B.B.BASEでの豪華な列車移動と大盛り上がりの前夜祭から一夜明けた4月8日(日)、いよいよグレイトアース千葉南房総ライド2018の本番を迎える。朝7時のスタートが近づくにつれ、会場となるファミリーオ館山に続々とサイクリストが集まってきている。



風が強く肌寒いため、ファミリーオ館山の建物の中で待機する方も風が強く肌寒いため、ファミリーオ館山の建物の中で待機する方も 朝早くのスタートにあわせ多くの参加者が受付に集まる朝早くのスタートにあわせ多くの参加者が受付に集まる

風上に設置されている衝立を風よけとする方も風上に設置されている衝立を風よけとする方も ラジオ体操で寝ている体と頭を起こすラジオ体操で寝ている体と頭を起こす


彼らの服装を見てみるとウィンドブレーカーとロングパンツを着用していることが多い。というよりほぼ全員が長袖、長ズボンというスタイルだ。私は何を血迷ったのか、レッグカバーを持ってきていない。ビブショーツスタイルで建物の外から出てみると「寒い」という言葉が口をついて出てしまった。いや、寒くはない、空気が冷えているだけだから!走り出せば体は温まるから!

風は土曜日に吹き付けていた突風と比較すると穏やかなものの依然として強めだ。スタート地点に掲げられている幟は常になびき、バルーンアーチは設置を見合わせられている。ウィンドブレーカーとアームウォーマーは持ってきていて良かった……。

天気予報の数字だけ見ると暖かいけれど、実際は寒いなんてシチュエーションは往々にしてあることだろう。そういう時は脱ぎ着しやすいウェアでレイヤリングすると、ライド途中でも体温調節を行いやすくなる。ちなみに私は半袖ジャージ、ショーツ、夏用ノースリーブアンダー、アームウォーマー、ウィンドブレーカーという装備だ。体幹さえ冷やさなければ走り続けられるだろうという算段だ。

爽やかな青空と海。天候に恵まれサイクリングを楽しめそうだ爽やかな青空と海。天候に恵まれサイクリングを楽しめそうだ
風が強いことをここまで強調してしまったが、天気は気持ち良い晴れ。曇天で、時折水滴が落ちてきた土曜日の海はどんよりとしていたが、この日の海は朝からエメラルドグリーンとディープブルーの2色に輝いている。日が高くなるにつれて気温も上昇することは想像できるため、気分は上々だ。

グレイトアースのライドは参加者全員でのラジオ体操から始まる。平野さんの動きを真似しながら体を動かし、寝ている体を起こすとともに熱を入れていく。ゲストライダーが「往路は3割の力でペーシングすることがロングライドを走りきるコツ」などティップスを教えてくれたのち、いよいよライドがスタートする。

ファミリーオ館山を飛び出したところで地元の方々が応援してくれている。これからスーパーロングコースで約130km走行するためのヤル気をチャージ。それにしても横断歩道を渡る際に掲げる黄旗を振る飾らない姿は良きかな。たまたまサイクリストの集団と出くわしたと思われる小さな子も「頑張れー」と応援してくれるのが嬉しい。

白戸太朗さんを先頭にグレイトアース一団は出発していく白戸太朗さんを先頭にグレイトアース一団は出発していく
我々グレイトアースのスーパーロングコース参加者が走る走行ルートを説明しておこう。ファミリーオ館山を発着地とし、房総半島の海沿いをトレースしながら鴨川市総合運動場で折り返してくる約130kmの道のり。大部分は房総フラワーラインを走行していく。

勾配が大きい坂や登坂距離が長い坂は少なく、スピードを乗せたまま駆け抜けられる大地のうねりが多いことが房総半島の特徴だ。しかし、このうねりが後々私を苦しめることはまだ知らない。

白戸さんとサポートライダーを先頭とするトレインは、速すぎず、後ろが詰まりすぎない、気持ちよく進める速度で駆け抜けていく。頑張りすぎないことがロングライドを楽しめるコツ。マイペースでのんびりと景色を楽しみながら走る方も多く、焦って前に追いつこうと力を無駄遣いする必要ないのだ。早速目の前に現れた見物海岸や西岬の海はキラキラ輝いており、爽快さを強く感じられ走行していて気持ちが良い。

沿道で応援しくれるため、自然と気合のギアが一段上がる沿道で応援しくれるため、自然と気合のギアが一段上がる なめらかな曲線の砂丘を横目に先へと進むなめらかな曲線の砂丘を横目に先へと進む

地形のうねりが心地よい走行のリズム感を生み出す地形のうねりが心地よい走行のリズム感を生み出す
常に海辺を走る訳ではなく、海岸線に近づいたり、離れたりしながら道が続くのが房総フラワーラインだ。海から離れていても頭上は開けており、解放感に包まれながら走ることができる。きれいな景色を目の当たりにしてワクワクする気持ちと比例するようにケイデンスも高まっていき、自然とスピードも乗っていく。

