11月16日、17日に開催されるRapha野辺山高原シクロクロスレース。シクロクロスブームの火付け役と言っても過言ではない本大会は今年で第4回。ビギナーからエリートレーサーまでが満喫できるこのイベント見どころを紹介しよう。

シクロクロッサーにとって大きな目標となるまでに成長した野辺山シクロクロスシクロクロッサーにとって大きな目標となるまでに成長した野辺山シクロクロス photo:Kei Tsuji
2010年に初開催、2011年にはUCI公認レース化、2012年には国内発のフライオーバーを設置するなど、毎年進化を続ける”Rapha野辺山高原シクロクロスレース”(以下、野辺山シクロクロス)。11月16日・17日に開催される今大会は、2日間連続開催が話題だ。華のあるUCIレースはもちろん、参加人数の多い主要カテゴリーは2日で2回のレースを走ることが可能になった。

本州の中央、長野県南牧村の野辺山に位置する立地の関係上、東西のシクロクロスレーサーたちが集う地の利もあり、昨年大会では参加者600人超、観戦も含めると2日間で動員1200名を記録した。今年はレースカテゴリーの増設とブース出展の充実により1500人の動員を目指すという。では何が野辺山シクロクロスを国内屈指の大会にしているのか、エントリー締め切りまであと3日ほどとなった今、改めてその理由を探ってみよう。


世界基準のコースレイアウトに「泥・泥・泥」

泥区間は野辺山シクロクロスのアイコン泥区間は野辺山シクロクロスのアイコン photo:Kei Tsuji野辺山シクロクロスの会場は野辺山にある滝沢牧場。普段は観光客で賑わう牧歌的な牧場だが、11月には泥まみれのテクニカルなシクロクロスコースに変貌。安易な直線の設置や、複雑すぎないコーナーのレイアウト、そしてそびえ立つフライオーバー(立体交差)などのバランスのよい配分は、本場ヨーロッパ、そして急速なシーンの盛り上がりを見せるアメリカのコースを参考にしたものだ。海外のレースを自ら走るレースオーガナイザーの矢野大介氏が、そのエッセンスを随所に配した形だ。

魅せるレース、を演出するフライオーバー魅せるレース、を演出するフライオーバー photo:Hideaki.TAKAGIUCI公認レースを開催するということは、世界基準のレースを開催すること。全国、そして海外からも集う選手に応えるように「難しすぎない」絶妙のバランスとなっている。これは矢野氏の、「激坂を入れたり、急コーナーを取り入れることでコースの難易度を増すことは容易だが、シクロクロスはテクニックでこそ差がつくもの」という思想に基づいた設計となっている。

八ヶ岳をバックにしたコース八ヶ岳をバックにしたコース photo:Kei Tsujiハイスピードコーナーや、野辺山シクロクロスの象徴とも言える泥セクションの設置はその現れだ。もちろん、全体の競技レベルの向上に伴って将来的にはワールドカップ級の難コースも視野に入っているという。レースもまた、選手を育てる要素のひとつだという意識が見て取れる。

このテクニックを要求する泥コースは、逆を言えば誰でもが走りやすいコースということになる。シクロクロスシーンの底上げには「カテゴリー3、L2の参加が必須」と語る矢野氏の言葉通り、誰でも泥との戦いを、前走者との戦いを楽しむことができる。自らが苦戦した泥やコーナーを、UCIレーサーが華麗なテクニックを駆使してどう走るかを間近で見ることができるのも野辺山シクロクロスの魅力のひとつだろう。

それに、単純に泥にまみれて走ることは楽しい。大人になって泥まみれになる機会なんて、自転車に乗っていてもそうそうあるものではない。シクロクロスが、野辺山が、あなたを童心と闘争心の方へと回帰させてくれるのだ。


祭典の雰囲気と花咲く笑顔を満喫

名物シングルスピード選手権 今年の仮装は何にする?名物シングルスピード選手権 今年の仮装は何にする? photo:Kei TsujiUCI公認のエリートカテゴリーのレースが開催される一方で、野辺山シクロクロス名物のシングルスピード選手権(SS)もまた、見逃せない。こちらは世界的な流行にのって、仮装大会と化している野辺山屈指のお笑いレース。みなさんご存知のキャラクターや泥に似つかわしくない正装、どうやって自転車に乗っているのか不明なハリボテまで、多種多様な仮装がコースを彩る。周回ごとに服装の変わる演出を仕込むライダーもいて、観戦も盛り上がるカテゴリーだ。

