編集部に二泊し、スメハラを恐れる私ヤスオカがふと思い立った業務中に合法的にお風呂に入るための企画、オ風呂ードライド。駄洒落のような(いや、そのものか)の企画に出発しようとしたとき、乱入してきたメタボ会長と共に狭山湖のジープロードを巡ることになった珍道中の後編をお届けします。(前編はこちら)※この記事は3月19日に取材しています



あまりオフロードには興味がなさそうだった会長がこの笑顔である。グラベル×E-BIKEというのも楽しそうだあまりオフロードには興味がなさそうだった会長がこの笑顔である。グラベル×E-BIKEというのも楽しそうだ
さて、絶景の比良の丘で少しばかり長閑な時間を過ごしたら、もう一つの寄り道スポットへ。とはいっても、比良の丘からはほど近く、一段丘を下りてしまえばあっという間にたどり着く。それが糀谷八幡神社、そしてそのすぐそばにあるトトロ像だ。

狭山丘陵一帯はトトロの森のモデルとなったということもあり、トトロをフックにしたさまざまな環境保全活動が行われているのだが、ある意味そのアイコン的な存在となるのが、この木の枝で作られたトトロ。周辺に広がる湿地は自然がしっかりと残されており、ホタルをはじめとしたさまざまな動植物が暮らす豊かな環境が広がっている。

手作りのトトロ像 このあたりのヌシである手作りのトトロ像 このあたりのヌシである
「こりゃあトトロっていうより、ガチャピンだな!」などと恐れ多い一言を放つ会長と一緒に、とりあえず記念撮影。よし、これで大方の目的は達成したぞ、ということであとはかたくりの湯へ向かうだけだ。

ここからもう一度狭山湖の外周路へ上がっていくために、緑の森の博物館前を走っていく。この一帯の湿地や雑木林はこの博物館の敷地ということもあり、自転車は乗り入れ禁止のルートも多いので注意が必要だ。博物館前の道は自動車も通行可なので、気兼ねなく走っていくと「あ!」とフジワラが急に大声を上げて地面に這いつくばっているではないか。

道の真ん中にいたガマガエル君道の真ん中にいたガマガエル君
すわ落車か。と思っていたら、大きなガマガエルがいたようで、その姿を写真に収めようと四苦八苦しているようだ。どれどれ、とみんなでカエルを取り囲んで撮影会が始まった。大の大人がカエルの写真をバシャバシャ撮っているのは端から見ればかなり滑稽な絵面である。

ひとしきりカエルに遊んでもらったら、再出発である。外周路へはそこまでキツイ傾斜では無いが、それなりに登り応えのある区間。快調ペースの会長はミッチーに任せ、マイペースで上っていくことに。テレテレとフジワラと二人で登り切ると、外周路との合流部で会長が一人で待っていた。

緑の森の博物館前を走っていく。緑の森の博物館前を走っていく。
ちょっとした登りでもE-BIKEに乗る会長の笑顔といったら!ちょっとした登りでもE-BIKEに乗る会長の笑顔といったら!
「あれ?ミッチーはどちらに?」と尋ねると「撮影ポイントを探してくるって先に行ったぞ!」とのこと。なるほど、仕事熱心なのは良いことである。それならば、ということでしばらく走っているとミッチーがカメラを構えているのを発見。JPTライダーのことだ、程なく追いついてくるだろうと「先に行ってるよー」と特に止まることもなく走っていく。

「やっぱり緑の中を走るのは気持ち良いですよねー!」「それなー」なんてのんびりした会話を交わしつつ走っているのだが、なかなかミッチーが追いついてこない。5分も走ったところで、さすがにこれはおかしいのでは?ということで、確認に戻ることに。

すると、「ちょっと待ってろ、俺が見てきてやるよ!」と会長がその役を買って出てくれることに。いや、それはさすがに申し訳ないので…と応えるも「なんてったってモーターがついているからな!」と言う。まあ、確かにそれはそうである。颯爽と走り去る会長を見送り、しばらく待っていると着信アリ。「あ、ヤスオカくん?どうやらパンクしちゃったようだから、こっち来てくれるか?」と、結局全員戻ることになったのだった。

「こんな感じで良いですかね?」「良く撮れてると思うよ」「こんな感じで良いですかね?」「良く撮れてると思うよ」
この写真を撮ったがためにパンクしてしまうのであったこの写真を撮ったがためにパンクしてしまうのであった
まさかのパンクを喫したミッチーまさかのパンクを喫したミッチー
ミッチーがパンクしているとも知らず、いい具合の木の枝を見つけてはしゃぐフジワラ「エクスカリバー見つけましたよ!」じゃあないんだよミッチーがパンクしているとも知らず、いい具合の木の枝を見つけてはしゃぐフジワラ「エクスカリバー見つけましたよ!」じゃあないんだよ

