すべてのグランツールで総合優勝を果たしているアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が8月19日開幕のブエルタ・ア・エスパーニャに出場することを発表。そしてそのブエルタが現役最終レースになることを明らかにした。



ステージ敢闘賞を獲得したアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)ステージ敢闘賞を獲得したアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waele / TDWsport
コンタドールは自身のInstagramに投稿したビデオの中でブエルタへの出場とブエルタ後の引退を明らかにした。以下はコンタドールのコメント。

「みんなに2つのことを伝えるためにビデオを投稿しました。1つめは8月19日に開幕するブエルタ・ア・エスパーニャに出場すること、そして2つめはそのブエルタがプロ選手として走る最後のレースになるということです。決して悲しいものではなく、喜びをもってこのことを伝えたいと思っています。熟考の末に決めたことで、母国で開催されるレースがお別れを言うのに最適だと判断しました。素晴らしい3週間になると確信しています。みんなの好意に感謝しながら、8月19日から沿道で会えることを楽しみにしています」。

1982年12月6日生まれの34歳コンタドールは2003年にプロ入り。リバティセグロスやアスタナ、ディスカバリーチャンネル。サクソバンク、ティンコフを経て今シーズンからトレック・セガフレードで走っている。2004年には脳の海綿状血管奇形によりレース中に意識を失って落車し、生死をさまよったが翌年にレースに復帰。グランツールにはこれまで17回出場しており、2007年にはツール・ド・フランスで初総合優勝し、2008年にはジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャのダブルツールを達成。史上5人目の全グランツール総合優勝者となった。

2010年ツールと2011年ジロで再び総合優勝を飾ったものの、2010年ツール期間中のドーピング検査で禁止薬物クレンブテロールが検出された。汚染された牛肉を食べたことが原因だいうコンタドールの主張を受け入れる形でRFEC(スペイン自転車競技連盟)は処分を与えながったが、UCI(国際自転車競技連合)とWADA(世界アンチドーピング機構)が異議を唱え、2012年にCAS(スポーツ仲裁裁判所)がコンタドールに2年間の出場停止処分を与えている。暫定的な処分期間を差し引き、処分は2011年1月25日から2012年8月5日まで。また、2010年ツール総合優勝のタイトルと、処分期間中に獲得したジロ総合優勝のタイトルは剥奪された。

ドーピング処分後はティンコフで復帰し、2012年と2014年のブエルタで総合優勝。ブエルタでは2016年に総合4位の成績を残した。直近の2017年ツールでは第13ステージと第17ステージで敢闘賞を獲得し、総合9位でレースを終えている。これまでのグランツール総合優勝は、剥奪されたものを除いても7回(ジロx2、ツールx2、ブエルタx3)におよぶ。

2014年にスペインでU23チームを設立するなど、若手の育成にも取り組んでいたコンタドール。現役引退後の去就についてはまだ明らかにされていない。

「エル・ピストレロ」のニックネームの由来となった拳銃ポーズでフィニッシュするアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)「エル・ピストレロ」のニックネームの由来となった拳銃ポーズでフィニッシュするアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) photo:Riccardo Scanferla
2009年ツール・ド・フランス 表彰台で2度目の総合優勝をアピールするアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)2009年ツール・ド・フランス 表彰台で2度目の総合優勝をアピールするアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Makoto Ayano2012年ブエルタ・ア・エスパーニャ 総合優勝に輝いたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)2012年ブエルタ・ア・エスパーニャ 総合優勝に輝いたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) photo:Unipublic

超級山岳クロワ・ド・フェール峠でメイン集団から飛び出したアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)とナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)超級山岳クロワ・ド・フェール峠でメイン集団から飛び出したアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)とナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Tim de Waele / TDWsport

text:Kei Tsuji