所々背の高い植物が風を防いでくれる場所もあり、海を見ることからだけではなく、海がすぐ側にあるということを実感させてくれる。松の防風林も良いが、鬱蒼とした植生の防風林もその土地を表現してくれる様で面白い。朝から吹く強風も心なしか防がれている気がする。実際は向かい風になって襲いかかってきているのだが。

第一エイドは館山ファミリーパーク前にあるひもの専門店に構えられた第一エイドは館山ファミリーパーク前にあるひもの専門店に構えられた エネルギーを補給するのにピッタリなオレンジエネルギーを補給するのにピッタリなオレンジ

元気いっぱいのサイクリストの小腹を満たすのに丁度よいフルーツが振る舞われた元気いっぱいのサイクリストの小腹を満たすのに丁度よいフルーツが振る舞われた ホーストレッキングパークの馬が現れた!ホーストレッキングパークの馬が現れた!


地形のうねり、防風林のタイプなど自然のバラエティに富む房総半島が次に用意してくれた面白い自然は砂丘だった。砂丘といえば鳥取。まさか房総でお目にかかれるとは。滑らかな曲線を描く山体は艶めかしい。

頭の位置よりも高くそびえる砂の丘は壮観でもあるが、常に吹く風のせいもあってなのか、裾野が車道にも広がってしまっている。ロードタイヤでサラサラした砂の上を走りたくないので多くの参加者は避けながら前へと進んでいく。快適なロードトリップが続くかと思っていたのだが、いきなりアドベンチャー要素も現れてしまい、俄然これからライドで何が起きるのか楽しくなってきた。

砂丘ゾーンを抜けると1km以上直線が続く道が現れる。例によって道は上下にうねるが、足にくるほどの勾配はない。しかし、向かい風が容赦なく我々サイクリストを襲ってくるため、体感としては斜度5%かな?と思うほどスピードが乗らない。ペダルを踏み込むパワーとそこから想像するスピードが、実際のスピードと乖離していて中々頭が混乱している。

高台からは大海原を眺めることができる高台からは大海原を眺めることができる
自分では良いパワーで踏んでいるのに、前方を走る集団に中々追いつかない。直線で見えているのにギャップが縮まらないなんて……。フラワーラインという名前にふさわしく、白い小さな花が道路に沿ってズラリと咲いているのも今は綺麗と思う余裕はない。しかし、心が折れる寸前に館山ファミリーパークに構えられたエイドステーションが現れ、私は救われる。

スタートから約14km、走行時間にしては40分程度のため、まだ体は元気満点。グレイトアース一団の皆さんもまだまだ元気なようで、至る所で会話が盛り上がっており、休憩所は賑やかだ。振舞われるグルメはバナナやオレンジといった軽めのフルーツ。依然として気温は上がりきらない上、風は強いため、休憩しすぎると体が冷えてしまうため、エネルギーを補給したら早速リスタートを切る。

エイドステーションを飛び出した後も房総フラワーラインは約2kmに及ぶ直線を繰り出してくる。もちろん向かい風が体を押し返す。参加者の皆さんはパックを組み、突き進んでいく。途中、砂浜で乗馬体験ができるというホーストレッキングパークというレジャースポットも現れるなど、フラワーライン沿いには遊びどころが数多くあることが走っているだけでもわかる。

気持ちよく走れるため自然と笑顔に。後の波を見て頂けるとこの日の風の強さを想像してもらえるかと気持ちよく走れるため自然と笑顔に。後の波を見て頂けるとこの日の風の強さを想像してもらえるかと 本物の鳥が沢山止まってる!と思ったら石像でした…本物の鳥が沢山止まってる!と思ったら石像でした…


砂浜だけではなく荒磯も容易した南房総エリア。景色の変化に富み、走っていて飽きにくい砂浜だけではなく荒磯も容易した南房総エリア。景色の変化に富み、走っていて飽きにくい
砂丘から続く長い長い直線路を走りきると、植物が鬱蒼しはじめる丘に差し掛かる。房総半島の海沿いは基本平地であるが、所々台地が海に迫るほど突き出ているところもあり、そこが偶に出現するアップダウンとなっているのだ。植生はヤシの木など南国特有のそれであり、気分は南国リゾートのようになる。

房総フラワーラインが国道410号線と分岐するところで、フラワーラインから一度離れ海沿いを走ることに。根元海水浴場の脇にそびえる砂丘を抜けると、海岸線がすぐそばに迫るシーサイドラインが現れる。解放感あふれる道にテンションが高まりを自然が察知してくれたのか、ここまで行手を阻んでいた風が後ろから押してくれる追い風に変化する瞬間も発生するように。

気持ちよくペダルを漕ぎながら水平線を眺めていると海岸にある変化があることに気がつく。砂浜がいつのまにか岩肌に変わっていたのだ。強風の影響もあり、岩肌に打ち付けられる波の水飛沫は迫力のある高さまで達している。まるで東映の荒磯に波のあのシーンである。房総は様々な顔を見せてくれるため、常に新鮮な気持ちで走り続けられる。気がついたら第2エイドステーションにたどり着いていた。

text&photo:Gakuto Fujiwara

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