「ほんの僅かな可能性を掴みにいった」と語るのは、逃げ切り勝利を決めたタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)。後方の集団スプリントで先着したチモライや、エヴェネプールの復活に言及したガンナなどジロ3日目を終えた選手たちの言葉を紹介します。



ステージ1位 タコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

表彰台で笑顔を見せるタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)表彰台で笑顔を見せるタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:CorVos
ただただ信じられない。今日は何があっても逃げに乗ると決めていたが、まさかこんな形でフィニッシュするなんて計画になかった。でも、少しでも可能性があるのならそれを掴みにいかなければならない。(後方集団と)4秒差?もう少しあったと思っていたが、フィニッシュラインで喜びを表現するには十分なタイム差だった。最後に鋭角なコーナーが2つ待っていることはわかっていたので、勝利を確かなものにするため、抜けてからスプリントを開始した。

僕は勝利を狙うことの難しい選手だ。(元チームメイトの)ディラン・フルーネウェーヘンとスプリントしても勝ち目はないし、タイムトライアルでも同様だ。勝利を掴む唯一の方法が逃げに乗ることだった。ワールドツアー初参戦ということもあり、チームと共に大きな一歩を踏み出すことができた。こんな良いレースに選んでくれたチームの信頼に応えることができてとても嬉しいよ。

ステージ2位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション)

2位スプリントで先着したダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション)2位スプリントで先着したダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos
今日は登りでかなり苦しみ、最後から2つ目の峠は特に辛かった。でもなんとか登り切りメイン集団に残ることができた。最終的にはスプリントの責任を全うでき、サガンやヴィヴィアーニ、ガヴィリアたちを抑え、ステージ2位という結果に満足している。でも同時にジロを勝てるチャンスを逃したことが悔しい。時間は巻き戻せないが、次の機会に向けて頑張りたい。

ステージ3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

チームが一日中集団を牽引するも3位に沈んだペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)チームが一日中集団を牽引するも3位に沈んだペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
完璧な作戦を実行するためにチームはとてもよく働いてくれた。ステージ勝利のため懸命な走りをしてくれたチームメイトに感謝したい。僕たちはベストを尽くしたが、僕らは常に勝利を目指し戦うチームだ。2位や3位に甘んじるなんて許されることではない。

ステージ4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)

(フィニッシュ直後チモライを肘で押したことについて)
フィニッシュ後の行為に対してチモライに謝罪したい。でも彼がフェンスへ押しやってきたんだ。最終的に4位という結果は、登りでの苦労が水の泡となってしまった気分だよ。

ステージ7位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)

メイン集団の先頭でフィニッシュできたということは、コンディションが良い証拠だ。それにチームもよく働いてくれた。最後のスプリントまでの道のりのせいで脚が重く感じたが、これから来る勝利のチャンスに期待している。

残り15kmでメイン集団から飛び出したトニー・ガロパン(フランス、AG2Rシトロエン)

追走を仕掛けたジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)とトニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール・シトロエン)追走を仕掛けたジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)とトニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール・シトロエン) photo:CorVos
このようなトリッキーなフィニッシュなのに集団からアタックはなく、でも僕の脚は良かった。(逃げていた)アレクシー・グジャールが吸収され、(スプリンターの)ローレンスも遅れたので僕にチャンスが巡ってきた。だから自分の運を試してみたんだ。

マリアローザ フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)

マリアローザの90歳の誕生日に総合首位を守ったフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)マリアローザの90歳の誕生日に総合首位を守ったフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:LaPresse
中間スプリント地点までの登りを大きなギアで登るレムコ・エヴェネプールに感動したよ。彼の脚は十分に戻ってきている。あのような落車からプロトンにカムバックを果たした彼の姿に感銘を受けた。

今日はジャージを守ることが何よりも重要なミッションだった。なぜなら明日のように狭く曲がりくねった道を走るステージで、チームカーを後ろの隊列の先頭に位置させるためだ。平凡に聞こえることかもしれないが、非常に大切なことなんだ。明日は僕よりも登りに適したライバルたちが活躍するステージ。でもイネオスにも2人のリーダーがいるので、このジャージをチームでキープできるよう願っている。明日はチームのために働く。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos