ある日、ボッシュから届いた一通のメール。「E-MTBオンリーのエンデューロレースが開催されるんですが、出場しませんか?」そんな面白そうな企画、参加しないわけにはいかない。いそいそとヤスオカが返信したメール、それがあの男を呼び出すきっかけだとも知らずに……。



初開催となったE-MTB専用レース ENS-e初開催となったE-MTB専用レース ENS-e
さて、不穏な感じの導入ですが、まずはエンデューロレースをご存じでない方のために説明すると、SSと呼ばれる下りの計測区間の合計タイムを競う下り系のレース。SSとSSの間のリエゾン区間は登りとなっており、下りも登りもこなすことが出来る総合力が求められる種目として世界中で人気を集めるカテゴリーだ。

そんなエンデューロレースの世界を日本でも楽しめるようにと展開しているのがENSシリーズ。そんなENS初となるE-MTBオンリーのイベントが、今回招待されたENS-eなのだ。ちなみに私、ヤスオカはMTBは持っているけど、XCマラソンに挑戦したかったこともあり所有するのはハードテールのみ。下り系レースはもちろん初めてで、命が2つあれば挑戦してみたい、と常々思っているくらいのチキンハートの持ち主だ。

でも今回は、E-MTBのレンタルもあるとのことで、とりあえず機材面での心配はない。なんとなれば、「良いやつ用意しますよ!」というボッシュの担当者さんのお言葉も頂き、むしろ期待は膨らんできた。ウキウキとドキドキがないまぜになりつつ、レース取材の出張申請と撮影機材を確保するために出社した私を待ち受けていたのは、そう久しぶりに登場するメタボ会長の意外な一言だった。

下りの計測区間の合計タイムを競うレースがエンデューロだ下りの計測区間の合計タイムを競うレースがエンデューロだ
「マウンテンバイクのレースを実走取材するので、出張の承認お願いします」と告げた私に投げかけられたのは、「これは俺も出れるのか?」という一言。

完全に予想外の言葉に、「はい?MTB持ってないでしょ?というか、『オフロードは危険だから記事にするな!』とか言ってなかったっけ?」と思わず聞き返しそうになってしまう。

しかし、なんとか一旦グッと飲み込んだのは、このおっさんに振り回されて身に着けた私の処世術の賜物だ。どうにか100重くらいのオブラートに包んで聞いてみるが、歩くダブルスタンダードと呼ばれるメタボ会長にはどこ吹く風。そういえば、最近E-BIKEにグラベルタイヤを履かせてからというもの、オフロードは楽しいな!とか言ってたんだった。

後悔先に立たず、とはよく言ったものである。「出れないことは無いと思いますが……」と、とりあえず出場枠に空きが無いかは聞いておくことに。「ただレンタルバイクは無いかもなので覚悟しといてくださいよ!」と伝えると、「心配するな!」という力強いいらえが帰ってきた。いや、どちらかと言えばついてこられる心配をしているのですが……。

とはいえ、申込締切までは時間がある。レンタルバイクもあえて遅めに連絡すれば手配もつかず、自動的に会長の出場は立ち消えになるはずだ。「レンタルバイクの件はどうなった?」と会長からは矢の催促だが、ある日は「いや、コロナの影響で準備が遅れているようで……」、またある日は「スエズ運河が詰まったせいでスケジュールがキツイみたいで……」ともはや何の言い訳かわからない理屈で誤魔化し続けてきたある日、業を煮やした会長からメールが届いたのだった。

不吉な予感に苛まれつつ、開封確認がついているので見逃すわけにもいかない。"Metabo_EMTB"というこれ以上なく最悪なファイル名の添付画像を開くと、なぜか満面の笑みでトレックのRail5を納車されている会長の姿が写っていた。

これが突然送り付けられてきた写真である。これはRail5……?これが突然送り付けられてきた写真である。これはRail5……?
や、やりやがった……。あふれる財力にモノを言わせたパワープレイである。お金があればE-MTBも欲しい、でも先立つものがなあ、なんて悩んでいる私を尻目に秒速で購入。いっそ清々しいまでの散財っぷりである。いっそのこと、早く飽きちゃえば格安で譲ってもらえるのでは?なんて、邪な思いすら湧き上がってくる。

それにしても、Railとはなかなか良いチョイスだ。それは認めざるを得ない。MTBに乗り慣れた人であれば、軽量なスペシャライズドのLevoが人気だが、一方でメタボ会長のような重量級ライダーにはやはりパワフルなボッシュユニットの恩恵は大きい。体重が重い分、バイクの重量の差も相対的に小さくなることも好材料だ。

なんてことを考えていると携帯が鳴る。「早速シェイクダウンに行きたいんだが、今週水曜は暇か?」「イエ、トテモイソガシイデス」「何を言ってるんだ!テレワークをいい事に毎日走り回っているのはSTRAVAで把握してるんだぞ!水曜6時に編集部に集合な!」。なんてこった、STRAVAのアカウントを教えた記憶はないのだが……。怪しげなフォロワーをブロックしつつ、光の速さでアカウントに鍵をかけるのだった。

まずは駐車場に集合しますまずは駐車場に集合します 神妙な面持ちでレクチャーを受ける神妙な面持ちでレクチャーを受ける


まずはこの日のインストラクターである江越さんにお手本を見せてもらうまずはこの日のインストラクターである江越さんにお手本を見せてもらう そして、実際にやってみてアドバイスをもらうことが出来るそして、実際にやってみてアドバイスをもらうことが出来る


そんなこんなで向かったのが小田原にあるフォレストバイク。海外のトレイルビルディング会社で経験を積んだ浦島氏によるフロートレイルと、充実の初心者講習が魅力的なMTBコースだ。確かに初めてのMTB経験にはピッタリである。誰だ、こんなちゃんとしたスポットを会長に入れ知恵したやつは。ぶっつけ本番でENSにぶち込んで痛い目を見てもらい、もうMTBはこりごりだ!となった会長からRailをただで譲ってもらう計画がおじゃんである。

早速、初心者講習を受ける会長。平日だが結構人がいて、人気のほどが窺える。普段はうるさい会長も、皆さんと一緒になって神妙にレクチャーを受けている。乗車前の点検にはじまり、ブレーキのかけ方や基本のポジションなど一通り受講し終わると、「これは良い取り組みだな!MTBを始めたい人はみんなここに来た方が良いぞ!」となぜか上から目線で太鼓判を押してくれる会長なのであった。

初めての本格的なトレイルでいいペースを刻むメタボ会長初めての本格的なトレイルでいいペースを刻むメタボ会長
初回講習を受けた後は、コースイン。オフロードの下りは初めてなのだから、きっとブザマな様子を見せてくれるだろう……という私の期待はあっさり打ち砕かれた。このオッサン、妙に速いのである。確かにXCハードテールと160mmストロークのフルサスバイクという違いはあるが、それにしたって速い。いや、自分のダウンヒル技術に自信があるわけでは微塵もないのだけど、全くの初心者である会長に千切られるとは想定外だ。

「いやぁ、モトクロスに比べると速度が全然遅いから感覚が狂うな!コーナー中にアクセル開けられないのが違和感あるけど、逆に面白いな!」そうだったッ!このオッサン、30年以上前とはいえ若かりし頃はバイクを操ることを生業としていたんだった。会社では完全に頭が上がらないまでも、完全に初体験のMTBでは先輩風を吹かせてやろうという目論見が外れてしまい、内心焦る。

パンプトラックに苦戦するメタボ会長パンプトラックに苦戦するメタボ会長
だが、一方でモトクロスとは本当に動きが違うらしいのがパンプトラック。コーナーへは初心者とは思えないスピードで入っていくのに、パンプはまったく動きを合わせられていない。曰く「完全にモトとは動きが逆」ということだが、憎たらしいオッサンが四苦八苦している姿を見るのはまさに愉悦。そんなこんなで1日中フォレストバイクで走り込み、MTBデビューを果したのであった。

遊び終わったメタボ会長に、E-MTBデビューの感想をヒアリングしてみると、「このパークは素晴らしい施設だったな!まず、インストラクターさんの講習が丁寧で判り易い!おまけにコースメンテナンスが最高!オフロードの路面をここまでピカピカに仕上げる労力は半端ないと思うよ。此処は万人にオススメできる素晴らしいパークだよ!」

E-MTBの感想そっちのけでコースを絶賛してくる。いやいやほめ過ぎじゃない?と思うほど会長にはお気に入りのコースだった様子だ。実際私もこの意見には同意だ。ちなみに私たちはフォレストバイクさんから賄賂は一切受け取っていません(笑)。



バイクのセッティングに余念が無いバイクのセッティングに余念が無い ゼッケンに各SSのスタート時間を記入していくゼッケンに各SSのスタート時間を記入していく


参加者が集まったダイナコパーク参加者が集まったダイナコパーク
さて、迎えたENS-e当日。舞台となるダイナコパークはツインリンクもてぎのほど近くにある。「今日はモテギでバイクの全日本選手権やってるんだよ!君らも自転車なんかよりそっちの取材のほうが良いんじゃないか?」などと会長はいつも通りの嫌味を交えつつ会場入りだ。

さて、今回私に用意されていたのは、スコットのフルサスE-MTBである"Genius e-RIDE"。会長のRail5とほぼ同様のスペックを持つ160mmトラベルのアルミモデルとあって、これでバイク面でのハンデは無い。フォレストバイクで味わった屈辱、ここで晴らしてみせる!
と、内心メラメラ燃えているが、考えてみれば私もエンデューロレースなんて初めてである。

コナのE-MTBで参加されていたアベさん。全くそうは見えませんが、なんと60代での参加。コナのE-MTBで参加されていたアベさん。全くそうは見えませんが、なんと60代での参加。 Youtuberのたち兄さんも出場されていたYoutuberのたち兄さんも出場されていた


三上さんにアドバイスを受ける会長 ずるいですよ!三上さんにアドバイスを受ける会長 ずるいですよ!
下り系のMTBイベントって、やっぱりフルフェイスにプロテクターフル装備が必須なのだろうか、なんて見た目から入りがちな一人のサイクリストとして周りを見渡してみるが、恰好は人それぞれ。フルフェイスにボディーアーマーまでフル装備の方もいれば、トレイルライドっぽい恰好の人も。それぞれの技量と攻め方に合わせたスタイルで良いようだ。

目標としては、会長に負けたくないという以外は無事に落車せずに帰る、というくらいしかないわけで、無理に攻めるつもりもないし、攻める技術も度胸も無いので、かなり身軽な恰好で挑むことに。といっても、二―ガードくらいは買っておいても良かったかもしれない。

初心者向けアテンドを担当する三上さん まずは基本的なポジションから初心者向けアテンドを担当する三上さん まずは基本的なポジションから ファーストタイマーだけではなく、多くの人が集まったファーストタイマーだけではなく、多くの人が集まった


それでは早速コースへ!それでは早速コースへ!
今回初開催となるENS-eでは初参加の方のために、トップライダーが様々なアテンドをしてくれる。特にためになったのが、飯能のサイクルハウスミカミの三上店長によるコースレクチャーだ。もちろん、会長と2人で参加。出発前の基本的な乗り方講座から、ためになることばかり。

この講習に参加しているのはファーストタイマーやレンタルプランの参加者を中心としつつ、三上さんのアドバイスを受けるべく経験者の方もちらほら。大体こういったイベントだと、周りの方が全員自分より上手く見えるもの。そもそもE-MTBを所有している方なので、事実として自分よりもMTB慣れしている方ばかりではある。

早速お手本を見せてくれる三上さん早速お手本を見せてくれる三上さん
各コースの重要セクションについて、しっかりポイントを押さえていくアテンド各コースの重要セクションについて、しっかりポイントを押さえていくアテンド
ちょっと気おくれしてしまいそうになるけれど、そこは皆さん初心者同士ということで、和気あいあいとした雰囲気。三上さんのレクチャーに、みなさん食い入るように聞き入っている。もちろん、私もその一人だ。

