2014/09/25(木) - 09:53
夏らしい陽気がすこし鳴りを潜めてきた9月14日。日本有数の観光地である栃木県の日光を舞台に2000人が参加したロングライドイベント、「ツール・ド・NIKKO」が開催された。今回はその中でも新設されたファンライド山岳日光コースのレポートをお届けしよう。
日光。江戸幕府の祖、徳川家康の廟として建設された日光東照宮を中心に観光地として発展した町だ。中禅寺湖へと登るいろは坂が憧れの地であるサイクリストも多いだろう。ちなみにいろは坂というのは第一いろは坂と第二いろは坂、二つの道からなり、そのカーブの総数が48個あることに由来するもの。登り方向の第二いろは坂は20のコーナーがあるので、訪れる際には参考にされたい。
さて、今年で4回目の開催となるツール・ド・NIKKO。メイン会場となる朝の日光だいや川公園は、夏用半袖ジャージだけでは少し肌寒いほど。ここぞとばかりに、最近編集部で新調されたウインドブレーカーを着こんで取材を始める。
6時半の時点で会場には既に多くの参加者が集まっており、開会式が行われているステージをはじめ、メカニックブースに受付ブースにと、たくさんのサイクリストでごった返していた。とちぎテレビで放送されている自転車番組「Ride on!」の取材が来ていたり、走りだす前から盛り上がっている。
7時からはスタートゲートに続々と参加者たちが整列を始める。スタートの脇にはたくさんの応援が詰めかけ、スタートしていく参加者たちへと、大きな声援を送り続けていく。中には忍者がいたりもしたりして、盛り上がるスタート地点。
だいや川公園を出てすぐに集団は日光杉並木に入っていく。高さ30mを超える杉が、道路の両側に延々と植えられていく中を走っていく。世界最長の並木道としてギネスブックにも登録されている歴史ある道を2000人のサイクリストが走っていく様は、まさに壮観の一言。ダートや石畳といった路面もまた、歴史を感じさせてくれるエッセンスだ。近頃流行りのグラベルツーリングという捉え方もできる。
普通のロングライドイベントであれば、進むにつれて風景がきれいになっていったり、見所があったりするものだが、ツール・ド・NIKKOはそんな不文律はものともしない。開始3kmから、日光らしさを存分に味わえるのだ。こんなインパクトのある大会はなかなかないだろう。
杉並木を通り抜け、少し市街地を通り抜けると田園地帯の中を進む長閑な道を走ることになる。鬼怒川の支流である大谷川(だいやがわと読む)を渡ると、第1エイドである「かたくりの湯」に到着。メガソーラー施設が隣接するエイドでは、らっきょや梅干しといった塩分補給から、いちごパイやラスクといった糖分補給に加え、新鮮なトマトが出迎えてくれる。
かたくりの湯を出ると、鬼怒川を上流へと向けて走っていく。しばらく、鬼怒バイパスを北上すると、トンネルが現れる。ずばり鬼怒川トンネルと名付けられたトンネルを抜けると、それまでの郊外のバイパスといった風景から一転、鬼怒川温泉の風情ある景色の中に飛び出すことに。
温泉街の中を走り抜けると二つ目のエイドステーション、鬼怒川公園野外ステージに到着。広々とした芝生が解放感にあふれる鬼怒川公園エイド。このエイドの目玉はなんといってもゆばむすび。おこわを海苔の代わりに半生のゆばで包んだもの。食べてみると、ゆばのプチっとした食感とおこわのむっちり感が生み出す絶妙なコンビネーションは、他ではなかなか味わえないもの。手のひらほどのおにぎりは30秒ほどで胃の中へ消えていった。
100kmの山岳チャレンジ日光コースの取材班とともにスタートしたので、ここで一旦ファンライド山岳日光コースの参加者が来るまでしばしの間休憩をとる。黄色のゼッケンをつけた参加者たちがぽつぽつと現れるころ、鬼怒川公園エイドを後にする。
鬼怒川温泉を後にして、さらに北へと向かっていく。この辺りからところどころに登りが現れ始めるが本格的な登りはもう少し先。川治温泉にある川治ふれあい公園には臨時でエイドが設定され、水やスポーツドリンク、バナナなどが配られた。この公園には足湯があり、折り返し近くなった参加者たちが多く足を休めていた。
