今年もホノルルセンチュリーライドがやってきた。高級ホテルの立ち並ぶワイキキをスタートし、車列は海岸線に沿ってカメハメハ・ハイウェイを北上する。オアフ島の美しい風景と、ローカルのゆったりとした時間の移ろいを五感で感じたレポート。

スタートを待つ1000人以上の参加者スタートを待つ1000人以上の参加者
朝5時半、ワイキキ市街地の海岸通り(カラカウア・アヴェニュー)には、大会会場であるカピオラニ・リージョナルパークを目指すサイクリストが無数に連なる。日中はサーフボードを携えたり、ブランドショップの手提げ袋を下げた観光客でごった返すこの通りも、この日の早朝ばかりは自転車乗りの独壇場。まだ真っ暗な中、バイクに取り付けられたヘッドライトが遥か遠くまで列をなしている。

ホノルル動物園の隣にあるカピオラニパークに到着すると、スタートを今か今かと待つサイクリストの大群が。毎年1,000人を遥かに上回るエントリーがあるが、今年も盛況のようだ。スタートのグループは自己申告制となっており、最前列グループには気合いの入った参加者もいる一方で、後方にはタンデムバイクやピスト、そして実用車までと多彩だ。次第に空が白み始めた朝6時、号砲と共にゆっくりと参加者がコースへと走り出していった。

タンデムバイクの参加者タンデムバイクの参加者 ダイヤモンドヘッドのビューポイントに着く頃に、辺りはオレンジ色に染まり始めるダイヤモンドヘッドのビューポイントに着く頃に、辺りはオレンジ色に染まり始める

ダイヤモンドヘッドの麓は、最初のビューポイントだダイヤモンドヘッドの麓は、最初のビューポイントだ 大会最初のビュースポットから日の出を望む大会最初のビュースポットから日の出を望む


あと2時間後には観光客で埋まるであろうワイキキ市街地を背に、隊列はダイヤモンドヘッドの海側を廻り、住宅地を経由して州道72号線、カラニアナオレ・ハイウェイへと入っていく。「ハワイを代表する写真」の遠景に収まっているダイヤモンドヘッドまでは、スタートから2kmほどと実はとても近い。海まで迫り出した山肌を幾らか登った先の展望台からは、ちょうど日の出に染まる太平洋を望むことができる。

この瞬間に合わせてスタート時間を設定しているのかどうかは調べ不足だが、何とも心憎い演出だ。崖を伝って上がってくる優しい潮風とオレンジ色の朝日を受けて、身体にもエンジンが掛かってくる。

朝日に染まるカラニアナオレ・ハイウェイを駆け抜ける朝日に染まるカラニアナオレ・ハイウェイを駆け抜ける 序盤にして難関のハートブレイク・ヒル序盤にして難関のハートブレイク・ヒル


およそ10km弱を走るカラニアナオレ・ハイウェイは片側3車線の大幹線道路だが、地元警察が1車線を封鎖してくれているので、特に車に気を遣うこと無くとても走りやすい。ちなみにハワイには「Hwy」と略されるハイウェイと、「Fwy」と略されるフリーウェイの2種類があり、フリーウェイはいわゆる日本の高速道路にあたるもので自転車通行は禁止。一方でハイウェイはほとんどの場合自転車OKだから、大手を振ってサイクリングを楽しむことができる。ハワイのサイクリングで覚えておきたいTIPSだ。

現地の交通事情をもう一つ説明しておくと、ハワイのドライバーは日本よりも遥かに、サイクリストを尊重した運転をしてくれる。大方の場合、よほど安全が確保されないと追い抜きしないことに加え、車間も充分にとってくれるから、日本の交通事情に慣れていると少し驚くことだろう。

しかしサイクリストが一方的に優先されるのかと言うと、そうでもないことに気づく。ロコ(=ローカル)を見ていると、車が優先されるべき場面では待ち、車を待たせた場合にはお礼のジェスチャーを欠かさない。「SHARE THE ROAD」、つまり車と自転車がリスペクトし合う環境が完成されている。私が乗った随行車も、そうした場面に何度も出くわした。

