スペイン北部ブルゴス県でブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.HC)が開幕。NIPPOヴィーニファンティーニも出場中の本大会、初日の登りフィニッシュでミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)が勝利し、総合首位発進を決めた。



ブエルタ・ア・ブルゴスは毎年8月上旬から中旬にかけて開催される5日間の中級ステージレースであり、2週間後に控えたブエルタ・ア・エスパーニャの前哨戦としての意味合いが強い。

第3ステージと最終第5ステージには超級山岳へ登り詰める山頂フィニッシュが組み込まれており、昨年と比較してチームタイムトライアルは除かれたものの、難易度は決して低くない。

ブエルタ・ア・ブルゴス2017第1ステージブエルタ・ア・ブルゴス2017第1ステージ (c)www.vueltaburgos.comブエルタ・ア・ブルゴス2017第3ステージブエルタ・ア・ブルゴス2017第3ステージ (c)www.vueltaburgos.com

ブエルタ・ア・ブルゴス2017第5ステージブエルタ・ア・ブルゴス2017第5ステージ (c)www.vueltaburgos.comブエルタ・ア・ブルゴス2017第4ステージブエルタ・ア・ブルゴス2017第4ステージ (c)www.vueltaburgos.com


5つのUCIワールドチームと11のプロコンチネンタルチーム、2つのコンチネンタルチームが参加し、アシスト役をこなしながらツール・ド・フランスで総合4位に入ったミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)や、1週間ほどのステージレースで強さを発揮するジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)、イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)など強豪勢も顔を揃える。NIPPOヴィーニファンティーニはイウリィ・フィロージ(イタリア)らを主軸に、日本からは小林海と、先日トレーニー契約を結んだ西村大輝が参戦中だ。

初日はブルゴス市街地を発着する151kmで、基本的に平坦基調ながら、最後は最大勾配10.6%、平均勾配5%で標高170mを駆け上がる3級山岳エル・カスティーヨ上にフィニッシュラインが引かれている。爆発力のあるクライマー、もしくは登坂力のあるアタッカー向きであり、いきなり総合上位入賞者がふるいに掛けられた。

昨年大会に出場したミケーレ・スカルポーニのパネルを持って登場したアスタナ昨年大会に出場したミケーレ・スカルポーニのパネルを持って登場したアスタナ (c)www.vueltaburgos.comダビ・ロペス(スペイン、チームスカイ)を含む逃げメンバーダビ・ロペス(スペイン、チームスカイ)を含む逃げメンバー (c)www.vueltaburgos.com


大会最初の逃げを決めたのは、タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)、マルク・ソレル(スペイン、モビスター)、ダヴィ・アロヨ(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)、ピーター・セリー(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ)、ジェローム・クザン(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)といった強力なメンバー。西村と同じくトレーニーとしてNIPPOで走るホアン・ボウ(スペイン)もここに加わった。

ソレルなど総合で危険な選手が逃げに加わった為、集団が許したリードは最大でも4分止まり。ステージ優勝を狙うチームが後半になってペースを上げた為、逃げグループ内で最後まで抵抗していた3人(ゲオゲガンハート、キング、クザン)もゴールまで23kmを残して吸収された。

ディメンションデータのエースナンバーを背負うイゴール・アントン(スペイン)ディメンションデータのエースナンバーを背負うイゴール・アントン(スペイン) (c)www.vueltaburgos.comリラックスして走るミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)。手前はトレーニーとしてNIPPOヴィーニファンティーニに加入した西村大輝リラックスして走るミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)。手前はトレーニーとしてNIPPOヴィーニファンティーニに加入した西村大輝 (c)www.vueltaburgos.com


チームスカイがコントロールを担う中、ガティス・スムクリス(ラトビア、デルコ・マルセイユKTM)が単独逃げにトライするも、ペースを整える集団の視界から姿を消すには至らない。ディメンションデータやチームスカイを先頭にラスト10kmから始まる、1回目の3級山岳エル・カスティーヨをクリアしていく。

