デンマークで開催されたヨーロッパ選手権。集団スプリントでエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)との一騎打ちを制したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)が勝利。白地に青帯のチャンピオンジャージを一年間着用する。



2度目の開催を迎えたロードヨーロッパ選手権。今年の開催地はデンマーク中央部に位置するヘアニング。基本的にはスプリンター向けのフラットコースながら、道幅の狭い農道区間や、横風区間を含むため気が抜けない。周回コースを20ラップする241kmで争われた。

ヴィヴィアーニのためのスプリントチームを作ったイタリアヴィヴィアーニのためのスプリントチームを作ったイタリア photo:CorVosボアッソンハーゲンやクリストフを揃えたノルウェーボアッソンハーゲンやクリストフを揃えたノルウェー photo:CorVos


序盤のアタックから抜け出して12分ものリードを得たのはルーカス・スペングラー(スイス)ら3名。集団ではノルウェーやオランダチームがコントロールを担ったが、集団分断を狙うベルギーやデンマークが猛烈なペースアップを試みると、イタリアチームのエースを担うエリア・ヴィヴィアーニが遅れを喫し、メカトラでエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)も後退。エースを復帰させたい2チームと、合流をさせたくないメイン集団が追走劇を繰り広げペースを上げたことで、序盤から逃げたメンバーはゴールまで80kmを残して吸収。ヴィヴィアーニらも時を同じくして合流に成功した。

ここからレースが活発化し、イマノル・エルヴィティ(スペイン)とプリミン・ラング(スイス)、そしてイェンス・クークレール(ベルギー)がアタックして30秒を稼ぎ出したが、やがて吸収。ボアッソンハーゲン、クークレール、そしてルイスレオン・サンチェス(スペイン)もアタックを繰り出したがスプリンターチームを振り切るには至らない。

イェンス・クークレール(ベルギー)、イマノル・エルヴィティ(スペイン)とプリミン・ラング(スイス)が逃げるイェンス・クークレール(ベルギー)、イマノル・エルヴィティ(スペイン)とプリミン・ラング(スイス)が逃げる photo:CorVos要所で集団の牽引役を担ったイタリアチーム要所で集団の牽引役を担ったイタリアチーム photo:CorVos


残り10kmを切るとアタッカーvsとスプリンターチームの戦いは熾烈を極め、ベルギーチームのリードアウトから再びクークレールがアタック。ここにボアッソンハーゲンが食らいつき、チェックに回ったイタリアチームの選手が中切れしたことで僅かなリードを稼ぎだす。更にニコライ・トゥルソフ(ロシア)が追いつき、3人が猛烈なペースで逃げ始めた。

デンマークやポーランド、スロバキアチームが追走を担ったものの、ロシアチームがローテーションに割って入ったことでうまくペースが上がらない。残り4kmで10秒程度の差をキープした3名だったが、やはり分があったのはメイン集団。その足音が背後に迫った段階で、ボアッソンハーゲンが単独アタックを試みる。

トゥルソフとクークレールを置き去りにしてTTモードに入ったボアッソンハーゲンは、一時リードを広げたものの、いよいよイタリアチームが列車を組んで追い始めるとリードは徐々に削られていく。イタリア先頭にスプリント体制に入ったメイン集団は、残り300mでボアッソンハーゲンをキャッチ。ヴィヴィアーニの最終発射台であるファビオ・サバティーニ(イタリア)の牽引終了をきっかけにスプリント勝負が幕開けた。

アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)にもたれ掛かるようににスプリントするエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)にもたれ掛かるようににスプリントするエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア) photo:CorVos
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)とアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)が横一線でハンドルを投げるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)とアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)が横一線でハンドルを投げる photo:CorVos手を挙げるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)手を挙げるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア) photo:CorVos


後方で激しく落車が起こる中、一騎打ちを繰り広げたのはヴィヴィアーニとアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)。フェンス際に追いやられたヴィヴィアーニはスプリントを続け、僅かに先行するクリストフを追い上げたものの、タイミング良くハンドルを投げたクリストフが先着。最後に伸びたヴィヴィアーニが手を挙げるほどの接戦だった。

