ブルックスを擁するセラロイヤルグループは今年、日本発のカジュアル自転車ブランド、「PEdAL ED」と組むことを発表した。なぜ日本のブランドに注目したのか。そして、その目的とはなんなのか。ブルックスのブランド・ディレクター、クリスティーナ・ブルディグさんに語ってもらった。

ブルックスがPEdAL EDとが組んだ理由を語るブルディグさんブルックスがPEdAL EDとが組んだ理由を語るブルディグさん 自転車カジュアルブランド、PEdAL EDのラインアップ自転車カジュアルブランド、PEdAL EDのラインアップ


今年初頭、日本発の自転車カジュアル・ブランドであるPEdAL EDがブルックス・ファミリーの一員となったと発表された。
PEdAL EDは、「自転車と一緒の時間を楽しむ」ためのカジュアルを製作するアパレルブランド。高機能素材は使わず、コットンやヘンプなどといった、天然の素材を材料として利用。自転車に乗るための機能を優先するのではなく、自転車と過ごしていくライフスタイルのなかで、着やすく、そしてもちろん乗りやすい、毎日の服を作っている。
なぜ日本のカジュアルブランドと手を組んだのか。そしてPEdAL EDと共に目指すところはなんなのか。 世界的な視点を持つ ブルディグさんに、さまざまなお話を伺った。

―今年初頭、ブルックスと日本発の自転車カジュアルウェア PEdAL EDが手を組んだと発表されたときには、みんなが驚きました。

 そうですか、私たちは、ごく当たり前の流れであると感じていたんですけどね。というのも、ニューヨークやロンドンといった、いわゆる最先端の街で走るサイクリストを見ると、サイクルウェアを着て走っている人は、あまり見かけません。ほとんどが、毎日着る装い、普段着やカジュアルウェアを着ている人ばかりです。

 そういったスタイルを提唱していたのが、Pedal E.D.でした。彼らとは、昨年のユーロバイク(ヨーロッパ最大の自転車展示会)で初めて会ったのですが、一目見た瞬間に、これだ! と思いました。その製品も、コンセプトも、そして作っている人々も、私たちに求めていたイメージにピッタリだったのです。ロンドン、ニューヨーク、そして日本で受け入れられている、今ならではの、アーバンなサイクリング・スタイルです。

PEdAL ED 代表 ヒデこと鈴木秀人さんPEdAL ED 代表 ヒデこと鈴木秀人さん ドイツ・ユーロバイクショーでの、PEdAL EDブース展示ドイツ・ユーロバイクショーでの、PEdAL EDブース展示



―日本の自転車カルチャーに、ブルックスは、長い間目を付けていたのですか?

 もともと、私たちは、日本のブランドに私たちのファミリーに入ってもらいたいと考えていました。というのも、日本の自転車文化とマーケットが、今、世界の最先端にあると感じているからです。エレガントなファッションシーンや自転車のレースシーンでは、ヨーロッパが最先端かもしれませんが、街中で自転車と過ごすためのアーバンなスタイルは、世界が日本の後を追っていると感じています。言ってみれば、日本は自転車カルチャーに置いて、5年は先を進んでいるのです。世界には、あまり知られていないことだけれども。

―日本が5年先を! そのように感じられるのは、どのような点からですか?

 東京、京都といった街中を見れば、自転車に乗るだけでなく、みんなとても自由な発想でファッションを楽しんでいます。例えば色の組み合わせ。今の東京では、発色の良い蛍光カラーを使いこなしている人を見かけますが、これは世界の大都市にはほとんど見られないことです。

 それに、一つの流行にとらわれるようなことがないような気がしています。特に日本の若くて感度のいい世代は、自分たちの好きなものを、自分たちなりに表現して、モノ作りを行っています。昨今のメッセンジャー文化の流行にしても、日本が大きな役割を果たしたことは、すでにわかりきっていること。

 そういった意味でブルックスは、私たちの考え方や品質に対する姿勢を理解できる小さなブランドと、一緒になるべきだと思いました。モノ作りへの心と、品質へのこだわりを、メイド・イン・ジャパンというプライドとともに行っているブランド、それがPEDAL.E.D.でした。

PEdAL EDのアウタージャケット《ウェザー パラフィン アドベンチャーパーカ》PEdAL EDのアウタージャケット《ウェザー パラフィン アドベンチャーパーカ》 フード付きシャツ《コットン チェック ペダリング シャツ パーカ》フード付きシャツ《コットン チェック ペダリング シャツ パーカ》 着心地のよさそうな《ランダム ヘリングボーン クラシック 2トーン シェルパーカ》着心地のよさそうな《ランダム ヘリングボーン クラシック 2トーン シェルパーカ》



―今年のユーロバイクで、PEdAL EDを、ブルックス・ファミリーの一員として、世界に紹介されましたが、その反応はどうだったと感じていますか?