さて、計測区間となるセクションは3つとなり、本番では午前と午後の2回走ることとなる。まずはペダルアップで一旦頂上へ。SS1はいかにもトレイル、という雰囲気のコース。とはいえ結構フローでキレイに整備されており、恐さを感じるような箇所も無い。むしろ難所はその後のリエゾン区間だ。

S1の後のリエゾンは路面も悪く難しい。膝の痛みを訴えるメタボ会長。S1の後のリエゾンは路面も悪く難しい。膝の痛みを訴えるメタボ会長。 三上さんはもちろんここも乗車でクリア。三上さんはもちろんここも乗車でクリア。


スタート台に担ぎ上げていく。ここもウォークアシストが欲しくなる瞬間スタート台に担ぎ上げていく。ここもウォークアシストが欲しくなる瞬間
かなりの斜度とフカフカの路面で、E-MTBでも乗って登るのはかなりの難易度。だが押して歩くのは更に辛い。思わず、「ウォークアシストモードを解禁してくれ!」と叫びそうになってしまった。ちなみに、ウォークアシストとは、ボタンを押すと自動で進む機能。トレイルでの押し歩きの負担を減らすモードなのだが、日本では法規制の関係で利用できないのだ。

そんな急坂リエゾン区間で振り返ると、メタボ会長の表情が苦痛に歪んでいる。「膝が爆発しそうだ、ヤスオカ君、自転車押してくれないか?」などと言っているが、こちらはこちらでいっぱいいっぱいである。「本番はどうにか乗れるところまで乗って、押す区間は最小限にした方がいいですよ」などとアドバイスするので精一杯だ。

三上さんによるアテンド隊がS2を下り切ってきました三上さんによるアテンド隊がS2を下り切ってきました
華麗なジャンプを披露する阿藤寛華麗なジャンプを披露する阿藤寛 人の走りを観察するのも上達への近道人の走りを観察するのも上達への近道


S3へのリエゾンはブーステントの間を抜けていきますS3へのリエゾンはブーステントの間を抜けていきます S3へのリエゾンを行くメタボ会長。なんだか雰囲気のある道S3へのリエゾンを行くメタボ会長。なんだか雰囲気のある道


SS2は今大会の最長区間。山頂からメイン会場まで下るコースで、前半はテクニカルなトレイル、後半はバームの連続するセクションとなっている。特に前半はラインどりが重要だ、と三上さん。「突っ込みすぎてギリギリでブレーキを掛けるより、余裕を持ったスピードで走る方が結果的に速いし安全ですよ」と非常にタメになるアドバイス。

SS3に向かうリエゾンはもう一つの山へと移動。こちらも激坂の直登があるが2つ目のリエゾンよりは難易度低めでE-MTBの本領を発揮し、気持ちよく登っていける。それでも初めてのメタボ会長には難しかったようで、「うぉお、前輪が浮いちまうよ!」とひっくり返りそうになって止まっている。

リエゾンの激坂にチャレンジするメタボ会長 この後前輪が浮きそうになりストップ。リエゾンの激坂にチャレンジするメタボ会長 この後前輪が浮きそうになりストップ。
その後、三上さんのアドバイスを受けて登れるようになった会長、満面の笑みであるその後、三上さんのアドバイスを受けて登れるようになった会長、満面の笑みである
ギリギリ登り切った私は、七転八倒するオッサンの様子をスタート地点からニヤニヤ眺めて日頃の溜飲を下げる。だが、三上さんが「もっと前に荷重するといいですよ!」とアドバイスすると、不格好ながら乗車して登り切ることに成功してしまった。余計なことを……。

グヌヌ、と歯噛みする私とは対照的に、「いやいや、一定の踏力で回し続けると笑っちゃうくらい急な坂でもスイスイ登ってくれるから、E-MTBだとある意味下りより上りの方が楽しくすら感じちゃうな。」と呟きながら、ボッシュパワーにモノを言わせてグイグイ登る会長はご満悦の様子。その先、SS3は短めのフロートレイル。後半のコーナーはフラットなのでそこの処理でタイムが変わりそうな印象だ。

専用の電源まで用意する猛者も。これだけあれば何度でも試走できる専用の電源まで用意する猛者も。これだけあれば何度でも試走できる
太陽光発電パネルまで完備しており、行き交う人からの注目を浴びていた太陽光発電パネルまで完備しており、行き交う人からの注目を浴びていた 子供と一緒に参加する方も子供と一緒に参加する方も


三上さんによるアテンドを終えた後は、思い思いに試走タイム。この時間でコースを覚えることがタイムアップにつながるので、皆さん何度もラインを変えて試行錯誤されていた。もちろん私たちも例外ではない。下っては登り、下っては登り。何度も試走できるのも、E-MTBだからこそ。アシストが無ければ、こんな本数を試走することも出来ないし、試走を重ねられるということは、本番も安心して走れるということだ。

ちなみに主催の内嶋さん曰く、「ENSよりも試走時間もリエゾンの制限時間も短めにしている」とのことだが、実際走った感覚ではかなり余裕があるタイムスケジュールだと感じた。コンパクトな競技時間で、より多く走ることが出来るというのは、E-MTBオンリーイベントとして開催されたENS-eの強みでもあるだろう。

ゼッケン番号1番、輪工房の田口さんが出発ゼッケン番号1番、輪工房の田口さんが出発
北京・ロンドン五輪XC代表の小田島梨絵も参戦北京・ロンドン五輪XC代表の小田島梨絵も参戦
ひとしきりコースを覚えた頃あいで、ついにコールアップが開始される。ゼッケン番号順にライダーが呼び出され、MCを務める内嶋さんとちょっとした意気込みを聞かれてからスタート。なんだかプロ選手になったような仕掛けで、テンションが上がること間違いなし。

メタボ会長も「安全第一です!」なんて優等生なコメントでスタートしていく。ちなみにメタボ会長が29番、私は31番だ。2分先にスタートしていったメタボ会長を追うようにして、私もスタート。とはいえ、登りはタイムを計測するわけではなく、SS1のスタート時間に間に合えば良いのでゆったり走っていく。

「安全第一で行きます!」と高らかに宣言するメタボ会長「安全第一で行きます!」と高らかに宣言するメタボ会長
ドロップオフをこなすメタボ会長ドロップオフをこなすメタボ会長 photo:Akio Yamadaいつになく真剣な表情のヤスオカ。これくらい真面目な顔で仕事してほしいな!(談:メタボ会長)いつになく真剣な表情のヤスオカ。これくらい真面目な顔で仕事してほしいな!(談:メタボ会長) photo:Akio Yamada


頂上に辿りつくと、SS1をこれから走る人と走り終えてSS2のスタートに並ぶ人たちの2つの列ができている。1分間隔でスタートしていくたびに、一列ずつスタートラインが近づいてきて気分も高まる。2人前の会長が「老眼で時計が見えないんだよ、スタートを教えてくれるか?」とスタートの係員さんに無茶振りしているが、そんな要望にもイヤな顔せず応えてくれたみなさんには感謝してもしきれない。

さて、無事に会長がコースへと吸い込まれたら、自分の番も間もなくだ。三上さんの教えに従い、ギアを合わせ、アシストモードを設定し、スタート!だが、やっぱり本番は緊張してしまったのか、身体の動きも硬くなってしまいコースアウトしそうになってしまう。それでもなんとか、コケることなくSS1を走り切ると、難所の第2リエゾンが待っている。

林間を縫うようなコースとなるS1林間を縫うようなコースとなるS1
S2の後半はバンクが連続するS2の後半はバンクが連続する
だが、激坂のリエゾンを押し歩くといい感じに心拍が上がり、身体の力みが抜けてきた。スタート台の上からスタートするSS2では一気に勢いに乗せつつ、タイトコーナーに向けて減速。後半の入りのラインも余裕をもって進入でき、かなりいい感触。一方、SS3では走り出しでターボモードにしていたせいでバランスを崩し、微妙な感じである。