戻ってみると、パンクしたタイヤと格闘するミッチーの姿が。「シーラントを入れていたんですが、変な位置に穴が開いちゃったみたいでチューブを入れないと治らなさそうなんです」と申し訳なさげな顔をしている。「パンク修理剤しか持ってなくて、交換用チューブが無いんですよね」と言うので、替えチューブを探すも、ミッチーのホイールは残念なことにディープリム。会長含め、ノーマルバルブのチューブしか持ち合わせがなく、万事休す。

こうなっては仕方がないと、レスキューを要請することに。編集部へと連絡し、ロングバルブのチューブを持ってきてもらえるよう手配できて一安心。少しでも先に進んでおこうと、みんなで一緒にテクテクと歩き始めた。

救世主、イソベが登場だ救世主、イソベが登場だ
この恩は高いでっせ!!とトイチの金貸し屋のようなセリフを放つイソベこの恩は高いでっせ!!とトイチの金貸し屋のようなセリフを放つイソベ
「シーラントを入れててもチューブを持っとかないと駄目だなー」なんて話しながら、本日のコースの最西端となる”出会いの辻”まで辿り着く。このあたりは六道山と呼ばれる公園なのだが、この出会いの辻は江戸時代6つの街道が交差する場所で六道の辻、と呼ばれていたのだとか。てっきり、仏教用語の六道が由来だと思っていただけに驚きだ。

しばらく待っていると、見るたびにボコボコになってる気がするジムニーに乗ったイソベが登場。「もー、なにやってんだよー」と言いながら、チューブとフロアポンプを渡してくれたおかげで、何とかミッチーバイクも復活。「もう一個持っていきなね」と予備のチューブをバックポケットに突っ込み、颯爽と去っていくのであった。ありがたや!

六道山公園の中でも最も標高の高い位置にあるのが、この出会いの辻から少し先に行った展望台だ。比良の丘は埼玉側の景色を見れたが、こちらは東京側の景色を一望できるというスポット。コンディションが良ければ富士山も見えるのだとか。

なんとか復活したバイクで再び出発するのだったなんとか復活したバイクで再び出発するのだった
レンガの建物が六道山公園の展望台だレンガの建物が六道山公園の展望台だ
六道山公園の展望台から多摩エリアを眺める六道山公園の展望台から多摩エリアを眺める
マナーを守って走ることで走る場が保たれている 西多摩MTB友の会のみなさんの活動のおかげだマナーを守って走ることで走る場が保たれている 西多摩MTB友の会のみなさんの活動のおかげだ
六道山の展望台からは下り基調のアップダウンを走っていく。これまでもちらほらいたけれど、ここから先は散歩されている方も多く、ところどころはブラインドコーナーになっているのであまり飛ばして走るのはNG。歩行者とすれ違ったり追い抜いたりする際は速度を落としつつ、挨拶しながら走っていく。

加減速が多くなってくると、どうしても疲れてしまうのでついつい最小限の減速に留めたくなってしまうけれど、E-BIKEだったらそんなことはお構いなしだ。しっかり減速したってなんの問題もない。なんなら加速が楽しいのだから。こういう場所を走るにはおあつらえ向きの自転車である。

必死の形相でダンシングするが、後ろの会長は余裕の表情でついてきている必死の形相でダンシングするが、後ろの会長は余裕の表情でついてきている
ちょっと道をそれるとトレイルが張り巡らされている六道山公園ちょっと道をそれるとトレイルが張り巡らされている六道山公園
アスレチックを前にテンションが上がって追いかけっこが始まった!アスレチックを前にテンションが上がって追いかけっこが始まった!
一番の笑顔でハイキングを楽しむみなさんと挨拶を交わしているメタボ会長を見ていると、E-BIKEが欲しくなってきてしまう。やはり社用車を用意してもらうしかないのでは、という本日2度目の議題に頭を悩ませていると、六地蔵の分岐まであっという間だ。

過去にこの地域で起こった赤痢によって亡くなった方々の供養として建造されたという六地蔵。コロナウイルスが猛威を振るう状況に思いを馳せつつ、更に東へ走っていく。少し先にあるアスレチック施設、冒険の森には子供たちがたくさん。飛び出しに気を付けながら最後の下りを走り終えればゴール地点のかたくりの湯に到着だ。

かたくりの湯にはバイクラックも完備されているかたくりの湯にはバイクラックも完備されている
「お疲れ様でした!」「おう、君ら午後半休な!」ナ、ナンダッテー「お疲れ様でした!」「おう、君ら午後半休な!」ナ、ナンダッテー
着替えをつめこんだバッグを背負い、お風呂へ消えていくのだった着替えをつめこんだバッグを背負い、お風呂へ消えていくのだった
「お疲れ様でした。これで取材は終了です!」と会長に告げると「おう、お疲れ!意外にちゃんと取材だったんだな!」と、とりあえず仕事としては認められている様子。しめしめ、と思いながらお風呂へ向かおうとする私たちの背中に投げつけられたのは無情な一言。「あれ、風呂に入っていくのか?さすがに風呂に入ってる時間は勤務時間には入れられないぞ。今日は午後半休にしといてやるから、ゆっくり休めよ!おつかれさん!」と走り去っていく会長を呆然と見送る3人なのであった。