世界遺産にも指定されたスイス、オーストリアの国境、イタリア北部のドロミテ山塊エリア。「ベスト・オブ・アルプス」とも呼ばれる、美しい街コルチナ・ダンペッツォを拠点にした、フェローサイクルがプロデュースする魅惑のサイクリングルートを紹介しよう。



荒々しい山容のドロミテ山塊に抱かれて走る荒々しい山容のドロミテ山塊に抱かれて走る (c)フェロートラベル
ヨーロッパでの本格的なサイクリングツアーを計画しているフェローサイクル。そのツアープランの中、アオスタと並び力を入れられているのがユネスコの世界遺産に指定され脚光を浴びる、スイスやオーストリアと国境を接するイタリア北部、ドロミテ山塊エリアだ。ドロミテサイクリングコースマップドロミテサイクリングコースマップ (c)フェロートラベル

平坦な地形に突如現れる総延長約1,200km、標高3,000mの世界的にも珍しい岩山。冬場にはスキーやスノーボードといったウィンタースポーツが盛んであり、過去には冬季オリンピックも開かれたこともあるほどスポーツリゾートとしてアウトドアアクティビティのメッカとなっている地域だ。

一度訪れたが最後、その魅力に虜になってしまう風光明媚で雄大な自然が広がるエリアだ。本編では、ジロ・デ・イタリアの山岳ステージにも登場する彼の地を走る、ツアープランの一例を紹介する。



名峰クリスタッロを360度眺めるルート1
ランドロ湖から名峰クリスタッロを臨むランドロ湖から名峰クリスタッロを臨む (c)フェロートラベル

コース1 プロファイルコース1 プロファイル (C)フェロートラベルルート1はドロミテ北東部のコルチナ・ダンペッツォをスタートし、名峰クリスタッロ山裾を周回する走行距離約62㎞、標高差約1,092㎞のルートだ。

途中には美しいランドロ湖、その後に現れるミズリーナ湖では北東にそびえたつ2,990mの岩盤の峰、トレチーメ・ディ・ラヴァレードのダイナミックな景観などを眺めることができる。

ジロ・デ・イタリアでトレチーメ・ディ・ラヴァレードを駆け上がるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ジロ・デ・イタリアでトレチーメ・ディ・ラヴァレードを駆け上がるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji特にこのトレチーメ・ディ・ラヴァレードは大雪の中、熱い勝負を繰り広げた歴史的なステージとして、ロードレースファンに鮮烈な感動を与えた昨年のジロ・デ・イタリア第20ステージのフィニッシュ地点でもある。

ロードレースファンは、美しいトレチーメを麓からただ眺めるだけでなく少しルートを外れても、自らの脚であの熱狂と興奮を思い出しながら、憧れの選手の見た景色や感じた風、受けた苦痛を想像し、追体験するのも良いだろう。

写真撮影スポットも豊富で、自分の足で走り、苦労をした分だけ、ご褒美のポイントも次々と現れてくれるサイクリングの名ルートだ。



レースゆかりの絶景をヒルクライムするルート2
雄大な景色が広がる1級山岳パッソ・ジャウの頂上付近雄大な景色が広がる1級山岳パッソ・ジャウの頂上付近 photo:Kei Tsuji
コース2 プロファイルコース2 プロファイル (C)フェロートラベルルート2はコルチナ・ダンペッツォから南西方面に向かい、ジァウ峠~アベラウ、 チンクエトーリ~ポコルを経由し、コルチナ・ダンペッツォまで戻る走行距離約47㎞、標高差1,030mのルート。

アベラウ、ヌベラウ、チンクエトーリの山群をぐるっとサイクリングで周回でき、1日で充分に走りきることができる壮大さが凝縮されたルートだ。

近いところでは2012年のジロ・デ・イタリア第17ステージのルートにも設定された、コルチナ方面で最も高いジァウ峠までの絶景の中を走る、標高差1,000mのヒルクライムは非常にチャレンジングなコースながらも、頂上ではドロミテ中心エリアの絶景が展開し、登りの大変さが一気に報われるだろう。