ゴール地点に戻ると、会長が「ヤスオカ君、かなり本気で漕いでただろう!反則じゃないか!?」となぜかお怒りである。確かに、コーナー中に漕ぐとバランス崩しやすいしペダルヒットの危険もあるから、あんまり漕がないですねー、なんて会話をした記憶はあるが、本番はタイムを競うレースである。会長が理不尽なのはいつものことだとばかりに、「いやー、安全第一なんだから漕がなくても良いんじゃないんですかね?」なんて軽く流していると、午前のリザルトが発表された。

漕いでもいいとは知らなかったぞ!と難癖をつけてくるメタボ会長。ダメ、とは一言も言っていないのだが。漕いでもいいとは知らなかったぞ!と難癖をつけてくるメタボ会長。ダメ、とは一言も言っていないのだが。
いそいそと見に行くと、なんとメタボ会長に3秒ほどの差をつけているではないか。しかもどうやらファーストタイマーで1位と、予想外の順位である。一方、メタボ会長はと言えば、午後は自分もコギを入れてやる!とやる気マンマン。危ないからやめた方がいいですよ!なんて茶々を入れつつ午後に備えるのであった。

午後の部までは時間もあることもあり、会場はランチタイムの和やかなムードに。ソロで参加されている方もいるが、チームでの参加も多い様子。テントを張って仲間とくつろいでいるのは、贅沢な休日のアクティビティといった風情で羨ましい限り。

ボッシュやスペシャライズドのブースが出展、試乗やサポートを行っていたボッシュやスペシャライズドのブースが出展、試乗やサポートを行っていた
ボッシュのE-MTB用ユニット、Perfomanceline CX。今回は本当に助けられましたボッシュのE-MTB用ユニット、Perfomanceline CX。今回は本当に助けられました 愛犬とともに参戦する方も。愛犬とともに参戦する方も。


前半タイムを肴に、ああでもないこうでもないと話しながら再度セットアップしている方も。会場にはボッシュやスペシャライズドがブース出展しており、気になるバイクの試乗や、セッティングの相談に訪れる方で終始賑わっていた。

さて、午後の部はコールアップも無いため、各自スタート時間に間に合うように会場を走り出していく。のんびり昼ご飯を食べている会長をあえて急かすことも無く、スタート時間に遅刻、というウルトラCを期待したものの、普段から時間にはウルサイ会長らしく余裕を持って移動開始。内心残念がりつつ、リエゾンを登り始めるのだった。

S3のフラットコーナーを良い勢いで攻めるメタボ会長S3のフラットコーナーを良い勢いで攻めるメタボ会長
スタート台から駆け下りるスタート台から駆け下りる 女性ライダーも参加していた女性ライダーも参加していた


そして迎えた午後の部。「よし!今度はちょっと漕いでみるぞ!」と鼻息荒くスタートしていった会長を見送り、自分もスタート。フォレストバイクで見た会長のスピードを思い出し、勝手にプレッシャーを感じつつ走った午後の部は、午前より各セクションで速くなったものの、メタボ会長は更に速かった。やはりモトクロス経験者は強いのだろうか。

と書いていると、なんだか初心者ながら期待の新星現る、というあらぬ誤解をしてしまう方もいるかもしれないが、あくまで「初心者としては」という但し書きがつくことは留意されたい。

この日優勝することになる阿藤寛この日優勝することになる阿藤寛
S2の序盤を攻める内嶋亮S2の序盤を攻める内嶋亮 photo:Masato Sumiこの日3位に入った三上和志この日3位に入った三上和志


本当のトップクラスであるAAライダーたちは圧倒的なスピードで下っていく。人間、そんな動きが出来るのだなぁと感心してしまいそうになる走りで、まさに飛ぶように、スムーズかつダイナミックに各セクションを駆け下りてきた。AAライダー陣は、6ステージ合わせて3分を切っている。ちなみに私たちは3分40秒弱かかっているので、20%以上の差がある計算だ。

