ウィリエールの担当者・キット北村さんが北のクラシックを巡る旅の連載第2弾は、ロンド・ファン・フラーンデレンのプロレース観戦。ディフェンディングチャンピオンのテルプストラを応援し、お近づきになれるチャンスを伺っていたが....。

キット北村、アントワープのロンド・ファン・フラーンデレン会場に着きました!予報は雨でしたが、雨降らなくて良かったですキット北村、アントワープのロンド・ファン・フラーンデレン会場に着きました!予報は雨でしたが、雨降らなくて良かったです
ロンドでニキ・テルプストラに出会えるか?

無事に“ロンド・ファン・フラーンデレン市民レース”を完走し、翌日はいよいよプロクラスのレース!近年ウィリエール・トリエスティーナ社は、ずっとイタリア人選手中心のチームもしくはイタリア人監督・スタッフが運営するチームをスポンサードしてきたが、今年からはフランス人中心のディレクトエネルジーのみとなる。イタリア人はノリが良いし、ウィリエール社で働いていたメカニックやランプレISD時代のメカニックが、今でもプロチームのメカニックをしているので、横の繋がりですぐに知り合いになれるのであるが…。

黄色いカーペットに気分がいやがおうにも盛り上がります黄色いカーペットに気分がいやがおうにも盛り上がります アントワープのマルクト広場には、アントワープの町の名前の由来の銅像がアントワープのマルクト広場には、アントワープの町の名前の由来の銅像が


私の経験上、フランス人とのコミュニケーションは正直かなりの苦手。そこでニキ・テルプストラ選手が比較的ノリの良いオランダ人であることに目を付ける! 偶然にもオランダ人の友達がテルプストラのお嫁さんとお友達なので、ニキのお嫁さんに『日本人のファンがチームバスに向かうと思うので、旦那さん(ニキ)と一緒に写真を撮ってあげてください!』とメッセージを送ってもらった(裏工作)。

ニキ・テルプストラ選手の乗るウィリエール・チェント10Proスペシャル マットブラックカラー  プロ選手のバイクはやはりオーラがありますねニキ・テルプストラ選手の乗るウィリエール・チェント10Proスペシャル マットブラックカラー プロ選手のバイクはやはりオーラがありますね
チームプレゼンテーション会場は大きな盛り上がり!

第103回ロンド・ファン・フラーンデレン当日の朝。チームプレゼンテーションを観にアントワープの街中へ。子供たちがフレミッシュライオンの黄色い旗や手にはめる応援グッズを配っている。、これを日本へのお土産用に大量にもらう。

プレゼンテーション会場はすごい熱気に包まれてきたプレゼンテーション会場はすごい熱気に包まれてきた
プレゼンテーション会場に近づくほどに人混みが増えて行く。やはりモニュメントの重みだろうか?ジロ・デ・イタリアのスタートとはまた違う熱気がある。気持ち悪いぐらいに時間と共に会場が寿司詰めになって行く!

ドゥクーニンク・クイックステップ登場!さすがの大人気ドゥクーニンク・クイックステップ登場!さすがの大人気

チームプレゼンテーションでチームディレクトエネルジー登場!

ディフェンディングチャンピオンのニキ・テルプストラ選手の登場!ディフェンディングチャンピオンのニキ・テルプストラ選手の登場!
チームプレゼンテーションが始まり、今か今かと選手の登場を待つ。チームプレゼンテーションはやはり、ペテル・サガン選手やアレハンドロ・バルベルデ選手が人気だが、チームドゥクーニンク・クイックステップ登場で会場は異常な盛り上がりを見せる。皆がフランドルの旗を掲げ、両拳を突き上げる!

そして、ついにゼッケン1を付けたデュフェンディングチャンピオンのテルプストラ選手率いるチームディレクトエネルジーが最後に登場。

チームディレクトエネルジーもディフェンディングチャンピオンがいますので人気です!チームディレクトエネルジーもディフェンディングチャンピオンがいますので人気です!
司会が『ニキ!』と叫ぶと、観客が『テルプストラ!』と応える。『ニキ!』『テルプストラ!』『ニキ!』『テルプストラ!』『ニキ!』『テルプストラ!』『ニキ!』『テルプストラ!』



幾度か連唱され、会場はヒートアップし、チームディレクトエネルジーの登壇。チームディレクトエネルジーは翌週のパリ〜ルーベから、ブルー&ホワイトを基調としたチーム「トタルディレクトエネルジー」のジャージに変更となるため、ブラック/イエロー を基調としたジャージはこれで見納めである。

石畳の闘いを見る予定は強制変更?

レースがスタートしてベルギーの友達レミー夫婦とスタート地点のアントワープからゴール地点のオーデナールデへ車で向かう。本当はコースの途中で石畳の闘いを見る予定ではあったが、チームバス見学のため私の希望は却下・変更となる。

車中のiPadでライブ配信を見ながらオーデナールデに直行することに!しかし、レース前半でまさか!まさか!のニキ・テルプストラ選手の落車転倒!

