久米島に限らず、沖縄の朝は遅い。東京と比べると日の出は1時間遅く、日の入りも1時間遅いのだ。朝に焦ることは無かったが、普段と同じ時刻であるにも関わらず、明るさが違うことには大いに違和感を覚えてしまう。東京と北緯8度も違えば当然と言えばその通りだが、取材とは言え遠くまで来たものだ。



朝日を浴びて走り出す。久米島の日の出は遅い朝日を浴びて走り出す。久米島の日の出は遅い
サイクリングリーダーのペースに合わせて快調に走るサイクリングリーダーのペースに合わせて快調に走る 前日のちゃんぷるトライアスロンから連続参加された方も前日のちゃんぷるトライアスロンから連続参加された方も



身支度を整えてバイクにまたがり、「シュガーライド久米島」の会場が用意された奥武島へと向かう。南国・久米島とは言え、日の出間際に半袖+ショーツではさすがにひんやりと感じるが、長袖のウインドジャケットを重ねておけばOKだ。東の方角からはオレンジ色の太陽が顔をのぞかせようとしているところ。今日の予報最高気温は23℃。暑くなりそうだ。

細かいアップダウンが延々と続く。結構脚にくる細かいアップダウンが延々と続く。結構脚にくる どこか東南アジアの国々を思わせる風景が続くどこか東南アジアの国々を思わせる風景が続く シュガーライドのコースラインナップは、島を3周する130kmコースと、2周の90kmコース、1周の45kmコースの全3バリエーション。エントリーは計200名あまりだが、他の2コースよりも1時間早くスタートする130kmコースの参加者は70名ほど。久米島町長の挨拶を受け、穏やかにそよぐ海風を受けながらゆったりとスタートを切った。

黄金色の朝日を浴びながら、コーラルリーフをまたぐ橋を通過し、車列は奥武島から久米島へと渡る。そして徐々にスピードを上げつつ、未だ目覚めぬリゾートエリアを通過していった。

70名の集団をエスコートするのは3名のサポートライダーたち。対向車線をぱらぱらと会場に向かう、別コースの参加者と交わす笑顔のやり取りが気持ち良い。何とも言えない心地よさは、離島を走るという高揚感と、小規模大会ならではの一体感が生み出すものだろうか。

さて、私が参加した130kmコース(チャレンジコース)は、1周およそ40kmほどの久米島をぐるりと3周する。130kmで何故「チャレンジ」だろうかと思う方もいるかもしれないが、スタートからゴールまでの合計獲得標高は1800mほどと距離の割に多く、細やかなアップダウンが多い。火成岩からできた島、と聞いて納得だ。



陸上自衛隊基地に駆け上がる林道。ジャングルの雰囲気が漂う陸上自衛隊基地に駆け上がる林道。ジャングルの雰囲気が漂う 「この先、航空自衛隊につき通り抜けできません。」「この先、航空自衛隊につき通り抜けできません。」

10%を優に越える勾配が直登で続く「レッドカーペット」。思わず蛇行祭りに10%を優に越える勾配が直登で続く「レッドカーペット」。思わず蛇行祭りに


3周するうち、1周目はコースの最高標高地点である陸上自衛隊久米島分屯基地への登りを含み、2周目と3周目はそれを回避する別ルートだから飽きが来ない。コースを監修したのはツール・ド・おきなわでも裏方として活躍する沖縄輪業の森さんだ。

宇江城からの林道。久米島内陸部のアップダウンは厳しい宇江城からの林道。久米島内陸部のアップダウンは厳しい 自衛官が見守る中、車列は基地内へとはいっていく自衛官が見守る中、車列は基地内へとはいっていく 時速30〜35kmほどの快調ペースをキープしながら、刈り入れ最盛期のサトウキビ畑の間を縫いながら、南から北。島を時計回りに車列は進む。途中で久米島の市街地を通過したが、その大きさはローカルな久米島空港の敷地内にすっぽりと収まってしまうコンパクトさだ。

そのうちに久米島空港横を過ぎると、目の前には大海原のパノラマビューがドカンと飛び込んでくる。島の南側はエメラルドグリーンの珊瑚礁が囲んでいたが、空港を境とした北側はすぐに外海と繋がっているため、その色は深淵なディープブルーへ、海岸線は日本海のような荒々しい岩場へと急変化してみせた。

内陸に目を向ければ大岳やだるま山の急峻な峰が続き、この変化に富む豊かな自然こそが久米島の魅力なのだろう。1周40kmほどの小さな島であっても、自然はこれほど大きな差異を作り出すのだ。車列は快調なペースを崩さないまま、そんな久米島を代表する景勝地「ミーフガー」のエイドステーションに到着した。

エイドでは、シュガーライドにちなんだサトウキビや塩、黒糖など素朴な補給食が並ぶ。グルメを謳うイベントとは比べようが無いが、むしろこの素朴さが久米島の雰囲気と相まって、何とも言えない良い感じ。特にシークワーサージュースが甘酸っぱくて最高だ。