キンダーガーデンのレース キンダーガーデンのレース photo:Kei TsujiSSがユニークなのは服装だけでない。ウェアブランドながらコアなハンドメイドバイクに造詣の深いRaphaが主催するとあって、SSの参加者の乗るバイクもユニークなものが多数。マニア垂涎のバイクから、世界で一台だけのオリジナルバイクまで、バイクファンにも見逃せないのがこのカテゴリーだ。

キッズレースの充実ぶりもチェックしたい。自身のレースを控えているパパライダーが、親子でシクロクロスを楽しむ様子は今後のシーンの高まりを予期させるもの。ママはキッズの奮闘ぶりに感動し、パパの頑張りに惚れ直すこと間違い無しの、家庭円満(?)シクロクロスレースなのである。走られる方も、観戦のみの方も、ぜひゴール後の参加者の表情を見てほしい。レース中、苦悶の塊だったその表情には、この上ないほどの笑顔が咲いているはず。シクロクロスの魅力は、もうこの笑顔だけで充分伝わるはずだ。


シクロクロスのトレンドがわかるブース出展と、観戦を楽しめるフードの充実

海外のシクロクロスレースを観たことのある方なら、観客が(雪が降っていても……)ビールジョッキを片手にフリット(フライドポテト)を頬張る姿が印象に残っているのではないだろうか。野辺山シクロクロスは、こうした「観客の流儀」にも積極的だ。今年出展する飲食ブースを少し覗いてみよう。

盆栽自転車店のイチオシはダブルチョコマフィン盆栽自転車店のイチオシはダブルチョコマフィン photo:Kei Tsuji関西クロスの出張ケータリングでおなじみのエスキーナ関西クロスの出張ケータリングでおなじみのエスキーナ photo:Kei Tsuji

BUCYO COFFEEBUCYO COFFEE 100円のオイルマッサージ。人気が出そうだ100円のオイルマッサージ。人気が出そうだ


九州から出展するMOZUCOFEE九州から出展するMOZUCOFEE 関西シクロクロスでの出張ケータリングでお馴染みのタベルナ・エスキーナは昨年完売のタイカレーを始め、クリームシチュー、ドリンクはホットサングリアやオオヤコーヒー、ホットバターラムを用意して寒い観戦をホットにしてくれる。名古屋のEarlybirds Breakfastはクラムチャウダーを販売予定。千駄ヶ谷の盆栽自転車店カフェからは、名物のダブルチョコマフィン。バリスタの入れるコーヒーで暖をとってみてはいかがだろう?

コーヒーにこだわるシクロクロッサーたちに呼応してか、カフェの出展は全国から。九州からは自転車乗りのためのブレンドに定評のあるMOZU COFFEEが「シクロクロスブレンド」を、愛知からはやはりシクロクロス会場でお馴染みのBUCYO COFFEEが出店し、ペストリーも合わせ提供してくれる。いずれも「自ら走る」店主たちのお店だけにクロッサーの舌に合うこと請け合いだ。名古屋のディセッターレは出張オイルマッサージをワンコインで実施してくれる。100円でライダーの足を戦闘態勢へ。

各ブランドの最新モデルにも注目。試乗ができるブースも各ブランドの最新モデルにも注目。試乗ができるブースも (c)ジャイアント先鋭的なメーカーの出店も見逃せない。野辺山シクロクロスのフライオーバーを深紅に染めるスペシャライズドは、サクソ・ティンコフの宮澤崇史選手によるシクロクロススクールを16日(土)に開催予定(詳細は公式HP、フェイスブックにて)で、サイズを揃えたCXバイクの試乗も行なうという。

ジェイピースポーツグループのブースには、シクロクロスの本場ベルギーのブランド「リドレー」の試乗車が準備され、オフロードで実際に走ることができる。SimWorksはCielo By ChrisKingやHunter Cyclesといった個性的なバイクの展示と、会場限定グッズの販売が予定されている。