そんなAAライダーたちの争いを制したのは関西から駆け付けた阿藤寛。普段からトレックのRail 9.7をメインバイクに活躍する、E-MTBの伝道師の顔を持つプロライダーが勝利を飾った。2位には重力技研の佐々木博、3位には初心者をアテンドしてくれた三上和志が入った。ちなみに、一番時計はENS-eを主催するダイナコ代表の内嶋亮が獲得しているが、コース設計者という圧倒的なアドバンテージを考慮し表彰対象外となっている。

総合1位は阿藤寛、2位は佐々木博、3位は三上和志総合1位は阿藤寛、2位は佐々木博、3位は三上和志
さて、AAライダーたちによるハイレベルなレースの影で、ひっそりと繰り広げられていた編集部員VSメタボ会長の結果は、なんとかヤスオカが午前中のリードを守り切ることに成功。終わってみれば、MTB経験者としての面目を保ちつつも、本気を出したメタボ会長には敵わない、という結果に。上司の顔をしっかり立てつつ、ちっぽけなプライドもなんとか守られる、サラリーマンとしてはこの上ない成績だ。

「いやぁ、やっぱり会長は速いですね。練習に付き合った甲斐がありましたよ。クラッシュも無かったですし、アテンドとしては満点。これで昇給は間違いないですよね?」とオッサンに花を持たせつつ自分の貢献をアピールしようと会長に話を振ると、「何を言っているんだ君は?今日はプライベートで遊びにきたんだろう?まあ、この結果に免じて出勤にしてやるくらいは認めてやってもいいけどな!」とまんざらでもない様子だ。よし、これで4月の出勤日数も足りそうだ。

「会長、初めてのENS-eはどうでしたか?レポート用にいつもの本音をお願いします。」出勤確認が取れたところで最後のヒアリングに取り掛かると、よほど楽しかったらしく饒舌に応えてくれた。

今日一日、エンジョイしていたメタボ会長 しばらくオフロード熱は続きそうだ今日一日、エンジョイしていたメタボ会長 しばらくオフロード熱は続きそうだ
「モーターのお陰で登坂が苦にならないどころか楽しいくらいだし、とにかく面白い!の一言につきるな。プロライダーと同じコースを走らせてもらえるのも魅力だし、おまけにAAライダーの阿藤さんや三上君から直接アドバイスも貰えるってのが最高だね。危険なジャンプや落差のあるドロップオフをあえて作らないコース設定も初心者さんにも安心だろう。この辺りはコース監修の内嶋さんの気配りが良いね。」

「一方、タイムを競い合うとどうしても限界を超えやすいから安全装備には十分気を遣いたいところだね。特にオフロード走行は前転で頸椎を痛めるリスクがとても高いから、お気軽に楽しめるからこそ安全装備はしっかりしてもらいたいね。私も次回からはフルフェイスとネックガードを持参するつもりだよ。万全を期して目一杯遊ぶがオススメだ!今回は素晴らしい体験をさせてもらって大満足だよ!やっぱ、E-BIKEってイイもんだな。」

ENSシリーズを主催するダイナコの内嶋亮代表 年内にもう一戦はENS-eを開催予定だという。ENSシリーズを主催するダイナコの内嶋亮代表 年内にもう一戦はENS-eを開催予定だという。
こうして私ヤスオカとメタボ会長の初ENS-e体験は無事に終了。今回の体験が私にとっても予想以上に楽しかったことは間違いのない事実である。ENS-eも今年中にもう一戦の開催を予定しているとのことで、E-MTBの遊ぶ場所もどんどん増えてきている。

もちろんイベントだけでなく、前半で紹介したフォレストバイクのようなパークや、以前紹介したアップかんなべのようなゲレンデでもE-MTBは楽しめる。MTBの楽しい部分を引き出してくれるE-MTBを通して、オフロードライドを楽しむ人が増えることを願うばかりだ。

text&photo:Naoki Yasuoka
photo:Akio Yamada,Masato Sumi
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