ノースウェーブのフラッグシップロードシューズがフルモデルチェンジを果たし「EXTREME PRO」として登場した。クロージャーシステムにアップデートを加え、よりフィット感を向上させている。今季より実際に使用しているキナンサイクリングチームの山本元喜、新城雄大のインプレッションとともに紹介しよう。



ノースウェーブ EXTREME PRO(ブラック)ノースウェーブ EXTREME PRO(ブラック)
今季はワールドチームのアスタナや、日本人も多数在籍するNIPPOヴィーニファンティーニをサポートしているイタリアンシューズブランド、ノースウェーブ。2019年モデルでロードシューズラインアップが大きく刷新されており、その中でもフルモデルチェンジを果たして新登場したフラッグシップモデルが「EXTREME PRO」である。

従来モデルのEXTREME RRからアッパーデザイン、クロージャーシステム、ソール形状全てにアップデートを加えその性能を進化させた今作。今までよりも足幅を広めに、かつ甲を高くした設計を採用し、より多くの人にフィットしやすいシューズへと生まれ変わっている。

新たにクロージャーダイヤルを2個とし、より細かなフィット感の調整が可能になった新たにクロージャーダイヤルを2個とし、より細かなフィット感の調整が可能になった シルバーのレバーでリリースを行うノースウェーブオリジナルのSLW2ダイヤルシルバーのレバーでリリースを行うノースウェーブオリジナルのSLW2ダイヤル

ザラザラとした感触の滑り止め素材を踵部分に配しペダリングを安定させるザラザラとした感触の滑り止め素材を踵部分に配しペダリングを安定させる アップデートされた「XFrame2」構造によってアッパーの剛性と柔軟性を高めているアップデートされた「XFrame2」構造によってアッパーの剛性と柔軟性を高めている

独自のアッパー構造XFrameをXFrame2へとバージョンアップ。アッパーを全方位から補強する特殊素材のフレームをインサートし、ペダリングの安定感を高めるアッパー剛性を確保。フレームの配置を改良することでアッパーのしなやかさを高めており、薄手のマイクロファイバー素材も相まってフィット感も向上させている。

1枚のパネルから成型されたオーバーラップ型のアッパーデザインも特徴の一つ。タンレスで左右から足を包み込むようにフィッティングすることで、圧迫感もなく足当たりの良い履き心地を実現している。つま先部分にメッシュパネルを、またアッパー全体に微細なホールを空けることで通気性も高めている。

踵にはブランドロゴとイタリア生産を表す”Made in Italy”の文字踵にはブランドロゴとイタリア生産を表す”Made in Italy”の文字 前衛的なライングラフィックを全面にあしらう。通気性を確保する細かなホールも随所に空けられる前衛的なライングラフィックを全面にあしらう。通気性を確保する細かなホールも随所に空けられる

アーチサポート機能を持たせたPowershapeによってパワーロスを低減アーチサポート機能を持たせたPowershapeによってパワーロスを低減 実測重量262g(42サイズ、片側)実測重量262g(42サイズ、片側)

EXTREME RRで1つのみだったクロージャーダイヤルを、今作では2つとした部分も大きな変更点だ。つま先付近までスリットの入った左右のアッパーをケーブルで締め込んでいくスタイルに変わりはないが、上下2箇所でクロージングできることでより細かなフィット感の調整が可能となった。

ノースウェーブオリジナルのSLW2ダイヤルは、小気味よい回転音で細かく確実な締め込みができ、シルバーのレバーを1クリックで1ダイヤル分のリリースが、上に引き上げるとフルリリースが可能だ。ライド中でも容易にフィット感を調整でき、脱ぎ履きもスムーズに行える。

高いパワー伝達性を発揮するフルUDカーボン製のアウトソール高いパワー伝達性を発揮するフルUDカーボン製のアウトソール
アウトソールの剛性値はノースウェーブで最高の15アウトソールの剛性値はノースウェーブで最高の15 専用のスピードプレイアダプターにも対応している専用のスピードプレイアダプターにも対応している

またアウトソールの形状は約7年ぶりに刷新された。あらゆる足型にもマッチする形状を追求し、約2年間もの期間プロライダーと協力して100近いプロトタイプをテストしたのだと言う。新たに特許取得の「Powershape」と呼ばれるアーチサポート構造を採用。アウトソールそのものを土踏まずに沿う形状とし、シューズ内の余計な隙間をなくしエネルギーの無駄なくパワーを伝えることで、より効率的なペダルストロークを可能とした。

ノースウェーブ EXTREME PRO(ホワイト)ノースウェーブ EXTREME PRO(ホワイト) (c)ウインクレルアウトソールはフルUDカーボン製とされ、同社が定める剛性指数は最高値の”15”をマーク。トッププロのパワーを受け止め推進力に変える、優れた剛性と反応性を実現している。スピードプレイ用に専用のアダプターもオプションで用意される。またヒールラバーは通常のTPU素材のラバーと比べ約5倍の耐久性を持つものが装備されている。