ここからは、五十里湖に向けて平均斜度4%程度の登りが4kmほど続く。いくつかのトンネルを抜けて、登り終えると目の前に大きな橋が現れる。五十里湖の景観が広がる中、たくさんのサイクリストが橋の上で立ち止まって記念撮影を始める。ぐるっと湖を回って、次は川治ダムへとむかっていく。
川治ダムからは一路下りとなる。下る前に、サポートライダーから下りの注意事項についてブリーフィングを受けてから、20人程度の集団となって、まとまって下っていく。路面が荒れている場所も少なく、安心して下っていけるコースだ。
下りきって、しばらく走ると小百田舎そばエイドに到着。この大会では、4種目あるうちどのコースでも、そばを食べることができるというのが大きな売りのひとつ。小百地区の蕎麦組合が運営する蕎麦屋さんで、普段は地元客から観光客まで訪れるほどの人気の蕎麦屋がこの大会のために、貸切でエイドとしてサイクリストに開放された。
続々と訪れる参加者のためにおばあちゃんたちがどんどんと蕎麦を茹でてはサイクリストへと渡してくれる。さすがにピーク時には行列ができるものの、茹でたての蕎麦を食べられることを考えれば直ぐに順番はやってくる。厨房でおばあちゃんたちが大車輪の活躍をしているおかげで、長い行列のわりに5分ほど並べば蕎麦にありつけた。
蕎麦でおなかを満たした後は、ゴール地点に向かって走っていくだけ。丘を越えて、日光カントリー倶楽部を左に見ながら走っていく。気付かないくらいの登り勾配で地味に足が削られていくが、ゴールまでもう少しと考えれば我慢のしどころ。霧降大橋を渡って、ゴールであるだいや川公園に駆け込む。
MCが盛り上げるゴールをくぐれば、ファンライド山岳日光コースは終了。適度な登りと充実のエイド、日光杉並木や鬼怒川温泉街など変化に富んだコースレイアウト。初心者コースでは物足りなくて長い距離を走りたい、でも長い登りは苦手。そんなサイクリストを満足させるファンライド山岳コースはこれから人気が出てきそうなド真ん中のカテゴリーとして、来年から人気が出てくるだろう。
text:Naoki.YASUOKA
photo:CW編集部
日光。江戸幕府の祖、徳川家康の廟として建設された日光東照宮を中心に観光地として発展した町だ。中禅寺湖へと登るいろは坂が憧れの地であるサイクリストも多いだろう。ちなみにいろは坂というのは第一いろは坂と第二いろは坂、二つの道からなり、そのカーブの総数が48個あることに由来するもの。登り方向の第二いろは坂は20のコーナーがあるので、訪れる際には参考にされたい。
さて、今年で4回目の開催となるツール・ド・NIKKO。メイン会場となる朝の日光だいや川公園は、夏用半袖ジャージだけでは少し肌寒いほど。ここぞとばかりに、最近編集部で新調されたウインドブレーカーを着こんで取材を始める。
6時半の時点で会場には既に多くの参加者が集まっており、開会式が行われているステージをはじめ、メカニックブースに受付ブースにと、たくさんのサイクリストでごった返していた。とちぎテレビで放送されている自転車番組「Ride on!」の取材が来ていたり、走りだす前から盛り上がっている。
7時からはスタートゲートに続々と参加者たちが整列を始める。スタートの脇にはたくさんの応援が詰めかけ、スタートしていく参加者たちへと、大きな声援を送り続けていく。中には忍者がいたりもしたりして、盛り上がるスタート地点。
だいや川公園を出てすぐに集団は日光杉並木に入っていく。高さ30mを超える杉が、道路の両側に延々と植えられていく中を走っていく。世界最長の並木道としてギネスブックにも登録されている歴史ある道を2000人のサイクリストが走っていく様は、まさに壮観の一言。ダートや石畳といった路面もまた、歴史を感じさせてくれるエッセンスだ。近頃流行りのグラベルツーリングという捉え方もできる。
普通のロングライドイベントであれば、進むにつれて風景がきれいになっていったり、見所があったりするものだが、ツール・ド・NIKKOはそんな不文律はものともしない。開始3kmから、日光らしさを存分に味わえるのだ。こんなインパクトのある大会はなかなかないだろう。
