長い歴史を持つ秋のイタリアクラシック、トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ(UCI1.HC)。アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)が4名に絞られたスプリントを制し、今季2勝目を挙げた。



ジロ覇者のトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)ジロ覇者のトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:CorVosファビオ・アル(イタリア、アスタナ)もスタートラインに並んだファビオ・アル(イタリア、アスタナ)もスタートラインに並んだ photo:CorVos


1919年の初回大会が開催され、今年で97年目を迎える伝統のワンデーレース、トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ。舞台となるのは北イタリア・ロンバルディア州のヴァレーゼ県。サロンノをスタートした後カテゴリー山岳を一つ含む77.7kmを走行後、県都ヴァレーゼを中心とした12.8kmの周回コースを9周する。

12.8kmの周回コースは、半分が登りで半分が下り。7%を超える区間も登場し、登れるスプリンターやパンチャー向きのコースレイアウトと目される。昨年はソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ※当時はバルディアーニCSF)が勝利しているが、クライマーにもチャンスはあり、一昨年はヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ※当時はアスタナ)が優勝している。

97年目を迎えたトレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ201797年目を迎えたトレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ2017 photo:CorVos
最後のモニュメントとなるイル・ロンバルディアの前哨戦ということもあり、スタートにはビッグネームたちが顔を揃えた。コルブレッリとニーバリという昨年と一昨年の王者を擁するバーレーン・メリダを筆頭に、トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)などなど、そうそうたる面子がスタートラインに並んだ。

スタート直後からかかったアタック合戦の結果、形成された逃げは6名。ダニエル・トゥレク(チェコ、イスラエルサイクリングアカデミー)、アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF)、ディエゴ・ルビオ(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)ら、プロコンチネンタルチームのメンバーがメインとなり、ワールドチームの選手は一人も逃げに入らず。

ヴァレーゼを中心とした12.8kmを周回するヴァレーゼを中心とした12.8kmを周回する
最大で5分程度のタイム差を得たまま、ヴァレーゼへの周回コースへと入っていく。バーレーン・メリダとオリカ・スコットがメイン集団をコントロールし、じわじわとタイム差を詰めていく。ラスト50kmで6名の集団はトゥレクとトネッリ、そしてルビオの3名へと絞られた。

メイン集団からは、こぼれてきた3名をキャッチすると同時にカウンターアタック。カルロス・ベローナ(スペイン、オリカ・スコット)、ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)、レディ・ハイルラージ(アルバニア、アモーレ&ヴィータ)らがブリッジをかけ再び先頭は6名に。

集団をコントロールするバーレーン・メリダ集団をコントロールするバーレーン・メリダ photo:CorVos
ラスト2周に入り、メイン集団がペースアップを開始する。ジロ・デッレミリアを制したジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)がプロトンの先頭に立ち、強烈に牽引。ベローナだけが最後まで抵抗するが、ラスト1周の最初の登りで集団は一つに。

一つのまま下りきった集団から、ニーバリが登り返しを利用したアタックを仕掛けると、反応出来たのはティボー・ピノ(フランス、エフデジ)のみ。そのままフィニッシュはマッチスプリントへと持ち込まれるかと思いきや、残り500mからの平坦区間を利用して脚を溜めていたジェニエスがブリッジをかけることに成功、続いてディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)も合流し、勝負は4名のスプリントへ。

アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)が4名に絞られたスプリントを制したアレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)が4名に絞られたスプリントを制した photo:CorVos
最初に腰を上げたのはピノ。番手につけていたニーバリがつづいて踏み込み始めるが、前に出ることが出来ない。一方、スピードに乗せきれないニーバリの背後から鋭い加速を見せたのはジェニエスだった。3番手から2人のグランツールレーサーを抜き去り、先頭でフィニッシュラインを超えた。

「素晴らしいレースが出来たよ。今朝、調子の良さを感じていたんだ。そしてこのシーズンを良い形で終わりたいと思っていたんだ。2週間前、練習中に落車してしまって右ひざに痛みを抱えていたから、こんないい結果を残せたことは望外の喜びだ。ブエルタをリタイアしてしまったリベンジを果たすことが出来たよ」と今シーズン3勝目となる勝利を挙げたジェニエスは勝利を振り返った。

トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ2017 表彰台トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ2017 表彰台 photo:CorVos
トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ2017 結果
1位 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール) 4:49:08
2位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
4位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
5位 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) 0:07
6位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)
7位 ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)
8位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
9位 ダニエル・マルチネス(コロンビア、ウィリエールトリエスティーナ・セライタリア) 0:17
10位 ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット) 0:18
text:Naoki.Yasuoka
photo:CorVos

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