2019/04/30(火) - 08:25
男子レース以上に冷たい雨に降られ、過酷なコンディションの中で行われたリエージュ〜バストーニュ〜リエージュの女子レース。アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)が圧巻の独走逃げ切り勝利を飾った。落車に巻き込まれた與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)は74位でアルデンヌ3連戦を終えている。
4月28日、男子のUCIワールドツアーレースに先立って開催されたUCIウィメンズ・ワールドツアーレースのリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファム。138.5kmのコースは男子レースの復路の難易度を下げたバージョンで、往復を意味するレース名に反してバストーニュからリエージュまで北上するだけ。コースは男子レースと同様に登坂距離の長い登りが詰め込まれた厳しいもので、残り31km地点で名物の「コート・ド・ラ・ルドゥット(平均8.9%)」を越え、残り15km地点で「ラ・ロッシュ・オ・フォーコン(平均11%)」をクリアしてリエージュに至る。
午前10時55分にバストーニュをスタートし、午後3時前にフィニッシュするレースは冷たい雨に包まれた。なお、今年もレース中継は行われなかったが、2020年からは最低45分間の中継放送がUCIウィメンズワールドツアーレース開催の必須条件となっている。
逃げるリア・キルヒマン(カナダ、サンウェブ)ら2名を追いかける形で始まった「ラ・ルドゥット」で動いたのは、チームメイトに発射される形で飛び出したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)だった。追いすがる世界王者アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング)らを振り切った世界TT王者ファンフルーテンが先行するキルヒマンらを追い抜いて独走に持ち込む。
参考までにファンフルーテンの「ラ・ルドゥット」登坂時間は5分13秒(平均17.7km/h)。これは男子レースのメイン集団の登坂時間5分00秒(平均18.5km/h)に引けを取らない数字だ。なお、女子レースのメイン集団の登坂時間は5分40秒。つまりファンフルーテンはこの「ラ・ルドゥット」単体で30秒近いリードを築いたことになる。
後方ではアニカ・ラングヴァド(デンマーク、ブールスドルマンスサイクリング)やリジー・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード)、エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)らが追走グループを形成したものの、先頭ファンフルーテンは最後の「ラ・ロッシュ・オ・フォーコン」でもリードを広げる走りを披露。残り10km地点でリードを2分まで広げたファンフルーテンが圧倒的な独走力を見せて勝利した。この日の勝利によってファンフルーテンはUCIウィメンズワールドツアーのランキング首位に立っている。
アルデンヌ3連戦出場の與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)は「ラ・ルドゥット」の麓で落車に巻き込まれ、先頭から9分53秒遅れの74位でフィニッシュした。與那嶺は過酷なレースを以下のように振り返る。
「冷たい雨に強い風、そしてみぞれ。ここ1年で最も過酷なコンディションでした。震える寒さの中、スタート。走り始めるととにかく寒く、そしてプロトンは速い。最初の登りからどんどん選手がドロップして行きます。下りもテクニカルなセクションが多く、雨天のため位置取りも非常に過酷です。落車がとても多く、とても怖かったです。中盤ですでにメイン集団は50名ほど。勾配20%以上のコート・ド・ブルームでぎりぎり私も耐えきれず、ソラヤを含む25名ほどのメイン集団からドロップ。あまりの寒さと過酷なコンディションの中、選手が辞めてしまい2名で追走。長い間、追走をしました。そして前が少し緩み、なんとかメイン集団へ復帰。ソラヤと話しをして『ごめん、もう無理』と伝えました。ミッチェルトン固定で進む30名ほどのメイン集団。ジェットコースターのレースコースをひたすら耐えるだけ。チームカーを使いながらドロップした選手たちが戻ってきます」