杉並木を通り抜け、少し市街地を通り抜けると田園地帯の中を進む長閑な道を走ることになる。鬼怒川の支流である大谷川(だいやがわと読む)を渡ると、第1エイドである「かたくりの湯」に到着。メガソーラー施設が隣接するエイドでは、らっきょや梅干しといった塩分補給から、いちごパイやラスクといった糖分補給に加え、新鮮なトマトが出迎えてくれる。
かたくりの湯を出ると、鬼怒川を上流へと向けて走っていく。しばらく、鬼怒バイパスを北上すると、トンネルが現れる。ずばり鬼怒川トンネルと名付けられたトンネルを抜けると、それまでの郊外のバイパスといった風景から一転、鬼怒川温泉の風情ある景色の中に飛び出すことに。
温泉街の中を走り抜けると二つ目のエイドステーション、鬼怒川公園野外ステージに到着。広々とした芝生が解放感にあふれる鬼怒川公園エイド。このエイドの目玉はなんといってもゆばむすび。おこわを海苔の代わりに半生のゆばで包んだもの。食べてみると、ゆばのプチっとした食感とおこわのむっちり感が生み出す絶妙なコンビネーションは、他ではなかなか味わえないもの。手のひらほどのおにぎりは30秒ほどで胃の中へ消えていった。
100kmの山岳チャレンジ日光コースの取材班とともにスタートしたので、ここで一旦ファンライド山岳日光コースの参加者が来るまでしばしの間休憩をとる。黄色のゼッケンをつけた参加者たちがぽつぽつと現れるころ、鬼怒川公園エイドを後にする。
鬼怒川温泉を後にして、さらに北へと向かっていく。この辺りからところどころに登りが現れ始めるが本格的な登りはもう少し先。川治温泉にある川治ふれあい公園には臨時でエイドが設定され、水やスポーツドリンク、バナナなどが配られた。この公園には足湯があり、折り返し近くなった参加者たちが多く足を休めていた。
ここからは、五十里湖に向けて平均斜度4%程度の登りが4kmほど続く。いくつかのトンネルを抜けて、登り終えると目の前に大きな橋が現れる。五十里湖の景観が広がる中、たくさんのサイクリストが橋の上で立ち止まって記念撮影を始める。ぐるっと湖を回って、次は川治ダムへとむかっていく。
川治ダムからは一路下りとなる。下る前に、サポートライダーから下りの注意事項についてブリーフィングを受けてから、20人程度の集団となって、まとまって下っていく。路面が荒れている場所も少なく、安心して下っていけるコースだ。
下りきって、しばらく走ると小百田舎そばエイドに到着。この大会では、4種目あるうちどのコースでも、そばを食べることができるというのが大きな売りのひとつ。小百地区の蕎麦組合が運営する蕎麦屋さんで、普段は地元客から観光客まで訪れるほどの人気の蕎麦屋がこの大会のために、貸切でエイドとしてサイクリストに開放された。
続々と訪れる参加者のためにおばあちゃんたちがどんどんと蕎麦を茹でてはサイクリストへと渡してくれる。さすがにピーク時には行列ができるものの、茹でたての蕎麦を食べられることを考えれば直ぐに順番はやってくる。厨房でおばあちゃんたちが大車輪の活躍をしているおかげで、長い行列のわりに5分ほど並べば蕎麦にありつけた。
蕎麦でおなかを満たした後は、ゴール地点に向かって走っていくだけ。丘を越えて、日光カントリー倶楽部を左に見ながら走っていく。気付かないくらいの登り勾配で地味に足が削られていくが、ゴールまでもう少しと考えれば我慢のしどころ。霧降大橋を渡って、ゴールであるだいや川公園に駆け込む。
MCが盛り上げるゴールをくぐれば、ファンライド山岳日光コースは終了。適度な登りと充実のエイド、日光杉並木や鬼怒川温泉街など変化に富んだコースレイアウト。初心者コースでは物足りなくて長い距離を走りたい、でも長い登りは苦手。そんなサイクリストを満足させるファンライド山岳コースはこれから人気が出てきそうなド真ん中のカテゴリーとして、来年から人気が出てくるだろう。
text:Naoki.YASUOKA
photo:CW編集部
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