162kmにわたる死闘の末にゴールへ戻ってきたのは中尾佳祐(順天堂大)。実力者は最後のインカレでビッグタイトルを手に。女子は上野みなみ(鹿屋体育大)が3連覇。そして注目の大学対抗総合、男子は日本大学が驚異の30連覇達成、女子は鹿屋体育大が9連覇。

男子スタート前男子スタート前 photo:Hideaki.TAKAGI女子3周目、3人に女子3周目、3人に photo:Hideaki.TAKAGI女子、上野みなみ(鹿屋体育大)が3連覇達成女子、上野みなみ(鹿屋体育大)が3連覇達成 photo:Hideaki.TAKAGI
9月2日(日)、インカレ4日目最終日は個人ロードレース。鹿児島県錦江町の一般公道18kmを周回するコースだ。上りは3箇所、一番大きいのが新田トンネルを越える2.5kmで150mの登坂、あと2つは小さいもの。全般に直線が多く、上りのあとの平坦が長いので逃げは再編されやすいもの。

特別な展開の最終日ロード

インカレ最終日に行われるロードレースは、通常とは展開が大きく異なる。それは各大学の目標が大きく異なるからだ。前日までのトラックで大学対抗首位に立った日本大はそれを守る動きをする。ロードに強い選手を揃え総合を脅かす位置にいる鹿屋体育大や中央大をマークし、上位入賞者を出させない動きに徹する。いっぽうの後者は、このレースでの優勝と総合での逆転の両方を狙う。そのためには日本大を入れない逃げを決める必要があるし、さらにそこから勝たねばならない。

前日までの得点は日本大57点、鹿屋体育大43点、中央大39点と続く。ロードの1位は14点、以下12点、10点と続く。日本大のリードは大きいが、山本元喜・黒枝士揮と日本のU23を代表する2選手を擁する14点差の鹿屋体育大にとっては、逆転は不可能ではない点差だ。この点差が実際の展開に大きく影響する。

上野みなみ(鹿屋体育大)が3連覇

女子は4周72kmで行われた。19人でスタートした集団は、トンネルへの上り区間で数を減らし2周目には7人、そして3周目には3人となる。上野みなみ・塚越さくら(鹿屋体育大)と福本千佳(同志社大)だ。4周目、上りを福本がペースを上げて上野と福本の2人の勝負となる。ラスト1kmの上りで福本が仕掛けたが上野もペースを上げて先行する。このまま上野が逃げ切って、1年生からの自身3連覇を達成。

3周目のメイン集団3周目のメイン集団 photo:Hideaki.TAKAGI7周目へ入る先頭の6人。声援が飛び交う7周目へ入る先頭の6人。声援が飛び交う photo:Hideaki.TAKAGI7周目、メイン集団からアタックした榊原健一・長尾康平(中京大)7周目、メイン集団からアタックした榊原健一・長尾康平(中京大) photo:Hideaki.TAKAGI7周目、メイン集団からアタックした山本元喜(鹿屋体育大)をマークする和田力(日本大)7周目、メイン集団からアタックした山本元喜(鹿屋体育大)をマークする和田力(日本大) photo:Hideaki.TAKAGI7周目、下がってきた中根英登(中京大)が合流し4人で逃げる7周目、下がってきた中根英登(中京大)が合流し4人で逃げる photo:Hideaki.TAKAGI
総合優勝をかけた男子の戦い

男子は9周162kmで行われた。163名が出走したレースは序盤はおとなしい動きに。1周回終えてスタート/フィニッシュラインへ先頭で戻ってきたのは地元錦江町出身の入佐直希(鹿屋体育大)。佐々木龍(早稲田大)が続く。トンネル内で集団落車が発生、20人ほどが巻き込まれ有力選手も影響を受ける。

4周目に10人の逃げができる。安達康将・逢坂弘紀(日本大)、黒枝・徳田鍛造(鹿屋体育大)、郡司昌紀(中央大)、中根英登(中京大)、木村圭佑(京都産業大)、佐々木勇輔(早稲田大)、末永周平(明治大)、福田大二郎(法政大)だ。有力選手を含むこの逃げは、全員が均等にローテーションして差を広げる。

この10人の逃げは数を減らしながら周回を重ねる。6周目には安達、逢坂、黒枝、徳田、郡司、中根の6人に。ここで中根がチェーン落ちで一旦停止、再び走り出し先頭に合流するが大きく脚を使う。

中京大の逃げ、鹿屋の攻撃、日大のマーク

7周目の上りで大きく動く。メイン集団から榊原健一・長尾康平(中京大)がアタックして先頭を追う。続いて山本・石橋学(鹿屋体育大)がアタック。これには日本大勢が反応し鹿屋の2人を逃さない。両校選手は蛇行と牽制を繰り返し、まるでゴール前のような駆け引きを繰り広げる。ここでようやく山本が単独抜け出し、前方にいた榊原と長尾に合流、さらに先頭6人から下がった中根と合流、中京大3人と鹿屋体育大1人、共通の志を持った4人が先頭の5人を追う。

この7周目の上りの動きで先頭5人、追走4人そして集団13人となる。13人の集団は、鹿屋の山本を逃がしたくない日本大勢がおもに牽引し、追走の4人を吸収する。ここでカウンターアタックに出たのは石橋。しかしこれも日本大勢が引いて吸収する。そしてS/Fラインまで1kmの上り後に、山本そして榊原が抜け出し2人で先頭4人を追う。

