スペシャライズド・ジャパンが「スポーツ自転車に関する実態調査」を独自に行い、発表した。
この調査は、スポーツ自転車ライダー449名に対してスペシャライズド・ジャパンが独自に行なった意識調査。その結果、「自転車で歩道を通行する際は、車道寄りの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げてはならない」などとする道路交通法の基本的ルールを知らない人や、普段からヘルメットを被らないという人が多数派を占めるというユーザーの実態が分かったという。

(以下、スペシャライズド・ジャパンによる発表資料から抜粋して紹介する)


スポーツ自転車に関する実態調査結果
自転車利用者数は増加の一方、道路交通法の基本的ルールを知らない方が多数


-車道の左側通行、歩道通行時の歩行者優先は特に知られておらず-
‐ヘルメットの着用率は2008年度に比べわずかに上昇するものの、依然低い現状-


スポーツ自転車および関連商品を製造・販売する米国スペシャライズド社の日本法人、スペシャライズド・ジャパン株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:馬場誠)は、スポーツ自転車のブランド認知度や、実態把握を目的として、7月30日(金)から8月3日(火)の期間、「スポーツ自転車に関する実態調査」を実施いたしました。その中で、自転車に関する道路交通法について伺ったところ、基本的なルールを知らない方がまだまだ存在することが明らかになりました。

■道路交通法の基本的なルールを知らない人が多数

健康増進への意識が高まる中、通勤・通学手段をはじめとして移動手段に自転車を利用する方は増えています。自転車はCO2排出量が無く、環境保護の観点からも優れた交通手段ですが、都心部などの交通量の多いところでは事故に遭う可能性も否定できません。自転車・歩行者・自動車が安全に道路を走行できるように、現在、道路交通法では自転車は軽車両と位置付けられ、以下記載のようなルールが定められています。

【自転車に関する道路交通法の基本的なルール】

・自転車で歩道を通行する際は、車道寄りの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げてはならない
※ 歩行者の通行を妨げるような場合には、一時停止しなくてはならない
 歩道と車道の区別があるところでは原則として車道の左側を通行しなければならない
※ 高齢者や児童、身体障害者が運転する場合、また安全に車道を通行できないなどのやむをえない場合は歩道を走行しても良い
・酒気を帯びて自転車を運転してはならない
・夜間、自転車で道路を走るときは、前照灯及び尾灯(又は反射機材)をつけなければならない

今回の調査で、スポーツ自転車ライダー449名に対し、この基本的なルールについて知っているか質問したところ、各々について知らない方が少なからず存在することが分かりました。(グラフ1)

特に、「車道左側通行」と「歩道を通行する際、歩行者の通行を妨げてはいけないこと」については、実に約6人に1人の方が知らないことが明らかです。
歩道で歩行者を妨げるような走行をすると接触事故の危険性が高まりますし、また車道右側を通行した場合には、左側通行を遵守している自転車との衝突の危険性が高まることはもちろん、本来必要のない回避行動をした結果、車両との接触事故を引き起こす可能性もあり、大変危険です。

▲<グラフ1>道路交通法上、正しいルールだと思うものを選んでください▲<グラフ1>道路交通法上、正しいルールだと思うものを選んでください ※数字は誤答率を示しています

いわゆる「ママチャリ」に比べると、乗車頻度が高く安全への意識も高いと考えられる「スポーツ自転車」ライダーの理解がこうした状況であることを踏まえれば、「ママチャリ」に乗っている方の理解度はさらに低いことが想定されます。日本では自転車乗車中の交通事故は年間15万件以上も発生しており、中には歩行者との接触事故によって自分はもちろん、被害者の人生を狂わせてしまう、多額の賠償金を課せられる、などの重大なケースもあります。