「そして壁の登りが続くリエージュバストーニュの名物「ラ・ルドゥット」へ。登り口のロータリーで自分の目の前で2名が転び、真ん中を抜けようとしたところ右の選手が転び、そのまま私も巻き込まれました。5名ほどが路面に転がる中『ああ、今日のレースが終わった』と思いましたが、すぐに戻ればまだ間に合うと思ってバイクに乗ろうとしたところ、チェーンが詰まった状態。どうにもクランクが回らず、チームメカニックが駆け寄り直してもらい再出走。長い時間でした。集団の最後尾となってしまいました」
アルデンヌでは2017年にアムステル50位、フレーシュ51位、リエージュ34位、そして2018年にアムステル63位、フレーシュ30位、リエージュ35位という成績を残してきた與那嶺。2019年はアムステル31位、フレーシュ42位、リエージュ74位と、思うように成績を伸ばすことができなかった。その理由として與那嶺は2020年東京オリンピックに向けた各国の代表枠争いが影響していると見る。「周りのレベルが二段以上上がり、とにかく対応するのに精一杯な状況です。データ自体は伸びていますし、自分のコンディションも悪くないはずなのですが相対的にトップ集団のスピードが急速に上がりました。各国のオリンピックセレクションを掛けた争いが始まっています」
與那嶺の次戦は5月3日から2日間の日程で開催されるASDAツール・ド・ヨークシャー・ウィメンズレース。與那嶺は「楽しみにしていたアルデンヌ週間がこのような形で終わるのはとても悲しいです。フィニッシュ後、監督から『今日は仕方がない。しかし恵理を私たちは信じてるよ』と言われ、このチームで絶対に結果を出したいと思いを強くしました。噛み合わない中でも、期待してくれるチームと支えてくれるチームメイト。そしてエースのソラヤの為にも、もっと強くなりたいと思います。自分に出来ることも限られていますが、やるしか無いので。今週の金曜日、土曜日がツール・ド・ヨークシャー。少しでも良い感触で望めるように調整と回復を急ぎます」と語っている。
4月28日、男子のUCIワールドツアーレースに先立って開催されたUCIウィメンズ・ワールドツアーレースのリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファム。138.5kmのコースは男子レースの復路の難易度を下げたバージョンで、往復を意味するレース名に反してバストーニュからリエージュまで北上するだけ。コースは男子レースと同様に登坂距離の長い登りが詰め込まれた厳しいもので、残り31km地点で名物の「コート・ド・ラ・ルドゥット(平均8.9%)」を越え、残り15km地点で「ラ・ロッシュ・オ・フォーコン(平均11%)」をクリアしてリエージュに至る。
午前10時55分にバストーニュをスタートし、午後3時前にフィニッシュするレースは冷たい雨に包まれた。なお、今年もレース中継は行われなかったが、2020年からは最低45分間の中継放送がUCIウィメンズワールドツアーレース開催の必須条件となっている。
逃げるリア・キルヒマン(カナダ、サンウェブ)ら2名を追いかける形で始まった「ラ・ルドゥット」で動いたのは、チームメイトに発射される形で飛び出したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)だった。追いすがる世界王者アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング)らを振り切った世界TT王者ファンフルーテンが先行するキルヒマンらを追い抜いて独走に持ち込む。
参考までにファンフルーテンの「ラ・ルドゥット」登坂時間は5分13秒(平均17.7km/h)。これは男子レースのメイン集団の登坂時間5分00秒(平均18.5km/h)に引けを取らない数字だ。なお、女子レースのメイン集団の登坂時間は5分40秒。つまりファンフルーテンはこの「ラ・ルドゥット」単体で30秒近いリードを築いたことになる。
後方ではアニカ・ラングヴァド(デンマーク、ブールスドルマンスサイクリング)やリジー・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード)、エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)らが追走グループを形成したものの、先頭ファンフルーテンは最後の「ラ・ロッシュ・オ・フォーコン」でもリードを広げる走りを披露。残り10km地点でリードを2分まで広げたファンフルーテンが圧倒的な独走力を見せて勝利した。この日の勝利によってファンフルーテンはUCIウィメンズワールドツアーのランキング首位に立っている。
アルデンヌ3連戦出場の與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)は「ラ・ルドゥット」の麓で落車に巻き込まれ、先頭から9分53秒遅れの74位でフィニッシュした。與那嶺は過酷なレースを以下のように振り返る。
