電車の輸送力と自転車の機動力、二つの良いところどりで旅がもっと魅力的になる輪行サイクリング。バイクプラス多摩センターに勤める鉄道好きの「テツ店長」こと河井さんの輪行旅行記後編をおとどけします。(前篇はこちらから



大慌てで自転車を袋に突っ込んで、何とか列車に飛び乗りました。ほっ大慌てで自転車を袋に突っ込んで、何とか列車に飛び乗りました。ほっ photo:Kosuke.Kawai蒲原鉄道全線走破の夢ははかなく消え去りましたが、ここはまた来ると再起を誓ってもと来たルートを引き返します。先ほど通り過ぎてきた五泉駅までいったん戻って、こここから磐越西線に乗って新津経由で宿泊予定地の新潟まで向かう予定だったのですが……。

次の列車の出発時刻を確認せずに駅に行ったせいで、到着するともう次の列車の出発まで5分しかありません!とりあえず大慌てで自転車を輪行袋に突っ込んで、何とか列車に飛び乗ったのと同時にドアが閉まってほっと一安心。

しかし、このときビンディングシューズのクリートカバーを落としてしまい、その後歩くのにずっと苦労する破目になったのですが、それに気づくのは列車を降りた後のことで、この時はまだ知る由もありません……。サイクリストである前にテツであるはずのワタシとしたことが、みっともない姿を晒してしまいまことにお恥ずかしい限りなのでありました(泣

ここからは三たび列車の人となって、本日の宿泊地である新潟へ向かいました。実はこの日、長岡大花火大会が開催されるということで、せっかくなので見に行く予定にしていたのですが、しかし、途中の雨などもあって予定が大幅に遅れてしまいました。

長岡大花火大会はさすがの大迫力!駅前からでも大きく見えました長岡大花火大会はさすがの大迫力!駅前からでも大きく見えました photo:Kosuke.Kawai
花火大会の影響か、乗客もかなり多め花火大会の影響か、乗客もかなり多め photo:Kosuke.Kawai帰宅ラッシュで大混雑です:帰宅ラッシュで大混雑です: photo:Kosuke.Kawai


結局、花火大会が始まる頃にノロノロと新潟を出発して、1時間半以上遅れて長岡駅で下車すると、もう花火大会は佳境に入っており、目の前で次々と大きな花火が上がっています。それでもこの目で花火を見れたことに満足して、会場に向かってプラプラ散歩しながらの花火見物と洒落込んだのですが……。

しかし間もなくすると、人の流れが反対向き(駅向き)に変わってきました。どうやら帰宅ラッシュの始まりのようです。これは早めに引き返さないと大変なことになるなと判断して、後ろ髪ひかれながらも、花火を背に駅に向かう人の流れに合流したのでした。

新潟出身のスタッフイチオシラーメン店がこの"東横"です新潟出身のスタッフイチオシラーメン店がこの"東横"です photo:Kosuke.Kawai超濃厚な味噌スープが極太麺によく絡んで美味しい!超濃厚な味噌スープが極太麺によく絡んで美味しい! photo:Kosuke.Kawaiはたして正味30分程度の滞在でしたが、それでも間近で見る花火はやっぱり迫力がありますね!こういう人がいっぱい集まる場所のライブ感、というのも気持ちを盛り上げてくれて楽しいのです。

大混雑の列車に揺られること約1時間、ようやくこの日のミッションは終了、のはずでしたが、気付くとまだ夕飯を食べていません、時間も夜の10時を回っています。あの市場での昼食からいったい何時間経っているのだろう?まあそんな時にも安心なのが、深夜まで開いているラーメン屋!ということで、ここで事前に新潟出身の店スタッフに聞いていた情報が役に立ちました。

その彼いわく新潟NO1であろうという"東横"の名物、味噌ラーメンはかなりユニークな代物でした!超濃厚味噌スープに極太麺の組み合わせ。スープ単体では味が濃すぎるものの、極太麺と組み合わせると絶妙なバランス。濃厚スープは割りスープで薄めて飲むと美味しい、思い出に残る新潟の味でした。

早朝から深夜までしっかり遊んで大満足な一日でしたが、ちょっと張り切って予定を詰め込みすぎたような……。もうこの後は力尽きて深い深い眠りに就いたことは言うまでもありません。



