ロンドン五輪2日目の7月28日に、金メダルを懸けた男子ロードレースが開催される。4年に一度のビッグタイトルを狙って、日本からは別府史之(オリカ・グリーンエッジ)と新城幸也(ユーロップカー)が出場。コースの特性や注目選手を見ておこう。

ボックスヒル周回コースを含む250kmコース

ロンドンオリンピック2012ロードレースコースロンドンオリンピック2012ロードレースコース image:www.britishcycling.org.ukコースはロンドン市内の中心地に位置するバッキンガム宮殿の真ん前「ザ・マル」を発着。ハンプトンコートの脇をかすめ、同市の南西に広がる丘陵地帯を駆ける。最も注目したいのが登坂距離2.2km・平均勾配7%の「ボックスヒル」を中心とした15.7kmの周回コースで、男子はここを9周、女子は2周する。

ボックスヒルの周回コースを終えると、コーナーやロータリーが連続するテクニカルな39.7kmを走ってバッキンガム宮殿へ。「ザ・マル」でゴール勝負が繰り広げられる。男子は全長250km、女子は140kmで行なわれる。

昨年8月「ボックスヒル」周回コースを2周する短縮コースで行なわれたプレ大会では、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)がスプリント勝利している。スプリンター向きのコースだと思われがちだが、五輪の本戦は周回コースを9周するため、登りをこなせなければ勝負に絡めない。「ボックスヒル」で飛び出した選手による逃げ切りの可能性も有る。

出場するのは63カ国から集まった精鋭たち。1国のメンバーは最大5人で、日本からは2人が出場する。2008年の北京五輪に続く出場となる別府史之(オリカ・グリーンエッジ)と、ツール・ド・フランスでの活躍が記憶に新しい初出場の新城幸也(ユーロップカー)。数的には不利だが、大国に挑み、勝負に絡む力が2人にはある。また、女子レースには全日本選手権4連覇中の萩原麻由子(サイクルベースあさひ)が出場する。

別府史之(オリカ・グリーンエッジ)別府史之(オリカ・グリーンエッジ) photo:Riccardo Scanferla新城幸也(ユーロップカー)新城幸也(ユーロップカー) photo:Makoto Ayano

地元イギリスチームを中心にした闘い

4年連続シャンゼリゼを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)4年連続シャンゼリゼを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto Ayano金メダル候補の筆頭は、やはり開催国イギリスだろう。その中心にいるのが、プレ大会で優勝した世界チャンピオンのカヴェンディッシュ。「世界最速スプリンター」はシーズン前半からウェイトマネジメントをし、このロンドン五輪に完全に照準を合わせている。ツールではリードアウトトレインを欠きながらも3勝。体重ダウンを果たしながらも、俊敏なスプリント力は健在だ。

ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:Cor Vosそのカヴェンディッシュを支えるのが「最強」と言って差し支えないほどのドリームチームだ。メンバーはツール総合優勝のブラドレー・ウィギンズと、ツール総合2位クリス・フルーム、ツールステージ優勝のデーヴィッド・ミラー、そしてイギリスチャンピオンのイアン・スタナード。今年のツールでは、このメンバーでステージ7勝をマークした(実に3分の1のステージ!)。

ツールで苦汁を嘗めたカデル・エヴァンス(オーストラリア)は、サイモン・ジェランスらとともに「ボックスヒル」で攻撃を仕掛けてくるだろう。集団スプリントに持ち込まれた場合はマシュー・ゴスで狙う。ベルギーも同様にフィリップ・ジルベールとトム・ボーネンを展開によって使い分ける。

フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vos大会連覇が懸かったスペインは、ツールで相次いだ落車によって大きく戦力ダウン。2008年の北京五輪で金メダルを獲得したサムエル・サンチェス(スペイン)は落車の影響で欠場する。ツール後半にかけて調子を上げ、結果を残したアレハンドロ・バルベルデとルイスレオン・サンチェスが主軸になるだろう。

ドイツはアンドレ・グライペルとジョン・デゲンコルブの二大スプリンターを揃える。TT世界チャンピオンのマルティンのスピードも武器になる。毎大会獲得メダル数で他国を圧倒するアメリカは、タイラー・ファラーやテイラー・フィニー、そしてツール新人賞のティージェイ・ヴァンガーデレンらを揃えている。

シルヴァン・シャヴァネル(フランス)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)、ファビアン・カンチェラーラ(スイス)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)らも主役の座を狙って出場。ツールでステージ3勝&ポイント賞獲得のペーター・サガン(スロバキア)向きのコースでもある。

また、NHKはストリーミングによる男子ロードレースと男子タイムトライアルのネット生中継を実施する(解説無し)。ストリーミングは以下のアドレスから。

7月28日(土)大会2日目 18:00~24:00 自転車 男子個人ロードレース
http://www1.nhk.or.jp/olympic/live/streaming/OA0000000754.html

8月1日(水)大会6日目 22:15~24:05 自転車 男子個人ロードタイムトライアル
http://www1.nhk.or.jp/olympic/live/streaming/OA1000000031.html

ロンドン五輪自転車競技スケジュール
7月28日(土)RR男子ロードレース
7月29日(日)RR女子ロードレース
8月1日(水)RR男女タイムトライアル
8月2日(木)TR男女チームスプリント予選〜決勝
8月3日(金)TR女子ケイリン予選〜決勝・男子団体追い抜き予選〜決勝
8月4日(土)TR女子団体追い抜き予選〜決勝・男子スプリント予選・男子オムニアム
8月5日(日)TR女子スプリント予選・男子スプリント予選・男子オムニアム
8月6日(月)TR男子スプリント決勝・女子オムニアム
8月7日(火)TR男子ケイリン決勝・女子スプリント決勝・女子オムニアム
8月8日(水)BMX男女予選
8月9日(木)BMX男子準々決勝
8月10日(金)BMX男女準決勝・男女決勝
8月11日(土)MTB女子クロスカントリー決勝
8月12日(日)MTB男子クロスカントリー決勝

text:Kei Tsuji

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