石畳の登坂区間では特に動きは見られなかったが、テクニカルな下りを経てランダとセルゲイ・チェルネトスキー(ロシア、アスタナ)、そしてマッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)が抜け出し、平坦区間でラッセ・ノーマンハンセン(デンマーク、アクアブルー・スポート)が合流。更にモートンやダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)が追走集団を作ったが、合流に失敗してメイン集団に飲み込まれた。

後続を引き離して勝利したミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)後続を引き離して勝利したミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) (c)www.vueltaburgos.com
逃げる4名と、焦る集団のタイム差は5秒以内で2度目の3級山岳エル・カスティーヨに突入する。しかし登坂力に優れるランダとチェルネトスキーにとっては、ゴールまでに逃げ切るには十分なタイム差だった。チェルネトスキーの加速で重量級のトレンティンとノーマンハンセンが遅れ、最終盤にランダがスプリントを開始する。後ろを振り返りながらダンシングを続けたランダは、メイン集団から追い上げるアラフィリップやエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)を3秒差で押さえて勝利。開幕ステージで総合首位に躍進した。

両手でガッツポーズを繰り出したランダ。この日の優勝は意識しておらず、自身でも驚く結果だったという。「サプライズだけれど、ブルゴスの街が好きなのでモチベーションが高く、何か仕掛けようとは思っていたんだ。第3ステージの超級山岳エル・ピコン・ブランコがレースを決定づけると思う」と語っている。

紫色のリーダージャージを着用したミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)紫色のリーダージャージを着用したミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) (c)www.vueltaburgos.com
またこの日、小林は2分52秒遅れの74位、西村は4分半遅れの106位でフィニッシュ。小林は「自分が一皮剥ける為に何が足りないのかを痛感させられたステージだった。頭で分かってはいたけど、やっぱり身体で味わうのは別だし、あと少しだったから余計悔しい」と悔しさを露わに。

初のHCカテゴリーレースを終えた西村は「リアルスタートが切られるとペースが猛烈に上がり、アタックのチェックどころか集団にしがみつくだけで精一杯となってしまった。集団にとっては何てことのない横風や、上り、コーナーの立ち上がり等、僕にとっては毎回とても苦しかった。このようなレース環境を自分の主戦場にできたならば、どれほど良いだろうかと心の底から思った。明日からも限りあるチャンスを大切にし、自分の居場所を勝ち取りたい」と語っている。
H3
ブエルタ・ア・ブルゴス2017第1ステージ
結果
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 3h25'58"
2位 セルゲイ・チェルネトスキー(ロシア、アスタナ) +02"
3位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) +03"
4位 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +05"
5位 ダニエル・モレノ(スペイン、モビスター) +07"
6位 カルロス・バルベロ(スペイン、モビスター)
7位 イェッツェ・ボル(オランダ、マンザナ・ポストボン)
8位 シュールト・ヴェンヒネヒテン(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)
9位 ガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカディ・バスクカントリー)
10位 マウロ・フィネット(イタリア、デルコ・マルセイユKTM)
74位 小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ) +2'52"
106位 西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ) +4'30"
個人総合成績
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 3h25'58"
2位 セルゲイ・チェルネトスキー(ロシア、アスタナ) +02"
3位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) +03"
4位 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +05"
5位 ダニエル・モレノ(スペイン、モビスター) +07"
6位 カルロス・バルベロ(スペイン、モビスター)
7位 イェッツェ・ボル(オランダ、マンザナ・ポストボン)
8位 シュールト・ヴェンヒネヒテン(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)
9位 ガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカディ・バスクカントリー)
10位 マウロ・フィネット(イタリア、デルコ・マルセイユKTM)
ポイント賞
山岳賞
ヤングライダー賞
1位 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) 3h26'03"
2位 ニコラ・バジョーリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +02"
3位 アルデマール・レイェス(コロンビア、マンザナ・ポストボン) +13"
チーム総合成績
1位 チームスカイ 10h18708"
2位 NIPPOヴィーニファンティーニ +07"
3位 クイックステップフロアーズ +12"

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