翌日は列車の予定もありちょっと遅めの出発。すっかり充電して朝の新潟駅にむかいました。二日目もまずは列車の旅からスタートするのは、テツ的には至って当たり前のこと。せっかくの乗り放題きっぷですからね、自転車より電車にいっぱい乗った方がお得でしょう!というごくフツー?の発想です(笑)

もちろん朝から輪行です。テツ的には当然!もちろん朝から輪行です。テツ的には当然! photo:Kosuke.Kawai青春18きっぷでの旅はのんびりと楽しめます青春18きっぷでの旅はのんびりと楽しめます photo:Kosuke.Kawai

車窓を眺めていると思わぬ発見も(笑車窓を眺めていると思わぬ発見も(笑 photo:Kosuke.Kawai「森と水とロマンの鉄道」の名の通り、緑が美しい磐越西線「森と水とロマンの鉄道」の名の通り、緑が美しい磐越西線 photo:Kosuke.Kawai


ということで、新潟駅始発の磐越西線直通・快速「あがの」会津若松行きに乗って、本日の目的地を目指すことにしましょう。磐越西線はまたの名を"森と水とロマンの鉄道"という、非常に風光明媚な路線です。新潟を出発して昨日も通った新津を経由すると、列車は阿賀野川に沿って山に向かっていきます。

約2時間のローカル線の旅を満喫していると、列車はまもなく喜多方駅に到着しました。ここで自転車を組み立てたら、さっさとサイクリングをスタートしたいところではありますが、時間はもうお昼前ということで先にお昼ごはんにしていくことに。

朝ラーメンもやっている、喜多方ラーメンの人気店「喜一」朝ラーメンもやっている、喜多方ラーメンの人気店「喜一」 photo:Kosuke.Kawai昨日の超濃厚味噌スープとは対照的な透き通ったスープは上品なお味昨日の超濃厚味噌スープとは対照的な透き通ったスープは上品なお味 photo:Kosuke.Kawai


向かった先は喜多方ラーメンの人気店"喜一"。昨日の夜もラーメンでしたが、ラーメン好きとしては連日ご当地ラーメンを楽しめるなんて、この上ない幸せなのでございますね(笑)

お待たせしました、ここからようやく本日のサイクリングスタートです!向かったのは"日中線記念自転車歩行者道"。もとは喜多方駅から11.6km先の熱塩駅を結んでいた旧国鉄のローカル線で、1984年に廃線となった線路の一部をサイクリングロードとして再整備したものです。

旧国鉄のローカル線で、1984年に廃線となった線路の一部をサイクリングロードとして再整備した「日中線記念自転車歩行者道」旧国鉄のローカル線で、1984年に廃線となった線路の一部をサイクリングロードとして再整備した「日中線記念自転車歩行者道」 photo:Kosuke.Kawai途中には本物のSLが置かれていました途中には本物のSLが置かれていました photo:Kosuke.Kawai

ちょっとしたグラベル区間も登場ちょっとしたグラベル区間も登場 photo:Kosuke.Kawai道中で会津若松・熱塩温泉自転車道へと名前を変えながら道は続きます道中で会津若松・熱塩温泉自転車道へと名前を変えながら道は続きます photo:Kosuke.Kawai


この路線、当時から「日中走らぬ日中線」と揶揄されるくらいの閑散路線だったようです。もともとは熱塩からさらに路線を延長して、山形県の米沢までを結ぶ計画だったそうですが、これは計画段階で中止となり、結果として閑散ローカル線で終わってしまい、廃線に至ったのかも知れません。そんなロマンのある歴史を知ってしまうと、ここも改めて自転車で走破したくなってしまうので困ったものです。また行きたい場所が増えてしまいましたが、ここは楽しみが増えたということで良しとしましょう。

さて、こちらのサイクリングロードですが、途中には本物のSLが置かれていたり、演出にも抜かりがありません!また沿線には1000本の枝垂れ桜が植えられており、桜の季節はこの上なく美しい景色が楽しめるそうです。この先さらに進んでいくと、会津若松・熱塩温泉自転車道というサイクリングロードに名を変えながら、道中は快適なサイクリングコースが続きます。

日中線の終着駅であった熱塩駅を復元した日中線記念館日中線の終着駅であった熱塩駅を復元した日中線記念館 photo:Kosuke.Kawai当時のままの駅舎は手入れがいきとどいておりとても良い雰囲気 当時のままの駅舎は手入れがいきとどいておりとても良い雰囲気当時のままの駅舎は手入れがいきとどいておりとても良い雰囲気 当時のままの駅舎は手入れがいきとどいておりとても良い雰囲気 photo:Kosuke.Kawai