ライブ配信でレースを追いながら…。テルプストラ選手まさかの落車!ライブ配信でレースを追いながら…。テルプストラ選手まさかの落車!
『うわぁ転倒してる!テルプストラ選手は全く起き上がる様子が無い...。

テルプストラ選手に会うためにベルギーまでやってきたのに、一体全体どうなってるんだ! テルプストラ選手がいない中、苦手なフランス人の選手達が相手をしてくれるのか?どうしよう…。と一瞬途方に暮れた。

昨年のジャパンカップで来日したフィリッポ・ポッツァート選手(左)とエウゲルト・ズパ選手(右)と筆者昨年のジャパンカップで来日したフィリッポ・ポッツァート選手(左)とエウゲルト・ズパ選手(右)と筆者 ここで“プランB作戦”発動!昨年ジャパンカップに来日し、プロ選手を引退した元・ウィリエール・トリエスティーナ・セッレイタリアのフィリッポ・ポッツァート氏がベルギー入りしているのを知っていたので、ポッツァート氏にすぐに『オーデナールデにて合流出来ますか?一杯おごるので通訳・仲介をお願いしたいのですが…』とメールを送ってみる(無謀)。

さて、ロンド・ファン・フラーンデレンでのチーム編成は、テルプストラ選手を表彰台に送り込むために編成されたメンバーである。特に石畳のレースに強いダミアン・ゴダン選手とアドリアン・プティ選手の両選手は、フランドルのクラシックレースのためにテルプストラ選手と冬季合同合宿を行うほど!

2人にはウィリエール・トリエスティーナ社からチェント10Proスペシャルマットブラックカラーのサブエース機が与えられている。テルプストラ選手の落車で“両選手の機嫌が悪かろう…”というのは目に見えていたので、フィリッポ・ポッツァート氏に間を取ってもらおうというのが“プランB作戦”である。イタリア人とフランス人の相性はあまり良くないと聞くので、イタリア人のフィリッポ・ポッツァート氏がこの任に適しているかどうかは分からないが、お願いしてみた…。

オーデナールデのマルクト広場がチームバスで埋め尽くされるオーデナールデのマルクト広場がチームバスで埋め尽くされる

オーデナールデのロンド・ファン・フラーンデレン博物館を見学

プロの選手達がゴールするまでしばし時間があるのでロンド・ファン・フラーンデレンの歴史がつづられたCRVV博物館へ行ってみた。さすがビール大国ベルギー、入り口がバーになっている(汗)。館内の展示物はロンド・ファン・フラーンデレンの歴史が綴られており、写真だけでも見る価値がある。展示はフラマン語で書かれているので内容は良く分からないが、古い自転車のパーツやウェアが飾られており、詳細が分からないので少し悔しいが、何となく内容は分かる気がする。また、ロンド・ファン・フラーンデレンで使われたバイクや車も飾られており、車やオートバイ好きにはたまらない展示も! まるごとロンドのすべてが詰まった博物館だった。

CRVV博物館はオーデナールデの街の中心にあるので訪れやすいCRVV博物館はオーデナールデの街の中心にあるので訪れやすい フラマン語が読めたらと悔しい思いのする展示フラマン語が読めたらと悔しい思いのする展示


メディア用のオートバイ等の展示もあったメディア用のオートバイ等の展示もあった 歴代のロンド・ファン・フラーンデレンの優勝者の名前が一覧に歴代のロンド・ファン・フラーンデレンの優勝者の名前が一覧に


いよいよ選手がゴール、けれど私はチームバスへ

選手がゴールするまでこのまま順調に進めばおよそ1時間半。CRVV博物館観光の後にゴール付近へ移動を開始した。途中にVIPゾーンの入り口があったが、もちろんVIPパスなんて持っていないのでフリーゾーンへ(笑)。フリーゾーンではドリンク類や軽食を販売するスタンドが立ち、長蛇の列!ゴール付近まで向かうも見難いし、選手がゴールしてからチームバスに戻っていると、選手達はシャワーを浴びるためチームバスに引きこもるため、写真撮影やサインのおねだりは不可能になると判断。チームバスエリアのあるマルクト広場に戻ることにした。ゴールが近づくにつれて、スクリーンに集まる人の数も増えて行く。

まだゴールするまで時間があるので、ゴール前のスクリーンの下、皆で観戦中まだゴールするまで時間があるので、ゴール前のスクリーンの下、皆で観戦中 マルクト広場の巨大スクリーン前は人でいっぱい!マルクト広場の巨大スクリーン前は人でいっぱい!