マカプゥ湾に突き出した岬を、ほんの少しの登りでクリアするマカプゥ湾に突き出した岬を、ほんの少しの登りでクリアする
隊列は序盤にしてHCR一番の難所、ハートブレイク・ヒルを経て再び海岸線沿いを走るカラニアナオレ・ハイウェイへと合流。マカプゥ湾に突き出した岬をほんの少しの登りでもってクリアした後は、風光明媚なシーサイド・ライドが続く。高く上った太陽が眩しいが、空にはうっすらとうろこ雲。暦では10月だが、夏と秋の狭間と言うべきか、気温も湿度も心地よい。

コース途中には鬱蒼とした原生林を駆け抜ける区間もコース途中には鬱蒼とした原生林を駆け抜ける区間も 「ハワイ:海=HCR:シーサイド・ライド」というイメージが先行しがちであるが、実は海岸線を走る割合は、全体の50%にも満たない。だが、ローカルな田舎町だったり、住宅地だったり、はたまた牧草地に、鬱蒼としたジャングルと、次々と景色が移ろっていく。自分を含め日本から参加している人にとっては全てが目新しく、新鮮だ。特にローカルタウンはロコの生活の一片が分かるから面白い。

海の目前まで迫る急峻な山脈。ジュラシック・パークのロケにも使われた海の目前まで迫る急峻な山脈。ジュラシック・パークのロケにも使われた タロイモやトロピカルフルーツ、マサラダと呼ばれる揚げパンが供されるエイドステーションを経て、車列は州道83号線、カメハメハ・ハイウェイをさらに北上していく。中国人が被る帽子に似ていることから名付けられた無人島「チャイナマンズ・ハット」を遠目に通過すると、いよいよHCRのハイライトとも言える、海沿いの絶景区間が始まった。

ジュラシック・パークの撮影にも使われたクアロア・ランチ。独特かつ急峻なコオラウ山脈と、その反対側に広がるマリンブルー。その僅かな狭間に敷かれたカメハメハ・ハイウェイを通ると、息を飲むようなビュースポットが連続して現れる。特に折り返しのスワンジー・ビーチパークに近づく頃、道路とある程度の間隔で並走していた海岸線は急に距離を縮め、手を伸ばせば届くほどにまで近づいてくる。海に飛び込みたい衝動に駆られつつ、折り返し地点に到着した。

75マイルの折り返し地点を過ぎた先がHCRのハイライト。どこまでも青い海が続く75マイルの折り返し地点を過ぎた先がHCRのハイライト。どこまでも青い海が続く
エイドステーションでは走行距離を示すシールを貼ってくれるエイドステーションでは走行距離を示すシールを貼ってくれる スワンジー・ビーチパークで補給。ホスピタリティはとても高いスワンジー・ビーチパークで補給。ホスピタリティはとても高い


HCRが初心者向けたる所以は、往復ほとんど同じコースを辿りどこで折り返してもOKだから。しかし75マイルの折り返し地点の先からこそが本当の見所だ。100マイルは自信が無い…という方も、是非練習を重ねてこの区間を走ってもらいたい。

スワンジー・ビーチパークで折り返すと、後はもと来たルートをなぞってゴールを目指す。一度通ったルートではあるものの、左にあった山が右に、右にあった海が左に見えるだけで、景色は全く違った表情を見せてくれる。私は今年で2回目の取材となるが、まだまだ新たな発見の連続だ。

スワンジー・ビーチパークからの折り返し。追い風を背中に受けて走るスワンジー・ビーチパークからの折り返し。追い風を背中に受けて走る 抜けるような青空。夏と秋の狭間と言うべきか、気温も湿度も心地よい抜けるような青空。夏と秋の狭間と言うべきか、気温も湿度も心地よい


さて、ふと時計をみればお昼を大きく過ぎた頃。私を乗せた随行車はコースを4/3ほど消化した地点にある、とあるローカル食堂の駐車場に滑り込んだ。少々HCRそのものとは外れるが、これも取材レポートの一つ&現地グルメ情報として読んでもらえたらと思う(笑)。

