総合成績に動きが見られたピレネーの超ショートステージ。超級山岳サンラリ=スラン/ポルテ峠を制したナイロ・キンタナや、粘りの追走を見せたダニエル・マーティン、総合リード拡大に成功したゲラント・トーマスら、ツール第17ステージを走った選手たちのコメントを紹介します。



ステージ1位&総合5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

最短難関ステージで優勝を挙げたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)最短難関ステージで優勝を挙げたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Makoto.AYANO
ずっと積極的に走り、働き続けたチームの勝利だ。今日は序盤からアレハンドロ・バルベルデとマルク・ソレルを逃げに乗せる作戦で、彼らの存在がメイン集団の絞り込みに役立った。正真正銘ピュアクライマー向きのステージでチームの力を見せつけることができたと思う。前で待っていてくれたバルベルデのおかげで有利にレースを進めることができた。

前半ステージでの落車でタイムを失ったけど、ツールではいつも最終週に調子が上がる。ここまで思うような走りができていなかっただけに、この調子の良さを生かして何とか結果を残したいと思っていた。総合優勝を狙うには分が悪いけど、これからもハードなレースに持ち込んでかき回したい。この勝利でチームは落ち着いてこれからの勝負に挑むことができる。

ステージ2位&総合9位 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)

キンタナに28秒遅れて2位でフィニッシュするダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)キンタナに28秒遅れて2位でフィニッシュするダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) photo:Makoto.AYANO
チームスカイがペースを作っていたので、総合で7分遅れの自分の動きには誰も反応しないと思っていた。アタックして飛び出すとナイロ(キンタナ)が反応。彼と協調してフィニッシュを目指したかったけど、彼はペースを上げて先行していった。自分にはテンポを刻んで頂上まで個人タイムトライアルすることしかできなかった。最後は標高の高さが走りに響いたと思う。標高の高さは、標高2,800mに住んでいるナイロに味方した。ずっと10〜15秒差で追いかけて、いつもなら残り500mから差を詰めることができるのに、今日は力が入らなかった。

序盤ステージの落車やパンクでタイムを失ったことが悔やまれる。トラブルで失った2分半がなければ最終週に違った走りができていた。でも過去を振り返ってばかりでは意味がない。3週間を通して安定して力を出せていることに満足しているし、グランツールでも戦えることを改めて確認できた。

ステージ3位&マイヨジョーヌ ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

マイヨジョーヌを護ったことで総合優勝がまた近づいたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを護ったことで総合優勝がまた近づいたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto.AYANO
今日は序盤から調子の良さを感じていた。すると、残り4〜5kmの時点でクリス(フルーム)が今日は調子が良くないと言ってきたんだ。キンタナやマーティンが早めにアタックして、ログリッチェらも動いたけど、チームメイトの人数を残していたし問題はなかった。最後はログリッチェとデュムランのアタックに反応して、ステージ3位のボーナスタイムを狙って加速するとタイム差までついた。

このマイヨジョーヌはチームとして機能している証拠。総合リードを広げ、総合優勝に向けて良い位置につけていることは間違いないけど、これからもアプローチは変わらない。小さいことをコツコツと積み重ねるだけ。チームの強みを生かして、チームとして戦っていく。まだマイヨジョーヌを着てパリを走ることなんて考えられないし、今はとにかく早くホテルに帰ってリカバリーしたい。遠い先のことを考え始めると大抵悪いことが起こるから、1日1日を大切に走っていく。

ステージ4位&総合4位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)

こうして山の頂上にたどり着けたことをまず嬉しく思っている。とてもタフな1日で、100%全力を尽くした。後手に回ってタイムを失うことは避けたかったので、今日は積極的にアタックした。自分の順位を上げるためには自分から動かないといけない。

フルームが弱みを見せたので驚いたけど、私たちは人間なのでそういうことも起こりえる。でも彼がジロの終盤に逆転を起こしたように、まだ何が起こるかわからない。毎日のレースに集中して戦っていくしかない。

ステージ5位&総合2位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)

キンタナに52秒遅れでフィニッシュするトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)とプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)とキンタナに52秒遅れでフィニッシュするトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)とプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)と photo:Makoto.AYANO
なんて苦しいんだと考えながら走っていた。ログリッチェのアタックでフルームが遅れた時、彼が本当に遅れたのか苦しい振りをしているのかが分からなかった。確実に脱落したことを確認してから自分もアタックしたんだ。でもトーマスとログリッチェを振り切ることはできなかった。今日はトーマスが最も強かった。今の状況でトーマスからタイムを奪うのは不可能。ログリッチェに食らいついてフィニッシュできたことを嬉しく思っている。

まだフルームにも総合優勝のチャンスはあると思うけど、それは果てしなく難しい状況になった。チームメイトのトーマスがマイヨジョーヌを着ているし、それに、トーマスの方がずっと強い。でもジロ終盤の数日で状況が一変したように、まだ何が起こるか分からない。あくまでも自分は自分の走りに徹するのみ。フルームを負かすためにツールに出場しているのではなく、ツールで勝つために出場している。

ステージ13位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)

総合を8位に下げ失意の14ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)総合を8位に下げ失意の14ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Makoto.AYANO
酷い1日になってしまった。最後の登りで脚が思うように動かなかった。受け入れがたい事実だけどこれもロードレースというスポーツだ。

ステージ20位&敢闘賞 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)

敢闘賞はタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)の手に敢闘賞はタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)の手に photo:Makoto.AYANO
今日のステージはタイムトライアルのような準備をして、スタートからアタックした。最初の登りで一人になった後に追走が追いついてきたけど、最後の上りで再び一人になってしまった。ペースをコントロールしながら走っていたから自分にとっては満足できるレース展開だったが、最後の上りは長すぎた。総合争いの選手たちが後ろから迫っていたから、求めていた結果を得ることはできなかった。勝利を目指して走っていたから、この敢闘賞は自分がラッキーな敗者だと感じるよ。

マイヨヴェール ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

落車して負傷しながらも山頂フィニッシュにたどり着いたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)落車して負傷しながらも山頂フィニッシュにたどり着いたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Makoto.AYANO
コーナーでミスを犯して落車してしまった。減速して高速コーナーに進入したつもりが、減速が足りなかった。コースを外れて森の中に飛ばされて、大きな岩の上にお尻から着地した。傷と打撲を負ったけど、もっと酷い怪我を負っていた可能性もある。

家に帰るという選択肢もあるけど、パリまで数日を残した今帰るわけにはいかない。数日で怪我の状態が良くなることを願っているよ。明日の朝起きてから改めて様子を見るけど、今日は最後の登りを自分のペースでこなせたし、大丈夫だと思っている。

マイヨアポワ ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)

ボブ・ユンゲルスとハイタッチしながらフィニッシュするジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)ボブ・ユンゲルスとハイタッチしながらフィニッシュするジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) photo:Makoto.AYANO
短くて強度の高い自分向きのステージだった。昨日の追い込みの影響を心配していたけど問題はなかった。ボブ・ユンゲルスと一緒に行った試走が役に立ったよ。山岳ポイントのために最初の1級山岳で動き、2つ目の1級山岳を先頭通過。でもその先には進めなかった。マイヨアポワを着ているので、これまで経験したことがないほどの声援を受けている。このままパリまで着続けることができれば最高だ。

text:Kei Tsuji in Saint Lary Soulan, France

最新ニュース(全ジャンル)