自転車は非常に手軽で便利な交通手段ですが、正しいルールを理解し、安全な運転を心掛けることが求められます。


■ヘルメットの着用率は依然として、低い現状

スポーツバイクに乗る人でも、ヘルメットを被るユーザーは少数派という結果が出た(スペシャライズド・ジャパン調べ)スポーツバイクに乗る人でも、ヘルメットを被るユーザーは少数派という結果が出た(スペシャライズド・ジャパン調べ) 写真はサイクリングイベント中に撮影したイメージ写真です。自動車事故を含めた交通事故全体の死者数は、1970年の16,765人を境に大きく減少傾向で2009年では4,914人と遂に5,000人を切り、5年前である2004年の7,358人に比べても約33.2%減少しています。

ところが、自転車乗車中の事故に限っての死者数は2009年では695人と、5年前2004年の859人に比べての減少率は約19.1%にとどまり、2009年の交通事故全体の死者数に占める自転車乗車中の事故による死者数の割合が実に約14.1%にのぼっています※1。
※1警視庁交通局統計資料より

こうした状況を踏まえると、たとえ現在の法令上で義務が無くとも、自転車に関して安全に走行するために必要だと思われる要素が存在します。たとえば、「ヘルメットの着用義務」は現在道路交通法では定められていませんが、死亡事故の死因の約7割は頭部損傷によるもので※2、万が一事故に巻き込まれた場合に自分自身の命を守る手段としてヘルメットが有効なことは明らかです。 ※2警視庁自転車対策検討懇談会資料より

しかし、スペシャライズド・ジャパンが2008年に実施した「スポーツ自転車に関する実態調査」の中で、スポーツ自転車ライダー640名に対し、「普段スポーツ自転車に乗る際にヘルメットを着用するかどうか」について質問を行った結果、「いつも被らない」「被らないことが多い」と答えた方は全体の84.7%にのぼり、大半のスポーツ自転車ライダーがヘルメットを被っていないという状況が明らかになりました。(グラフ2参照)

今回の調査の中でも、スポーツ自転車ライダー449名に対し同様の質問をしたところ、「いつも被らない」または「被らないことが多い」と答えた方が合計で75.7%との結果が出ました。(グラフ2参照) 以上のことより、2年間で若干ヘルメットの着用率は上昇していることはうかがえるものの、依然として約4人に3人のスポーツ自転車ライダーはヘルメットを着用していないという状況にあり、まだまだ低い水準にあるといえます。

▼<グラフ2>【2008年と2010年の比較】スポーツ自転車ライダーにおけるヘルメットの着用率▼<グラフ2>【2008年と2010年の比較】スポーツ自転車ライダーにおけるヘルメットの着用率 ※四捨五入の関係で、合計値が100%になっていない箇所があります

日本ではまだまだいわゆる「ママチャリ」に乗っている方が大半で、自転車に対する交通環境があまり整っていない状況があり、ヘルメットの必要性は特に高いと考えられます。また、ヘルメットを取り巻く法令は2009年6月に道路交通法の一部が改正、「児童や幼児が運転する場合、保護者が乗車用ヘルメットを被らせるように努める」努力義務が課せられるなど、日々刻々と変化しています。前頁記載のような基本的なルールを理解することはもちろん、ライダー1人ひとりがヘルメット着用への意識を高めていくことが必要だと思われます。

スペシャライズド・ジャパンでは、こうした状況の改善の一助とすべく、ヘルメット啓発活動として2010年10月から「自転車通勤を支援している企業へのヘルメットの無償提供活動」を開始いたしました。今後もヘルメットをはじめとして全ての人が安全かつ快適な自転車生活を送れるよう、安全啓発の活動を続けてまいります。


「スポーツ自転車に関する実態調査」 概要
 調査地域全国
 対象 15~69歳の男女 スポーツ自転車ライダー 449人
※4万円以上のマウンテンバイク・ロードバイク・クロスバイク・折り畳み自転車・小径車のいずれかを所有する方
 調査方法 WEB調査
 調査期間 2010年7月30日(金)~2010年8月3日(火)
 調査会社株式会社インテージ