「YOU ROCK(=お前最高だぜ!)」「YOU ROCK(=お前最高だぜ!)」 コンクリート簡易舗装の激坂から始まるアーラ林道コンクリート簡易舗装の激坂から始まるアーラ林道

島内の至る所にはツツジが咲き乱れていた島内の至る所にはツツジが咲き乱れていた 桜んぼが生るアーラ林道。桜の季節にはさぞ美しかった事だろう桜んぼが生るアーラ林道。桜の季節にはさぞ美しかった事だろう



撮影をこなしつつ一息入れたら、130kmコース最大の難所、久米島分屯基地へと至る登坂へと挑む。標高差250mを駆け上がる峠道は途中10%超の勾配が直登で続き、ちょっと初心者にはオススメできないかもしれない。滑り止めの赤い舗装をもじって「レッドカーペット」と呼ばれていたが、自衛隊基地に直結するこの峠には一縷の華やかさも無い。

基地のゲートで身分証明をして、このイベントのためだけに開放される基地内を走る。写真撮影が厳禁だから伝えにくいが、急峻な地形に据え付けられた自衛隊用(全く歩きや自転車のことを考えていない)道は、どこか同じ出自を持つ富士あざみラインとも似た印象だ。基地内の最高標高地点からは、遠く粟国島が見渡せた。



シュガーライド久米島のアイコンである景勝地、ミーフガーシュガーライド久米島のアイコンである景勝地、ミーフガー
イーフビーチホテルでランチブレイク。極上のロケーションだイーフビーチホテルでランチブレイク。極上のロケーションだ 2時間に1本しかない飛行機の着陸シーンをゲット2時間に1本しかない飛行機の着陸シーンをゲット



東シナ海を一望できる比屋定バンタを経由し、一気に標高309mを駆け下りる。私は序盤に喫したパンクで隊列から遅れてしまったため、人数の揃っている(写真映えの良い)先頭グループに合流するべくコースをショートカット。一人で全てカバーする取材はなかなかに酷であるし、特に人数の少ない大会は大変だ(笑)。

ちゃんぷるトライアスロンから連続参加したという皆さん。タフ!ちゃんぷるトライアスロンから連続参加したという皆さん。タフ! お昼に振る舞われた久米島そば。まぁさん(美味しい)!お昼に振る舞われた久米島そば。まぁさん(美味しい)! 無事に2周目に入る先頭グループをキャッチした後は、1周目とほぼ同じルートで空港〜ミーフガーと繋いでいく。荒涼とした丘陵地に広がるサトウキビ畑と海のコントラストは、どこか東南アジアの景色と通じるものがある。

そう言えば130kmコースにはトライアスロン系の参加者が多かったが、彼らは前日に行われた「久米島ちゃんぷるトライアスロン」から連続参加の方々。「どうせなら2日間連続で参加しようと思って。でもTTバイクにはキツすぎるコースですね」と口を揃えて苦笑いする。たしかにTTハンドルとディスクホイールでは厳しかったろう…。

連続するアップダウンに合わせ、幾度となくシフトレバーを操作し、走り方を切り替える。登りに目に行きがちなコースだが、このルートでは特にダウンヒルが最高である。絶妙な斜度とアールでうねるワインディングは、下り好きライダーの琴線をくすぐってくきて最高に気持ちが良い。目線の先に広がる海の色が良いのだから、爽快感も殊更だ。

2周目を終え、イーフビーチホテルで食べ過ぎないようにランチを済ませたら、残り40km、3周目に入る。もう既にルートの情報は頭に十分入っているので気が楽だ。アーラ林道、空港先の海岸沿いルート、ミーフガーと、勝手知った道を再び走る。

ここで私は快調ペースを刻む先頭グループから離れ、ギアを2枚ぶん軽くする。今まででは見えなかった景色や、聞こえなかった音が聞こえてくる。アップダウンに合わせてスピードを調整しても面白いが、スイッチをオフにしてゆったりと走っても実に楽しいロケーションだ。アップダウンこそ少し厳しめだが、45kmコースの参加者もきっと満足できたことだろう。



こちらは沖縄県内から参加した方々こちらは沖縄県内から参加した方々 全員130kmを完走!フレンドリーな皆さん全員130kmを完走!フレンドリーな皆さん

ホテルの中庭を使ったふれあいパーティーホテルの中庭を使ったふれあいパーティー 最後はカチャーシーで〆。沖縄ライドイベントの定番です最後はカチャーシーで〆。沖縄ライドイベントの定番です



久しぶりの山岳ライドと急な気候の変化にやられながらも、私はゆるゆると3回目の比屋定パンダの登りをクリアし、後はもう下るだけ。開通したばかりの「つむぎ橋」と「てぃーだ橋」をバシュン!とクリアしてゴールに飛び込んだ。

いやはや、十分な疲労感。一緒に走っていた方の「佐渡ロングライド210kmと同じか、それ以上の疲労感」という感想にもうなずける。「アスリートコース」という名称にふさわしい達成感を味わいつつ会場を後にし、まだ日が高いうちから始まるふれあいパーティーへ。美味しい料理を楽しみながら、共に走った皆さんとの交遊を深めた。

text&photo:So.Isobe


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