CRVV博物館前のスクリーンも沢山のお客さんがゴールを見守るCRVV博物館前のスクリーンも沢山のお客さんがゴールを見守る まだゴールするまで時間があるので、ゴール前のスクリーンの下、皆で観戦中まだゴールするまで時間があるので、ゴール前のスクリーンの下、皆で観戦中


チームバスへ控えめに突撃

オーデナールデのマルクト広場にはチームバスが立ち並び、選手達の帰りを今か今かと待っていました。フランス語を話す小さな男の子はリリアン・カルメジャーヌ選手のファンのようで、男の子と日本から来たおっさんの2人で選手の帰りを待ちます。

選手がぞくぞくと帰ってきましたが機嫌が悪そうです選手がぞくぞくと帰ってきましたが機嫌が悪そうです
そして、選手達が帰ってきましたが、明らかに雰囲気がトゲトゲしいです。小さな男の子が『リリアン、リリアン!』と声をかけますが、シャワーを浴びるためにすぐにチームバスに乗り込み、男の子は大変残念そうです。私はポケットに入っていたチョコレートを男の子にあげました。ディレクトエネルジーのメカニックもこの男の子を可哀そうに思ったのか?サポートカーからボトルを取り出しプレゼントしていました。

さて、私の目標は石畳のレースに強いダミアン・ゴダン選手とアドリアン・プティ選手です。何とか強引に写真撮影だけは出来ました。『メルシー!メルシー!』

ダミアン・ゴダン選手とアドリアン・プティ選手とは何とか写真撮れましたダミアン・ゴダン選手とアドリアン・プティ選手とは何とか写真撮れました
撮影も終わりメールの受信で携帯が震えました…さすがのタイミング、フィリッポ・ポッツァート氏からのメールです。ダミアン・ゴダン選手とアドリアン・プティ選手と写真撮影を完遂した後すぐに『今、オーデナールデに着いたよ!』とメールの返信が届きます。すかさず『チームディレクトエネルジーとは何とかコミュニケーションが取れました!なのでパリ~ルーベで合流しましょう。また今年、来日するのであればせめて1か月前くらいには連絡ください。』と返事をしておいた。

チームベルギーからチームオランダへ身柄の引き渡し…

ベルギーに到着してからずっとお世話になったベルギーの友達レミーさんから、オランダの友達ディリク&ジュディス夫妻に北村の身柄が引き渡されます。ディリク&ジュディス夫妻は2人とも2011年のUCIワールドサイクリングツアー(元UCIグランフォンドワールドシリーズ)の世界チャンピオンに輝く、スーパーアスリートカップル!

プロのレースの後に北村の生活を支援するチームベルギーとチームオランダ合同食事会プロのレースの後に北村の生活を支援するチームベルギーとチームオランダ合同食事会 シーフードプレートにはまさかの生牡蠣が…シーフードプレートにはまさかの生牡蠣が…


さて、レミーさんが『シーフードを一緒に食べよう!』と言い出し、シーフードプレートを注文したのだが、メニューを見る限り火を通しておらず生っぽい…『やめておこうよ!』と反対するも、『火を通して調理しているはず心配ない!』と言うので注文したら、やはり貝類がフレッシュ、生牡蠣!

シーフードプレートを食べたのは、私とレミーさんだけだったのだが、2人してその夜からトイレにこもりっきりになるのであった。私は旅の常備薬としていつも正露丸を携帯するのだが、今回に限って家に忘れてきたようで…(汗)

インド料理を食べて腹痛を止める荒業インド料理を食べて腹痛を止める荒業 泊まっているホテルオーナーにベルギーの市販薬をもらうも全く効果無し。時差ボケやレースの疲労もあってか?高熱も出てくる始末(汗)。東京パラリンピックで来日予定のロンドンパラリンピック金メダリストのキム選手と来日スケジュールの打ち合わせがあったので、北村のお腹の事情を説明しアムステルダムのインド料理屋に連れて行ってもらう。

ここはインドの神秘を信じて、インド料理を食べて(インドのスパイスは漢方薬と同じなので…)腹痛を止める作戦だ。はたして奇跡的に腹痛は止まったのである。インドカレー最高、

パリ〜ルーベの市民レース欠場が心配されたが、ベルギーとフランスの国境の町ポぺリンゲに向けて電車で移動した。再び石畳のレースに挑む!

次回、パリ〜ルーベチャレンジ参戦へと続く…


北村圭介(Keisuke “Kitto” Kitamura) ウィリエール・チェント10NDRとともに北村圭介(Keisuke “Kitto” Kitamura) ウィリエール・チェント10NDRとともに 北村圭介(Keisuke “Kitto” Kitamura)プロフィール

若い時にはマウンテンバイクが大好きで、世界中を走り回る。現在はウィリエール・トリエスティーナ、プロロゴ、リッチー、モトレックス等を扱う輸入販売代理店:服部産業株式会社に勤める。元・高校理科教師として日本とアメリカで教鞭をふるった異色の経歴の持ち主。ヨーロッパで走る際には“Team Wilier Triestina-Elro Sport-Covemaecker-Physical Therapy Chris Wheaton.be”に所属する。

photo&text:Keisuke “Kitto” Kitamura
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