往路はジァウ峠の南側、カプリレ方面へ標高差200mの快適な下りを楽しみながら、途中はリフトを駆使してのショートカットでチンクエトーリへ到達。ここからスタート兼ゴールのコルチナ・ダンペッツォまで最後のダウンヒルを楽しめる。

ジロ・デ・イタリアで有名な峠をバイクで登るジロ・デ・イタリアで有名な峠をバイクで登る (c)フェロートラベルイタリアのグルメを堪能できるイタリアのグルメを堪能できる (c)フェロートラベル




オフロードトレイルとロードバイクのゆかりの地を満喫するルート3
ポルドイ峠にあるファウストコッピの銅像ポルドイ峠にあるファウストコッピの銅像 (c)フェロートラベル
コルチナ・ダンペッツォからマウンテンバイクを楽しむために、オフロードトレイル中心のルートで、フォローリア~リオジェレ~クリスタッロからオスピターレを経由してコルチナ・ダンペッツォに戻るコースを走る。

雄大な山塊を見ながら走る豪快なトレイルコース雄大な山塊を見ながら走る豪快なトレイルコース (c)フェロートラベルその後、自動車でアラッバ経由でドロミテの西エリアの景勝地、標高差2,400mのポルドイ峠に行くプランはお薦めだ。

コース3 プロファイルコース3 プロファイル (C)フェロートラベルルート3は、ポルドイ峠をスタート&ゴールとして、セラ山群を周回する距離55km、標高差1780mのヒルクライムコース。4つの峠を超える、挑戦しがいのある中・上級者向きのコース設定となっている。

起点となるポルドイ峠には、山頂へ上がるロープウェイ駅の近くに、イタリアが誇るロードレースのカンピオーネ、ファウスト・コッピの銅像がある。

またホテル・サボイアの前には歴代のジロ・デ・イタリアのチャンピオンが刻まれている記念碑などもあるように、ロードレースの歴史において、重要な意味を持つエリアだ。

昨年のツール・ド・ポローニュ第2ステージのフィニッシュ地点にもなっているように、今でもその伝統は受け継がれてきている。ロードレースファンならば山岳レースの奇跡を巡る地として、ぜひとも訪れておきたい歴史あるエリアだ。

ドロミテの提携サイクルショップでバイクやグッズのレンタルも可能だドロミテの提携サイクルショップでバイクやグッズのレンタルも可能だ (c)フェロートラベルドロミテ山塊に抱かれたロッジ風ホテルで過ごすドロミテ山塊に抱かれたロッジ風ホテルで過ごす (c)フェロートラベル




サンタルチア教会を自転車で訪問するルート4
山間の村の合間を縫って走っていく山間の村の合間を縫って走っていく (C)フェロートラベル
ルート4は、ドロミテの重要拠点である南方のアレゲを拠点としたルートで、カプリレ~セルヴァ・ディ・カドー~サンタクローチェからソットグダ~マラガチャペラまで行き、カプリレを再び経由してアレゲに戻ってくる走行距離約47㎞、標高差約1,100mのロードバイク向けのオンロードルート。ここでのハイライトはサンタルチア教会で有名なサンタルチア村のある標高1,430mを目指す絶景のヒルクライムルートで、左手にチベッタ、ペルモの名峰を眺めながら登っていく贅沢なルートだ。



ドロミティの荒々しい山々を走る(ジロ・デ・イタリアより)ドロミティの荒々しい山々を走る(ジロ・デ・イタリアより) photo:Riccardo Scanferla世界遺産の地を自転車で走ることができるドロミテ地方。ロードレースゆかりの地やグランツールなどで使用されたルートも多く存在するエリアだ。

特にジロ・デ・イタリアの重要な展開を左右してきたステージの多くはドロミテを舞台にしてきた。テレビで眺めるだけでは味わえない、憧れのプロトンが通っていったという息遣いを一度味わいに訪ねてみてはいかがだろうか?

なおツアーについて詳しくは以下リンクの記事より日程や内容、諸条件をご確認ください。