山本そして榊原の攻撃

8周目入ってすぐに榊原と山本は先頭の4人(黒枝、徳田、逢坂、郡司)に合流、榊原と山本がおもにこの集団を牽引して上り区間へ。ここで先頭6人と後方15人はバラバラになり再編される。逢坂が先行、山本と黒枝に中尾が合流、さらに徳田を待つため山本と黒枝はペースを落としそして徳田が合流する。そして頂上のトンネル内で黒枝がアタック、さらに山本が抜け出して2人で逃げる。これを後続13人の鹿屋を除く全員で追走して吸収、振り出しに戻す。
次に現れる小さな坂で榊原が強烈なアタックを決めて単独抜け出す。ここで追走集団を引くのはおもに山本そして村崎海岳(法政大)程度で、日本大勢5人はその山本マークで先頭には出ない。そして村崎がアタックし黒枝と山本のみが追走に回る。これらの動きで集団と榊原の差はさらに広がる。

中尾が驚異の追い上げ

最終周回に入って逃げる榊原と、後続の集団の構図に。トンネルへの長い上りでこの追走集団はバラバラになる。逃げる榊原のペースがやや落ちて、そこへ後方からペースを上げた中尾が合流、さらに山本が単独で追う展開に。これに大田口凌(東北学院大)らが続く。
先頭の中尾と榊原は交代を繰り返してゴールへ向かう。中尾が先頭を引く時間がやや長い。後方から独走力のある山本が追っているので牽制せずに進む。ラスト1kmの上りで中尾が榊原を突き放し、ゴールへ単独で戻ってくる。順天堂大学として初のインカレロード優勝だ。そして榊原、山本、大田口と続く。日本大勢は板橋義浩が5位に入る。

8周目、上りで抜け出した山本元喜・黒枝士揮(鹿屋体育大)に中尾佳祐(順天堂大)が追いつく8周目、上りで抜け出した山本元喜・黒枝士揮(鹿屋体育大)に中尾佳祐(順天堂大)が追いつく photo:Hideaki.TAKAGI8周目、山本元喜・黒枝士揮(鹿屋体育大)が逃げるが追走が迫る8周目、山本元喜・黒枝士揮(鹿屋体育大)が逃げるが追走が迫る photo:Hideaki.TAKAGI

中尾佳祐(順天堂大)のコメント

優勝した中尾は「逃げて勝つこと、そして4年生最後のインカレでそれができてとても嬉しいです。鹿屋と日大の動きなど展開を読んで動きました。途中で逃げとの差を詰めてくれたチームメイト、そしてすべての面で指導いただいたコーチに感謝しています。優勝は夢かと思いました」と喜びを語る。鹿屋と日大の動きは予想されたことで、これら展開をよく読んだこと、そして何よりも最終周回の上りで集団後方から仕掛けて、一気に逃げていた榊原まで追いついた脚力は一番だった。

8周目、小さな上りで榊原健一(中京大)がアタック8周目、小さな上りで榊原健一(中京大)がアタック photo:Hideaki.TAKAGIラスト5km、ゴールを目指す中尾佳祐(順天堂大)と榊原健一(中京大)。中尾はサングラスを外すラスト5km、ゴールを目指す中尾佳祐(順天堂大)と榊原健一(中京大)。中尾はサングラスを外す photo:Hideaki.TAKAGI

今年も独特の展開に
中尾佳祐(順天堂大)が独走優勝中尾佳祐(順天堂大)が独走優勝 photo:Hideaki.TAKAGI男子総合表彰、日本大が30連覇達成男子総合表彰、日本大が30連覇達成 photo:Hideaki.TAKAGI
鹿屋体育大勢は昨年に続いてふたたび日本大勢のマークの前に勝つことができなかった。しかしラスト3周からの攻撃は明らかに他大学を圧倒しており、複数上位入賞の必要のある総合優勝を捨てていれば、このレースで勝つことはむしろ容易なことだっただろう。

日本大勢は鹿屋体育大などをマークして上位入賞者を多く出させないことをまず達成。そして自らは上位入賞者を多く出して、ロード総合でも1位に立った。これは実力があるからこそ出せた成績だ。

通常のロードレースとは大きく異なった展開となるインカレ。各大学の目標が違うので当然のことだ。しかし自転車レースの基本は優勝を目指すことで2位以下を目指すことではないという考えもある。戦い方の是非は各人が判断することだろう。

結果
男子 162km
1位 中尾佳祐(順天堂大)4時間19分34秒
2位 榊原健一(中京大)+26秒
3位 山本元喜(鹿屋体育大)+1分33秒
4位 大田口凌(東北学院大)+1分51秒
5位 板橋義浩(日本大)+2分06秒 
6位 箭内優大(法政大)+2分52秒
7位 雨宮正樹(日本大)
8位 黒枝士揮(鹿屋体育大)
9位 住吉宏太(日本大)+2分53秒
10位 逢坂弘紀(日本大)+2分55秒

女子 72km
1位 上野みなみ(鹿屋体育大)2時間15分48秒
2位 福本千佳(同志社大)+03秒
3位 塚越さくら(鹿屋体育大)+2分02秒

大学対抗総合
男子
1位 日本大学 79点
2位 鹿屋体育大学 59点
3位 法政大学 44点

女子
1位 鹿屋体育大学 78点
2位 日本体育大学 27点
3位 法政大学 13点

photo&text:高木秀彰
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