「良いコンディションで、しかも自分向きのコースだっただけに相当悔しい」。レース後にインタビューに応じた新城幸也は少し強ばった表情で無念さを語った。アシストとして走った中根英登も含めて、大雨のロード世界選手権男子エリートロードレースをDNFという形で終えた日本人選手2名に話を聞いた。

新城幸也(バーレーン・メリダ)

集団内で1周目をこなす新城幸也(バーレーン・メリダ)集団内で1周目をこなす新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Kei Tsuji
集団にいれば楽だけど、集団にいなかったらきついコースだったので、少しでも遅れないようにしていたんですが、中切れでレースが終わってしまったので消化不良です。(レース後も元気なのは)今日はレースしてないですもん。(ライン区間の)130kmが1時間ぐらいしか経ってないんじゃないかと思うぐらい調子も良く、脚を全く使わずフレッシュな状態でいい形で(周回コースに)入ってきたんですけど、集団の後ろのほうで入ってしまった2周目の補給所で中切れにあってしまいました。

追いかけたんですけど1分40秒ほどの遅れはもう追いつけない。前の集団が30人だったらいいんですけど、90人だったので、この寒さですし、絶望的だったので(レースを降りた)。

ブエルタが終わってからも調子は良く、(17位に入った2015年の)リッチモンドでの世界選手権ぐらいの身体のコンディションでした。紙の上では自分向きのコースだったので、それだけに相当悔しいですね。シーズン残りのレースで良い走りをすることも重要ですが、それよりも今日結果を残したかったので悔しい。

でも自分のミスだから悔しがれません。自転車レースを知っていれば、一回ミスして中切れが起こったらいくら力があっても人数のいる集団との差を埋められないのは分かるじゃないですか。そうならないように走るべきなのは分かっているんですが、また経験値を一つ増やすだけの結果になってしまいました。

せっかく4〜5年かけて良いナショナルチームを組んで、意思を統一できている同じメンバーで戦えているだけに、良い形で締めくくれなかったのは残念です。


中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)

集団から脱落した中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)集団から脱落した中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) photo:Kei Tsuji
僕も幸也さんも落車などのトラブルなく、ライン区間は問題なくこなせました。(周回数について)記憶が曖昧なのですが、周回に入ったところで発生した(ジルベールを含む)落車で少し遅れながらも踏んで集団に復帰。幸也さんと一緒にいて、足りていなかったのでジェルを渡したり、防寒具を受け取ったりしながら「どのタイミングで前に上がりますか?」という話をしていたんですが、脚が冷えきってしまっていて、次の登りで全然力が入らなくなった。

タイトな下りコーナーで少しビビって下がってしまい(細い橋を抜けた先の)登り返しで遅れてしまいました。後ろから追いついてきたレムコ(エヴェネプール)のグループに入ったんですが、そこからも遅れてしまった。補給はこまめにうまくできていて、防寒もしっかり対策できていました。ライン区間の登りもこなせていましたし、調子が悪いという感覚ではなかったんですが、一段と気温が下がったと感じる周回コースに入ってから厳しい展開になってしまいました。自分にとってはかなり厳しい天候でした。

ライン区間が短縮されて簡単になったんですが、去年(インスブルック大会)よりも圧倒的に今年の方が厳しいと感じました。初めての出場だった去年と比べると、幸也さんのアシストという役割も明確で、スムーズに走れていましたが、残念な結果になってしまいました。でも条件は選手全員一緒。これもロードレースです。

text:Kei Tsuji in Harrogate, United Kingdom