木のぬくもりを感じさせる旧型客車の車内木のぬくもりを感じさせる旧型客車の車内 photo:Kosuke.Kawai
構内に展示されているラッセル車は中にも入ることができてゴキゲンです(笑)構内に展示されているラッセル車は中にも入ることができてゴキゲンです(笑) photo:Kosuke.Kawai一日中過ごせそうな、ここはまさに楽園でした一日中過ごせそうな、ここはまさに楽園でした photo:Kosuke.Kawai


そうこうしているうちに到着したのが、日中線の終着駅であった熱塩駅を復元した"日中線記念館"。当時のままの駅舎は手入れがいきとどいておりとても良い雰囲気です。広い構内には当時の客車と除雪車も展示されており、車内にも自由に入れるので、またもやすっかり楽しんでしまいました(笑)

のどかなローカル線の終着駅は、時間がゆったりと流れていました。あまり観光地化もされていないので、本当にのんびりと過ごせる穴場です。喜多方に来た際にはぜひ寄ってみてください!一日中でもいたくなる天国のような場所ですが、そろそろ帰りの時間が気になってきました。青春18きっぷは普通列車しか使えないのがタマにキズで、どうしても移動に時間がかかってしまうのががタマにキズなのです(泣)

後ろ髪を引かれながらも喜多方駅へ戻ります後ろ髪を引かれながらも喜多方駅へ戻ります photo:Kosuke.Kawaiホームで列車を待っていると、国鉄型の古いディーゼルカーが迎えにきてくれましたホームで列車を待っていると、国鉄型の古いディーゼルカーが迎えにきてくれました photo:Kosuke.Kawai突然の豪雨と落雷で電車が完全にストップするアクシデントが発生!突然の豪雨と落雷で電車が完全にストップするアクシデントが発生! photo:Kosuke.Kawaiローカル線を使った在来線の長距離移動では、あらかじめ乗り継ぎの時刻をしっかり調べておく事が大切ですね。でないと、乗り継ぎで2時間待ちとか余裕で現れるので要注意です。あとは輪行の場合だと自転車のパッキング時間も含めて、余裕を持って駅には到着したいものですね!

喜多方駅で自転車をたたんでホームで待っていると、ここでも国鉄型の古いディーゼルカーが迎えにきてくれました。古いとはいえ冷房の効いた車内から真夏の景色を眺めていると、なんだかとても有り難い気持ちになってくるから不思議です。空調完備でトイレもあって、眠っていようが食べていようが、人と自転車を安全に運んでくれる輪行って本当に素晴らしい、とあらためて思ってしまいますね!

実はこの日、喜多方~会津若松~郡山~黒磯までは順調に乗り継いできましたが、黒磯を出た直後から雷雨となり、バケツをひっくり返したような雨に襲われました。まあ本人は車内で高みの見物を決め込んでいれば良いのですが、今回はなんと近くの線路に落雷があって電車が完全にストップしてしまいました!

ということで、このあとの乗り継ぎ予定がすっかり狂ってしまいましたが、まあ都会に近づくほど列車の本数も多くなるので、それほど困った状況にはならず。これはこれで旅の思い出ということしておきましょう(笑)

いかがでしたでしょう?鉄道マニアと一緒に輪行サイクリングに出かけた気分は味わっていただけたでしょうか?現役の鉄道、引退してしまった鉄道、全国津々浦々にある鉄道を輪行で回る旅。果たして次はどこへ向かうのか?乞うご期待!ということで、またお会いしましょう!



河井 孝介河井 孝介 旅する人 河井孝介プロフィール

バイクプラス多摩センターの店長を務める48歳。前職で足かけ10年にわたる勤務を鉄道の無い(モノレール除く)沖縄県で過ごした反動からか、帰京後は輪行サイクリングの虜となり、現在は鉄道と自転車を組み合わせ、鉄道廃線跡や未成線など鉄道の歴史を辿るサイクリングをライフワークとする。鉄道趣味のジャンルは「乗り鉄」。旧国鉄型車両を心から愛し、ひそかにJR全線乗車にチャレンジ中。非常勤の防衛省職員である予備三等陸曹の身分も合わせ持っている。

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