 今年のユーロバイクでは、ブルックスと同じブースで、PEDAL.E.D.を紹介したのですが驚いたのは、ヨーロッパの人々が、PEdAL EDを、エキゾチックだと感じたことです。つまり安心できる伝統的なものではなく、自分たちとは別の世界にある何かだ、という反応を示したことです。

 特にドイツでは、人がなにか新しいことを行うと、まずそれに対して驚きと拒否の混じった反応を示します。ブルックスのファミリーとなるブランドは、たぶん、もっとトラディショナルなイメージの服であってほしかったのでしょう。でも今の市場、アウトドアっぽい製品が主流となりつつある自転車の市場を変えていくのであれば、ブルックスと同じ考え方を持ちながら、しかも最高の製品を作っているものを紹介しなければなりません。そしてブルックスは、PEdAL EDが、その役目を存分に果たしていると感じています。

 ブースに訪れた人々は、最初、彼らの服を見て「よくわからない」といいました。でも、次の日のなると、それをこぞって試着していたのです。私は、新しいものに出会った人がとる態度は、そういうものであると感じています。

ブース内には、鈴木氏の大きな写真でブランドコンセプトを明示ブース内には、鈴木氏の大きな写真でブランドコンセプトを明示 ショー後半には、ひっきりなしに人々の対応をしていた鈴木氏ショー後半には、ひっきりなしに人々の対応をしていた鈴木氏


ユーロバイクでのブルックスのブース。この一角にPEdAL EDも並んだユーロバイクでのブルックスのブース。この一角にPEdAL EDも並んだ ブルックス・ブースの中はこんな具合。商談というよりくつろぎの会合、という様相だったブルックス・ブースの中はこんな具合。商談というよりくつろぎの会合、という様相だった



―PEdAL EDも、ブルックスも、ともに自転車アパレルを作っていますよね?

 ブルックスとPEDAL. E.D.は、共存できると考えています。たとえばブルックスもジャケットを作りましたが、それは英国風のクラシカルなものになります。でも、ヒデ(鈴木秀人氏、PEDAL E.D.代表)なら、若くてスポーティな人々にマッチするものを提案してくるでしょう。それは、ブルックスの作るバッグとも、よく似合うものになるはずです。

私たちは、PEDAL.E.D.が、日本でより活躍してくれるのを祈っています。そして、それと同時に、海外で広めていくのが私たち、ブルックスファミリーの役割です。そういった、メイド・イン・ジャパンであるPEdAL EDと、メイド・イン・イングランドであるブルックスとが、これからの、アーバンな自転車文化を、共につくりあげていくこと。それが目的です。みなさんにも私たちブルックスと、PEdAL EDが協力して、新たな自転車文化を創りあげていくことに、ぜひとも協力してほしいのです。

―それは、どういった形で?

まず、私たちのウェブを見てください。英語ですけれども、ブルックスは、さまざまな自転車の文化を、ウェブページで紹介することから発信しています。そしてFACEBOOK。数ヶ月前にページを作ったのですが、まだまだ日本の方とつながっていることが少ないように感じています。FACEBOOKに登録されているなら、ぜひ、ブルックスのFACEBOOKページの『いいね!』を押してもらって、日本からも応援しているんだ、ということを伝えてもらえると、うれしいですね。

ブルックスの本国ウェブページ。さまざまな自転車にまつわるイベントや情報が満載されるブルックスの本国ウェブページ。さまざまな自転車にまつわるイベントや情報が満載される ブルックスのFACEBOOKページ。製品やイベント情報のアップデートが重ねられるブルックスのFACEBOOKページ。製品やイベント情報のアップデートが重ねられる


 

interview:中村パンダソニック Pandasonic Nakamura
協力:ダイアテック・プロダクツ