は、そんな荒れた路面に対応するため、昔から愛され続けているミックストレッドパターンを採用。

「RACE A EVO2」チューブラー同様に「ZSGデュアルコンパウンド」「PTベルト」「R'AIRチューブ」のテクノロジーが活かされており、パナレーサーサポートチーム「ソジャサン」も、この「RACE C EVO2」で「ツール・ド・フランス」に参戦した。

また「RACE C EVO2」には、世界で最も過酷なレースとして名高い「パリ〜ルーベ」を闘うために26mm幅もラインナップされており、ブルベにチューブラーで挑まれる方にもオススメのタイヤだ。

商品名「Panaracer RACE C(classic)EVO2」tubular
サイズ及び重量700×23mm(280g)、700×26mm(320g)
税込参考価格9,890円

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ソジャサン ニュース
ツール・ド・フランス2013(UCIワールドツアー)
第2ステージ6位ジュリアン・シモン選手(ソジャサン)個人総合3位
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第3ステージ9位ジュリアン・シモン選手(ソジャサン)個人総合2位
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第5ステージ9位シリル・ルモワンヌ選手(ソジャサン)
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第14ステージ敢闘賞ジュリアン・シモン選手(ソジャサン)
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パナレーサー ホイールトーク 特別編
vol.1:プロコンチネンタルチーム・ソジャサンの走りを支えるパナレーサー ツールでの展望
vol.2:ソジャサンとともにツールを駆け抜けたパナレーサー 栄光のパリ・シャンゼリゼ、示された信頼性
ツール・デュ・リムザン(UCI2.1)
第1ステージ9位アントニー・ドゥラプラス選手(ソジャサン)
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第2ステージ3位ジュリアン・シモン選手(ソジャサン)
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Panaracerサポート選手の注目ニュース
ジェラジャ・マレーシア(UCI 2.2 マレーシア)
個人総合 5位第1ステージ 3位窪木一茂選手(マトリックス パワータグ)
ポイント賞 総合5位第4ステージ 3位マリウス・ヴズィアック選手(マトリックス パワータグ)
アジアチーム 総合1位(チーム総合 4位)マトリックス パワータグ
Giang Television Women Cycling Cup(ベトナム)
個人総合 3位第6ステージ 2位上野みなみ選手(日本ナショナルチーム:鹿屋体育大学)
全日本自転車競技選手権大会ロードレース2013
男子アンダー23優勝徳田鍛造選手(鹿屋体育大学)
 3位山本元喜選手(鹿屋体育大学)
男子ジュニア3位雨澤毅明選手(那須ブラーゼン)
関連ニュース:徳田鍛造がアンダーを制する 黒枝咲哉、石上優大、坂口聖香が新チャンピオンに
Jプロツアー第8戦 西日本ロードクラシック広島大会2013
4位鈴木真理選手(宇都宮ブリッツェン)
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Jプロツアー第9戦 石川サイクルロードレース2013
2位堀孝明選手(宇都宮ブリッツェン)
ユース 2位雨澤毅明選手(那須ブラーゼン)
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全日本MTB選手権2013 XCO
女子優勝中込由香里選手(クラブ シーナック)
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湾岸クリテリウム2013
女子2位上野みなみ選手(鹿屋体育大学)
 3位塚越さくら選手(鹿屋体育大学)
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Jプロツアー第10戦 みやだクリテリウム2013
2位飯野智之選手(宇都宮ブリッツェン)
ユース 3位雨澤毅明選手(那須ブラーゼン)
関連ニュース:入部正太朗が逃げ切りでJプロツアー初優勝
ITUトライアスロンアジアカップ
蒲郡大会5位下村幸平選手(BOMA RACING)
大阪大会3位下村幸平選手(BOMA RACING)
五島長崎国際トライアスロン
男子エリート2位飯田忠司選手
みなと酒田トライアスロンおしんレース
2位(東北選手権 1位)長谷川健選手(G.A.M./SUNNY FISH)
IPC世界選手権(車イス陸上)
1500m2位土田和歌子選手(サノフィ アベンティス)
マラソン2位土田和歌子選手(サノフィ アベンティス)
提供:パナソニック ポリテクノロジー株式会社