「せっかくだから、ローカルなモノが食べたいです!」という私のリクエストに応え連れてもらった此処は、「KENEKE'S PLATE LUNCH&BBQ」( http://www.kenekes.net/ )。その名の通り、ハワイロコの日常食である「プレートランチ」のテイクアウトショップ。プレートランチとは日本で言うお弁当の意味で、スクープでよそったご飯にマカロニサラダを添え、数種類のおかずを選んで載せるのがスタイルだ。

特大スクープ3杯分のライスと、日本のものと酷似したビーフカレー、それにフライドシュリンプに、韓国風の骨付きカルビ、そしてなけなしのキャベツ。恐ろしいまでのボリュームと野菜の無さ加減に、こりゃあ太る訳だと心底思う(笑)。

随行車が立ち寄った、KENEKES PLATE LUNCH&BBQ随行車が立ち寄った、KENEKES PLATE LUNCH&BBQ ご飯にマカロニサラダ、そして数品のおかずを合わせるのがローカルスタイルご飯にマカロニサラダ、そして数品のおかずを合わせるのがローカルスタイル

トップツアーのサポート役として、湘南ベルマーレから3名が参加してくれたトップツアーのサポート役として、湘南ベルマーレから3名が参加してくれた 途中どこで休憩してもOK。コンビニでアイス補給をしたご様子途中どこで休憩してもOK。コンビニでアイス補給をしたご様子


日本を始めアジアやポリネシア文化がごちゃ混ぜになった、どことなく親しみのある、そして異国情緒溢れる味わい。ステーキやロコモコも良いけれど、ハワイを訪れた際はもっと庶民的な、こうした食文化を是非試して欲しい。ただしプレートランチに限っては、ライド中は控えた方が無難だろう(笑)。綺麗なビーチでのランチを終えると、もう隊列の最後尾が通過したころ。私たち取材班は慌てて車をゴールに向けて走らせた。

さて、KENEKE'Sのあるワイナマロを出発し、往路の難所であったハートブレイク・ヒルを一気に下れば、後は平坦路を走るのみ。もう警備にあたる警察官もいなくなった(往路の参加者が全て通過すると撤収するようだ)カラニアナオレ・ハイウェイを通り、車列はフナカイ・ストリートからダイアモンドヘッド・ロードへ。ほんの僅かなアップダウンをこなし、午後4時、私を乗せた随行車は、のどかなハワイアン・ミュージック流れるカピオラニパークへと到達した。

仲間と揃ってゴール!笑顔が眩しい仲間と揃ってゴール!笑顔が眩しい
ハネムーンで参加したご夫婦も、100マイルを完走ハネムーンで参加したご夫婦も、100マイルを完走 グループ揃って100マイルを完走!お疲れ様でしたグループ揃って100マイルを完走!お疲れ様でした


この大会で初めて100kmオーバーを走り切ったという方も多かったが、それは最高のロケーションや、充実のサポートもあったからだろう。取材しているこちらも思わず笑顔になってしまうほどだった。それが、ホノルルセンチュリーライド。ビギナーからベテランまで、それぞれの走りで南国リゾートライドをいっぱいに楽しめる大会だった。


さて、シクロワイアード編集部では、例年通りトップツアーのホノルルセンチュリーライド参加ツアーに密着取材し、前日の直前講習会から翌日のモーニングヒルクライムまでをカバー。また、アンカーツアーの皆さんにも密着取材させていただきました。このレポートに続いては、ゲスト参加した日向涼子さんによる実走レポートを掲載予定です。

text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano,So.Isobe

■ホノルルセンチュリーライド写真 ウェブアルバム
直前講座 カピオラニ公園
プラクティスB ヌウアウパリライド
アンカーノースショアライド
ホノルルセンチュリーライド2013
後夜祭
タンタラスの丘ヒルクライム(アンカーツアー含む)
ノースショアライド

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