ボアッソンハーゲンの逃げによってチーム力を温存できたと言うクリストフ。「彼はものすごく強くて、勝利まで本当にあと少しだった。でもそのお陰でスプリントに集中することができたんだ。いつもイタリアチームは屈強なリードアウトトレインを組むので、そこを崩そうと少し早めにスプリントを始めた。ヴィヴィアーニは右側から隙間を狙ってスプリントしてきたけれど、僕は彼にスペースを与えたくなかった。彼は落ち込んでいると思うけれど、まっすぐスプリントした僕は何も間違ってはいないと思っている」。

ヨーロッパ選手権2017 男子エリート表彰台ヨーロッパ選手権2017 男子エリート表彰台 photo:CorVos
対してヴィヴィアーニは「倒すべき選手に倒されてしまった。非常に惜しい勝負だったので、素晴らしい働きしてくれたチームメイトに申し訳ない。チャンピオンジャージを獲れず残念だ」と語っており、クリストフに対して遺恨は残していない様子。3位にはモレノ・ホフラント(オランダ)、4位にはパスカル・アッカーマン(ドイツ)が入った。クリストフは今後一年間、ヨーロッパチャンピオンジャージを着用することとなる(昨年優勝したペテル・サガンはアルカンシエルが優先されたため、ジャージを着用することがなかった)。

男子エリートに先立って行われた女子レースでは、激しいアタック合戦の末にマリアンヌ・フォス(オランダ)とジョルジア・ブロンジーニ(イタリア)、そしてオルガ・ザベリンスカヤ(ロシア)の3名によるスプリント勝負が繰り広げられれ、フォスが優勝。

また、個人タイムトライアルでは 男子エリートがヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)、女子エリートでは昨年のツール・ド・おきなわにも参加したエレン・ファンダイク(オランダ)がそれぞれ優勝している。

女子エリート マリアンヌ・フォス(オランダ)がゴール勝負を制して勝利女子エリート マリアンヌ・フォス(オランダ)がゴール勝負を制して勝利 photo:CorVosヨーロッパ選手権2017 女子エリート表彰台ヨーロッパ選手権2017 女子エリート表彰台 photo:CorVos

個人タイムトライアル男子エリート優勝:ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)個人タイムトライアル男子エリート優勝:ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー) photo:CorVos個人タイムトライアル女子エリート優勝:エレン・ファンダイク(オランダ)個人タイムトライアル女子エリート優勝:エレン・ファンダイク(オランダ) photo:CorVos

H3
ロードヨーロッパ選手権2017
ロードレース男子エリート結果
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー) 5h41'10"
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)
3位 モレノ・ホフラント(オランダ)
4位 パスカル・アッカーマン(ドイツ)
5位 ルカ・メズゲッツ(スロベニア)
6位 エドワード・トゥーンス(ベルギー)
7位 アクセル・ノーメラ(エストニア)
8位 イバン・ガルシア(スペイン)
9位 パウェル・フランツァク(ポーランド)
10位 ミカル・コラー(スロバキア)
ロードレース女子エリート結果
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ) 2h51'13"
2位 ジョルジア・ブロンジーニ(イタリア)
3位 オルガ・ザベリンスカヤ(ロシア) +02"
4位 ロクサン・フォルニエ(フランス) +15"
5位 アマリー・ディデリクセン(デンマーク)
6位 ジョーリエン・ドール(ベルギー)
7位 クリステン・ワイルド(オランダ)
8位 ロッタ・レピスト(フィンランド)
9位 マリアジュリア・コンファロニエーリ(イタリア)
10位 エミリア・ファーリン(スウェーデン)
個人タイムトライアル男子エリート結果
1位 ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー) 53'12"
2位 マチェイ・ボドナール(ポーランド) +02"
3位 ライアン・ミューレン(アイルランド) +04"
4位 マティアス・ブランドル(オーストリア) +09"
5位 ヨス・ファンエムデン(オランダ) +21"
6位 トフト・マッドセン(デンマーク) +44"
個人タイムトライアル女子エリート結果
1位 エレン・ファンダイク(オランダ) 40'33"
2位 アンソフィー・デュイック(ベルギー) +58"
3位 アンナ・ヴァンデルブレヘン(オランダ) +1'04"
4位 ルシンダ・ブランド(オランダ) +1'59"
5位 マルティナ・リッター(オーストリア) +2'06"
6位 エウジェニア・ブヤーク(ポーランド) +2'14"
text:So.Isobe
photo:CorVos

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