11月15日に開催されたツール・ド・富士川。心配された空模様も回復し、自転車王国・山梨の魅力を400人のサイクリストが存分に味わうことができた大会の様子をレポートしよう。



しとしとと雨が落ちる中集まった参加者たちしとしとと雨が落ちる中集まった参加者たち サポートライダーたちがミーティングを行うサポートライダーたちがミーティングを行う

プチ・ツール・ド・富士川に参加されるというご家族プチ・ツール・ド・富士川に参加されるというご家族 笑顔で受付をしてくれたお姉さんたち笑顔で受付をしてくれたお姉さんたち


今年で3度目の開催となるツール・ド・富士川。山梨県南西部を流れる富士川を起点にその周辺の走りごたえあるルートをつなぐ、距離約100km、獲得標高1,700mのロングライドイベントである。自転車で山梨を盛り上げたい!という想いをもったNPO「やまなしサイクルプロジェクト」が主催するこのイベント、結論から言えばサイクリスト目線から見た地域の魅力をこれでもか!と詰め込んだ一日となった。

建設中の中部横断道、増穂ICから車で1分。都内からでも2時間弱とアクセスの良さを誇る道の駅富士川に集まってきた参加者たち。前日より降り続いてきた雨こそ止みつつあったものの、真っ白に染まった空が寒々しくウエアの選択に悩んでいる人達が多い。水たまりもあるだろうと、泥よけを装着する人も。

ずらりと並んだスタート列ずらりと並んだスタート列 やまなしサイクルプロジェクトの青木理事長があいさつするやまなしサイクルプロジェクトの青木理事長があいさつする

今中さんを先頭にスタート!今中さんを先頭にスタート!
ただ幸いなのは、駐車場がスタート会場と同じ敷地内にあり、移動が容易であること。大規模大会だと、運が悪ければ自転車で10分くらいかかる駐車場をあてがわれる可能性があることを考えると便利なことこの上ないし、こういった天気であれば直前まで準備に時間をかけられるのは嬉しいところだ。

主催者であるやまなしサイクルプロジェクトの青木理事長や、ゲストの今中大介さんや樫木祥子さんらによる挨拶が行われた後、定刻通りにスタートしていく参加者たち。15人程度が一つの班としてスタートしていき、それぞれサポートライダーが2人以上ついていくという体制で走っていくことに。

スタート地点から河川敷道路へと出るスタート地点から河川敷道路へと出る 富士川沿いの河川敷を走っていく富士川沿いの河川敷を走っていく

割石峠を登っていく割石峠を登っていく もうすぐで峠のピークもうすぐで峠のピーク


富士川沿いの河川敷を南へと向かい、橋を渡って最初の登りとなる割石峠へと突入。峠と名はついているものの、そこまで激しい登りではなく、一つの丘を越えるようなイメージだ。先頭を牽いてくれるサポートライダーが速すぎないペースを作ってくれるのと、班の最後尾を守るもう一人のサポートライダーがいるので脚力に自信がなくても皆と一緒に走ることが出来る。

峠を下り、しばらく県道9号線を南下していく。途中、市街地を走る箇所もあるけれど、交通量も少なく、また行き交う車のマナーもよいので安心。道の脇にはイチョウが綺麗に色づいており目を楽しませてくれる。市川三郷町から身延町に入り、しばらく登ると2つ目の登りが現れる。割石峠よりも長く、少し斜度も厳しい登りとなるが、ペースを保って登れば問題ないだろう。

二つ目の峠に差し掛かります二つ目の峠に差し掛かります 路面が濡れているので下りは慎重に路面が濡れているので下りは慎重に

集落を抜けて登っていく集落を抜けて登っていく
2つの坂を越えて最初のエイドにやってきた2つの坂を越えて最初のエイドにやってきた 身延線を越えていく身延線を越えていく


下りだす前に、班単位で再集合しサポートライダーの誘導のもとに下っていくことに。紅葉が綺麗な山中であるが、その分落ち葉も多いため少し気をつけて下っていく方が良いだろう。サポートライダーもそのあたりは注意喚起してくれる。峠を下り終えれば、一つ目の金山博物館エイドはすぐそこだ。

鄙びた雰囲気のある下部温泉郷の中にある金山博物館エイドでは、温泉まんじゅうが用意されている。しっとりとした皮に包まれたあんこが甘く、美味しい一品。エイドを出発するときには、また班ごとにまとまって出発することに。とはいえ、もう少し休憩したいという人は後のグループと一緒にでることもできるので、無理に早いグループに入らなくても大丈夫。

第一エイドでは身延まんじゅうをゲット!第一エイドでは身延まんじゅうをゲット! 綺麗に色づいたもみじの下、出発していく綺麗に色づいたもみじの下、出発していく

生憎の曇り空だが、富士川の眺めが素晴らしい生憎の曇り空だが、富士川の眺めが素晴らしい
下部温泉郷を出て、富士川の流れにそって更に南進していく。建設中の中部横断道の工事現場が何度も道路沿いに出てくる中を走っていくことになるが、その工事規模の大きさに感嘆してしまう。身延橋で再び富士川を渡り、西岸へ。身延町の中心市街を抜けるといきなり荘厳な門が現れる。

そう、身延山は日蓮宗の創始者である日蓮聖人が晩年を過ごした場所。そして、日蓮宗の総本山たる久遠寺がある霊山なのだ。「開会関」、すなわち「全ての人が法華経を信じることで仏となる」という意味の額が掲げられたこの総門をくぐれば、その先に広がるのは仏の世界だという。

久遠寺の総門を越えて第2エイドに到着久遠寺の総門を越えて第2エイドに到着
雲の上のバナナと火祭りクッキーと今中さんと樫木さん雲の上のバナナと火祭りクッキーと今中さんと樫木さん 南部の火祭りクッキーはいろんなジャムが入っている南部の火祭りクッキーはいろんなジャムが入っている


この先には門前町が現れるのだが、手前に2つ目のエイドがあるので、いったん補給。ブランドバナナである「雲の上のバナナ」、中にジャムが詰まった「南部の火祭りクッキー」、そして「南部茶」がこのエイドの目玉。とくに、しっとりとした食感で分厚くボリュームのあるクッキーは食べ応えがあり、満足度大。

美味しい甘味をいただいて、幸せな気分になったところで再スタート。門前町らしく湯葉や豆腐といった精進料理や名物・身延まんじゅうを商うお土産屋さんや旅館が並ぶ通りを走り抜けると、壮大な威容の三門が現れた。ここでグループは一旦停止。

久遠寺の説明でもしてくれるのかな?と思ったら、「この先は激坂なのでおのおの無理をしないペースで登りましょう、無理なら押して歩きましょう。」というインフォメーション。「いやいや、いくらなんでも大げさでしょ?」と思っていたが、その考えがさっき食べた火祭りクッキーの100倍は甘かったことをその直後に思い知らされることに。

エイドを出発する前に班ごとに集合エイドを出発する前に班ごとに集合 久遠寺の門前町を走っていく久遠寺の門前町を走っていく

[img_assist|nid=184649|title=三門の前で一時停止し、この先に待ちうける激坂について注意を受ける|desc=|link=node|align=center|width=730|height=]



わざわざサポートライダーが注意してくれるほど激坂とは、果たしてどれほどのものなのか。その答えを知りたい方は、後編をお待ちください!ちなみに私は、そこを毎日登っていたであろう修業僧の凄さを少し体験できたような気がしました。

text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO,Naoki.YASUOKA