距離20.3kmの個人タイムトライアルで、最終走者のゲラント・トーマス(イギリス)がトップタイムをマークしてステージ優勝と首位堅持に成功。ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)が総合2位にジャンプアップし、チームスカイが総合ワンツーを固める結果に。



風光明媚な沿岸部を駆け抜けるアルガルヴェ第3ステージ風光明媚な沿岸部を駆け抜けるアルガルヴェ第3ステージ photo:CorVos
ポルトガルで開催中のヴォルタ・アン・アルガルヴェ(UCI2.HC)は、総合争いを大きく左右する第3ステージの個人タイムトライアルを迎えた。

ラゴアを発着するコースは20.3kmと比較的短めだが、この日活躍するヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)の言葉を借りれば「2つの急勾配の丘とスピードの乗るダウンヒルが組み合わされた、ものすごくテクニカルなコース」。そのためこの日のリザルト上位にはTTスペシャリストに加え、総合系の選手たちも顔を揃えることとなる。

この日序盤に圧倒的なタイムを刻んだのが、ヨーロッパTT王者のスキンスーツを着て走ったカンペナールツだった。アルガルヴェ開幕前に「僕の狙いは金曜日に勝つこと。オフシーズンに質の高い練習を重ねたので、少なくともトップ5に食い込む自身はある」と語っていた26歳は、24分20秒で暫定首位に立ちホットシートに座る。

長くホットシートに座ったヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)長くホットシートに座ったヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVosステージ6位のトニ・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)ステージ6位のトニ・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) photo:voltaaoalgarve.com/João Fonseca

バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)はタイムを伸ばせずバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)はタイムを伸ばせず photo:voltaaoalgarve.com/João Fonsecaステージ5位のネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)ステージ5位のネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター) photo:voltaaoalgarve.com/João Fonseca


その後スタートしたシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)は2か所の中間計測地点でトップタイム通過するもゴールで8秒届かず、元世界王者で現ドイツ王者のトニ・マルティン(カチューシャ・アルペシン)も16秒及ばない。自国の期待を背負ったネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)は好走したものの、カンペナールツのタイムには及ばなかった。

総合上位勢もテクニカルコースに明暗が別れた。ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)やツアー・ダウンアンダー覇者リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)、ハイメ・ロソン(スペイン、モビスター)はタイムを伸ばせず、総合順位をロソンは2位から7位、マーティンは4位から16位、ポートは11位から17位へと落としてしまう。

一方、前日にステージ優勝したミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)はキュングに迫るタイムで総合2位に上げ、最終走者で総合首位のゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)は第1中間計測を1位通過。途中で前走者のロソンを追い抜いたトーマスの走りに視線が注がれた。

スイスTT王者のシュテファン・キュング(BMCレーシング)はステージ3位スイスTT王者のシュテファン・キュング(BMCレーシング)はステージ3位 photo:voltaaoalgarve.com/João Fonsecaポイント賞リーダージャージを着て走ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)はステージ4位ポイント賞リーダージャージを着て走ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)はステージ4位 photo:voltaaoalgarve.com/João Fonseca

登りをこなす最終走者のゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)登りをこなす最終走者のゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:voltaaoalgarve.com/João Fonseca
勢いよくフィニッシュラインに飛び込んだトーマスのタイムは、24分09秒。カンペナールツを11秒引き離す圧倒的なスピードを披露しステージ優勝と総合首位堅守を決めた。

「嬉しいのはもちろん、昨日から言っているようにこんな結果は全く予想していなかった」と言うトーマス。「シーズン開幕戦は身体の状態もよく把握できていないけれど、冬に重ねてきた練習の成果が現れたと思う。序盤から力を感じていたし、最後まで維持できた。今回は強力な選手が多い中で出した結果なので嬉しいよ」。

この日を終えて、総合1位にトーマスと2位にクウィアトコウスキー、10位にヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)とチームスカイ勢が総合力を見せつける結果に。26歳のルーカス・ヴィシニオウスキー(ポーランド、チームスカイ)もステージ10位に入り存在感を見せつけた。

総合リードを広げたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)総合リードを広げたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:voltaaoalgarve.com/João Fonseca
ステージ結果
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 24’09”
2位 ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) +11”
3位 シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) +19”
4位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) +22”
5位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)
6位 トニ・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) +27”
7位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +47”
8位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +49”
9位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ) +50”
10位 ルーカス・ヴィシニオウスキー(ポーランド、チームスカイ) +51”
個人総合成績
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 10h01’58”
2位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) +22”
3位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター) +32”
4位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +52”
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +53”
6位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +1’01”
7位 ハイメ・ロソン(スペイン、モビスター) +1’18”
8位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ) +1’19”
9位 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +1’20”
10位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ) +1’24”
ポイント賞
1位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) 25pts
2位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) 25pts
3位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 20pts
山岳賞
1位 ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) 15pts
2位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) 10pts
3位 リカルド・メストレ(ポルトガル、W52/FCポルト) 9pts
ヤングライダー賞
1位 サム・オーメン(オランダ、チームサンウェブ) 10h03’51”
2位 レナード・ケムナ(ドイツ、チームサンウェブ) +2’26”
3位 ホセ・フェルナンデス(ポルトガル、W52/FCポルト) +3’23”
チーム総合成績
1位 チームスカイ 20h07’31”
2位 モビスター +1’52”
3位 クイックステップフロアーズ +1’56”
text:So.Isobe
photo:CorVos, voltaaoalgarve.com/João Fonseca