マイヨジョーヌを着るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)のリードを受け、世界チャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)がスプリントを開始。ワンツー体制で大会制覇を達成したチームスカイが、最終日のゴールスプリントまで穫ってみせた。

ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)ら、4賞ジャージが先頭に並ぶブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)ら、4賞ジャージが先頭に並ぶ photo:Makoto Ayanoツール・ド・フランスの最終日は、決まってパリ・シャンゼリゼにゴールする平坦コース。今年は郊外のランブイエをスタート後、暖かい歓声を受けながらパリに向かってパレード走行する。マイヨジョーヌチームを先頭にシャンゼリゼ通りに凱旋するのが通例だ。

最後は恒例のシャンゼリゼ周回コースが設定され、1周6kmのコースを8周。凱旋門に向かうゴールスプリントで3週間の闘いが締めくくられる。

肩を組んでパリを目指すチームスカイ肩を組んでパリを目指すチームスカイ photo:Cor Vos終着地パリに向け、4賞ジャージの選手たちを先頭に動き出したプロトン。平均スピード30km/hほどのスローペースを維持したまま、お互いの健闘を称えながら、談笑しながら、153名の選手たちがパリを目指した。

マイヨジョーヌのウィギンズ擁するチームスカイを先頭にシャンゼリゼの周回コースに入ると、にわかに集団前方は慌ただしくなる。ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、BMCレーシングチーム)とクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン)のベテランアメリカン2人が飛び出すと、レースは一気に活性化した。

セーヌ川沿いを走り、エッフェル塔を横目に進むセーヌ川沿いを走り、エッフェル塔を横目に進む photo:Cor Vos続いてイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)やダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ISD)がベテランジャーマン2人が飛び出すも、メイン集団とのタイム差は10秒止まり。

2周目に入るとマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)やマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)、ラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ベリソル)ら11名の先行が決まり、メイン集団から30秒のリードを獲得する。しかしリクイガス・キャノンデールやチームスカイの集団牽引によってタイム差は縮まる一方。逃げはラスト3km地点で掴まった。

凱旋門をバックに、チームスカイのトレインが進む凱旋門をバックに、チームスカイのトレインが進む photo:Makoto Ayanoサクソバンク・ティンコフバンクが主導権を奪おうと集団先頭に立ったが、チームスカイのスピードが炸裂。マイヨジョーヌを着るウィギンズ自らが集団を率いてフラムルージュ(ラスト1km)を駆け抜ける。

マイヨジョーヌ、ノルウェーチャンピオン、世界チャンピオンという並びで最終コーナーに突き進む。エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)に連れられて最終コーナーを抜けたカヴェンディッシュが先頭でスプリントを開始した。

後方からのマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)の追撃は届かない。下ハンドルを握り、低い体勢でシャンゼリゼを駆け抜けるカヴェンディッシュ。圧倒的なスプリントで、4年連続最終ステージ制覇を成し遂げた。

逃げるイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)とダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ISD)逃げるイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)とダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ISD) photo:Makoto Ayano凱旋門に向けてシャンゼリゼ通りを進む凱旋門に向けてシャンゼリゼ通りを進む photo:Makoto Ayano

4年連続シャンゼリゼを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)4年連続シャンゼリゼを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto Ayano

ステージ32位で最終日を終えた新城幸也(ユーロップカー)ステージ32位で最終日を終えた新城幸也(ユーロップカー) photo:Makoto Ayanoカヴェンディッシュはこれがステージ3勝目。2年連続のマイヨヴェール獲得は達成出来なかったが、勝つところはしっかりと勝つ。存在感溢れる走りでシャンゼリゼに集まったイギリス応援団の声援に応えた。

「チームスカイは総合で1位と2位を確保しながら、すでに合計ステージ5勝していたんだ。とにかく最終日に勝てて嬉しいよ」。最終的にチームスカイはステージ勝利数を6勝まで伸ばした。

マイヨヴェールのサガン、マイヨジョーヌのウィギンズ、マイヨアポワのヴォクレール、マイヨブランのヴァンガーデレンマイヨヴェールのサガン、マイヨジョーヌのウィギンズ、マイヨアポワのヴォクレール、マイヨブランのヴァンガーデレン photo:Cor Vosカヴェンディッシュはすでにロンドン五輪に目を向けている。「オリンピックに向けて準備は万端だ。イギリスチームの5人のメンバーのうち、4人(カヴ、ミラー、フルーム、ウィギンズ)で合計ステージ7勝したんだ。信じられないほどの強い布陣でオリンピックに挑む。週末のレースが待ち遠しいよ」。

チームメイトのウィギンズとフルームは、チームメイトにサポートされて集団内でゴール。チームスカイは総合ワンツー&ステージ6勝。ウィギンズがイギリス人選手として総合表彰台の真ん中に立った。

シャンゼリゼを凱旋するブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)シャンゼリゼを凱旋するブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vos「今日はマーク(カヴェンディッシュ)で勝利を狙うべくチームで走った。高い集中力をもって、マークが最後の仕事をやり遂げた。これ以上の結果は無い」と、チームの勝利を喜ぶ。カヴとウィギンズはレース後すぐさまロンドンに戻り、オリンピックに向けた準備に入る予定だ。

マイヨヴェールはステージ2位のペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)の手に。初出場のツールで破竹の活躍を見せた22歳は「ステージ3勝とマイヨヴェール!このツールには大満足している」とコメント。今後10年以上にわたって、サガンはポイント賞の上位常連となるだろう。

マイヨブランはティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)、マイヨアポワはトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)がキープ。不運続きのレディオシャック・ニッサンがチーム総合成績トップに輝いている。

新城幸也(ユーロップカー)はステージ32位でフィニッシュ。日本人選手として初めて二桁の総合順位(84位)でパリにゴールした。

選手コメントはレース公式サイトより。


ツール・ド・フランス2012第20ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)           3h08'07"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
3位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・ティンコフバンク)
5位 クリス・ボックマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
6位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、ロット・ベリソル)
7位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ・DCM)
8位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
9位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
10位 ジミー・アングルヴァン(フランス、ソール・ソジャサン)
32位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                       +09"

個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)            87h34'47"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)                 +3'21"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)     +6'19"
4位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)         +10'15"
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)      +11'04"
6位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック・ニッサン)       +15'41"
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)         +15'49"
8位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)                +16'26"
9位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)              +16'33"
10位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット)               +17'17"
84位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                    +2h29'13"

ポイント賞 マイヨ・ヴェール
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)         421pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)              280pts
3位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)          268pts
33位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                      52pts

山岳賞 マイヨ・ブラン・アポワ・ルージュ
1位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)               135pts
2位 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)             123pts
3位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・ティンコフバンク)  77pts
25位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                      18pts

新人賞 マイヨ・ブラン
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)     87h45'51"
2位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット)                +6'13"
3位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ラボバンク)            +1h05'48"

チーム総合成績
1位 レディオシャック・ニッサン                       263h12'14"
2位 チームスカイ                                +5'46"
3位 BMCレーシングチーム                            +36'29"

総合敢闘賞
クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・ティンコフバンク)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos