オンループ・ヘットニュースブラッドの翌日に行われたクールネ~ブリュッセル~クールネは、3名によるスプリントで決着。前日3位のワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)がウェレンスを退け、初出場のレースを制した。



前日3位で優勝候補筆頭に挙げられたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ヴィスマ・リースアバイクがレース掌握し、ヤン・トラトニク(スロベニア)が優勝したオンループ・ヘットニュースブラッド(UCIワールドツアー)の翌日、同じベルギー・フランドル地方でクールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.Pro)が開催された。オンループがクラシックハンター向けならばクールネは比較的スプリンター向けのレイアウト。手強い急勾配や石畳が詰め込まれているものの、後半50kmはオールフラットだ。

一昨年から有名な石畳登坂「オウデ・クワレモント」は除外されたものの、代わりに4箇所の新登坂が取り入れられたレース。コルトレイクのスタート地点にはトラトニクをはじめ前年勝者ティシュ・ベノートや前日3位のワウト・ファンアールト(共にベルギー)など、ヴィスマが豪華メンバーを揃えた。

雨はなく、気温10度を下回る寒空の中行われたクールネ~ブリュッセル~クールネ photo:CorVos

序盤から始まる計5箇所の石畳区間に加え、1km程度の急坂が連続するレースは序盤、ルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やヤスペル・デブイスト(ベルギー、ロット・デスティニー)などクラシックを得意とする5名が逃げグループを形成する。しかし逃げは長くは続かず、前日に続きヴィスマがコントロールを担ったメイン集団が残り93km地点で吸収。ディラン・ファンバーレ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)やビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)など優勝候補の一角がペースを作るプロトンから、残り87kmの登りで早くもファンアールトが仕掛けた。

その加速に反応できたのはティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ)とローレンス・ピシー(ニュージーランド、グルパマFDJ)、スペイン王者オイエル・ラスカノ(モビスター)の僅か3名。徐々に差が拡がっていく追走集団では、飛び出したマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)に今年モビスターから加入したマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)が追従。そしてファンアールトによる2度目のアタックにピシーが遅れ、先頭は3名となった。

残り87km地点で早くも飛び出し、レースの先頭に立ったワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)をマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)がマークする photo:CorVos

先頭3名(ファンアールト、ウェレンス、ラスカノ)に対し、ピシーを捉えた第1追走集団も3名(モホリッチとヨルゲンソン)。その更に1分後方の集団にヴィスマは、スプリントに長けたクリストフ・ラポルト(フランス)とファンバーレ、更に若手のペールストランド・ハーゲネス(ノルウェー)を温存する必勝体制に持ち込んだ。

第2追走集団で走るヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)のアタックは不発に終わり、最後の石畳区間をクリアして残り10kmを過ぎてもレースは3つの集団のまま進行する。その後第2追走集団はモホリッチたちを捉えたものの、最後まで先頭集団に追いつくまでには至らず、勝負はファンアールトら先頭3名に絞られた。

勝負はファンアールト、ラスカノ、ウェレンスの3名に絞られた photo:CorVos

スプリント力で劣るウェレンスのアタックはファンアールトが封じ、ラスカノは2人の背後につく。その後ファンアールトのアーリーアタックを警戒するウェレンスは、ファンアールトの後輪に自らの前輪を並べるように走行。最終ストレートに入った直後のラスカノによる渾身のアタックは決まらず、残り100mで腰を上げたファンアールトがウェレンスを振り切りフィニッシュした。

前日のトラトニクに続き、セミクラシック2連勝を達成したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

優勝候補と目され、各チームからマークを受けながらも勝利を掴み取ったファンアールト。「僕たちの作戦はレースをできる限り厳しくすること。レースのペースがとても速かったので集団が分断するのは時間の問題だと思っていた。これで僕たちはオンループとクールネの両方で勝った。それも素晴らしい内容で得た結果。プレッシャーのなか勝てたことを誇りに思う」とシクロクロス世界選手権を回避し、ロードに向け万全の準備を結果に繋げたファンアールトは喜んだ。

2位のウェレンスは「前日はニルス(ポリッツ)が2位で、今日は僕。勝ちたかったがチームとして2日連続の2位は満足と言える」と敗者の弁。また「まだ高強度のトレーニングをこなしていないので、僕のピークはもっと後に来るはずだ」と、これから続くクラシックレースに向けて意欲を語った。

クールネ~ブリュッセル~クールネ2024表彰台:2位ウェレンス、1位ファンアールト、3位ラスカノ photo:CorVos
クールネ~ブリュッセル~クールネ2024結果
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) 4:21:01
2位 ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ)
3位 オイエル・ラスカノ(スペイン、モビスター)
4位 クリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) +1:23
5位 ニルス・エーコフ(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
6位 エミリアン・ジャニエール(フランス、トタルエネルジー)
7位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ)
8位 リオネル・タミニオー(ベルギー、ロット・デスティニー)
9位 マリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)
10位 ヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、リドル・トレック)
text:So Isobe
photo:CorVos

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