モータースポーツとサイクルスポーツの両スポーツで世界中のトップアスリートから厚い信頼を集めるアメリカンヘルメットブランド、ベル。日本でも高い人気を持つ同社から、ついに日本人の頭の形に合わせたアジアンフィットモデルが登場した。第1弾となるDraft Asian Fitを紹介しよう。



ベル Draft AF(マットミッドナイト/タホーリポーズ)ベル Draft AF(マットミッドナイト/タホーリポーズ)
楕円・たまご型の頭を持つ欧米人と比べると真円・球型の頭を持つ人が多い日本人。海外ブランドのヘルメットをかぶると「額の前に空間が空いてしまう」「こめかみ部分が干渉して痛い」といった不具合を感じる方は少なくないはずだ。

その問題を解決してくれるのがアジアンフィットモデルだ。日本国内でも人気が高いアメリカのヘルメットブランド、ベルが満を持してアジアンフィットをリリースした。アジアンフィットは、ロードのエントリーモデル「Draft」とそのバイザー付きモデル「Traverse」という2種類から開始される。今回はDraftをピックアップして紹介する。これよりアジアンフィットモデルが拡充されていくというため、ライダーの選択肢がより広がることになりそうだ。

Draftの通常モデル(左)とアジアンフィット(右)の比較。ルックスにはほぼ差異がないが、ややアジアンフィットのほうが低めだDraftの通常モデル(左)とアジアンフィット(右)の比較。ルックスにはほぼ差異がないが、ややアジアンフィットのほうが低めだ Draftの通常モデル(左)とアジアンフィット(右)の比較。ルックスには大きな違いは見受けられないDraftの通常モデル(左)とアジアンフィット(右)の比較。ルックスには大きな違いは見受けられない

通常モデル(左)と比べるとアジアンフィット(右)は額部分のカーブが緩やかになっており、丸型頭にフィットしやすくなっている通常モデル(左)と比べるとアジアンフィット(右)は額部分のカーブが緩やかになっており、丸型頭にフィットしやすくなっている アジアンフィットと通常モデル(黄色のライン)との設計の違いアジアンフィットと通常モデル(黄色のライン)との設計の違い (c)インターテック


ベルのアジアンフィットは、ユーロフィットに対してシェルを横方向に5mm長く、縦方向に6.5mm短く調整することで、丸型頭に対応。縦横幅の調整に加えて、より高いフィット感を目指すために、シェルの前頭、側頭部分も、アジアン仕様の形状としている。

フィット感を追求するためにシェルの厚みなども部分的に変更しているが、ヘルメットの本分であるプロテクション性能はおろそかにされていない。上位グレードと同じように、インナーシェルとポリカーボネイトのアウターシェルを一体成型するインモールド製法を採用することで、世界で最も習得が難しいとされる安全規格CE EN1078をクリアする強度を確保。しっかりと頭を落車時の衝撃から守ってくれるはずだ。

丸みを帯びた流線型のデザインが採用された丸みを帯びた流線型のデザインが採用された 排熱用のベンチレーションホールが数多く備えられているため、通気性を期待できる排熱用のベンチレーションホールが数多く備えられているため、通気性を期待できる

シェル内部の溝によってヘルメット内のエアフローを生み出しているシェル内部の溝によってヘルメット内のエアフローを生み出している エルゴダイアルフィットシステムはサイズが大きく、手袋をはめたままでも操作を行いやすいエルゴダイアルフィットシステムはサイズが大きく、手袋をはめたままでも操作を行いやすい


加えて、ベンチレーションホールの配置や、丸みを帯びたデザインなどDraftらしさはそのまま受け継がれている。搭載されるクロージャーには片手で操作ができるエルゴダイアルフィットシステムを採用。乗車中に片手でも操作しやすいため、ビギナーなどには最適だ。

サイズはユニバーサルアダルト(54~61cm)という1種類の展開。カラーはマッドミッドナイト/タホーリポーズ、レティーナシアー/ブラックポリーズ、マットブラックポリーズ、ホワイト/シルバーポリーズ、レッド ブラックリポーズという5種類。価格は通常モデルと同様の7,200円(税抜)。発売は3月末からの予定だ。



―編集部インプレッション

アジアンフィットとしながらもキノコ頭にならないルックスが特徴アジアンフィットとしながらもキノコ頭にならないルックスが特徴 前後の張り出しは少なく、自然なルックスとなる前後の張り出しは少なく、自然なルックスとなる かっこいいルックス、高い機能性を持つヘルメットは数多く登場してきているが、ヘルメットが丸型頭にフィットせず泣く泣く諦めたという経験がある日本人ライダーは少なくないはず。

ベルから日本人の頭の形に合わせたアジアンフィットが登場するというのは朗報だろう。エントリーグレードの「Draft」と「Traverse」からリリースされたことによって、ビギナーの最初の1つとして選びやすくなっている。そして、これからアジアンフィットのラインアップの拡充にも期待できる。

さて、今回はDraftのアジアンフィットとユーロフィット(従来モデル)を被り比べてみた。筆者はKOOFU WG-1やBCシリーズのS/Mサイズがジャストフィットの日本人に多い典型的な丸型頭。頭囲は約57cmだ。

まずはユーロフィットから。調整幅が54~61cmと広いユニバーサルサイズということもあってか、欧米モデルながら側頭部のフィット感は高い。一方で、額部分にはクロージャーを締めあげても人差し指1本分ほどのスペースが生まれてしまった。

対して、アジアンフィットモデルも余裕のあるユニバーサルサイズだが、スタンダードモデルでは生まれた額前の空間も指一本も通らないほどピタリと頭と接触。加えてユーロフィットと比較すると、こめかみや頭頂部まで頭全体を包み込むように広い面でフィットしてくれるので安心感が高い。

横幅を5m広くしたためか側頭部分のシェルはやや薄手となっているが、額や頭頂、後頭部など転んだ時に当たりやすい部分は肉厚にされた造り。縦横に力を加えてみたりしても、どこかがたわむことないので、しっかりと頭部を守ってくれるだろう。

後頭部のベンチレーションホールの大きさなど細いところが変更されているが、通気性などは必要にして十分な機能だ。アジャスターのサイズは大きく厚手の手袋をした状態でも回しやすい。価格も1万円を切るため、これからスポーツバイクを始めようというビギナーにとっては扱いやすいヘルメットだ。すでにサイクリングに慣れ親しんでいる人も、ベルが放つアジアンフィットの第1弾として、試着してみると良いだろう。



ベル Draft AF
安全規格:CE EN1078
サイズ:ユニバーサルアダルト(54~61cm)
重 量:283g
カラー:マッドミッドナイト/タホーリポーズ、レティーナシアー/ブラックポリーズ、マットブラックポリーズ、ホワイト/シルバーポリーズ、レッド ブラックリポーズ
価 格:7,200円(税抜)

text:Gakuto.Fujiwara
photo:CW編集部