「冷たい雨に強い風、そしてみぞれ。ここ1年で最も過酷なコンディションでした。震える寒さの中、スタート。走り始めるととにかく寒く、そしてプロトンは速い。最初の登りからどんどん選手がドロップして行きます。下りもテクニカルなセクションが多く、雨天のため位置取りも非常に過酷です。落車がとても多く、とても怖かったです。中盤ですでにメイン集団は50名ほど。勾配20%以上のコート・ド・ブルームでぎりぎり私も耐えきれず、ソラヤを含む25名ほどのメイン集団からドロップ。あまりの寒さと過酷なコンディションの中、選手が辞めてしまい2名で追走。長い間、追走をしました。そして前が少し緩み、なんとかメイン集団へ復帰。ソラヤと話しをして『ごめん、もう無理』と伝えました。ミッチェルトン固定で進む30名ほどのメイン集団。ジェットコースターのレースコースをひたすら耐えるだけ。チームカーを使いながらドロップした選手たちが戻ってきます」
「そして壁の登りが続くリエージュバストーニュの名物「ラ・ルドゥット」へ。登り口のロータリーで自分の目の前で2名が転び、真ん中を抜けようとしたところ右の選手が転び、そのまま私も巻き込まれました。5名ほどが路面に転がる中『ああ、今日のレースが終わった』と思いましたが、すぐに戻ればまだ間に合うと思ってバイクに乗ろうとしたところ、チェーンが詰まった状態。どうにもクランクが回らず、チームメカニックが駆け寄り直してもらい再出走。長い時間でした。集団の最後尾となってしまいました」
アルデンヌでは2017年にアムステル50位、フレーシュ51位、リエージュ34位、そして2018年にアムステル63位、フレーシュ30位、リエージュ35位という成績を残してきた與那嶺。2019年はアムステル31位、フレーシュ42位、リエージュ74位と、思うように成績を伸ばすことができなかった。その理由として與那嶺は2020年東京オリンピックに向けた各国の代表枠争いが影響していると見る。「周りのレベルが二段以上上がり、とにかく対応するのに精一杯な状況です。データ自体は伸びていますし、自分のコンディションも悪くないはずなのですが相対的にトップ集団のスピードが急速に上がりました。各国のオリンピックセレクションを掛けた争いが始まっています」
與那嶺の次戦は5月3日から2日間の日程で開催されるASDAツール・ド・ヨークシャー・ウィメンズレース。與那嶺は「楽しみにしていたアルデンヌ週間がこのような形で終わるのはとても悲しいです。フィニッシュ後、監督から『今日は仕方がない。しかし恵理を私たちは信じてるよ』と言われ、このチームで絶対に結果を出したいと思いを強くしました。噛み合わない中でも、期待してくれるチームと支えてくれるチームメイト。そしてエースのソラヤの為にも、もっと強くなりたいと思います。自分に出来ることも限られていますが、やるしか無いので。今週の金曜日、土曜日がツール・ド・ヨークシャー。少しでも良い感触で望めるように調整と回復を急ぎます」と語っている。
1位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) | 3:42:10 |
2位 | フローチェ・マッケイ(オランダ、サンウェブ) | 0:01:39 |
3位 | デミ・フォラーリング(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク) | 0:01:43 |
4位 | ソラヤ・パラディン(イタリア、アレ・チポッリーニ) | |
5位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ) | |
6位 | カシア・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | |
7位 | リジー・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード) | |
8位 | アレーナ・アミアリウシク(ベラルーシ、キャニオン・スラム) | |
9位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
10位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、ビグラサイクリング) | |
74位 | 與那嶺恵理(日本、アレ・チポッリーニ) | 0:09:53 |
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