アッパーにライングラフィックをあしらったホワイトとブラックの2色で展開。サイズは39~44(ハーフサイズあり)までが揃う。価格は47,800円(税抜)だ。取り扱いはウインクレル。



― キナンサイクリングチーム EXTREME PROインプレッション

山本元喜コメント

ロード全日本王者の山本元喜も使用するEXTREME PROシューズロード全日本王者の山本元喜も使用するEXTREME PROシューズ photo:Masanori.Asano
まず足を入れた瞬間から感じられる高い一体感が好印象です。気持ちの良いフィット感で何度もダイヤルを締めてみたくなりますね。ダイヤル横のシルバーのボタンを押すことで締め具合も少し緩めることができ、レース中に締め直したり緩めたりの操作も簡単です。

特にかかと周りのホールド感が抜群で、鮫肌状の素材のおかげもあり引き足の際にズレることがありません。また前脛骨筋の腱が通るタン上部が柔らかく作ってあるので、強く締めても足首の動きを阻害しないし、ペダリングで擦れて痛いということもなく細部まで改良されているなと感じます。

アッパーが左右に大きく開くため脱ぎ履きもしやすいアッパーが左右に大きく開くため脱ぎ履きもしやすい photo:Masanori.Asanoクリート取り付け穴がやや後方気味だという点には注意して欲しいクリート取り付け穴がやや後方気味だという点には注意して欲しい photo:Masanori.Asano

アッパーが1枚布となった構造のおかげで足先をグルっと包み込んでくれる印象で、踵のサイドにもホールド感があり安定感に繋がっています。特定の場所に圧迫感があるようなこともありません。シューズの幅もしっかり取られた形状で、自分の幅広の足にもマッチしますね。つま先側にはある程度の遊びがあり長時間履いてもストレスを感じません。冬場にシューズカバーを装着して使用していてもムレないので通気性も良いと思いました。

クロージャーはくるぶし側のダイヤルでシューズのホールド感をコントロールでき、つま先側のダイヤルで足の甲を固定できるイメージで、それぞれ安定感の向上に寄与しているなと。 つま先側のダイヤルは合計7箇所で締め付けている事で、全体的にムラなく足の甲を固定することができますね。またダイヤル開放の際にアッパーが大きく広がってくれるので履く際にストレスがなく、無理に足を入れることで起きる踵部分の消耗を気にしなくて済みます。

「包み込むようなホールド感や高い剛性をもったソールが好印象」と山本選手「包み込むようなホールド感や高い剛性をもったソールが好印象」と山本選手 photo:Masanori.Asano
アウトソールの形状が独特で土踏まずが少し高い気もするのですが、そこはアジャスターの調整で違和感を無くせる程度です。トップモデルらしくソールは硬く、かつフィット感も良いので踏んだ際に力がしっかりとペダルに伝わっていることを感じられます。ソールのラバーパーツも以前のモデルよりしっかりしているので、少し歩いた程度ではソールが傷付かなくて安心できます。

一点、クリートの取り付け穴の位置がかなり後方に寄っている気がするなと感じました。自分は問題ありませんでしたが、クリートをつま先側でセッティングする人は注意が必要ですね。撥水性や汚れ等への耐性は、今のタイミングではまだテストし切れていないところです。

新城雄大コメント

今まで使用していたモデルはEXTREMEです。それ以前にEXTREME RRも使ってみましたが、作りが自分の足に合わず、EXTREMEに変更させていただいた経緯があります。今まで使用していたEXTREMEと比べると、今回登場したEXTREME PROのフィット感はかなり良い印象です。

ノースウェーブシューズを愛用する新城雄大(写真は昨年の様子)ノースウェーブシューズを愛用する新城雄大(写真は昨年の様子) photo:Satoru Kato
EXTREMEはアッパー素材がエナメルという事もあり、履き心地がゴワゴワとした印象がありましたが、EXTREME PROではそういった違和感がなく履くことができます。イメージでは、EXTREME RRとEXTREMEを足して2で割ったような履き心地です。それもいい所だけを合わせた印象です。

実際に使ってみて、ソールの剛性指数がEXTREMEが14なのに対して、EXTREME PROでは15とEXTREME RRと同じ仕様というのも個人的には使いやすい点でした。自分はトルクをかけて踏んでいくタイプなので、柔らかいソールだと力が逃げる感覚があり好きではないのですが、その点EXTREME PROは剛性感のある踏み心地で気に入っています。ソールに硬さはあるので、一般のサイクリストの方が履いた場合、疲労を感じやすいかもしれませんね。

僕達は年間を通して、雨、泥、晴れを繰り返したり、距離を乗ったりと過酷な状況で使用しているので、1年間同じシューズを使い続けるとどうしてもへたってしまいます。しかしEXTREAM PROはトップモデルらしく素材の良さ、作りの良さを細部まで感じられ交換も最小限で済むかなと感じました。


ノースウェーブ EXTREME PRO
アッパー:XFrame2
アウターソール:UDカーボン
ソール剛性指数:15
重 量:232g
カラー:ホワイト、ブラック
サイズ:39~44(39.5~42.5までハーフサイズあり)
価 格:47,800円(税抜)