2012年2月6日、CAS(スポーツ仲裁裁判所)は、2010年ツール・ド・フランス期間中のドーピング検査でクレンブテロール陽性が判明したアルベルト・コンタドール(スペイン、チームサクソバンク)に対し、2年間の出場停止処分が妥当であるとの裁定を下した。2010年ツール総合優勝のタイトルは剥奪。処分は2012年8月5日まで。

トロフェオ・パルマ 報道陣に囲まれるアルベルト・コンタドール(スペイン、チームサクソバンク)トロフェオ・パルマ 報道陣に囲まれるアルベルト・コンタドール(スペイン、チームサクソバンク) photo:Cor Vos長期戦を呈したコンタドールのドーピング疑惑。最終的にCASが出した答えは、コンタドールに無罪を言い渡したRFEC(スペイン自転車競技連盟)の判断を不服とするUCI(国際自転車競技連合)とWADA(世界アンチドーピング機構)の訴えを認めるもの、つまりコンタドールの有罪を認めるというものだった。

事の発端は、2010年7月21日、ツールの休息日に行なわれたドーピング検査で、コンタドールの尿から禁止薬物クレンブテロールが検出されたことにある。陽性が判明したのは同年9月30日。コンタドールは当時から現在に至るまで一貫して意図的なクレンブテロール摂取を否認。汚染された牛肉を食べたことが原因であると主張し続けている。

2011年2月15日、審議を行なっていたRFECは、証拠不十分としてコンタドールの処分取消を正式に決定した。この決定に異議を唱えるUCIがCASに上訴したのが同年3月24日。同様に、WADAが同年3月29日に上訴。それから延期を繰り返しながらコンタドールの聴聞会が行なわれ、2010年ツールから実に1年半が経った本日、CASが有罪の判断を下した。クレンブテロール検出の原因を、含有サプリメントの摂取によるものだとしている。

CASのプレスリリースによると、2年間の出場停止処分が適応されるのは2011年1月25日から。コンタドールは暫定的な出場停止処分を5ヶ月と19日間(2010年8月26日〜2011年2月14日)受けているため、差し引くと処分は2012年8月5日に明けることになる。

また、2010年ツール総合優勝のタイトルは剥奪。さらにコンタドールは2011年1月25日以降に獲得したタイトルや賞金、ポイントを失う。つまりコンタドールは2011年のジロ・デ・イタリアのタイトルを失う。2010年のツール総合優勝のタイトルはアンディ・シュレク(ルクセンブルク)に、2011年ジロ総合優勝のタイトルはミケーレ・スカルポーニ(イタリア)の手に渡る。

UCIのパット・マックエイド会長はプレスリリースの中で「我々のスポーツ(自転車競技)にとって悲しい日だ。これを(UCIの)勝利と呼ぶ者がいるかも知れないが、必ずしもそうではない。ドーピングの話題に関しては、勝者はいない」とコメントしている。チームサクソバンクやコンタドール側からの声明はまだ出されていない。

text:Kei Tsuji