ゼータトレーディングではケイティ・コンプトンも使用するWickwerksのチェーンリングを展示し、ジャイアントではCXの試乗車を満喫できる。今大会からレースのタイトルスポンサーとなったRaphaもウェアやアクセサリーの物販を行なう。毎年好評の大会Tシャツ(通称「泥T」)は完売必至のため、早めに求めたいところ。「シクロクロス×カウベル」の応援スタイルのトレンドを作った野辺山シクロクロスカウベルももちろん販売される。


豪華な出場選手 観戦だけでも価値ある大会へ

エリート男子、女子、U23はUCI公認レースとなる野辺山シクロクロス。そこに集うライダーは、全日本選手権と遜色の無い国内屈指の選手たちだ。さらに、例年アメリカを中心に海外選手が参加しており、UCIレースに違わない国際的な60分間が展開される。

トップレベルのレースが繰り広げられるUCIレース。観戦だけでも現地に足を運ぶ価値があるトップレベルのレースが繰り広げられるUCIレース。観戦だけでも現地に足を運ぶ価値がある photo:Kei Tsuji
ザック・マクドナルド(Rapha-FOCUS)の来日が決定。本場トッププロの走りを見るチャンスだザック・マクドナルド(Rapha-FOCUS)の来日が決定。本場トッププロの走りを見るチャンスだ 今年のトピックスは、ザック・マクドナルド(アメリカ、Rapha-FOCUS)の参戦だろう。昨年の全米選手権で2位に入ったザックはU23の対象選手でもある。ダウンヒルをバックボーンに持つテクニックの持ち主で、負けん気の強い若干22歳。アメリカでアンダーカテゴリーを総ナメにしたザックの参戦は、日本勢にとっても驚異となるはずだ。

招待選手として、迎え撃つのは全日本チャンピオンの竹之内悠(コルバ・スペラーノハム)。昨年の覇者であり、ベルギーで経験を積む竹之内とザックとの争いにシクロクロス大国へ挑戦する両国の未来を見るといっては言い過ぎであろうか。女子エリートは全日本チャンピオンの宮内佐季子(Viento)と昨年覇者の豊岡英子(パナソニックレディース)との争いが見どころ。男女共に国内のトップ選手が集結するUCIレースは、土日の両日で開催される。


Rapha野辺山高原シクロクロスレースは11月16日・17日開催

シクロクロスの楽しみがぎゅっと凝縮された野辺山シクロクロスは、11月16日・17日の2日間に渡り開催される。大会スケジュールは下記の通り。エントリーの受付は、11月3日(日)までと日が短いので早めの申し込みが吉だ。スポーツエントリーからのみ受け付けている。

大会の締め切りはもうすぐ。あなたも野辺山の雰囲気を体感してみては?大会の締め切りはもうすぐ。あなたも野辺山の雰囲気を体感してみては? photo:Kei Tsuji
日本の各地でシクロクロスが開幕し始めた11月。祭典の雰囲気と、シーンのトレンドが集結する野辺山シクロクロスで泥まみれになってみてはいかがだろうか?



Rapha野辺山高原シクロクロスレース日程(予定)
11月16日(土)
8:00~ 受付
8:00~8:50 試走/
9:00 CL3 (20min)
9:02 中学生
9:35 C3(A) 30min
9:37 CL2 30min
10:55 C3(B) 30min
10:57 CM2
11:00 UCI Elite Women + UCI U23 Riders’ Meeting
11:30~12:20 試走
12:30 UCI Elite Men Riders’ Meeting
12:30 C2 40min
12:32 CM1 40min
13:30 UCI U23 50min
13:32 UCI Elite Women 40 min
14:40 UCI Elite Men 60min


11月17日(日)
7:00~ 受付
~8:20 試走
8:30 小学校低学年 15min
8:32 小学校高学年 15min
9:00 C3(A) 30min
9:02 CL2 30min
9:50 C3(B) 30min
9:52 CM2 30min
10:40 C2 40min
10:42 CM1 40min
11:00 UCI Elite Women + UCI U23 Riders’ Meeting
11:20 キンダーガーデン(幼児) 20min
11:20~11:50 試走
12:00 UCI Elite Men Riders’ Meeting
12:00 シングルスピード 50min
13:20 UCI U23 50min
13:22 UCI Elite Women 40min
14:30 UCI Elite Men 60min

申し込み締め切りは11月3日まで。下記スポーツエントリーから申し込める。

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