2012年、ロンド・ファン・フラーンデレンのコースが完全に変わる。もっとも象徴的な激坂の名所「ミュール・カペルミュール」がコースから外され、ゴール地点もニノーヴェからオウデナールデになる。

教会へと登るロンドの勝負どころ ミュール・カペルミュール教会へと登るロンドの勝負どころ ミュール・カペルミュール (c)Makoto.AYANO

フランドル一周レース、ロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デ・フランドル)が大変化を迎える。

9月16日に主催者が発表したのは、カペルミュールのない新コースだった。ロンドは1973年以来細かなルート変更こそあれ、基本的には ブルージュをスタートしてニノーヴェにゴールするほぼ同じコースで争われてきた。

パヴェの激坂 ミュール・カペルミュールパヴェの激坂 ミュール・カペルミュール (c)Makoto.AYANOなかでもコースの最後から2番目の坂にあたるミュール・カペルミュールは決定的なアタックの決まる勝負どころとして認知され、コースに必ず組み込まれてきた。
ミュールは最大勾配20%の激坂であるだけでなく、ゴール前15kmに待ち構える最高の難所であり、見せ場の勝負どころ。丘の頂上に教会があることで威光を放ち、ロンドの神聖な場所として君臨してきた。

しかし2012年の新コースは、カペルミュールと最後の坂ボスベルグを通らない。ゴール地点は1973年以来の伝統の地だったニノーヴェのメールベケ(Meerbeke)から、東フランドルの街オウデナールデ(Oudenaarde)のミンダーブロダー通り(Minderbroederstraat)へと変更になったからだ。オウデナールデはロンドをテーマとする博物館がある街だ。

オウデ・クワレモントの上りオウデ・クワレモントの上り (c)Makoto.AYANO2012年ロンドは、カペルミュールを通らない代わりに、90kmを走った後、ゴールまで残り75kmでオウデ・クワレモントとパテルベルグを通る周回路に入り、3周するという。
この2つのパヴェ(石畳)の坂の組み合わせを3回こなし、3度目のパテルベルグがオーデナールデへとゴールする前の残り14km地点にあたる最後の坂となる。コース全長は2011年より4km短い254kmになる。

コッペンベルグを経て突入する、この3周回のハイライトとなるパヴェの上りは、オウデ・クワレモント(石畳・平均4%・最大11.6%・長さ2200m)とパテルベルグ(石畳・平均12.9%・最大20.3%・長さ360m)のふたつ。それを3回こなす。

ミュール・カペルミュール(石畳・平均9.3%・最大19.8%・長さ1075m)とボスベルグ(石畳・平均5.8%・最大11%・長さ980m)の組み合わせと比べると、厳しさは違ったものになりそうだ。


観客の安全性を考慮 「移動せずに観戦できる」

主催者が変更を決意した理由は、従来カペルミュールとボスベルグに詰めかけていた10万人におよぶ観客がゴールのニノーヴェ目指して移動することによる危険を避けるためだという。
従来のコースでは、コッペンベルグやレース後半のカペルミュールでレースを観てゴールのニノーヴェに向けて大移動する観客たちによる渋滞や交通事故が発生していたのは確かなこと。

オウデナールデに建つCRVV ロンド・ファン・フラーンデレン博物館オウデナールデに建つCRVV ロンド・ファン・フラーンデレン博物館 (c)Makoto.AYANO主催者は「安全な運営を第一に考えている。そして新しいコースの終盤は非常にアクセスしやすい。ファンたちは動きまわらずともコース脇の最高の環境で何度も選手たちが通るのを間近に見ることができる」とコメントしている。
また、「ロンド・ファン・フラーンデレンは現代に受け継がれる生きるモニュメント。しかし同時にクラシックがクラシックで在り続けるために、将来に向けて投資しなければならない」としている。

ロンドの神々しい場所で在り続けたカペルミュールはなくなったが、ゴールとなるオウデナールデはCRVV(ロンド・ファン・フラーンデレン博物館)がある場所。この自転車レースとしてのロンドを記念して運営される博物館には、大勢のサイクルファンが訪れている。

2012年のロンド・ファン・フラーンデレンは大きく違うレースになりそうだ。


ロンド・ファン・フラーンデレン2012に登場する坂

1 ノケレベルグ(Nokereberg)
2 ターインベルグ(Taaienberg)
3 エイケンベルグ(Eikenberg)
4 モーレンベルグ(Molenberg)
5 レケルベルグ(Rekelberg)
6 ベレンドリシュ(Berendries)
7 ヴァルケンベルグ(Valkenberg)
8 オウデ・クワレモント(Oude Kwaremont)
9 パテルベルグ(Paterberg)
10 コッペンベルグ(Coppenberg)
11 シュテインビークドリシュ(SteenBeekdries)
12 クルイスベルグ(Kruisberg)
……周回コース……
13 オウデ・クワレモント(Oude Kwaremont)
14 パテルベルグ(Paterberg)
15 ホーグベルグ(Hoogberg)


text&photo:Makoto.AYANO