8月9日(日)、女子のロードレースをメインとした大会「Ready Go JAPANトロフィー・ウィメンロードレース2015」が開催された。女子レースとしては異例の優勝賞金10万円が懸かった大会の模様を、主催者のお話と合わせてレポートする。



Ready Go JAPANトロフィー・ウィメンロードレース2015Ready Go JAPANトロフィー・ウィメンロードレース2015 photo:Satoru.Kato
今年で結成7年目を迎えた女子チーム「Ready Go JAPAN(以下RGJ)」は、設立当初から女子選手の底辺拡大を活動目標のひとつに掲げている。その一環として、今回初めて女子レースをメインとした大会を開催した。

会場は千葉県成田市の下総フレンドリーパーク。成田市はRGJの本拠地であり、チームの入団テスト「トライアウト」を毎年1回この下総フレンドリーパークで行っている。今回は9回目のトライアウトも兼ねている。また、東京都自転車競技連盟主催の「TCFフレンドリーロードレース」も併催され、高校生以下を対象としたレーススクールが行われた。

スタートラインに並んだW1クラス出場選手スタートラインに並んだW1クラス出場選手 photo:Satoru.Katoレース前のライダーズミーティングレース前のライダーズミーティング photo:Satoru.Kato

下総フレンドリーパークの吊り橋下をいくW2クラスの集団下総フレンドリーパークの吊り橋下をいくW2クラスの集団 photo:Satoru.Kato樫木祥子(駒澤大学)、古田佳美(竹芝サイクルレーシング)らが出場したW1クラス樫木祥子(駒澤大学)、古田佳美(竹芝サイクルレーシング)らが出場したW1クラス photo:Satoru.Kato


今回行われたのは、女子2クラス、男子マスターズ1クラスの計3クラス。女子は1周1.5kmのコースを8周回計12km走る「W2」と、20周計30km走る「W1」に分かれる。上位クラスとなるW1には、17人がエントリー。その中には、2週間前に開催された「JBCF湾岸クリテリウム2015」で優勝した樫木祥子(駒沢大学)と、3位の古田佳美(竹芝サイクルレーシング)の名前も。また、トライアウト受験生もこのクラスで実力試験をする事になる。

W1優勝賞金10万円を手にした古田佳美(竹芝サイクルレーシング)W1優勝賞金10万円を手にした古田佳美(竹芝サイクルレーシング) photo:Satoru.Katoマスターズ優勝賞品は日本酒1升マスターズ優勝賞品は日本酒1升 photo:Satoru.Katoこの大会の一番の特色は女子レースとしては異例の高額な賞金が設定された事。W1は優勝賞金10万円の他、2位5万円、3位3万円。W2には優勝賞金2万円が懸かる。ちなみに男子マスターズには賞金は出ないものの、地元産の日本酒1升が優勝賞品だ。

当日は朝から晴れ。35℃を越える猛暑日が続いていた関東地方は前日8日の立秋を境に暑さは一段落したものの、それでもW1がスタートする午後1時には30℃を越える気温となった。

W1のレースはRGJメンバーと樫木が展開を作る中、先頭集団は徐々に人数を減らしていき、残り3周で5人に絞られる。最後はスプリント勝負を古田が制して優勝。RGJトロフィー初代女王となった。

「女子レースの大会って珍しかったので、告知が出た時から出場したいと思ってました」と、この大会に出場した動機を話す古田。「賞金が懸かっていたので狙ってたんですけど、他に強い選手も出ていたのでどうかな、と。でも得意のスプリント勝負に持ち込めたので勝てました。湾岸クリテリウムで樫木さんに負けたリベンジが出来た事も嬉しいです」ちなみに賞金10万円の使い道は「バイクのパワーアップに使います!」との事。



今回の大会について、主催者の須藤むつみRGJ代表にお話を伺った。

−今回女子メインのレースを開催する事にしたのはなぜですか?

須藤むつみ Ready Go JAPAN代表須藤むつみ Ready Go JAPAN代表 photo:Satoru.Kato大会MCも務めた須藤むつみRGJ代表(左)大会MCも務めた須藤むつみRGJ代表(左) photo:Satoru.KatoW1クラスで自身も強さを見せたRGJ須藤むつみW1クラスで自身も強さを見せたRGJ須藤むつみ photo:Satoru.Kato日本国内で行われている大会では男子がメインとなってしまうので、どうしても女子レースがオマケ扱いになってしまい、レース時間や距離も男子の都合で決められてしまう。かなり前にキヨ・ミヤザワさんが「クイーンズカップ」という女子メインのレースを開催された事があり、あんな形のレースを開催したいと考えていました。

かなり高額な賞金を懸けましたね?

女子のレースは増えてきてはいますが、ただ女子レースの大会をやるだけでなく、他の大会との差別化として賞金を設定しました。これには出場する選手に目標としてもらえる大会であって欲しいという想いも込めていますが、わかりやすいアイコンとして賞金レースという形を取りました。

ー第1回大会を開催してみての手応えは?

2つのクラスに分けてレースを行えた事は良かったと思っています。女子はどうしても1クラスしかない場合が多いので、実力差が大きくなってしまう。今回はW1は1時間走ってもらう事、W2は出来るだけ周回遅れを出さないようにする事を念頭に設定しました。W2は結果として逃げ切り勝ちになりましたけど、集団から追いかける動きもあったりしてロードレースが出来ていたのではないかと感じてます。

−今後の展望を聞かせて下さい

今回は2クラス計30人のエントリーを頂きましたが、参加者数が増えれば今回のW1とW2の中間の距離のクラスを設定したいと思ってます。また、更衣室を増設したりするなど、女子レースならではの運営も盛り込んでいく他、併催している「TCFフレンドリーロードレース」(東京都自転車競技連盟主催)と連携して子供向けレースも検討したいです。開催時期は1ヶ月前後ずれる事はあるかもしれませんが、毎年同じ時期の同じ場所で開催していくことで、1人でも多くの女子選手にスタートラインについてもらいたい。最終的には目標としてもらえるような大会にしていきたいと考えています。

ゆくゆくは女子UCIレースを開催する事が目標であるが、今回の大会はその足がかりとしての大会だと須藤代表は話す。女子の競技者数が増えてきている昨今、この大会を機に女子ロードレースがもっと盛り上がる事を期待したい。

text&photo:Satoru.Kato